FMおおつ 音楽の館/Music Note(2022年5月号)~西城秀樹特集・後半解説
前回の前半に続き、今回も音楽の館/Music Note5月号で放送した「西城秀樹特集」の後半解説をお届けします。<YOUNGMAN(Y.M.C.A.)>で日本を代表するシンガーとして頂点を極めた1980年代以降になります。
BGはKing Crimson の金字塔『In the Court of the Crimson King (subtitled An Observation by King Crimson)』に収録の<Epitaph(エピタフ(墓碑銘))>。この曲は1979年8月の豪雨の中で開催された後楽園球場ライヴ・アルバム『BIG GAME '79 HIDEKI』に収録されています。雷鳴が轟く中歌うヒデキの姿は、ファンの間で「ヒデキに神が降りた」とも言われているほどです。
1980年代になるとシンガー・ソングライターの曲も積極的に取り上げています。まず1980年12月の37作<眠れぬ夜>。この曲はオフコース1975年の出世作で、トップ10ヒット(10位 27.1万枚)となり、この曲を再注目させています。
そして38作は、81年初頭<ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)>でブレイクした横浜銀蝿から提供の<セクシーガール>.]これもトップ10(10位/ 14.2万枚)に。1982年には同郷でアマチュア時代からの知人(吉田)拓郎さんの書き下ろし<聖・少女>を42作で発表。当然ながらこれもトップ10(9位/17.4万枚)入りと、あらゆる分野のソングライターの曲で可能性を広げています。
さらに3回目は2012年に発売の著書「よみがえれ!昭和40年代」制作にご協力いただいた江木俊夫さんの御縁で2012年12月10日「昭和同窓会コンサート」中野サンプラザ公演。この日のライヴは体調も良く、通常の「バラード2曲+ヤングマン」に急遽この曲を披露し観客から大喝采を浴びます。ただそれは彼には大変な負荷で、フィナーレの<ヤングマン>を途中で挫折、しかし周囲に支えられ歌い終えています。そのファン・サーヴィスに徹する姿に感銘を受けました。
2曲目は1983年45作<ナイト・ゲーム>(19位/8.5万枚)。この曲はRichie Blackmore率いるRainbowのヴォーカルGraham Bonnetが1981年に全英6位の<孤独のナイトゲームズ>カヴァーで、その後ヒデキ・ライヴ定番曲に。3曲目は1984年47作<Do You Know>(30位/4.3万枚)、元々はポップス歌手フランツ・フリーデルの曲。この曲で<ジャガー><炎>に続き第13回東京音楽祭ゴールデン・カナリー賞を受賞、個人的に私のフェイヴァリッツ・ナンバーのひとつです。そして、Wahm!の大ヒット<Careless Whisper>をカヴァーした1984年49作<抱きしめてジルバ -Careless Whisper->(18位/15.4万枚)。ラストは1988年の62作<33才>(49位/1.2万枚)。この曲はJulio Iglesiasのカヴァーで、彼自身33歳に必ず歌ってみたいと思っていた念願の曲でした。
この1985年にはデビュー以来のシングル全50曲を歌唱する日本武道館を敢行。これを機にシングル中心路線から脱し、アルバム・アーティスト路線を宣告。その象徴が、杏里さんの<悲しみがとまらない>等のプロデュースで注目株角松敏生さんを起用したアルバム『TWILIGHT MADE …HIDEKI』。角松さん自身もこの年はファンク・テイストの傑作『GOLD DIGGER〜with true love〜』をリリース直後の絶頂期で大きな話題に。
この時期にはコーセー化粧品のCMソングで51作目<ミスティー・ブルー>(27位/3.8枚)をリリース直後に、アルバム収録曲<BEAT STREET>(51位/1万枚)をシングル・カット(52作)。とはいえこのチャレンジは成功とはいきませんでした。
ただその翌1986年に、ヒデキの<抱きしめてジルバ -Careless Whisper->を聴いたアメリカのビッグ・スターBarry Manillowが「オリジナル以上の出来」と称賛し、彼とのデュエット<腕の中へ -In Search of Love->(53作/10位/11.2万枚)が実現。この時期二度目の来日公演中のBarryと『夜のヒットスタジオ』でのデュエットが生放送され、1982年の<聖・少女>以来久々のトップ10ヒットに。BGは彼が1988年に同年齢をタイトルにした『33才』から<夏の誘惑>(94位/0.2万枚)を60作にシングル・カット。そこにはゴージャスな雰囲気がお似合いになった彼がいました。
そんなヒデキさんは若手ロック・ミュージシャン達から「ロック・アーティストの憧れのスターNo.1」と崇拝され、1997年にはそんなヒデキ大好き若手ミュージシャンが『西城秀樹ROCKトリビュート~‘KIDS’WANNA ROCK!』を発売(参加ミュージシャンは、THE HIGH-LOWS、Gackt、ROLLY、サンプラザ中野、ダイヤモンド✩ユカイなど)
ところが2003年に公演先の韓国で脳梗塞を発症し、リハビリで闘病生活に入り軽度の後遺症は残るも、2006年に<めぐり逢い/Same old story-男の生き様->で復帰、多くのファンを感激させています。
ただ2011年12月20日、56歳で脳梗塞再発で2週間程度再入院、リハビリに励み右半身麻痺と微細な言語障害の後遺症が残るも、歩行が出来る状態にまで改善。
その後は往年のスターによる歌謡曲リヴァイバル・ツアー「昭和同窓会コンサート」に特別ゲストとして参加するなどしてステージをこなし、多くのファンと交流。
このツアーでは2012年10月13日の八日市を皮切りに、2013年12月1&3日大津、2016年6月30日近江八幡、2017年4月14日守山、4月15日には米原と滋賀県では5か所6回以上公演が開催、彼を目当てに全て「満員御礼」。
近江八幡ではレストランのパート(年配)女性が、「ヒデキのコンサートに行く!」と少女のような瞳で語っていたと聞きました。そんな彼の最後のステージは2018年4月14日の栃木県の足利市民会館になります。
ではラストは1987年にリリースされた57作<NEW YORK GIRL>(50位1万枚)。この曲の作者は1980代に一世を風靡したソウル・グループ/ShalamerのヴォーカリストHaward Hewett。2曲目は1995年リリースのWinkカヴァーの72作で<愛が止まらない ~Turn it into love~>(83位0.7万枚)。アレンジは盟友・吉野藤丸さんによるAOR調のアダルト調に。そして、オーラスはアニメ「ちびまる子ちゃん」2代目エンディング・テーマ<走れ正直者 >。ももこさんも大のヒデキ・ファンということで、アニメでは今も時々ヒデキが登場しています。なお一周忌2019年以降は5月16日の週には再登場が恒例となっていますが、昨年は初めて絶ち日当日に使用されています。
ということで今回は「デビュー50周年」を迎えた「西城秀樹さん」の特集をお届けしました。後半のセット・リストも下記にまとめましたのでご覧ください。
最後になりますが、今回放送前後には全国から沢山の「リクエスト」「感想」等、熱烈なメッセージを頂戴しました。そんなリスナー皆さんのご要望にお応えして、次回6月号も「ヒデキ特集」のpart-2をお届けします。今回寄せられたリクエストを紹介させていただきながら、前回を補足する流れで他の特集では聴くことの出来ない音源を中心にした内容でお届けします。では次回6月25日(再放送26日)の放送も楽しみに!
※FMおおつ 周波数79.1MHzでお楽しみください。
※FMプラプラ(https://fmplapla.com/fmotsu/)なら全国でお楽しみいただけます。
<セット・リスト>
B.G.~ Epitaph(エピタフ(墓碑銘))/ King Crimson
20. 眠れぬ夜/西城秀樹
21. セクシーガール
22. 聖・少女
B.G.~愛の園(AI NO SONO)/ Stevie Wonder
23. ギャランドゥ
24. ナイト・ゲーム
25.Do You Know
26.抱きしめてジルバCareless Whisper-
B.G.~ 一万光年の愛
28. ミスティー・ブルー
B.G.~ 夏の誘惑
30. 追憶の瞳 ~LOLA~
31. ブーメラン ストレート
B.G.~心で聞いたバラード
32. NEW YORK GIRL
33. 愛が止まらない ~Turn it
into love~
34. 走れ正直者
35. Claps:Thank You/ Various Artist
(鈴木英之)