同アルバムのサウンドは、それまでのハードなガレージ・ロック路線から、ポップな曲調でリヴァーブを効かせたウォール・オブ・サウンドにモディファイした曲を主体にしたことで、日本のオールディーズや60'sポップス・ファンの心を掴んだだろう。この転換期にキーマンとなったのは、同アルバムの先行シングル「Want You! Like A Cigarette」(2020年)から彼らの共同プロデューサーとなったセーレン・クリステンセン(Soren Oakes Christensen)の存在で、彼はデンマークのブルース・ロックバンド“The Blue Van”のキーボーディストとして2003年から活動していた。セーレンがソングライター兼プレイヤーとして加わったことで、現在のコーレッツ・サウンドが形成されたのは間違いない。
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2022年9月30日金曜日
The Courettes:『DAYDREAM / デイドリーム』(なりすレコード/TARGET EARTH RECORDS / NRSP-7103)
同アルバムのサウンドは、それまでのハードなガレージ・ロック路線から、ポップな曲調でリヴァーブを効かせたウォール・オブ・サウンドにモディファイした曲を主体にしたことで、日本のオールディーズや60'sポップス・ファンの心を掴んだだろう。この転換期にキーマンとなったのは、同アルバムの先行シングル「Want You! Like A Cigarette」(2020年)から彼らの共同プロデューサーとなったセーレン・クリステンセン(Soren Oakes Christensen)の存在で、彼はデンマークのブルース・ロックバンド“The Blue Van”のキーボーディストとして2003年から活動していた。セーレンがソングライター兼プレイヤーとして加わったことで、現在のコーレッツ・サウンドが形成されたのは間違いない。
2022年9月17日土曜日
『The Beach Boys』Byron Preiss著 (1979年)
本書『The Beach Boys』は上記のキャリア上昇期に刊行された。本書の前後に刊行された『 The Beach Boys and the California Myth』(David Leaf著)と『Heroes and Villains: The True Story of the Beach Boys』(Steven Gaines著)は後年の多くの評伝類に引用され影響を与えているが、本書のみがthe authorized biography(公式バイオ)を冠している。
映画『American Graffitti』の成功によって見直された多くのoldies actsに対して本書はThe Beach Boysはそれとは一線を画している、というスタンスを取っている。一過性のリヴァイヴァルではなくgoing concernには支障ない。何故なら本質的な価値は不変であり、市場で評価されないこともあるが、彼らの体現するCaliforniaの風土や夢は彼らを通じてこれからも多くの人々に支持されていくのだ。どんな投資にもテーマが必要である、テーマには必ず何かしらの夢がある。Californiaの夢とは何であろうか?Bing Crosbyの『White Christmas』では雪の降らない西海岸の風景を通して故郷の雪景色を想う様を描写している、これではCaliforniaには夢がない!Phil Spectorは同曲の間奏でオリジナル歌詞にない一節--So I can have my very own white Christmas–(雪がないなら自分だけのホワイト・クリスマスを迎えよう!)と、Darlene Loveに語らせることでCaliforniaを温暖な憧れの土地のイメージを印象付けることに成功した。
確かに60年代後半のCaliforniaは軍事からカルト宗教まで世界のトップに君臨したと言ってもいいだろう、1967年には地元エンタメ界出身のRonald ReaganがCalifornia州知事に就任し1969年にCalifornia生まれのRichard Nixonが大統領に就任する。米国の東西にCalifornia由縁の人物が君臨し、世界へ覇を唱える。The Beach BoysにはこのCalifornia神話に影響があるのだろうか?The Beach Boysの理解者たらんとしたReaganはご存知の通り知事の後大統領へと就任し、昵懇の仲であった大ブッシュは同じく大統領に就任する、続く小ブッシュも大統領へと就任するが以後大統領選挙では民主党にCaliforniaの票を現在に至るまで奪われ続けている。Mike閥のみが接近したDonald Trumpも選挙ではCaliforniaを落とすことができなかった、次回も無理だろう。
本書の著者Byron Preissは音楽ライターというよりは出版プロデューサーに近いスタンスの人物で、本書の構成には通常の評伝類と違うユニークさが光っている。
バイオ本にありがちな編年体の平板な文章はあまりなく、当事者のインタビューや記事の引用で紙面は埋め尽くされ、所々挟まれるビジュアルが総合して数々の神秘を紐解いてだんだんとThe Beach Boysの実相に近づいていくような読了感がある。
本書で特筆すべきは凡百の評伝類に先駆けて当時音源のリリースがなかった『Smile』を詳細に解説しているのだ。本書の執筆のためThe Beach Boysサイドでは『Smile』の全貌を音源でByronに示す必要性があった。そのためリファレンス用のカセットが作成されByronへ手渡された。さらにByronから他のスタッフへの音源流出が後に明らかになっており、これはこれでThe Beach Boys再発見の別の流れを作ることになる。
2022年9月10日土曜日
FMおおつ 音楽の館/Music Note(2022年8月号)~西城秀樹特集(Part-3)Set List
「音楽の館~Music Note」、8月は5,6月に続きヒデキ特集Part-3。今回はライヴ音源を中心にしたプログラム(8月27&28日放送済み)でした。そのプレイリストを紹介します。
“秀樹の真骨頂はライヴ”という声にお応えしたもので、トップは彼の歌声を世界にとどろかせた<傷だらけのローラ>フランス語ライヴ・ヴァージョン。 この音源は1978.6.25. に発表の第8作Liveアルバム『バレンタインコンサート・スペシャル/西城秀樹 愛を歌う』から。1978.2.14. の日比谷公会堂で開催、演奏は藤丸バンドと服部克久氏が編曲・指揮を担当した新日本フィルハーモニー交響楽団。
曲の序曲イントロはクラシック<未完成交響曲第一楽章>で、才人服部氏らしい雰囲気に仕上がっています。この曲は朝日新聞の土曜版(5/15)に掲載の「今こそ!聴きたい西城秀樹」の人気投票でも堂々の第1位曲。
BG-2は1975.7.20.~8.24.開催の全国初縦断コンサート「BLOW UP! HIDEKI」の富士裾野でのパフォーマンスから<青春に賭けよう>。ふじ丸バンド(Dr.金沢順一、B.渡辺和義、Key.中島正雄)の実質お披露目。ここでのヒデキのパフォーマンスは「一人Summer Sonic」「一人Fuji Rock」風。
BG-4は前パートのラスト<You Keep Me Hangin' On>のロッド・スチュワートのカヴァー。これは1977年リリース第8作ソロ『Foot Loose & Fancy Free(明日へのキック・オフ)』に収録されたもの。時期的にヒデキはここでのロッド・ヴァージョンを意識して服部克久氏にアレンジを依頼したかも。氏もそれに応えクラシック・ベースの気品溢れるものに。
ここでは翌年のコンサートを連想させる<若き獅子たち>や、洋楽カヴァーの<What a Diffrence a Day Makes(恋は異なもの)>を披露。後者はエスター・フィリップスのカヴァー(1975年全米.20位 R&B. 10位)のダンサブル・ベース(オリジナルはダイナ・ワシントン1959年全米8位 R&B. 1位)、さらにメンバー紹介をはさみコンサートのハイライトになっています。
BG-5は<What a Diffrence a Day Makes(恋は異なもの)>のエスター・フィリップスのヴァージョン。続いては1976年の武道館第2回コンサートを収録した『HIDEKI LIVE '76』から。今やブラス・バンドによる応援ソング定番<African Symphony>。この曲は<The Hustle>のヴァン・マッコイが1974年にSoul City Symphony を率いた『Love Is The Answer』の収録曲。そして、ドゥービー・ブラザースのライヴでオープニングに演奏される定番1972年のヒット曲<Jesus is Just Alright(希望の炎)>。
BG-6は桑名正博さんのソロ・デビュー曲<哀愁トゥナイト>。ヒデキもお気に入りナンバーだったようで、第 9作目ライヴ・アルバム『永遠(とわ)の愛7章/西城秀樹』と1981年の『HIDEKI SONG BOOK』にも収録。
このパートではヒデキと藤丸さん書下ろしの意欲作1978年12月20日リリースの第10作『ファーストフライト』と連動した『永遠(とわ)の愛7章』から。11月3日日本武道館で開催された第5回コンサート「永遠の愛7章」収録曲を。
ここに収録されたヒデキの自作曲<Sweet Half Moon><その愛は>等は、彼の非凡さを感じさせます。また萩田光雄氏のスコアで<哀愁トゥナイト>が収録。桑名版での高中正義さんのギターと、藤丸さんのギター・プレイとの聴き較べも惹かれるところ。
BG-7はザ・ピーナッツの<Epitaph>。この曲はプログレッシヴ・ロックの最高峰キング・クリムゾンが1969年にリリースした金字塔『In the Court of the Crimson King (subtitled An Observation by King Crimson)(クリムゾン・キングの宮殿)』の収録曲。このヴァージョンは1972.8.19.の文教公会堂での山本とおる氏の奏でるギターに乗せたピーナッツの名唱。
次のパートはヒデキ・ライヴの中でも“伝説”として語り継がれている1979.8.24.後楽園球場の第2回コンサート<「BIG GAME '79 HIDEKI」から。このコンサートは雷鳴とどろく激しい雨の中で敢行されたものです。その悪天候の中でもヒデキのパフォーマンスはゆるぎなく、ビリー・ジョエルの<HONESTY>、続いて雨を吹き飛ばす勢いでクィーンの<DON'T STOP ME NOW>、ヴィレッジ・ピープルの<Go West>。
このライヴでのハイライトは響きわたる雷名や豪雨をBGに歌い上げる<EPITAPH>。ファンの間では「秀樹に神が降りた」と評されたる伝説的なステージ。バックの鈴木武久とアルバトロスも感電を恐れない献身的演奏でヒデキをサポート。
BG-8はアメリカのブギ・バンド、フォガット1975年のヒット<Fool For The City>です。この音源は1978年の第一回後楽園球場でのもので、このライヴは藤丸さんが「One Line Band」結成により、サポート参加した最後のライヴ。
このライヴではアラン・パーソンズ・プロジェクトの<Some Other Time(哀しい愛の別離)>、1977年リリースのセカンド・アルバム『I Robot』の収録曲。そしてバリー・マニロウの大ヒット<Copacabana (At The Copa)>。
BG-9は後楽園球場1980年7月18日第3回コンサート「BIG GAME '80 HIDEKI」からユーライア・ヒープ<July Morning>。収録曲はジェファーソン・エアプレインから発展したジェファーソン・スターシップの1979年リリース第5作『Freedom at Point』から<Rock Music>。そして、山下達郎さんのブレイクきっかけとなった<BOMBER>。
BG-10は『J・U・S・T・R・U・N'84/HIDEKI』のオープニング<パシフイック>(1984.7.5. 48th Single <背中からI Love You>カップリング曲)。このアルバムのセット・リストはかなりユニーク、まずは女性ヴォーカルWakazukuriを大きくフューチャーした<Once Love Touch's Your Life>。この曲はスティービー・ワンダーの元伴侶Syreeta 1983年リリースの第9作『The Spell』から。続いて<My Male Curiosity>、米米CLUBがお手本としたバンドKid Creole & The Coconutsの映画『Against All Odds(カリブの熱い夜)』への提供曲。オーラスは、ヒデキの第17作『GENTLE・A MAN』に収録の角松敏生さん書下ろしによる名ファンク・ナンバー<Through The Night>。
といったところで今回のヒデキ特集Part-3は1997年にリリースされた『西城秀樹ROCKトリビュート KIDS' WANNA ROCK!』収録のシークレット・テイク<Claps: Thank You>でおしまい。
さて次回の「音楽の館/Music Note」9月号は、ヒデキさんも採り上げた<Bomber>の作者で、現在3年ぶりに全国をツアー中の「山下達郎」さんの特集をお届けします。これからツアーに行かれる方も多いかと思いますので、彼の音楽センスについての予習を兼ねたプログラムをお届けします。次回もお楽しみに。
※FMおおつ 周波数79.1MHz
※FMプラプラ(https://fmplapla.com/fmotsu/)なら全国でお楽しみいただけます。
<「ヒデキ特集」パート3☆セット・リスト>
Opening B.G.~ Gems1(A Cappella)/ esq( 三谷泰弘 )
1. 傷だらけのローラ(フランス語ライヴ・ヴァージョン)
BG: Try A Little Tenderness/ Three Dog Night
2. Try A Little Tenderness(ライヴ・ヴァージョン)
3. 泣かないで(If You Go Away:日本語訳詞/ライヴ・ヴァージョン)
BG: 青春に賭けよう(ライヴ・ヴァージョン)
4. 瞳の面影(My Eyes Adored You/ライヴ・ヴァージョン
5. S.O.S.(TOO BAD) (ライヴ・ヴァージョン)
6. Heartbreaker(ライヴ・ヴァージョン)
BG: Strangers In The Night(夜のストレンジャー)/Bette Midler
7. ラストシーン(ライヴ・ヴァージョン)
8. カルメン~君よ抱かれて熱くなれ(ライヴ・ヴァージョン)
9. Strangers In The Night(夜のストレンジャー) (ライヴ・ヴァージョン)
10. Silly Love Song(心のラブ・ソング) (ライヴ・ヴァージョン)
11. You Keep Me Hangin' On (ライヴ・ヴァージョン)
BG: You Keep Me Hangin' On/Rod Stewart
12. 若き獅子たち(ライヴ・ヴァージョン)
13. What a Diffrence a Day Makes(恋は異なもの) (ライヴ・ヴァージョン)
BG: What a Diffrence a Day Makes(恋は異なもの)/Ester Phillips
14. African Symphony(ライヴ・ヴァージョン)
15. Jesus is Just Alright(希望の炎) (ライヴ・ヴァージョン)
BG: 哀愁トゥナイト/桑名正博
16. Sweet Half Moon(ライヴ・ヴァージョン)
17.その愛は(ライヴ・ヴァージョン)
18. 哀愁トゥナイト(ライヴ・ヴァージョン)
BG: Epitaph/ザ・ピーナッツ
19. HONESTY (ライヴ・ヴァージョン)
20. DON'T STOP ME NOW (ライヴ・ヴァージョン)
21. Go West(ライヴ・ヴァージョン)
22. EPITAPH (ライヴ・ヴァージョン)
BG: Fool For The City(ライヴ・ヴァージョン)
23. Some Other Time(哀しい愛の別離) (ライヴ・ヴァージョン)
24. Copacabana (At The Copa) (ライヴ・ヴァージョン)
BG: July Morning (ライヴ・ヴァージョン)
25. Rock Music (ライヴ・ヴァージョン)
26. BOMBER(ライヴ・ヴァージョン)
BG: パシフイック(ライヴ・ヴァージョン)
27. Once Love Touch's Your Life (feat.Wakazukuri : ライヴ・ヴァージョン)
28. My Male Curiosity(ライヴ・ヴァージョン)
29. Through The Nigh(ライヴ・ヴァージョン)
30. Claps:Thank You / Various Artist
(鈴木英之)
2022年9月3日土曜日
The Pen Friend Club:『The Pen Friend Club』(サザナミレーベル/ SZDW1105) リリース・インタビュー
その間に7インチ・シングル2枚とCDシングル1枚をリリースしており、キーボーディストとバンドの看板であるヴォーカリストの交代があったが、リーダーでギタリストの平川雄一を中心にバンド・カラーを維持してその魅力を継続していた。
西岡が作曲した「At Least For Me Tonight」は、リカ作の「Mind Connection」にも近い曲調だが、コード進行やアレンジ、転調するパートなどでサイケ度はこちらの方が高い。サウンド的にはジャン&ディーンの『Save For A Rainy Day』の影響下にあり、夢想的な歌詞はYamadaによるものだ。