サザン・ロックの有名な兄弟、Duane AllmanとGregg Allmanがまだ10代だった頃に組んでいたバンドが Allman Joysだ。Allman Brothers Band関連の初期音源という歴史的価値に注目されることが多くその意味でも興味深いのだけれど、ひとつのガレージバンドとして魅力を感じる存在でもある。
1965年の結成当初はThe Escortsという名前で、その後すぐにThe Allman Joysと改名された。Duane Allmanはリードギター、Gregg Allmanがオルガンとリードボーカルを担当。1966年にシングル 「Spoonful」(Dial – 45-4046) をリリースしている。Howlin' Wolf や、数ある聴き慣れた「Spoonful」とは印象が違ってファズガレージのようで、初めは同名の別曲のカバーかと思ったけれど、Willie Dixon作の「Spoonful」のカバーだ。B面曲の「You Deserve Each Other」は、このシングルのプロデューサーで、世界的ヒット曲 「Tobacco Road」の作者として知られるソングライターJohn D. Loudermilkによって書かれたもの。
The Allman Joys名義での当時のリリースはシングル1枚のようだけれど、アルバムも録音はされていて、その音源は1971年にバイク事故で亡くなったDuane Allmanの追悼盤として、Early Allman (Featuring Duane And Gregg Allman) のタイトルで1973年になってから初リリースされた。
1989年にAllman Brothers Bandの20周年を記念してリリースされたアンソロジー『Dreams』(Polydor 839-417-1)や、2013年リリースのDuane Allmanのアンソロジー『Skydog: The Duane Allman Retrospective』(Rounder Records 11661-9137-2)にもThe Allman Joysの音源が含まれていて、『Dreams』には「Spoonful」のデモバージョンが収録されている。
1965〜66年の活動期間中、彼らはフロリダ州ペンサコーラのまだ12、13歳といった女の子たちのボーカルトリオ、The Sandpipersと出会い、そのバックバンドとしてツアーを行ったりもしていたようだ。
そして1966年にThe Spotlightsという変名で参加した「Batman And Robin」(Smash Records – S-2020)というシングルがある。これは当時のヒーローブームに乗じたプロジェクトだったようで、もともとは1965年に、人気コミックのキャラクターが題材の「Dick Tracy」 (Liberty-55840)をJJ Cale作品としてSnuff Garrett、Leon Russell がプロデュースし制作したことがきっかけになっている。その後放送予定だったテレビシリーズ「バットマン!」の成功につながるような、アメリカンコミックを題材にしたアルバムを構想したSnuff Garrett、Leon RussellがアイデアをMercury Recordsに売り込んだことでプロジェクトがスタートしたらしい。The Allman Joysはライブの仕事を得るためにThe Spotlightsとして振る舞うのを了承しただけという話もあるようなので、実際演奏にどこまで参加していたのか定かではないのだけれど。
アルバムは当初、Mercury Recordsの姉妹レーベルSmash Recordsと契約したばかりだったThe Spotlightsの作品として、Smash Recordsからリリースする予定で進められていたそうだけれど、12曲録音したものの最終的にThe Spotlights作品としてリリースされたのはシングル2枚だった。残りの8曲はDesign RecordsからThe Super Dupersという名義でリリースされている。
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