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2020年10月21日水曜日

【ガレージバンドの探索・第十回】The Pirates

 昨年末、関西に帰省するバンドメンバーに頼んで大阪のレコード屋さんで買ってきてもらったThe Piratesの7インチ (Back Stage Records – 5001)。バンドのことを少し調べてみたのだけれど、数ある一発屋のガレージバンドと同じように情報はあまり見つからなかった。僅かに出てくる情報も、Jonny Kidd & The Piratesと間違えられていたり、カリフォルニア出身だ、ニューオーリンズ出身だ、とかだいぶ錯綜しているけれど、おそらく正しくはルイジアナのバンドと思われる。オリジナル盤のリリースは65年か66年のようだ。

Cuttin'Out  /  The Pirates

 コンピレーション『VA - Don't Be Bad! 60s Punk Recorded In Texas』(CDSOL-8345 Solid Records/Big Beat)に収録されていて分かったのだけれど、プロデューサーは、Sir Douglas QuintetやBarbara Lynnのプロデュースで知られる Huey P. Meaux(The Crazy Cajun)だった。このコンピはHuey P. Meauxが60年代に手掛けたガレージパンク作品を集めたものだそう。

 ガレージのコンピは地域で括られているものをよく見る。音楽性によってジャンル分けされたりするのは、自分好みの音楽に出会える道しるべとして便利なものだと思うのだけれど、ガレージは地域性が色濃いことや、バンド自体よりも曲単位で知られることが多い特性もあって、どこの地域のバンドかを知るのがジャンル分けと同じように特に役立つのかもしれない。

 The Piratesについて、レコードコレクターの間でこれはガレージじゃない、R&Bだという人もいて意見が分かれるらしい。そういえば、ガレージが好きだという話をすると、ガレージって何?と聞かれることがあるのだけれど、いつも上手に説明できない。

 よく成り立ちとして説明されているのは、60年代半ばにブリティッシュ・インベイジョンの影響を受けたアメリカの若者がガレージ(車庫)で演奏していたことが始まり、というもので、そういう形式なのでもともとは本当に音が悪かったのだろう。そんな環境の中で生まれた味わいを含む音、音楽が今はガレージという1ジャンルとして確立した、ということかもしれない。

 激しいのもあれば、大人しそうなのもあったり、傾向として演奏が下手な場合も多いけれど、下手ならガレージになるわけでもなく、どういうものかと考えると難しい。ただガレージが好きな人は、聴いた時にそれがガレージだと分かる、というような音楽なんじゃないかと思う。

【文:西岡利恵




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