2本のリードギターの旋律がきれいにハモる
ギターハーモニー、
最近、あまり聴かないよね?
*上段左から:『J.BOY』浜田省吾, SMR, 1986
/『RAINBOW CHASER』伊藤銀次, BELLWOOD RECORD, 2019
/『ANOTHER NIGHT』Wilson Brothers, Atlantic Records, 1979/『Airplay』Airplay, SME, 1980
/『Hotel California』Eagles, ASYLUM RECORDS, 1976
/『Don’t Look Back』〈EP〉BOSTON, EPICソニー, 1978
/『Destroyer』KISS, Casablanca Records, 1976
/『The Boys Are Back In Town』〈EP〉Thin Lizzy, Vertigo Records, 1976
/『Don’t Tell Me You Love Me』〈EP〉Night Ranger, CBSソニー, 1982
/『愛を止めないで』〈EP〉オフコース, 東芝EMI, 1979
/『THE SNOW GOOSE』CAMEL, GAMA RECORDS, 1975
/『6 kinds 6 sizes』PARACHUTE, Agharta, 1980
ツインギターがきれいにハモる演奏を、最近の楽曲ではあまり聴かなくなってしまった気がすると、数年前から思っていた。気のせい?ではなくて、おそらく、ギターがふたりいるバンドが少なくなったこと(ギター、キーボード、ベース、ドラムという編成が増えた?)、あとは流行や軽音楽の全体の流れもあるのかな。
私はバンド経験があるものの、担当がボーカルやフルートだったので、ギターには詳しくないが、バンドが奏でる音として、やっぱり、ギターは好きだし、このギターハーモニーも大好きで、WebVANDAでいつか書いてみようかと考えていた。
今月の寄稿で書こう!と思ったきっかけは、今年1月6日の浜田省吾のコンサート「SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2023」(さいたまスーパーアリーナ)で聴いた、この曲。
■浜田省吾「J.BOY」(1986年)
町支寛二による小気味よいギターリフがイントロの「愛の世代の前に」で始まったライブは、サブタイトルの「Welcome back to The Rock Show youth in the “JUKUBOX”」の通り、ビートのきいたロックから、胸にしみるロッカバラードまで、懐かしい曲が続いた。そしてコンサート終盤に演奏され、おぉ、そういえば、これもツインギターによるハモりがかっこいい曲だ~と思った「J.BOY」。
浜田省吾のライブに行ったのは、実は初めてだった。もちろん、ヒット曲やドラマで使われた曲など、昔から知っている曲、好きな曲もあったけれど。
きっかけは、このWebVANDAとのご縁でもある書籍、『音楽ライター下村誠アンソロジー永遠の無垢』の制作。本に昔の音楽雑誌の記事を転載するにあたり、各ミュージシャンやグループの事務所等にご相談の連絡をしたのだが、その際、あらためて、ミュージシャンの音楽を聴き直していた。
転載した記事の多くは80年代。当時、聴いていた感覚と、いまの年齢で聴く感覚とでは、違うものもあったのか、浜田省吾の音楽がすーっと感情に入り込んできて、あぁ、こんなすごい歌い手だったのかと再認識。ちょうど、下村誠の本をつくっている最中の昨年夏に公開された映画「A PLACE IN THE SUN at 渚園 Summer of 1988」も観に行き、誠実で、説得力のある歌声に圧倒されて、すっかりファンになってしまったという、浜省ファン初心者である。
実際にライブを観ていたら、浜田省吾の歌声はもちろんのこと、各プレイヤーの音がダイレクトに感じられて、すべてが本当にかっこよかった。さいたまスーパーアリーナでの出演ミュージシャンは、町支寛二(Gt./Vo.)、長田進(Gt.)、美久月千晴(Ba.)、小田原豊(Dr.)、古村敏比古(Sax.)、福田裕彦(Org./Syn.)、河内肇(Pf.)など。
「J.BOY」の話からだいぶそれてしまった。でも、この曲に説明は不要ですね。ということで、次の曲にいきます。
■伊藤銀次「誰もがきっと~想い出に守られて」(2019年)
今回のテーマである【2本のリードギターの旋律がきれいにハモるギターハーモニー、最近、あまり聴かないよね?】を考えるようになったのは、2019年12月に発表された伊藤銀次のアルバム『RAINBOW CHASER』の1曲目、「誰もがきっと~想い出に守られて」がきっかけだった。CDを買って、最初に聴いたとき、わぁ~! ツインギターのハモりだ、こういうの、いいなぁ~、なんか懐かしい~と笑顔になったのを覚えている。
(*「誰もがきっと~想い出に守られて」は2曲目。
4分28秒頃から始まります)
映像はTOKYO MXの番組でのスタジオライブ。
出演メンバーは、銀次さん12月24日の誕生日の頃に、吉祥寺のスターパインズカフェで毎年開催されているライブ「伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING」での出演者とまったく同じメンバー。上原“ユカリ”裕(Dr.)、六川正彦(Ba.)、細井豊(Key.)、田中拡邦(Gt.)。
(*アルバム『RAINBOW CHASER』では、キーボードだけが西本明による演奏で、他はライブメンバーと同じ)
この映像を見つけたとき、「WINTER WONDER MEETING 2019」で聴いた、伊藤銀次・田中拡邦、ふたりのツインギターによる、ハモりの演奏が観られるか!と、ウキウキしたのだが……銀次さん、リードギター弾いてない……。
CDでは、イントロや間奏のスライドギターの部分は、ふたりの演奏がきれいにハモる、ツインギターとなっていて、この年のライブでも、ふたりで弾いていて、それがとてもよかったんですよ~。
ツインリードのハモりも、全体のサウンドもさわやかで、70年代後半~80年代前半のアメリカ西海岸サウンドっぽい雰囲気もあり、とてもいい感じなので、ぜひ公式チャンネルのほうで聴いてみてくださいね。「伊藤銀次 誰もがきっと」で出てきます!
ちなみに、「伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING」でギターを弾いている田中拡邦は、このあと2020年、2021年も出演して、銀次さんとツインギターで、いい音を聴かせてくれていたのだが、2022年は自身のバンド「ママレイドラグ」のレコーディングのために出演されず、2023年はアルバム『OVERTURE』が完成し、発売された時期(12月20日リリース)と重なり、やはりお休みだった。
銀次さんがギターひとりで、少しさみしそうだし、田中サンのギター、私も好きなので、今年の「伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING」には出てほしいなぁ。
それはともかく。
銀次さんの「誰もがきっと~想い出に守られて」をライブで聴いて、鮮やかによみがえってきた曲がある。大学1年生のときに聴いて、「ギターのハモりって、なんてかっこいいんだろう」と思うようになった、最初の曲。
■Wilson Brothers 「Take Me To Your Heaven」(1979年)
中学の頃、同級生の男の子たちのなかには、ギターを買ってもらって、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」なんかを練習している人がいた。うちは、家が厳しかったので、ロック=不良の音楽、みたいな感じで、ギターを買ってもらうなんて、夢のまた夢。
でも、もともと歌うことが好きだったから、レコードやラジオを聴いては、自分の部屋でよく歌っていた。どうして、ギターはダメで、歌うのはいいんだろうね。母の感覚はいまも理解できない(笑)。
高校では陸上部に入ってしまって、1~2年は陸上漬けの日々。3年になり部活を引退し、寄り道できる放課後を手に入れた私は、下北沢にかつてあった喫茶店「NOISE」に寄って、お店でかかる音楽を聴いたり、バンドをやっている同級生の男の子たちの話を聞くにつけ、「大学に行ったら、バンドやりたいなぁ」という思いが強くなっていく。
そして、1981年、大学に入学してすぐに入部した軽音楽部で、たまたま最初に練習風景を見学した先輩バンドが演奏していたのが、この曲、「Take Me To Your Heaven」だった。
あまりのかっこよさ、フレーズの美しさに、目から……ならぬ、耳からウロコ状態。ウィルソン・ブラザーズの演奏を観たことはないが、この、目の前で演奏を聴いた、観た、という経験は大きかった。先輩バンドが練習するのを何度も観たし、春の定期演奏会では、先輩たちの演奏を、それこそファンの気持ちで聴いていたと思う。
ウィルソン・ブラザーズは、スティーヴ・ウィルソン(兄/Vo./Gt.)とケリー・ウィルソン(弟/Vo./Gt./Key.)による兄弟ユニット。ふたりの歌声と、兄弟ならではの声質やテンションがぴったり合ったハーモニーもいいんだなぁ。
そして、この印象的なギターを弾いているのは、スティーヴ・ルカサー。スタジオミュージシャンとして活躍していたスティーヴは、1977年にTOTOを結成、翌78年にデビューしたばかり。生まれ年から計算すると、この頃、22歳。のびやかなギターの音がみずみずしくて、すごくいい。
さて、そんなわけで、2本のリードギターによるハーモニーがかっこよくて印象的な曲を、時代をさかのぼって探してみることにした。自分が持っているレコードやCDを中心に聴いていき、そこから記憶をたどって思い出して、時にYouTubeで確認するなどして、計11曲+1曲をセレクト。
■Airplay 「It Will Be Alright」(1980年)
真っ先に、「絶対にツインギターのハモりがあったはず!」と確信を持って聴いたのが、エアプレイのアルバム『ロマンティック』(原題は『Airplay』)。
ところが、1曲目の「Stranded」から、あれ? ツインギターのハモりじゃなくて、これ、コードで弾いてる……とか、キーボードの和音のアレンジが超絶かっこよかったり、あるいは、繊細かつ大胆なコーラスワークの多用とか、とにかく、音の巧みな重なり、ハーモニーがアルバムの楽曲全体に施されていたのだった。曲をつくり、アレンジしているのは、デイヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンだものね……。それが、「ツインギターのハモりがあったはず」の印象につながったというわけだ。しくしく。
が、しつこく何度も聴いて、「これは、リードギター2つの音のハモりのフレーズだよね」と思えた曲が2曲あったので、そのうちの1曲「It Will Be Alright」ご紹介する。
この曲のほかにも、ギターの音の重なりと流れるようなフレーズが印象的な曲がいくつもあって、「2本のギターによるハモりっぽいけど、違うかも、1本のギターの音かも……」という感じで悩ましかった。なにしろ、レコーディングのギタリストにはジェイ・グレイドンのほかに、スティーヴ・ルカサーがいる。不可能なフレーズ、弾き方なんて、このふたりにはなさそうだもの。
*リリース以降40年以上にわたって語り継がれる伝説のバンド、名盤だが、一応、簡単に参加メンバーの紹介を。
エアプレイは、デイヴィッド・フォスター(Key./Background Vocals)、ジェイ・グレイドン(Gt./Vo./B.Vo.)、トミー・ファンダーバーク(Vo./B.Vo.)。レコーディングには、TOTOから、ジェフ・ポーカロ(Dr.)、デイヴィッド・ハンゲイト(Ba.)、スティーヴ・ルカサー(Gt.)、スティーヴ・ポーカロ(key.)。また、このアルバム制作に参加したあとシカゴに加入するビル・チャンプリン(Vo.)もいる。
さて、1つの曲にこれだけ長く書いていると、10曲紹介するのに、ものすごく長くなってしまうので、サクサクといきます!
■Eagles 「Hotel California」(1976年)
アルバムの解説に、タイトル曲の「ホテル・カリフォルニア」について「おそらくロック史に残る名曲として、長く人々に記憶されるだろう」と書かれている。ベタすぎる感じがして、選曲を避けたくなる気持ちもあったが(あまのじゃく……w)、イントロの12弦ギターの音色、ドン・フェルダーとジョー・ウォルシュ、ふたりによるギターソロ、ギター2本の音が重なるときのせつない音色の感じなど、今回の企画ではやはりはずせない1曲。
■BOSTON 「Don’t Look Back」(1978年)
レコード棚の奥に、フォリナーのシングル「つめたいお前(原題:Cold As Ice)」(1977)を見つけて、「シングル盤を買うほど好きだったっけ?」と首をかしげつつも、シングルジャケットの写真を見たら、ギタリストがふたり。これは……!と思い、聴いてみたが、ツインハモりギターではなかった。残念。でもフォリナーのシングルをきっかけに、記憶の扉が開いていく。まず思い出したのがBOSTON。
「BOSTON! More Than Feeling!(1976年) ぜったいギターがハモってる!」と、これはレコードを持っていないので、YouTubeで聴いてみた。ハモってる、ハモってる♬
……が、私はこっちの曲のほうが好きだったなぁ~ということで、「Don’t Look Back」を。
Bメロのバックでギターが弾くフレーズが印象的。ここの部分のメロディラインが妙に胸に残るんだなぁ。そういうフレーズって、ないですか? うちにレコードはないし、この曲のこともすっかり忘れていたので、何十年ぶりかで聴いたけれど、「そうだよ、私、この曲の、このギターのフレーズが好きだった……!」と。
途中まではユニゾンで弾いているが、エンディング部分になると、2本のギターでハモるように弾く。芯のある太い音なんだけど、どこか優しい音色で、大好きでした~。
■KISS 「Detroit Rock City」(1976年)
そして、KISS。KISSの曲では、「ハード・ラック・ウーマン」(1976年)が一番好きだったかな。まだミュージックビデオは一般的ではなく、あの独特なメイクは『ミュージックライフ』などの音楽雑誌で知ったような気がする。人気ありましたね。この頃、私は中学生だけど、学校の洋楽好きのなかで、クイーン派、キッス派、エアロスミス派とか、分かれていたと思う。
KISS・ツインギターといえば、この曲、「Detroit Rock City」。
武道館のライブ映像なんかもあるのですが、スタジオ録音のほうが、ツインギターのハモリの音がきれいなので、こちら(アルバム版)を。
■Thin Lizzy 「The Boys Are Back In Town」(1976年)
YouTubeの助けも借りながら(笑)、思い出していく。シン・リジィのこの曲に行きついたときは、思わず小さなガッツポーズ。
というのも、ギターのハモりがかっこいい曲を探して、レコードやCD、YouTubeで探してみるも、ソロはひとりで弾いていたり、ユニゾンだったり、シンセサイザーだったり、「あぁ、また違った……。(WebVANDAの管理人の)ウチさんに『10曲セレクトしますよ!』なんて言ってしまったのに、10曲、無理かも……」と、少し気落ちしていたからだ。
シン・リジィは、1969年、フィル・ライノット(Ba./Vo.)を中心に結成されたアイルランド出身のバンドで、1974年からは、ギターにゲイリー・ムーアが加わった。
この「The Boys Are Back In Town」が発表された1976年当時、ゲイリー・ムーアはいったんバンドを離れていたが、1977年、負傷したギタリスト、ブライアン・ロバートソンの代役としてツアーに参加。翌78年には正式に復帰(その後、再び、離脱…)。
YouTubeでこの曲の映像をいくつか見たなかで、ゲイリー・ムーアが加わって演奏している、このステージのギターソロ、ギターハーモニーが一番かっこよかったので、この映像をセレクト。
■Night Ranger 「Don’t Tell Me You Love Me」(1982年)
80年代に入ると、映像の時代になってくる。
「ベストヒットUSA」(テレビ朝日系)が始まったのが1981年4月4日。アメリカで、MTVが開局し、24時間ポピュラー音楽のビデオクリップを流し続ける音楽専用番組の放送が始まったのが、
1981年8月1日。
「ベストヒットUSA」で、ナイトレンジャーの「Rock Me America」(1983年)を観た記憶がある。いま見ると、ミュージックビデオの構成がまだまだシンプルで、ちょっとほほえましい。ナイトレンジャーはツインギターのバンドだが、この曲でのギターのハモりはなかったので、懐かしい~と思いながらも、ツインギターによるギターハーモニーのある曲を探した。
それが、「Don’t Tell Me You Love Me」。
やぁ、かっこいい! かっこいいよ。
そして、ここまでにあげたバンドに共通していえることなのだが、コーラスワークが多彩で、ていねいで、心地よい。男性による高音域のコーラスのラインはハーモニーに華やかさを添えるし、多くのバンドで、メンバーのほとんどがコーラスに参加していて、みんなで音楽をつくるんだ!とでもいうような精神性がものすごく伝わってきて、本当に楽しかった。
ナイトレンジャーの記事の最初に、映像の時代に入った、と書いた。
「ベストヒットUSA」以前、中学の頃はAMラジオと『ミュージックライフ』が主な情報源。聴く番組はだいたい決まっていたが、たまにラッキーな特別番組に出くわすこともあって、あわてて、カセットテープレコーダーをラジオの前に置いて、家族に「録音してるから、静かにしてね!」と頼んで、録音したものだった。
あ、ラジオ関東の「全米トップ40」も忘れてはいけない!
高校になると、FM雑誌も創刊されてきて、情報源がFMラジオにも広がっていく。この頃には、ラジオとカセット、レコードプレイヤーが一体になったものを買ってもらっており、『FMレコパル』を買って、チェックしては、あれこれと録音していた。
そんな想い出の中から、オフコースを。
■オフコース「愛を止めないで」(1979年)
ある日、聴いていたAMのラジオ番組で、「今日はオフコースの皆さんをお招きして、スタジオミニライブをお届けします」といったアナウンスがあった。あれは、「5人になる」というタイミングだったか、「5人から1人減る」というタイミングだったか。どっちだったか忘れてしまったのだが、いずれにしても、あわてて録音したのだった。
カセットテープはもうほとんどを処分してしまったものの、何本かは捨てずに取ってあり、このオフコースのテープも捨てていないはずと思ったが……今回、探してみても、見つからなかった。残念。
だから正確にはわからないが、「5人」がキーワードだったことは間違いがなく、ギターがふたりいた時代。おそらく、1979年か1980年のことだったはずだ。
「愛を止めないで」には、2番のサビが終わったあとにギターソロがある。きれいにハモる、やさしいツインギターの音が心地よい。
■CAMEL 『THE SNOW GOOSE』より「Rhayader Goes To Town」(1975年)
この『THE SNOW GOOSE』という作品は、CAMELのメンバーが、アメリカの小説家、ポール・ギャリコによる小説『スノーグース(白鴈)』にインスパイアされてつくったというアルバム。物語の構成と同じ流れで、楽曲もすすんでいく。
ここに貼ったのは、主人公の画家ラヤダーのことを説明している場面を表現した「Rhayader」と、そこから続くストーリー、ラヤダーが2週間に1度、食料や日用品などの買い出しのために町にでかける場面を音楽にした「Rhayader Goes To Town」。
CAMELのギタリストはひとりなので、オーバーダビングだと思うが(ライブ映像では単音のソロだった)、とてもきれいな旋律。プログレの曲にはなじみがない方がいるかもしれないが、ぜひ聴いてみてください。
「Rhayader」(フルートが美しい小曲)
「Rhayader Goes To Town」(2本のギターの音によるハモりあり)
実は、自分の大学とは別に、某大学のロック研に在籍していたことがある。ブリティッシュ・ロック研究会。そこに、CAMELのコピーバンドがあって、そこでフルートを吹いていた。そういう意味でも、懐かしい曲。
■番外編:PARACHUTE 「HERCULES」(1980年)
この曲のギターはハモってない。松原正樹、今剛というふたりのギターの音が同じメロディラインを弾くときには、ユニゾンかオクターブだ。
歌でもそうなのだが、ユニゾンって、すごく難しい。でも、彼らの演奏は、ライブであっても、本当に微妙で繊細な間合いまで、ぴったり。ギターだけじゃなくて、すべての演奏者の――。それがここまでのレベルでビシっと決まるところ、1つの曲をつくりあげるメンバーのこころも1つになっている感じも伝わってきて(一流のミュージシャンに向かって、私が言うようなことじゃないけど……)、それが痛快で、気持ちいい。
そんなこともあって、本来なら今回の企画には入ってこない曲なのだが、これだけは入れたいと思った次第。
あともう1つ理由がある。
この曲を知ったのは、パラシュートのレコードで聴いたのではなく、大学の音楽サークルの同級生のバンドの演奏で初めて聴いたこと。サークルのたまり場で、ギターの人が練習していたかもしれない。
今回、3曲目に紹介したウィルソン・ブラザーズの「Take Me To The Heaven」が、レコードやラジオではなく、先輩バンドの演奏で知ったのと似ているパターン。
大学に入って最初は軽音楽部に入ったが、半年ほどでやめて、他の音楽サークルに移った。カバー曲もやるが、オリジナル曲をつくるのがメインのサークルだった。
パラシュートのカセットテープを持っていた記憶があるので、この曲が入ったアルバムを誰かから借りて、録音したのかなぁ。そのあたり、記憶があやふやだけど。
緻密なのに、自由。自由でダイナミック。この曲を実際に聴いたら、リズムがパシっと決まるところなんて、快感だったろうなぁ。松原正樹さんが亡くなってしまったので、もう、聴くことは叶わないけど、一度でいいからライブで聴いてみたかったな――。
さて、【2本のリードギターの旋律がきれいにハモるギターハーモニー、最近、あまり聴かないよね?】の企画、いかがでしたか。他にもこんな曲があるぞー!ということがあれば、ぜひ、教えてください。何曲か集まれば、第2弾もできますね。
さぁ、次はなにを書こう。2か月後にまたお会いしましょう。
フリーのライター・編集者。OLを経て1991年からフリーランス。
下北沢や世田谷区のタウン誌、雑誌『アニメージュ』のライター、『特命リサーチ200X』『知ってるつもり?!』などテレビ番組のリサーチャーとして活動後、いったん休業し、2014年からライター・編集。ライター業では『よくわかる多肉植物』『美しすぎるネコ科図鑑』など図鑑系を中心に執筆。
主な編集書には『「昭和」のかたりべ 日本再建に励んだ「ものづくり」産業史』『今日、不可能でも 明日可能になる。』、編著書に『音楽ライター下村誠アンソロジー永遠の無垢』(2023)がある。
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