前回同様に以下の条件でこれからシングル盤を聴いてみよう。
以下紹介する音源はオリジナル盤から取り込んだものであり、
ノイズ除去処理は一切行っていない。
また、盤の選定についてはRIAA制定及びステレオ音源の普及を考慮し
1964年までのリリースを対象とした
以下私見ではあるがきんさん、ぎんさんそれぞれの特性があることが分かった
モノラルと侮るなかれ、この音像の深さには感嘆するものがあった。
「Surfin’ Safari」(Capitol 4777) 1962
まずはきんさんから聴いてみよう
エコー感が溢れ、西海岸の陽気の様な感じが伝わるサウンドだ。
昔の米軍放送のオールディーズ番組の音を思い出させる懐かしさがあり、ねちっこく残るエコー成分が余計にその雰囲気を強調している。
それではぎんさんを聴いてみよう
きんさんに比べて前回同様に演奏全体がグイッと前に出る印象。
前作Surfin’ ではThe Kingston Trio然としていた演奏に比して、南California産であることが明らかなsurf music風のバッキングは、前作から続くミュートしたパーカッシブなギターサウンドの効果を引き立たせている。
「Ten Little Indians」(Capitol 4880) 1962
ぎんさんの力強さがここでも出ているが、きんさんより曲のディテールがくっきり出ているような感じがする。
「Country Fair」(Capitol 4880) 1962
こちらもきんさんが手堅く全体をまとめ、コーラスの響きが心地いい。
ぎんさんのもたらす効果でコーラスはきんさんに比して前面にくっきり聴こえている。
スネアの音もバシバシ聴こえてとにかく力強い。
「Surfin’ U.S.A」(Capitol 4932) 1963
イントロのギターのエコーが小気味いい!さすがきんさん。
キックの音も曲中終始鳴っていることがよく表現されている。
通常コーラスのinside out side U.S.Aあたりからバックの演奏とともにキックも埋もれてしまうが、うまくトレースしているところがきんさんらしい。
ぎんさん効果でキックの音もさらに強調され、デビュー以来ダンスミュージックとしてThe Beach Boysは扱われてきたのだ、と改めて気がつかされる。
ぎんさんの方がコーラス部がモノラルだがBrianのファルセットが加わると立体的に聴こえてくる。
「Shut Down」(Capitol 4932) 1963
きんさん特有のエコー感がここでも活かされている。ミュートしたギターのサウンドも太く鳴りsurf musicさが色濃く出ている。
ぎんさんの得意とする力強さが遺憾無く発揮されている、スネアはバシバシしっかり鳴っており、コーラスも聴かせる所でしっかり聴かせてくれる。
「Surfer Girl」(Capitol 5009) 1963
この曲が今のところ、きんさん感満載の印象だ。
コーラスの一体感エコー感すべてが満足の一曲。
きんさん感満載と述べたが、こちらの方がきんさん感プラスぎんさんの情熱的な感じがよく出ている。
Mikeのバスも楽器に埋もれることなく聴こえるし、色彩感や立体感が遺憾無く発揮されている。デビュー以来ダンスミュージックやノベルティばかりさせられてきたBrianの鬱憤を晴らす名曲故か?
(text by Akihiko Matsumoto-a.k.a MaskedFlopper)
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