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2020年12月29日火曜日

WebVANDA管理人が選ぶ2020年邦楽ベストソング


 恒例となったWebVANDA管理人(筆者)が選ぶ、邦楽の年間ベストソングを今年も発表したい。
 選出楽曲はプレス向け音源としてリリース前に入手した中からレビューで取り上げたアルバム中、最もリピートした収録曲であり、筆者目線ではアルバムを象徴する存在となっている。
 
 今年は未曾有のコロナ禍により、音楽業界に携わる人々はライヴやイベントでの収入源を失い、大変苦しい中での活動やリリースとなった。本サイトで紹介するアルバムは主にインディーズ・ミュージシャンが多いので、特にその影響を受けたのではないだろうか。
 そんなミュージシャン達の作品を多く紹介することで、微力ながら彼等を応援したいと思う。またこの記事で改めて知った各作品を入手して聴くことで、彼等の活動を後押して欲しい。 
選出趣旨からコンピレーション・アルバムと配信のみの単体楽曲は除外とした。昨年同様、順位不同のリリース順で紹介する。

※サブスクに登録されたベストソング・プレイリスト
(未登録曲の内、別Verで登録されているものも含む)


☆Flyaway on Friday / WACK WACK RHYTHM BAND
『THE 'NOW' SOUNDS』収録)  
東京ナンバーワン・ヴァーサタイル・バンドの15年振りのオリジナル・アルバムから。ニューソウル系コード進行とヴォイシングが効いた歌物レアグルーヴで、女性メンバー2人のダブル・ヴォーカルとの相性がとてもいい。


☆On Green Dolphin Street / Saigenji
唯一無二な存在のライヴ・パフォーマーとジャズ系ミュージシャン達の鉄壁な演奏を収めた2枚組ライヴ・アルバムのハイライト。ジャズスタンダードの壮絶なカバーは、マイルスの『Complete Live At Plugged Nickel 1965』クラスに興奮してしまう。


☆ALIVE / RYUTist(『ファルセット』収録) 
アルバム毎に光速で進化し続ける一流ガール・ヴォーカル・グループの最新作のキーデバイスとなった1曲。現代音楽やジャズ・マナーの演奏から構築されるサウンド・ストラクチャーに彼女達の歌声が溶け込み、得も言われぬ世界観を生んでいる。 


☆さよなら麦わら帽子(Live Version) / ウワノソラ
『くらげ』収録)
 自主製作マキシシングル収録にしておくには勿体ないクオリティのライヴ音源。彼等のファースト・アルバムの中でも筆者がファイバリットにしていた、リズムチェンジが激しいラテン・ジャズ風ポップスで、巧みな演奏力はスタジオ盤を超えている。


☆さよならはハート仕掛け, セピア色の九月 / Kaede
Lamp染谷とウワノソラ角谷の共同プロデュースによる、Negiccoメンバーのセカンド・ミニアルバムは、両バンドファンにとっても完成度が高く、1曲に絞って選べない。それはクリッパーのアールグレイとヴェローゾのカイピリーニャのいずれかを選べという愚問にも近い。


☆TAXI / 一色萌 FEAT. Deaf School(7”『Hammer & Bikkle』収録) 
英国ロック・マニア感涙のコラボ&カバーを実現させた7インチから。伝説のパブロック/パワーポップ・バンドに43年の歳月を経てリレコーディングさせてしまった、プログレ~パブロック・アイドルとレーベル代表の情熱に敬服するばかりだ。


☆悲しいくらいダイヤモンド / 流線形/一十三十一
『Talio』収録) 
ネオ・シティポップのアイコン達が集結して製作したドラマ・サウンドトラック・アルバムを期待しない方がおかしい。一十三の艶のあるコケティッシュな歌声とアーバン・メロウなサウンドで、悪夢にうなされたこの年を80年代の煌めきに揺り戻してくれた。


☆Count On Me / Diogenes Club (『Count On Me』収録)  
男性2人組のネオ・アコースティック・ユニットによるファースト・7インチのタイトル曲。ギターポップとソフトロックを融合させたソングライティングとアレンジを誇るクリエイターと、ギタポ・バンドマンにしては美声で巧すぎるヴォーカリストとの邂逅による名曲。


☆公園日和 / 伊藤尚毅 (『伊藤尚毅の世界』収録)  
若きシンガー・ソングライター初の全国流通アルバムの核となる曲。風をあつめた遙か昔の時代から時を止めたような、桃源郷ブルーアイドソウルは彼以外には生み出せないだろう。個性派ブライテストホープとして次作も期待している。


☆Shame On You / Ellie (『NEO BITCHIZM』収録)  
渋谷系のミューズという冠はもはや無用な超一流ヴォーカリストの最新作で最高傑作に、年の瀬を前に出会えたことを心から感謝している。特にこの曲でのエモーショナルで圧倒的な彼女のヴォーカルには平伏すばかり。ミニー・リパートン、リンダ・ルイス、TLCの諸作と同クラスで熱く聴き込んで欲しい名作だ。

(選者:ウチタカヒデ)


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