2020年からのコロナ禍は落ち着いてきており、本サイトで紹介するミュージシャン達のアルバム作りもコロナ前に戻りつつあるので、来年もそんな彼らを応援する意味でも良作品を紹介し続けていきたいと思う。またこの記事で改めて知った各アルバムはこれからでも遅くないので、彼等の活動を後押しするためにも是非入手して聴いて欲しい。
選出趣旨からコンピレーション、カバー作品、配信のみの単体楽曲は除外とした。
昨年同様、順位不同のリリース順で紹介する。
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ベストソング・プレイリスト
☆Waiting for you / 青野りえ
(『Rain or Shine』収録・記事はクリック)
実力派女性シンガー・ソングライターのセカンドの冒頭曲。イントロからセンスを感じさせ、サビに呼応するコーラスやアナログ・シンセのオブリなど細部に渡って聴き応えがあった。アルバム全体的に名コンポーザー兼プロデューサーと手練ミュージシャン達の鉄壁なプレイに支えられた完成度の高さに耳を奪われてしまった。
☆西暦2200年 / 冗談伯爵
(『ONE』収録・記事はクリック)
2達組音楽ユニットのファーストから。甘美なフレーズとコーラスが牽引する打ち込みフィリー・ソウル系サウンドとデストピアな仮想未来を綴った歌詞とのコントラスト、テノール気味の特徴あるヴォーカルに繊細な声質のコーラスがブレンドされたサビのパートなど聴きどころが多い。プログラミング系シティポップの旗手になるだろう。
(『Portrait in Rock'n'Roll 2』収録・記事はクリック)
ウワノソラの別ユニットのセカンドより。イントロからハモンドオルガンに絡むエレキ・ギターのリフ、バリトンなど3管のサックスなど、もう何も言うことはないあのサウンドで、甘酸っぱいトーチソングは60年代ガールズ・ポップから続く永遠のテーマである。ファーストからモディファイされた部分もあるが、巧みなコンポーズとアレンジは健在だった。
☆ふたりのシルエット(feat. 堀込泰行) / 流線形
(『インコンプリート』収録・記事はクリック)
現行シティポンプのパイオニアの16年振りのミニアルバムより。イントロの繊細なハイハット・ワーク、曲全体的にギターはデイヴィッド・Tに通じるプレイとそれに呼応するフェンダー・ローズなど名手達によるプレイと、シルキーなコーラスもこの曲の雰囲気に不可欠なエレメントである。弊団体定期誌の読者だった堀込泰行のヴォーカルも一級である。
☆MAP for LOVE / 冨田ラボ(『7+』収録)
前出の堀込泰行など9名の名だたるシンガーの別々のヴォーカル・データから構築させた現代のゴスペル・シンフォニー。コロナ禍初頭の2020年に某FM局の企画で制作し翌年配信リリースされ、今年になってフィジカルのアルバムに収録された。パンデミックで遮断された人々の交流の真の大切さを綴った歌詞と、ガーシュウィンを彷彿とさせる優雅な旋律が融合して感動へと誘う。
☆Dawn / The Pen Friend Club
(『The Pen Friend Club』収録・記事はクリック)
弊サイトでは同じみのバンドの8作目のハイライト曲となるのがこの曲だろう。1960年代末期の英国ロックの魅力が4分14秒に凝縮されオマージュされた傑作と言える。ピアノ1台をバックにした歌唱から徐々に楽器がプラスされドラマティックに展開していく様は圧巻である。アルバムのトータル感も含め歴代最高傑作ではないだろうか。
☆Blue velvet / KARIMA
(『Nostalgic hour』収録・記事はクリック)
男性シンガー・ソングライターの記念すべきファーストより。複数のギターの展開やエレキ・シタールのアクセント、打ち込みのキーボードやベース&ドラム・セクションでありながら、そのヒューマンなバックトラックに耳を奪われた。恋の喪失感を滲ませる歌詞を表現するヴォーカルも含め完璧で長く聴ける。サウンドの裏方達が良い仕事をした見本である。
4人組ガールグループの5作目より。プリミティヴなアフロ・ビートをルーツとするR&Bサウンドをバックに、ソロ・パートとメンバーのコーラスがリフレインするサビのコントラストが非常に新鮮である。アルバム全体的に前作以上に独自性を持つサウンド・プロダクションの曲が多い問題作であるが、作品毎に成長していく彼女達の次作も期待している。
☆meta meta love / TWEEDEES
(『World Record』収録・記事はクリック)
男女2人組ポップ・グループの4thアルアムより。ファンタジー・テレビアニメのコラボソングで、「後期YMOで」というオーダーに応えたサウンドにより拘りが随所に鏤められている。ブリッジの甘美な旋律と無垢な歌声と相まって一本の映画を観たような感動へと誘ってくれる。アルバム全体的に異なる世界観で制作されていながら、彼らの多岐に渡る交流から発展したマスターピースと呼べるだろう。
☆ハートにROCK! / 一色萌とザ・ファントムギフト
(7インチ『ハートにROCK!』収録・記事はクリック)
唯一であろうパブロック・アイドルのサード・シングル。80年代後期のネオGSムーブメントの名バンドをリユニオンさせ、新鋭女性シンガーソングライターに書き下ろしの新曲を提供させるというアイディアに脱帽した。ヘッド・アレンジでエイトビートのガレージ風ロックンロール・サウンドに乙女の片思いを綴った歌詞をキャンディ・ボイスで歌い上げる。
(選者:ウチタカヒデ)
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