2022年11月25日金曜日
IKKUBARU:『LAGOON / THE FOUR SEASONS』(CA VA? RECORDS / HAYABUSA LANDINGS / HYCA-8046
2022年11月21日月曜日
Hack To Mono-Goldringがやってきた、そしてウクライナからのおくりもの
Art Laboeが2022年10月7日に97歳の大往生を遂げた。現役ラジオDJとして死の直前まで活躍し、彼の生み出したフレーズ「Oldies But Goodies」はラジオ番組のみならず、創業者として立ち上げた自身のレーベルからリリースした同名のコンピレーションはベストセラーとなった。また、Morgan家と実父Murryを通じて15歳のBrianをオーディションに向かわせた先は彼のレーベルであった。(リリースは実現せず)
R&B〜Rock’n Roll黎明期の立役者の物故が相次ぐ昨今モノラル音源を大切にしたい。
モノラル再生に大志を抱き1年経った、最近の収穫は英国製モノラルカートリッジだ。
Goldring社はドイツで創業し蓄音機周りの製造を中心としたが、英国へ製造拠点を移転後はカートリッジ中心に現在でも定評がある。モノラル時代に発売された500は人気を博しステレオ時代の幕開けに登場した600以降ステレオカートリッジにその座を譲る。
今回600を譲るとの報があったが、詳細を確認せずオファーを二つ返事返したのはいけなかった。英国より届いた筐体はGoldringと言う割には鈍い銅褐色だ。
よく調べると600の前の580のようだ。きんさんぎんさんに続いて銅も獲得した訳だから、これも何かの縁、と割り切るしかない。テスタで通電を確認し、問題ない。改めて筐体を確認する、この鉄仮面は2つの顔があるのだ。先端のノブを押し込むと回転する、再生針が表裏についているのだ。SP盤からLP盤への転換期の時代背景がこの二面性の原因といえよう。
今回は両面LP対応にすることとした、事前に入手した交換針がなかなか雑な作りである。そもそも純正と思われる方の針も変わっている。針を装着する箇所にパテ状の物質で覆われており、この弾力がダンパーの役割なのか?
といっても50年以上の歳月が固化を生じて錠剤並に変化してしまっていた。取り外すだけでもヤスリで少しづつ削らねばならなかった。交換針もクセモノで、樹脂の部分のサイズがやや大きい、こちらも削りながら位置調整が必要だった。
あとはアームへの装着だけだが、新たなハードルが!現代のトーンアームとはそもそも形状が全く違うので通常のヘッドシェルでは対応しないのだ。60年近く前の製品だから絶版なのは覚悟の上だがどうするか?
自分で作る?いやいや、Murryが英国から輸入したような工作機械が必要だ。しかし世の中には予想もつかない好き者がいるものだ、当方の所有機種のパテント元の米国機種のクローンを製造販売していたのだ。さらに予想もつかない事態が!
そう、当人の住まいChernihivとある、なんとUkraineの北方の都市だった。
Chernihivで検索すると露軍の侵攻や制圧にミサイル攻撃のニュースがこれでもかという位出てくるのだ。これでは当人宅から旋盤や加工素材など露軍兵士に持っていかれてもおかしくは無いはずだ、思わず弱気になる。恐る恐る本人にコンタクトを取ると数日後「今でもフル操業中」との返事があった。もうここまで来たらSerge(本名)君に任せた、送金しよう。たとえパーツが露軍に差し押さえられてもいい、ほぼお布施感覚だが送金は成功した。数日後「送ったよ」の連絡があった、本人は航空便で送ったとのこと、しかし当地の情勢では日本に向けて航空機を飛ばせば露国の勢力圏に入り撃墜されるのではないか?
この懸念も杞憂に過ぎなかった、ある日ニュースで宇国から海外への空輸はPolandへ一旦陸路で配送し、波国から空輸するとの報道があった。このため宇国と波国の国境にはトラックの大渋滞で、国境を超えるのに数週間要するとの事。実際追跡番号で検索したが、首都Kiewへ持ち込みの後2週間も動いていなかった。発送メールから一ヶ月強、とうとう自宅へ到着した。
早速開封し件のカーソルに580をネジで固定し、アームへ装着。パテントは同じと思われるが国内製造メーカーによっては形状が異なるのが懸念事項だったが、
60年の隔たりを感じさせない寸分違わぬ見事な出来だ、楽曲なら極上カバー!。
戦火をくぐり抜けてたどり着いたぶん、ありがたみは大きい。
ありがとうSerge!
さて、初めて聴くレコードは如何に?
英国製なら英国盤で応えよう、モノラル時代なのでクラシック?
ある意味Phil Spector並の破天荒なビーチャム卿指揮のエニグマ変奏曲か?
いやいやもっと大衆的なのがいい、ということで
The Rolling Stonesのデビュー盤「Come On」にしてみよう。
2022年11月15日火曜日
RYUTist:『(エン)』(PENGUIN DISC / PGDC-0013)
2022年11月5日土曜日
Don Cooperについて
近頃フォーキーな音楽が耳に留まることが多くて、前回はDon Crawfordについて書いたけれど、もう1人気になっていたのが70年代前半頃に活動していたカンザス州出身のDon Cooperというシンガーソングライター。フォーク、ジャズ、ソウル、ブルース、ソフトロックなど様々な要素が入り混じりながらも、それらが不自然なく楽曲に心地よく溶けこんでいて、とても味わい深く感じる。
彼は幼い頃にウクレレを弾き始め、そのうちにカントリー音楽に興味をもつようになる。高校生の頃は、James Brown、Buddy Holly、The Beach Boysなどをカントリースタイルで演奏していたらしい。その後、Bob Dylanの1963年のアルバム『The Freewheelin' Bob Dylan』から人生の転機になるほど大きな影響を受けたそうだ。
4枚のアルバムがニューヨークのRouletteレーベルからリリースされている。
1969年 『Don Cooper』(Roulette – SR-42025)
1970年 『Bless The Children』(Roulette – SR-42046)
1971年 『The Ballad of C.P. Jones』(Roulette – SR-42056)
1973年 『What You Feel Is How You Grow』(Roulette – SR-3009)
Don Cooperの音楽はRouletteレーベルでのリリースは適切ではなかったとも言われていて、当時商業的にはそれほど成功しなかったそうだ。
有名ではなかったものの、代表作の2ndアルバム『Bless The Children』は90年代のフリーソウルのシーンで人気が高まった作品らしい。オリジナル曲の他、James Taylorのカバー「Something In The Way She Moves」などが含まれる。タイトル曲の「Bless The Children」は、哀愁に満ちたアルバムの中でグルーヴィさが際立つ曲。