2019年9月7日土曜日

【ガレージバンドの探索・第六回】 We The People

前回、サザンロックバンドCowboyについての記事を書く為にメンバーのTommy Taltonの経歴を調べていたら、Cowboy結成前にはガレージバンドをやっていたと知って少し驚いた。
1965年から1968年まで、We The Peopleという、フロリダ州オーランドのガレージバンドに所属していた。
地元紙Orlando Sentinel のライターRon Dillmanが最強のガレージバンドを作ろうと、人気のあったローカルグループThe TrademarksのメンバーとThe Offbeets(以前はThe Nonchalantsとして知られていた)のメンバーを集めて構成したのがWe The Peopleだったそうだ。彼らの楽曲はNuggetsやPebblesなど数多くのガレージコンピにも収録されている。 



【メンバー】
Randy Boyte - Organ (1966–1970)
David Duff - Bass (1966–1970) 
Tommy Talton - Guitar (1966–1968)
Wayne Proctor - Lead guitar (1966–1967) 
Tom Wynn - Drums (1966)
Lee Ferguson - Drums (1966–1967) 
Terry Cox - Drums (1967–1970) 
Carl Chambers - Guitar (1968–1969)
Skip Skinner - Guitar (1969–1970)  

We The People の最初のリリースは1966年初頭。
Ron Dillmanがバンドのマネージャーとなって地元のレコードレーベルHotlineから、「My Brother, the Man」(B面「Proceed With Caution」)【 Hotline Records-3680】をリリースした。
地元でトップ10ヒットとなり、それはChallenge Recordsとのレコーディング契約につながった。 そして1966年6月、Tony Moonプロデュースでセカンドシングル「Mirror of Your Mind」(B面「The Color of Love」)【Challenge-59333】をリリース。全国チャートには到達しなかったものの、全米の多くの地域、特にナッシュビルとオーランドで地域的な大ヒットとなった。この曲は後に多くのコンピに収録された。



Mirror of Your Mind / We The People 

1966年9月には「He Doesn't Go About It Right」(B面「You Burn Me Up And Down」)【Challenge-59340】をリリース。B面曲だった「You Burn Me Up And Down」は、「Mirror Of Your Mind」と同様多くのコンピに収録された為、バンドの代表曲のひとつになっている。
最初は、この2曲のように荒々しいサウンドのバンドイメージが強かったようだけれど、We The Peopleが制作した楽曲はとても多彩。
Wayne Proctor とTommy Taltonの2人は特にバンドにとって重要なソングライターだったようだ。
「Mirror of Your Mind」のB面「The Color of Love」はバラード曲で、これはボサノヴァ曲「The Girl From Ipanema」の影響を受けて書かれたらしい。 4番目のシングル「In the Past」(B面「St. John's Shop」)【Challenge-59351】は、1966年後半にリリースされた。サイケデリックな曲で、シタールの代わりに使用したのが、友人の祖父によって作られた"octachord"という大きなマンドリンのような、8弦の楽器だった。
「In the Past」をA面としてリリースするも、地元のラジオ局はサイケデリックなサウンドよりソフトなB面の「St. John's Shop」を好んだらしく、「St. John's Shop」がオーランドチャートで2位になった。
「In the Past」は、1968年にThe Chocolate Watchbandのセカンドアルバム『The Inner Mystique』【Tower ‎– ST 5106】でカバーされている。


In the Past / We The People  

1967年初頭、ソングライター兼リードギタリストのWayne Proctorがベトナム戦争の徴兵を避けるためにバンドを辞め大学に戻った。
それはバンドにとって大きなダメージとなったけれど、その後も1967年、1968年を通じてRCAレコードから3枚のシングルをリリースしている。 「Follow Me Back To Louisville」(B面「Flourescent Hearts」)【RCA Victor ‎– 47-9292】 「Love Is A Beautiful Thing」(B面「The Day She Dies」)【RCA Victor ‎– 47-9393】 「Ain't Gonna Find Nobody (Better Than You)」(B面「When I Arrive」)【RCA Victor ‎– 47-9498】 1968年半ばにTommy Taltonが脱退。RCAとの契約満了も相まって、バンドのレコーディングキャリアは事実上終了し、1969年10月31日のハロウィンコンサートの後、Ron Dillmanがグループを解散することを決定した。
Wayne Proctor はバンドを去った後、The Lemonade Charadeに「Follow the Yellow Brick Road」を書きマイナーヒットした。現在はサウスカロライナ州のローカルバンドで演奏している。
Tommy Taltonは、冒頭にも書いた通りサザンロックバンドのCowboyとして活動した。

We The Peopleの楽曲は多くのガレージコンピで聴けるけれど、1998年にSundazedから出ている2枚組CDの『Mirror of Our Minds』(Sundazed SC 11056)では、未発表のトラック、デモ、代替テイクや、The Trademarks、The Offbeetsなどの関連音源も含む、We The Peopleの歴史全体の音源がまとめられている。



【文:西岡利恵(The Pen Friend Club)/編集:ウチタカヒデ】 

参考・参照サイト: http://therockasteria.blogspot.com/2017/04/we-people-mirror-of-our-minds-1964-67.html 

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