2023年2月10日金曜日

2023年びわ湖のひな人形めぐり(滋賀県近江八幡市)

 2023年も「成人式」「節分」と恒例の行事がそつなく終了し、今後のイヴェントと言えば「バレンタインデー」そして「桃の節句~ひな祭り」ということになります。ただ今の日本では、この二つを比較した場合大きなビジネスに繋がる可能性の高い「バレンタインデー」にスポットが当たりがちです。ただこのバレンタインも“商戦”と名付けられ、「誰に贈るか」が問われるという本来の持つ意味とは違う方向になっているように感じます。それに対し「ひな祭り」は今も変わらず、情緒ある催しをとどめているといえます。


 戦国時代には日本の中心に位置していたここ滋賀県では、1~3月に県内の各地で「びわ湖のひな人形めぐり」という催しが数多く開催されており、それは私の住む「近江八幡」も例外ではありません。ただ現在の「近江八幡」は松田聖子さんよるクラブ・ハリエの「バームクーヘン」大広報活動によって、その本家「ラコリーナ」にスポットが当たり、滋賀県随一の観光地になっています。ただ残念ながら伝統文化「ひな祭り」の催しは「ラコリーナ」めあてに近江八幡を訪れている観光客の皆さんには、知られていないというのが実情です。


 少々余談にはなりますが、この日本という国は「自国の伝統文化に交じって世界中のありとあらゆるイヴェントを心底楽しむことのできる稀有な国」といわれています。なぜそのような現象が混在するのかと言えば、国として絶対的な宗教文化が根付いていないことに由来するようです。   海外の多くの国では“キリスト教" “イスラム教” “仏教” “儒教”など、その国ならではの宗教を信心することがおおく、ひいてはそれが国民性ということになるようです。それゆえこれまで世界中で勃発した「戦争」の多くが宗教間における思想の違いが発端となったという歴史がくりかえされてきました。日本においては江戸時代までは、特定の宗教への弾圧はあったものの、一つの宗教が国民全体を牛耳るようなことはなかったように感じます。その後明治維新以降は天皇を“現人神”として祭り上げるようになり、それと同時に西洋の文化を積極的に取入れた結果、何でも寛容に受入れることのできる国民になったようです。

 なぜこんな話をさせていただいたのかと言えば、日本国内の催しは“伝統”よりも“ビジネス”が優先順位が上位にあるため、宗教を問わず多種多様なイヴェントを成立させているように感じます。「コロナ」以前に世界中から日本を訪れた多くの観光客は、日本の伝統に興味を持ちそれに触れたいがために来日されていたと伺ったことがあります。その「悪夢のコロナ」の脅威が薄まってきた現在、再び日本の文化を求めて来日する観光客が増加していくと予想されます。そんな日本の文化を日本人にじっくり堪能していただきたいと思う次第からです。

 
 少々前置きが長くなりましたが、今回この「びわ湖のひな人形めぐり」の近江八幡市の「旧伴家住宅」会場に我が家のひな人形を貸し出すことになりました。手前みそにはなりますが、その経緯と展示の状況を披露させていただこうと思います。


 まず、その今回展示する我が家のひな人形について紹介します。このひな人形は一般にある「七段飾り」のものではなく、三段の台座に御雛と雌雛の二体ものです。人形一体のサイズは「全長50㎝、全幅60㎝」という、例えるなら幼児一人ほどの大きさになります。そして、その雛人形を乗せる三段の台座は「全長45㎝、全幅90㎝」、さらに袖に控えるぼんぼりは高さが65㎝というものです。


 この雛人形は、我が家の長女の誕生祝に妻の実家からいただいたものですが、届いた当初はその大きさゆえに息をしている人間のようで恐怖感を覚えることもあったほどです。ちなみに子供と七段飾りを飾ることを楽しみにしていた妻は「うちの親はお人よしだから騙されて買わされた!」と怒り心頭で、数年間は触れるのも嫌といった様子で、「出す飾る片づけ」の全ては私の役割でした。ただ当時は転勤族で各地を転々としており、その社宅で飾り付けをしており、そこでの知人がその存在感に驚きと感激する姿を目にして妻の「険悪感」は遠のいていったような気がします。

 とはいえこの近江八幡に転勤した際には、社宅が狭くこの雛人形を飾るスペースが無く、どのようにしようか悩んでいました。そんな話を勤務地の責任者に話したところ、「一度見たい」と要請され、現物を見た上司は驚きのあまり、「飾る場所がないなら、ここは全国から研修者が来場する施設なんだから、是非披露するべき。」と勧められ、勤務先に展示しました。そこでは「先祖代々から受け継いだ家宝?」と質問を受けるほど大評判でした。

 その後マイホームが完成し再び自宅でも飾れるようになります。その当時は飾る前に子供たちが三段のひな壇に座ってから人形を乗せるのが恒例行事になっていました。ただ子供の成長と共に飾るどころか、出す機会も減少し、「寄贈」や「廃棄」も考えるようになりました。とはいえ、この人形の存在を知る知人たちからは「そんなもったいない!」と言われることも多く、倉庫に収納されたままになっていました。そして、単身赴任を解消した5年ほど前から市内の公共施設を中心に、展示依頼を伺い聞き歩きを始めました。ところが「雛人形」はどこでも邪魔者扱いで、毎年ほとんど門前払いというのが現実でした。

 そんな状況で諦め半分で問い合わせをしていた昨年、これが最後とばかりに連絡した場所が市内の資料館。「かなり大きくてどこにもない雛人形」と電話口の担当者に説明するも、当初は「雛人形は間に合ってます。」とほぼ門前払い状態。ところがその連絡から1時間もしないうちに、資料館館長とおっしゃる方から「先ほどの問い合わせについて、もう一度話が聞きたい」という連絡をいただきました。

 そして、現物の写メを持参して展示施設に伺いそれを提示すると、「なんでもう1週間前に連絡してくれなかったんだ」とため息交じりの弁。要するに準備は一週間前に終わったばかりでした。そんな経緯で今年2023年の展示に加えていただくことが決まった次第です。 


 ということで、今年約15年ぶりに表舞台で披露することになった我が家の雛人形の
セッティング場所は入り口に面したメイン展示場に決まりました。展示期間が2/11~3/21ということで、その1週間前にこれまた由緒ある「極小雛」を周囲に並んだ中心に展示するという話しになっていました。ところが1/20に館長から「2/1にカンテレ(関西テレビ)が取材に来るので、1/31に展示させてほしい」という連絡があり、大慌てで飾りつけを完了させました。


 その日、桐箱の中から永い眠りについていたから雛人形を取り出し、大急ぎで飾り付けた。初めて目にされた館長は「実際にはここまで立派なものだとは思っていなかった。」と称賛いただき、その準備を手伝っていただいたスタッフの皆さんも驚愕のあまりあっけにとられるほどでした。館長からは「ここは年間300万人以上来場者のあるラコリーナからほんの数分の立地なので、八幡に来られる皆さんには是非立ち寄っていただきたいものですね。」とお話しさせていただいた。

 最後にカンテレの件ですが、放送日は3月3日の「報道ランナー」16:30前後という予定です。ただ本来のテーマは「左義長祭り」ということで、うちのひな人形が放映されるかは微妙なところだそうです。

◎開催日:2/11(土)~3/21(火・祝)/休館日:月曜・祝日の翌日(3月無休) 

◎近江八幡市会場:旧伴家住宅~近江八幡市新町

◎公共交通機関:JR近江八幡駅より近江バスで約5分「小幡町資料館前」下車すぐ

◎マップリンク:https://www.kyu-banke.com/guide#access



2023年2月8日鈴木英之

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