普段は【ガレージバンドの探索】というコラムを書いているけれど、ガレージロックしか聴かないというわけでもなく、その時々で好きだと思ったものを聴いていて少し前にカントリー音楽に興味をもった。
あまりないパターンかもしれないけれど、そのきっかけはガレージだった。【ガレージバンドの探索・第四回】で取り上げたDownliners Sectはガレージ、R&Bとして括られるようなバンドにも関わらず、一枚カントリーのアルバムを出している。そのアルバムはあまり人気が高くなく、私もあまりしっかりと聴いてはいなかったけれど、記事を書く機会に原曲も合わせて聴いてみた。その中でとても気に入った曲がHarlan Perry Howard作曲の「Above & Beyond」だった。この曲を歌っているカントリーシンガーBuck Owensにもとても惹かれた。Buck Owensはカントリー歌手として多くのヒット曲で有名だけれど、よく知られるのはThe Beatlesがカバーした「Act Naturally」かもしれない。「Act Naturally」の原曲はずっとBuck Owens And The Buckaroosだと思っていたのだけれど、もとはカントリーミュージシャンJohnny Russellの曲のようだ。
Buck Owens And The Buckaroosについて調べてみると、そのサウンドはベイカーズフィールドサウンドと呼ばれる種類のカントリーだそうで、Chet Atkinsなどが開始したナッシュビルサウンドのライバルにあたるらしい。このベイカーズフィールドサウンドのスカッとする陽気さが好きだ。そしてBuck Owens以上に興味をもったのが彼のバックバンドThe BuckaroosのリーダーDon Rich。ギター、フィドル、テナーコーラスなど多くの役割をこなす。快活なテレキャスターのサウンド、朗らかな歌声を聴いていると最高に気分がいい。
2000年にSundazedからリリースされている『Country Pickin': The Don Rich Anthology』(SUNDAZED SC11091)では、Don Richが関わった多くの作品の中でも、彼の歌や演奏がメインとなるものが集められている。
【文:西岡利恵】
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