(上段左から、『音盤紀行』1巻 2022/『音盤紀行』2巻 2023/下段左から、『音街レコード』A面 2023/『音街レコード』B面 2023/いずれも 毛塚了一郎著 株式会社KADOKAWA刊)
『音盤紀行』――現代の日本、西側音楽への締め付けがきびしかった70年代の東欧、海上から違法に流すラジオ、近未来のアメリカ、70年代のフィリピン、現代アメリカ、戦後の横浜などを舞台に、音楽や1枚のレコードと、それを取り巻く人々の行動や想いが綴られている。その物語ひとつひとつが、とても愛しくて、清々しく、登場する人物の音楽を愛するピュアな心情が、ひしひしと胸に迫る。
作者の毛塚了一郎さんのどんな想いや経験が、この物語を生み出したのだろうか。今月と来月、2カ月にわたって、毛塚さんのインタビューをお届けする。1回目の今回は、毛塚さんが音楽マンガで表現したいこと、を中心に。
話し手:毛塚了一郎さん(漫画家)、担当編集さん 聞き手・構成:大泉洋子
(『音盤紀行』1巻「追想レコード」より。このあと二人は、この「中身の盤のないアルバム」の謎を解くための小さな旅に出る)
★CD世代の作者が思うレコードの魅力
〈「はじめまして」のごあいさつのあと、まずは、私とWebVANDAとの縁をつないだ『音楽ライター下村誠アンソロジー永遠の無垢』のことを簡単に説明させていただいた。話は音楽雑誌の話から始まった――〉
毛塚 音楽雑誌にいきおいがあった時代ですね。ぼくは(30歳代前半)そういう時代を経験していないので……。
―― 下村さんの本の取材のなかで、70~80年代は、新しい音楽をつくっていこうとするミュージシャンを音楽雑誌が追っていく、音楽雑誌とラジオとアーティストが一緒に育っていきましょうという時代だったという話を聞きました。
毛塚 そういう時代への、ある種の憧れみたいなものがあって、経験はしていないんだけれども、伝え聞いたこと、そういう時代があったんだということを、マンガのなかで描いていきたいなという想いがありますね。それは、音楽マンガを描きはじめた当時より強くなっている気がします。
―― 毛塚さんのプロフィールを見ると、1990(平成2)年生まれなんですね。もうレコードは新譜ではほとんどなくて、CD全盛期だったと思うんですけど、レコードを聴くようになったきっかけは?
毛塚 祖父の家にレコードプレイヤーがあったんです。祖父が亡くなったあとも祖父の部屋は残してあって、レコードプレイヤー、オーディオ一式がそのままで、誰も使っていないから、勝手にぼくが使っていました。
―― CD世代の人にとって、レコードの魅力ってどんなことですか。
毛塚 いろいろあるんですけど、1つには、自分の好きなミュージシャンのルーツというか、こういうレコードを好きで聴いていたというのを、音楽雑誌のインタビューや動画で語っているのを知って、昔、そういう音楽があったのかと。それでさかのぼって聴いてみたくなったんですね。それが、大学生の頃で……。
―― 大学生というと、20……。
毛塚 2010年前後ですね。この頃、ぼくはデザインに興味があって、大学もデザイン科に通っていて、昔のデザインっていうものに、時代性とか、おもしろさを感じていたんですね。いいデザインって何なのかっていうことをいつも考えていました。それで、パッケージやポスター、いろいろある中で、自分にとって一番身近なレコードジャケットに興味をひかれて……。時間がたっているからボロくはなっているんだけど、なにかこう、当時の印刷、紙質とか、そういうものもちゃんと受け継がれているっていうところ、古い時代にデザインされたものが、何十年の時を経ながらも残っていることにも惹かれていましたねー。
―― 好きなミュージシャンのルーツとしての音楽、デザインとしてのアルバムジャケット、ということですね。その頃のお気に入りの1枚とかって、ありますか。
毛塚 そうですね~、昔のイラストって全然ちがうじゃないですか。有名なところだと、ビートルズの『リボルバー』とか。ああいうサイケデリックなイラストって、ぼくの目にはすごい鮮明で、かっこいいものに写ったんです。
―― そういえば、この、単行本の見返し部分にある毛塚さんの名前のマーク、『ラバーソウル』へのオマージュがありますよね。
毛塚 これはデザイナーさんがやってくれました。ぼくらはまったく資料も何も渡していなかったのに、デザイナーさんがこれをつくってきたので、編集さんとふたりでニヤニヤしながら(笑)、これいいねって話したんです。
―― そうなんですね! てっきり、毛塚さんの意向だと思っていました。
毛塚 ビートルズが活動していた1960年代、その頃のジャケットが好きなんですよねー。70年代は写真をつかったものも多くて、かっこいいデザインにするっていう、ロック系なんかはそういうのが多いんですけど、60年代はアート系のイラストが多くて、これがいいんです。
―― メインビジュアルだけじゃなくて、タイトルロゴも手描きですもんね。あ、じゃあ、大学生の頃はまだマンガを描いていない……?
毛塚 そうですね、卒業してから……2014、15年頃からですね。大学の頃もちょろちょろ描いてはいたんですけど、まだ、レコードを題材にとか、自分のなかでテーマを決めて描くっていうところまではいってないくらいの、自分が何を描けるかわかっていない頃ですね。
★レコードやCDなどメディアの移り変わりと、それとは別次元にある個人の音楽体験の両面性
―― 『音街レコード』には、そうそう!と思ったり、主人公の女の子が思っていることと今の私が感じているものと似てるなぁと思う、そういう場面が多かったです。『音盤紀行』と『音街レコード』は、別の感性があるような気がするんですけど……。
毛塚 『音街レコード』は同人誌で描いていた作品です。自分一人で描いていた頃で、当時は「音街レコード」というタイトルでもなかったんですが、ぼくの実体験をうまくマンガにしようっていうことぐらいで考えていたかなと思います。読んでいる人に、こういうこと、あるよねって感じてほしい、それだけで描いてました(笑)。だから、音楽マニアの人が『音街』をおもしろがってくれる印象がありますね。『音街』を描いたあとに、『音盤紀行』を描き始めるんですけど、もう少し普遍的というか……音楽が趣味、レコードが趣味ではない人にも伝わるマンガはどういうものだろう、ストーリーをちゃんと描いていかなきゃなっていうことを考え始めていた、ちょうどその頃、連載の話をいただいたんです。『青騎士』創刊のときで。
―― 『青騎士』はいくつかのマンガ編集部の方が、編集部の枠を超えて集まって創刊されたマンガ雑誌でしたよね(*2021年4月20日創刊。隔月20日ごろ発売)。その創刊のときに……? どこかで、毛塚さんの作品をご覧になったんですか。
担当編集 同人誌とか、もっといろいろやっていた頃から、毛塚さんの作品は読んでいて、それで、『青騎士』創刊するので、描きませんか?という話をさせてもらいました。
毛塚 同人誌でずっと描いていたんですけど……レコードや音楽関連のテーマであっても、いろいろな視点であったり、舞台・時代など、描きたいものがちょっとずつ多くなっていったんですね。いっぱい描きたいことがあるっていう話をして、じゃあ、オムニバス形式でやったらいいんじゃない?っていう話になって、それで、やりますって。
担当編集 それが2020年の9月か10月頃でして、毛塚さんのなかに、なにかしらこう、もっと新しい表現をっていうのが生まれてきていたかなというタイミングだったと思いますね。
―― それで、『音盤紀行』の1巻が出たあとに、同人誌時代の作品を『音街レコード』として、まとめて単行本にしたということですね。
毛塚 同人誌だと一番多くて、250冊くらい……。それが、今では何千と読んでもらえるし、『音街レコード』も単行本にしたことで、読者さんが広がった感じはありますね。
(『音街レコード』A面「GET BACK」より。初めてレコ―ド屋さんに来た高校生たち)
毛塚 何年も前に描いたものを(単行本として)読んでもらうのは恥ずかしいっていうのもあったし(笑)、それでどんな感想をもらえるんだろうと思っていたんですけど、けっこう好評で。同じような経験、体験を語ってくれる人が多かったですね。ぼくは東京生まれなんで、同人誌でやっていると、同人即売会に来る人ばかりにしか読んでもらえないんですけど、単行本になって全国の書店に配本されると、すごく遠い地域の人も、似たような経験をしてきたんだっていうことを肌で感じられて、それがすごくおもしろかったですね。東京はまだレコード屋自体も文化として残っているんですけど、地方に行くと、町のレコード屋というのは数を減らしていて、ほとんどないようなところも多いので……。
―― 確かにそうですね。レコードも本も、ネットじゃないと買えないっていう地域もありますよね。
毛塚 でも、そういう地域でも、過去には、レコード店があって、そこでお小遣いためて買いにいったとか、洋楽のレコードをよく買っていたとか、いろんな街の、いろんなレコード体験があるんだなっていうことを、『音街レコード』の感想が届いたことで、実感として知ることができたんですね。それで、ストーリーとしても、いろいろな場所や国での音楽っていう体験のしかたというのを描いてみたいなっていうのがありました。
―― そういう気づきやひらめきが、『音街』と『音盤』の間にあるわけですね。
毛塚 音楽を聴かないで育つって、普通、考えにくいから、誰もが、どこかで音楽体験はしていたわけですよね。レコードに触れるっていうのは現代では少ないかもしれないんですけど。そう考えたときに、音楽っていう広いところから始まって、レコードやCD、ラジオ……メディアの話ですね。音楽の記録媒体として、時代がそうしたものをどう扱ってきたか、ということに興味ありますね。たとえば、80年代に入るとCDが出てきて、メディアが移り変わる、古いメディアは淘汰されていく。でも社会の移り変わりと、それとはまた別次元の、個人の体験という側面もあるので、それをどう描くかというところはおもしろいかな、って考えてますね。マンガで描くときには、個人の体験、個人の話で音楽を語りたい、キャラクターがいて、ストーリーがあってっていうのが好きなので、そこは崩さないで、描きたいなって思います。
★マンガでしか表現できない、「想像の音」
―― そういうことでいうと、私はレコードの時代が長かったので、CDが出てきたときに、絶対にあんなもの聴くもんか!(笑)って思ってたんです。
毛塚 (笑)
―― レコード針を下ろす、あの力の加減だったり、下りたときの、プッていう音だったり、レコードジャケットも、レコードの音も、そういうのが好きだったので、CDなんてと思っていたんですけど、あるとき、渋谷の東急東横店に入っていたレコード屋さんに行ったら、全部、CDになっていて……町のレコード屋さんじゃなくて、チェーン店の、しかも東急東横店という、わりと庶民的なデパートのレコード屋さんが、全部CDになってしまって、「あぁ、もう、レコードの時代は終わったんだ……」と思って観念して、CDプレイヤーを買ったんです。
毛塚 明確にあるわけですね、メディアが変わった瞬間の……。
―― そうなんです。だから、『音盤紀行』も『音街レコード』も、本当に懐かしく読むんですけど、でも、毛塚さんのマンガが懐古趣味ではないのが、すごいなと思ったんです。主要な登場人物が、若い女の子だったりするのもあるとは思うんですけど、周辺には、おじさん世代の人も、マニアックな人もいるのに、そこはいいな、と。
毛塚 ぼくはけっこう懐古趣味ですけど、自分がそうだからこそ、広い読者に受け入れてもらうために、むしろ逆に、懐古に訴えるのはやめようっていうような話を(担当編集さんと)しました。
―― 実在の曲やバンドは、ほぼ出てこないですよね。
担当編集 そうですね。どこかで出てくるのかなとほのめかすのと、本当にその知識がないとわからないっていうのは、全然違う……。わからないってなった瞬間に、読み進められなくなりますよね。心が離れてしまうというか。
毛塚 そこは気をつけようと思ってますね。基本的には、音は想像してほしいというのはあって、音のないマンガだからこそできることかな、と。想像の音でストーリーを読んでくれる。映画やアニメーションだと、音がついているので、そうなると、その音がイメージとして定まってしまうんですね。そこを、どう曖昧にできるかっていうところが、マンガ表現のいいところかなって思いますね。
(『音盤紀行』2巻「ロードサイド・ピッカーズ」より)
―― 想像の音! 確かに自分の感性で読んでいますね。自分のなかで知っている音楽、ミュージシャンとか。こんな感じの音楽なのかなぁ、ここに出てくる世界的なバンドって、実は、あのバンドがモデルじゃないのかな、とかね。私が思い浮かべるのと、もっと若い、30代くらいの男性だったり、20代の女の子だったりすると、ぜんぜん違うはずですね。あ、だから、そういうことか……。なんというか、毛塚さんの表現は、そのあたりのバランスがいいんでしょうね。あと、いいなと思うのが、登場人物がみんな、音楽が大好きだっていうことが、すごく伝わってくるところ。とてもピュアですよね。「好きな音楽を聴きたいだけ」という真剣な思いや、気になる音楽をとことん調べて行動してみたり……。
担当編集 毛塚さん本人の感じが出てる、ってことですかね(笑)。
毛塚 音楽に対しては、行動力が……ひとつギアがあがるっていうか(笑)。
―― そうなんですねー!(笑)
(『音盤紀行』2巻「探訪デイ・トリッパー」より。レコードのことになると行動的になる暦実さん。モデルはもしや……w)
担当編集 そういう音楽の……あれですよね。いい部分でもあり、めんどくさい部分でもありっていう(笑)。
毛塚 ぼくはその2つを、どっちも描きたいんです。めんどくさい部分もあるんだよな、こいつはっていう。そういうのを、読者の人が、自分もそういうとこあるよね、っていうのを楽しんでくれれば、冥利に尽きますね。自分が男だから、そういうのを男にやらせると、めんどくせーなって思っちゃうけど(笑)。主人公に女の子が多いのは、そういう、1枚のレコードのことで、とことん、どこまでも調べに行く、みたいなことを、女の子ががんばっているのはかわいくていいな、っていうことですね。めんどくさい音楽ファンのおじさんたちが元気にやってる姿は、個人的にはいいなって思うんですけど(笑)。
―― 主人公の女の子のまわりには、ちょっと年上の店長さんだったり、ちょっとアヤシイ(笑)こだわりの強い人、近くの音楽好きの人だったり、マニアな音楽ファンのおじさんが、うまく絡んできますよね。それがなかなかいい味を出してる。
(『音盤紀行』1巻「密盤屋の夜」より。表向きは普通のレコード店の店長が、実は……。ふたりの関係性も優しくて、いい感じだし、やっとの思いで手に入れたレコードを聴くラナの表情も、とてもいい)
毛塚 店長とかはそうですね……ぼくが、そういう人と出会う場所がレコード屋なんで、店の人だったり、店に来るお客さんだったり、まぁ、いろんな人がいます。そういう音楽が大好きな人がたくさんいて、いまの音楽文化ができているんだなって思いますね。そういう音楽ファンの人はなかなか表には出てこなくて、店でしか目撃しないんですけど……。
★音楽はガラパゴス的変化をする!?
―― 『音盤紀行』の話はどれも好きなんですけど、中でも特に気に入っているのは、70年代フィリピンの話(「The Staggs Invasion」)なんです。
毛塚 実は、フィリピンには行ったことはないんですけど、でも、アジアのなかではアメリカの影響が濃い国だから、洋楽もだいぶ入り込んでいるんじゃないかな、そういうところに海外のバンドが足を踏み入れたら、どんなことが起こるんだろうっていうのはあって、実際に行ったことはないんですけど、想像で描き始めたんです。同じ音楽を他の国の人が聴くことによる反応……イギリスやアメリカの音楽が他の国でも聴かれていって、日本もそうだったと思うんですけど、それに対していろんなものが生まれてくるじゃないですか。日本だとグループサウンズとかもそうですし。海外の音楽をそのまま直接影響受けているというのではなくて、その国独自の、進化の仕方をするっていうのが、動物の進化みたいな感じで……。
―― あぁ、大陸が分かれてその先で、みたいな。
毛塚 そう、ガラパゴス的な進化をするんじゃないか、音楽っておもしろいなぁって。
―― アメリカのブルースやフォークソングが、日本のブルースやフォークになりっていうことですよね。そのまま入ってくるんじゃなくて、日本の精神性とか、文化とか。
毛塚 国によって政治の事情や社会背景みたいなものがまったく違うから、アメリカのフォークは人種や制度に対するものが多いですけど、日本のフォークになったら、やっぱり違ってくるわけで。日本人が日本の生活を歌った、その曲が、その時代を表す、ひとつの記録として残っているみたいなことがおもしろいですよね。
―― そうですねー。時代を表しますよね。でも固定されるわけでもなくて、いろいろな国で、いろいろな時代で、自在な感じ。フィリピンの話では、主人公の女の子のプライドもすごく好きです。フィリピンにツアーでまわってきたのは、世界的に有名なグループっていう設定ですよね。
毛塚 はい、そうですね。ミュージシャンに対する黄色い声援っていうか、アイドル性みたいなものは昔からあると思うんですけど、そういうのではない、芯を持った女の子っていいなと思っていて。ギターとか、楽器をやる人は、自分は負けないぞっていうプライドを持って、やっている人がかっこいいなというのがあるので。
―― なんか、最初は「負けないぞ」と思っているこの主人公が、演奏していくにつれて、だんだん変わってくる様子が、すごくいいなと思って。ミュージシャンたちも、はじめは、おもちゃみたいなギターだなとか、チープな音だとか言っているのに、一緒に演奏していくうちに、チカラのある音だなっていう感じ方になっていく……。最初はたぶんバラバラだった音が、重なってくる感じが伝わってくるというか、音が聞こえてくるようでした。
毛塚 音楽の演奏シーンを描くのはとても難しいところで……。音楽のマンガっていっぱいあって、描写もすごくうまい。ぼくは、友だちと遊びでバンドをやったことがある程度で、音楽は聴く専門だったから、ぼくに描けるかなっていう気持ちもあったんですけど、でもここで、一回やってみようと思って、それで描いてみたんです。だから、評価してくださるのは嬉しいんですけど……なかなか難しいっす。これからもずっと勉強だな、っていうところですね。
(『音盤紀行』1巻「The Staggs Invasion」より)
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そう言われれば、他の作品では、音楽にまつわるストーリーは「レコードで聴く」ことで展開していく作品が多い。フィリピンが舞台の作品「The Staggs Invasion」では、ひとつひとつの楽器の音が重なって、音楽ができていく過程がとてもよくて、たぶんとてもかっこいい音楽が奏でられているんだろうなというのが、誌面から伝わってきて、とてもよかった。
そして、「あぁ、いいな、この話はどうやって終わるんだろう~」と思いながら読んでいたら、このときの演奏は、少女から“仙人”と呼ばれる、音楽の師匠的存在の男性によってこっそり録音されていて、海賊版レコードとなって、第1話「追想レコード」の舞台である、現代日本のミヤマレコードの棚におさまっていた。「おぉ~、そうきたか!
やられたなぁ~」と、なんとも心地のよい、期待の裏切られ感だった。
このレコードは、フィリピンの少女の手を離れたあと、誰の手に渡って、どんなふうに時空を旅して、聴き継がれてきたんだろう。想像すると、楽しい。
さて、毛塚了一朗インタビュー2回目の来月では、そんな「継がれていく音楽」についてお話を伺います。また、これまでにWebVANDAでもご紹介しているIKKUBARUさんのアルバムジャケット画ジャケット画等のお話も! 来月もぜひお楽しみに。
☆毛塚了一郎(けづか・りょういちろう)さん 自画像とプロフィール
大泉洋子プロフィール
フリーのライター・編集者。OLを経て1991年からフリーランス。下北沢や世田谷区のタウン誌、雑誌『アニメージュ』のライター、『特命リサーチ200X』『知ってるつもり?!』などテレビ番組のリサーチャーとして活動後、いったん休業し、2014年からライター・編集。ライター業では『よくわかる多肉植物』『美しすぎるネコ科図鑑』『樹木図鑑』など図鑑系を中心に執筆。編集した主な書籍に『「昭和」のかたりべ 日本再建に励んだ「ものづくり」産業史』『今日、不可能でも 明日可能になる。』など。編著書に『音楽ライター下村誠アンソロジー永遠の無垢』がある。