イギリスのケント州メドウェイ・タウンズで80年代頃に発生したガレージシーンの重要人物にBilly Childishという人がいる。ガレージ好きの多くは彼の名前を知っていると思う。私にとってもBilly Childishはガレージに興味を持つきっかけになった人だった。彼の結成したいくつかのバンドのひとつにThee Headcoatsがある。そのThee Headcoatsがバックバンドになり、メンバーのガールフレンド等4人の女性が歌っていたバンドがThee Headcoateesとされる。
Thee Headcoateesの中で私が特に好きだったのがHolly Golightlyだった。Truman Capoteの「ティファニーで朝食を」の主人公と同名なのは、彼女の母親が妊娠中にこの小説を読んでいたからだそうだ。
Holly GolightlyはThee Headcoateesの活動中、1995年にソロ活動も開始。数多くのシングルとアルバムも13枚リリースしていて、Billy ChildishやDan Melchiorとコラボレーションでも制作している。もともと彼女は古い音楽のコレクターらしいのだけれど、Thee Headcoateesのようなガレージパンク以外の要素もソロではより濃く表れ、彼女の音楽性を特徴づけている。自身のオリジナルの他、Willie Dixon、Ike Turner、Lee Hazlewood、Bill Wither、Sam & Daveなど、カバーも多くある。
(You Ain’t) No Big Thing / Holly Golightly
2000年代半ばには長年のバンドメイトLawyer Daveとのデュオ、Holly Golightly & the Brokeoffsを結成。2018年までに10枚のアルバムがリリースされている。Holly Golightly & the Brokeoffsは特に商業的なものとの縁遠さを感じるけれど、彼らの生活に根ざした音楽なのかもしれない。2人は2008年にジョージア州アセンズ近郊の田舎に家を購入して引っ越している。2012年リリースのアルバム 『Sunday Run Me Over』 は完全にその自宅で録音されたそうだ。
Goddamn Holy Roll / Holly Golightly & The Brokeoffs
これは日曜の朝にベッドから出て教会に行きたくない、というような曲らしい。
Holly Golightlyのその他の活動として、The White Stripesの4thアルバム 『Elephant』 への参加や、Rocket From The Crypt、The Greenhornesとのコラボレーションなどもある。The Greenhornesとの「There Is An End」という曲は、2005年のJim Jarmusch監督の映画「Broken Flowers」の主題歌だ。私は以前からJim Jarmuschの創り出す世界観が好きだったのだけれど、音楽に限らず、一見関係がなさそうでも好きだと感じたものを辿ってみると、不思議と繋がりを発見することがあるもので面白いなと思う。
There Is An End / Holly Golightly & The Greenhornes
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