70年代を中心にジャンルを超えて、その巧みなベース・プレイでミュージシャンズ・ミュージシャンとして知られるチャック・レイニー。
チャックは40年6月17日オハイオ州のクリーブランドで生まれた。クラシックのヴァイオリン、ピアノ、トランぺットの教育を受けたが、バリトンホーン奏者としてテネシー州のレイン大学に奨学生として入学する。
軍事兵役時代にはギターをマスターし、大学卒業と兵役終了後にはクリーブランドに戻り、地元のバンドでギタリストとしてミュージシャンとしての活動をスタートしたが、後にベーシストへと転向した。
このように様々な楽器奏者として経験が、彼特有のベース・プレイにフィードバックされていったのではないだろうか。
その後ニューヨークでセッション・ベーシストとして活動を始め、キング・カーティス、アレサ・フランクリンなどアトランティック・レコードの主要レコーディングを皮切りに、クインシー・ジョーンズ、サム・クック、エタ・ジェイムズなどの著名ジャズ・クリエイター、ソウル・シンガーのレコーディングに参加する。
評判になったそのベース・プレイはジャンルを超え、アル・クーパー、ローラ・ニーロなど黒人音楽に影響されたシンガーソングライターのレコーディングでもオファーされ、72年のロサンゼルス移住後には、スティーリー・ダンの多くのレコーディング・セッションで重要な役割を果たしたのは読者にはご存じの通りだ。
これまでにチャックが参加したアルバムは数百以上と言われており、81年にはその功績が認められ、オハイオ州芸術評議会から、厳選された数少ないミュージック・サイドマンとして認可を受けている。
ここではそんなチャック・レイニー氏を心より敬愛するミュージシャン達と、彼のベストプレイを挙げてその偉業を振り返ってみたい。
因みに今回の参加者8組中6名がベーシストなので、その選曲も玄人好みになったといえるだろう。
サブスクリプションの試聴プレイリストを聴きながら読んで欲しい。
サブスクリプションの試聴プレイリストを聴きながら読んで欲しい。
【チャック・レイニーのベストプレイ5】
●曲目 / ミュージシャン名
(収録アルバムまたはシングル / リリース年度)
◎選出曲についてのコメント
【invisible manners(平山大介、福山整)】
平山大介、福山整からなる音楽作家ユニット。
黒人音楽をベースにしながらも独自のアレンジやメロディメイクで様々なアーティストへの楽曲提供を手掛ける。https://invisiblemanners.tumblr.com/
●Get on top / Tim Buckley
(『Greetings from L.A.』/ 72年)
◎Tim Bucklyがソウルに歩み寄ったアルバム。60’sのロックバンドの残り香も強く感じさせる質感に加えられた独自のファンクネスはDr.Feelgood同様にパンクの出現を予言している感じもするが、Chuck Raineyまでもがそれに応じたフィーリングに溶け込んでいる。
Get on topの遺伝子はGang of fourなどによって受け継がれ現代まで生き続ける。
●Street Walking Woman / Marlena Shaw
(『Who Is This Bitch, Anyway?』/ 74年)
◎『Who Is This Bitch, Anyway?』を初めて聴く方へ。 冒頭よく分からない会話が続いて曲をスキップしたくなると思うが、3分だけ待とう。
唐突な曲入り、高速ファンクからスウィングビートへのリズム変化、随所に施されたギミックの数々に圧倒される筈。プログレッシブなだけでなくプレイヤーの個性が溢れ出ていて有機的なサウンドに仕上がっているのもこの楽曲の魅力。
●He is the One / Peggy Lee
(『Let's Love』/ 74年)
◎当時のシンガーソングライター的な叙情性冴える70’sらしいゴスペル曲。 アルバムタイトル曲はThe歌心ベーシスト・ポールマッカートニーだが今回は控え目。代わりとばかりにこの曲でチャックが低音からハイフレットまでベースという楽器を知り尽くした滑らかな歌心を聴かせてくれる。
●PEG / Steely Dan
(『Aja』/ 77年)
◎スクウェアなボーカルに対し主役級におしゃべりなベース。小節前半のギターとキーボードのユニゾンバッキングに呼応するように小節後半を台詞で埋める。Rick Marottaの裏打ちアクセントハイハット等、隙間なく敷き詰められたリズムの骨子の中で軽快に喋り歌うことが出来るのは正に匠の技。
●I Don't Know / Syreeta
(『One To One』/ 77年)
◎後半に行くにつれボルテージがブチ上がる演奏陣の妙技を堪能出来る楽曲。本アルバムではSyreetaの2番目の夫でベーシストのCurtis Robertson Jr.もベーシストとしてクレジットされているので正確なプレイヤーは定かではないが、Leon WareとSyreeta共作のこの楽曲のソウルマナーはチャックの手によるものと推測。
◎Tim Bucklyがソウルに歩み寄ったアルバム。60’sのロックバンドの残り香も強く感じさせる質感に加えられた独自のファンクネスはDr.Feelgood同様にパンクの出現を予言している感じもするが、Chuck Raineyまでもがそれに応じたフィーリングに溶け込んでいる。
Get on topの遺伝子はGang of fourなどによって受け継がれ現代まで生き続ける。
●Street Walking Woman / Marlena Shaw
(『Who Is This Bitch, Anyway?』/ 74年)
◎『Who Is This Bitch, Anyway?』を初めて聴く方へ。 冒頭よく分からない会話が続いて曲をスキップしたくなると思うが、3分だけ待とう。
唐突な曲入り、高速ファンクからスウィングビートへのリズム変化、随所に施されたギミックの数々に圧倒される筈。プログレッシブなだけでなくプレイヤーの個性が溢れ出ていて有機的なサウンドに仕上がっているのもこの楽曲の魅力。
●He is the One / Peggy Lee
(『Let's Love』/ 74年)
◎当時のシンガーソングライター的な叙情性冴える70’sらしいゴスペル曲。 アルバムタイトル曲はThe歌心ベーシスト・ポールマッカートニーだが今回は控え目。代わりとばかりにこの曲でチャックが低音からハイフレットまでベースという楽器を知り尽くした滑らかな歌心を聴かせてくれる。
●PEG / Steely Dan
(『Aja』/ 77年)
◎スクウェアなボーカルに対し主役級におしゃべりなベース。小節前半のギターとキーボードのユニゾンバッキングに呼応するように小節後半を台詞で埋める。Rick Marottaの裏打ちアクセントハイハット等、隙間なく敷き詰められたリズムの骨子の中で軽快に喋り歌うことが出来るのは正に匠の技。
●I Don't Know / Syreeta
(『One To One』/ 77年)
◎後半に行くにつれボルテージがブチ上がる演奏陣の妙技を堪能出来る楽曲。本アルバムではSyreetaの2番目の夫でベーシストのCurtis Robertson Jr.もベーシストとしてクレジットされているので正確なプレイヤーは定かではないが、Leon WareとSyreeta共作のこの楽曲のソウルマナーはチャックの手によるものと推測。
I Don't Know / Syreeta
https://groove-unchant.jimdo.com/
●Woman's Blues / Laura Nyro
(『Eli and the Thirteenth Confessio』/ 68年)
◎Laura Nyroの高い音楽性を表現するのにChuck Raineyも必要だったと改めて 認識させられた曲。
●A Ray of Hope / The Rascals
(『Freedom Suite』/ 69年)
◎ベースのグルーヴがこの曲のブルーアイドソウル感を出す一翼を担ってますよね。
●Lansana's Priestess / Donald Byrd
(『Street Lady』/ 73年)
◎Sky High Productionでもいい仕事しています。 ループでず~っと聴いていても飽きません。
●Green Earrings / Steely Dan
(『The Royal Scam』 / 76年)
◎Steely Danの曲の中で個人的にベスト5に入る曲。派手な動きは特にないけど、一番影響受けたベースラインかも。
●It's So Obvious That I Love You / Sergio Mendes & Brasil '77
(『Home Cooking』 / 76年)
◎ポップスの中でもChuck Raineyのベースは生き生きしていて、最高のグルーヴを聴かせてくれます。
【小園兼一郎(small garden)】
サックス吹きでもありベーシストでもあります。 https://twitter.com/sgs_kozonohttps://smallgardenstudio.jimdo.com/
●You've Got a Friend / Roberta Flack
(『Roberta Flack & Donny Hathaway』 / 72年)
◎音数の少ないレイドバック気味の前半から後半の16分アプローチの変化が とても自然で心地良く、盛り上げ過ぎない好演です。
チャック参加の全ての曲に言えますが音価の調節に関して右に出るものは いないと思います。
●The Fez / Steely Dan
(『The Royal Scam』 / 76年)
◎ほぼ固定フレーズの繰り返しであるが「レイドバッカー」としてのチャックの ジャストの演奏が聴けるのはSteely Danだけ(でも絶対に前には出ない)。曲は前半と後半でドラム、ベースの位置がなぜか違うという変わったミックスです。
●Shine Like You Should / Melissa Manchester
(『Don't Cry Out Loud』 / 78年)
◎ジャストビートとシャッフルの中間、絶妙なハネ具合のオブリが満載。 バスドラと合わせる基本形の演奏ながら玄人好みのビート。 チャックのミュート術。
●Green Flower Street / Donald Fagen
(『The Nightfly』/ 82年)
◎チャックである必要があるのかというビートの曲だが天然のもたり具合を 最大限にソリッドに持っていった曲として有りだと思っています。 オブリやハンマリングは健在なのですがドラムが打ち込みのせいもあって 冷たい印象のチャックということでそれも有りです。
●君がいない / SMAP
(『SMAP 007 ~ Gold Singer』 / 95年)
◎バーナード・パーディとJ-popへのアプローチ。音の歯切れ具合は最高です。 要所のフレーズを聴く限り、かなり自由に演奏していると思われるので チャックの魅力が生かされた名演に入れて良いと思います。
【TOMMY (VIVIAN BOYS)】
オフィシャルサイト: https://twitter.com/VIVIAN_BOYS
●Spanish Twist / The Isley Brothers
(7”『Twist And Shout』B面/ 62年)
◎Phil Spectorによる「Twist And Shout」初出版を嫌った作者版、のオケ流用。スペクターのスパニッシュ嗜好との因果な曲名。演奏は、後年メロウグルーヴを多産するKing Curtis組やTrade Martinら。
●God Only Knows / Gary McFarland & Co.
(『Does The Sun Really Shine On The Moon?』/ 68年)
◎早逝の作・編曲家/ヴィブラフォン奏者のリーダー作、冒頭のThe Beach Boysの屈指曲。自身のSkye Recordsより。収録のチャック作「Three Years Ago」にも注目。
●Most Of All / The Arbors
(『Featuring: I Can't Quit Her - The Letter』/ 69年)
◎「Mas Que Nada」で人気だが、チャック参加の本作にもハーモニー・ソフト・サイケの名曲が。1分43秒〜のベースが導く怒涛の昇天ハーモニー。Moonglowsのドゥーワップ曲(55年)が、新たな美しさで再誕。
●Little Girl / Donny Hathaway
(『Donny Hathaway』/ 71年)
◎拍最後尾を狙う打点、悠久の白玉、曲想を担うダブルストップ。ダニー絡みならPhil Upchurch『Darkness,Darkness』(Tommy LiPuma、Nick De Caro参加)の「What We Call The Blues」も名演。
●Eloise(First Love)/ The Chuck Rainey Coalition
(『The Chuck Rainey Coalition』/ 72年)
◎上述Skye Recordsでのリーダー作より。チャック作曲。69年録音、ニューソウルを遥かに先取る。P-Vine版CDには自ら歌うSteely Dan「Josie」のカヴァー(82年録音)も。
【hajimepop】
https://www.hajimepop.com/
●Away Away / The Rascals
(『See』/ 69年)
◎チャックのワン・フィンガー奏法での細かいフレーズは、ラスカルズの作品でも随所で堪能できる。他のセッションより硬質でロック的な音(しかもこの曲はサイケ!)が実に新鮮。
●Until You Come Back to Me /Aretha Franklin
(『Let Me In Your Life』/ 74年)
◎作曲者のスティーヴィー・ワンダー版も素晴らしいけれど、個人的には胸キュンなアレサ版の方が好き。チャックの"語るベース" の不在が大きいのだ。
●I Got Love for You, Ruby / Frankie Valli
(『Closeup』/ 75年)
◎最近ではあまり聞かれない、美しいメロディをどこまでも展開していくポップスの名曲。歌ものベースのお手本のような素晴らしい演奏だ。
●Wouldn't Matter Where You Are / Minnie Riperton
(『Stay In Love』/ 77年)
◎国内外で盛り上がりを見せる、シティポップの雛形のようなサウンド。チャックをはじめ、各々のパートの圧倒的な演奏で、音楽の魔法が真空パックされたようなトラックだ。
●Bad Weather / Melissa Manchester
(『Don't Cry Out Loud』78年)
◎大部分のベースをチャックが弾いている、メリサの大傑作から。これはスティーヴィー節全開のシュープリームスのカヴァーだが、管楽器やコーラスなど、本作の特徴であるゴージャスな編曲が堪らない。
【洞澤徹(The Bookmarcs)】
https://silentvillage.wixsite.com/horasawa
●Where is the Love / Roberta Flac & Donny Hathaway
(『Roberta Flack & Donny Hathaway』 / 72年)
◎軽やかなのに重心がある感じ。2人のソフトな歌い方に寄り添うようなベースのフレー ジングと音色。
●Summer in the City / Quincy Jones
(『You've Got It Bad Girl』 / 73 年)
◎柔らかな音色で朗々と歌い上げるベース。完全に楽曲の中で主役。
●Stick Together / Minnie Riperton
(『Stay in Love』/ 77年)
◎Chuck Rainey の中ではゴリゴリ感が強い。らしい独特なラインがクセになるダンスナ ンバー。
●Dream On / Bill LaBounty
(『Bill LaBounty』/ 82年)
◎このテンポ、切ないコード感とマッチして数あるAORの良曲の中でもすこぶる気持ち良 いタイム感。Jeff PorcaroとChuck Raineyのコンビネーションが、何を上にのっけても 気持ちよくなるくらいに素晴らしいからだろう。
●I Want You / Chuck Rainey/David T. Walker Band
(『Chuck Rainey / David T. Walker Band』/ 94年)
◎Chuck Raineyのベースに呼応するかのようなDavid.Tのギターのオブリガードがいちい ちグッとくる。このベースがなかったら生まれないであろうフレーズの数々。
【松木MAKKIN俊郎(Makkin & the new music stuff / 流線形 etc)】
http://blog.livedoor.jp/soulbass77/
● Think About It / Len Novy
(『No Explanations』/1969年)
◎まず自分内ルールでソウル/ジャズ系を選外としたことをお断りしておきます。これは一発目のボン!という重たい響きから、全体をコード弾きで彩った浮遊感ある演奏へ。 60年代フォークシンガーの作品とは思えない先進性に舌を巻く。
●Djinji / Hirth Martinez
(『Hirth From Earth』/1975年)
◎ミュートの効いた音色にワンフィンガーピッキングのニュアンス。3度へのアプローチや繊細なヴィブラート。ソウルベースの何たるかを語り尽くす。
● You Make Me Feel Like Dancing / Leo Sayer
(『Endless Flight』/1976年)
◎ここにチャックを連れてきた人選の妙。シンプルだが、まさに踊るかのような演奏。楽曲を表現した演奏というより、まるでチャック・レイニー讃歌のようにも聴こえる。堂々の全米No.1ヒット。
●Yes I Do / Laura Allan
(『 Laura Allan 』/1978年)
◎シンプルな楽曲と編成だからこそ、メロディやビートに対するチャックのアプローチの基本形がしっかりと残されているという、実は貴重なテイク。教科書のように完璧なラインだが、そのサウンドは決して真似できない。
●Marina Del Rey / Marc Jordan
(『Mannequin』/1978年)
◎ツボを心得た演奏…と言うとありきたり過ぎるが、まさにツボと言うツボをひたすら押してくるような演奏。歌うようなラインに、音の切り方、ゴーストノート。スチールパンの音色と相俟って夢心地に誘う。
【ウチタカヒデ(WebVANDA管理人)】
●See / The Rascals
(『See』/ 69年)
◎ヤング・ラスカルズ時代からセッションマンとしてレコーディングに参加していたが、この曲はフェリックス・キャヴァリエのワンマン・バンド化した末期アルバムのサイケデリック・ソウルな先行シングルだ。手数が多いながらもハーモニーを邪魔しないチャックらしいプレイが聴ける。
●Now Is The Time / The Free Design
(『Heaven/Earth』/ 69年)
◎高度で複雑なコーラス・ワークでソフトロック・ファンには特別な存在である、クリス率いるデドリック兄弟のグループのサード・アルバムを代表する1曲。東海岸の技巧派ジャズ・プレイヤーが多く参加した中で、チャックの有機的なベース・プレイはサウンドの中で素晴らしく機能している。
●Kid Charlemagne / Steely Dan
(『The Royal Scam』/ 76年)
◎チャックの名を上げた説明不要な名演中の一曲。グルーヴのトリガーはバーナード・パーディのラテンファンク・スタイルのドラミングだが、トニック~5度~トニックを繰り返すチャックのベースラインが、えも言えぬ快感を生んでいる。このアルバムでのパーディとのリズム隊はいずれも国宝級の名演だ。
●Sweet Sadie The Savior / Patti Austin
(『End Of A Rainbow』/ 76年)
◎スティーヴ・ガッド、エリック・ゲイル、リチャード・ティーというスタッフのメンバー達にチャックが加わったリズム・セクションの名演。特に3分08秒の所謂スタッフ・スイングするパートからは、ゴードン・エドワーズには出せない緻密なグルーヴの核となっている。
●Some People Can Do What They Like / Robert Palmer
(『Some People Can Do What They Like』/ 76年)
◎ミーターズやリトル・フィートにバッキングをオファーし独自のファンク・サウンドを追求した英国ブルーアイドソウル・シンガーの3作目のタイトル曲。ハイハット・ワークからジェフ・ポーカロだろうか?それに呼応し激しくシンコペートするチャックのプレイがとにかく白眉である。
(企画 / 編集:ウチタカヒデ)●Woman's Blues / Laura Nyro
(『Eli and the Thirteenth Confessio』/ 68年)
◎Laura Nyroの高い音楽性を表現するのにChuck Raineyも必要だったと改めて 認識させられた曲。
●A Ray of Hope / The Rascals
(『Freedom Suite』/ 69年)
◎ベースのグルーヴがこの曲のブルーアイドソウル感を出す一翼を担ってますよね。
●Lansana's Priestess / Donald Byrd
(『Street Lady』/ 73年)
◎Sky High Productionでもいい仕事しています。 ループでず~っと聴いていても飽きません。
●Green Earrings / Steely Dan
(『The Royal Scam』 / 76年)
◎Steely Danの曲の中で個人的にベスト5に入る曲。派手な動きは特にないけど、一番影響受けたベースラインかも。
●It's So Obvious That I Love You / Sergio Mendes & Brasil '77
(『Home Cooking』 / 76年)
◎ポップスの中でもChuck Raineyのベースは生き生きしていて、最高のグルーヴを聴かせてくれます。
It's So Obvious That I Love You / Sergio Mendes & Brasil '77
【小園兼一郎(small garden)】
サックス吹きでもありベーシストでもあります。 https://twitter.com/sgs_kozonohttps://smallgardenstudio.jimdo.com/
●You've Got a Friend / Roberta Flack
(『Roberta Flack & Donny Hathaway』 / 72年)
◎音数の少ないレイドバック気味の前半から後半の16分アプローチの変化が とても自然で心地良く、盛り上げ過ぎない好演です。
チャック参加の全ての曲に言えますが音価の調節に関して右に出るものは いないと思います。
●The Fez / Steely Dan
(『The Royal Scam』 / 76年)
◎ほぼ固定フレーズの繰り返しであるが「レイドバッカー」としてのチャックの ジャストの演奏が聴けるのはSteely Danだけ(でも絶対に前には出ない)。曲は前半と後半でドラム、ベースの位置がなぜか違うという変わったミックスです。
●Shine Like You Should / Melissa Manchester
(『Don't Cry Out Loud』 / 78年)
◎ジャストビートとシャッフルの中間、絶妙なハネ具合のオブリが満載。 バスドラと合わせる基本形の演奏ながら玄人好みのビート。 チャックのミュート術。
●Green Flower Street / Donald Fagen
(『The Nightfly』/ 82年)
◎チャックである必要があるのかというビートの曲だが天然のもたり具合を 最大限にソリッドに持っていった曲として有りだと思っています。 オブリやハンマリングは健在なのですがドラムが打ち込みのせいもあって 冷たい印象のチャックということでそれも有りです。
●君がいない / SMAP
(『SMAP 007 ~ Gold Singer』 / 95年)
◎バーナード・パーディとJ-popへのアプローチ。音の歯切れ具合は最高です。 要所のフレーズを聴く限り、かなり自由に演奏していると思われるので チャックの魅力が生かされた名演に入れて良いと思います。
Shine Like You Should / Melissa Manchester
【TOMMY (VIVIAN BOYS)】
オフィシャルサイト: https://twitter.com/VIVIAN_BOYS
●Spanish Twist / The Isley Brothers
(7”『Twist And Shout』B面/ 62年)
◎Phil Spectorによる「Twist And Shout」初出版を嫌った作者版、のオケ流用。スペクターのスパニッシュ嗜好との因果な曲名。演奏は、後年メロウグルーヴを多産するKing Curtis組やTrade Martinら。
●God Only Knows / Gary McFarland & Co.
(『Does The Sun Really Shine On The Moon?』/ 68年)
◎早逝の作・編曲家/ヴィブラフォン奏者のリーダー作、冒頭のThe Beach Boysの屈指曲。自身のSkye Recordsより。収録のチャック作「Three Years Ago」にも注目。
●Most Of All / The Arbors
(『Featuring: I Can't Quit Her - The Letter』/ 69年)
◎「Mas Que Nada」で人気だが、チャック参加の本作にもハーモニー・ソフト・サイケの名曲が。1分43秒〜のベースが導く怒涛の昇天ハーモニー。Moonglowsのドゥーワップ曲(55年)が、新たな美しさで再誕。
●Little Girl / Donny Hathaway
(『Donny Hathaway』/ 71年)
◎拍最後尾を狙う打点、悠久の白玉、曲想を担うダブルストップ。ダニー絡みならPhil Upchurch『Darkness,Darkness』(Tommy LiPuma、Nick De Caro参加)の「What We Call The Blues」も名演。
●Eloise(First Love)/ The Chuck Rainey Coalition
(『The Chuck Rainey Coalition』/ 72年)
◎上述Skye Recordsでのリーダー作より。チャック作曲。69年録音、ニューソウルを遥かに先取る。P-Vine版CDには自ら歌うSteely Dan「Josie」のカヴァー(82年録音)も。
Most Of All / The Arbors
【hajimepop】
https://www.hajimepop.com/
●Away Away / The Rascals
(『See』/ 69年)
◎チャックのワン・フィンガー奏法での細かいフレーズは、ラスカルズの作品でも随所で堪能できる。他のセッションより硬質でロック的な音(しかもこの曲はサイケ!)が実に新鮮。
●Until You Come Back to Me /Aretha Franklin
(『Let Me In Your Life』/ 74年)
◎作曲者のスティーヴィー・ワンダー版も素晴らしいけれど、個人的には胸キュンなアレサ版の方が好き。チャックの"語るベース" の不在が大きいのだ。
●I Got Love for You, Ruby / Frankie Valli
(『Closeup』/ 75年)
◎最近ではあまり聞かれない、美しいメロディをどこまでも展開していくポップスの名曲。歌ものベースのお手本のような素晴らしい演奏だ。
●Wouldn't Matter Where You Are / Minnie Riperton
(『Stay In Love』/ 77年)
◎国内外で盛り上がりを見せる、シティポップの雛形のようなサウンド。チャックをはじめ、各々のパートの圧倒的な演奏で、音楽の魔法が真空パックされたようなトラックだ。
●Bad Weather / Melissa Manchester
(『Don't Cry Out Loud』78年)
◎大部分のベースをチャックが弾いている、メリサの大傑作から。これはスティーヴィー節全開のシュープリームスのカヴァーだが、管楽器やコーラスなど、本作の特徴であるゴージャスな編曲が堪らない。
Wouldn't Matter Where You Are / Minnie Riperton
【洞澤徹(The Bookmarcs)】
https://silentvillage.wixsite.com/horasawa
●Where is the Love / Roberta Flac & Donny Hathaway
(『Roberta Flack & Donny Hathaway』 / 72年)
◎軽やかなのに重心がある感じ。2人のソフトな歌い方に寄り添うようなベースのフレー ジングと音色。
●Summer in the City / Quincy Jones
(『You've Got It Bad Girl』 / 73 年)
◎柔らかな音色で朗々と歌い上げるベース。完全に楽曲の中で主役。
●Stick Together / Minnie Riperton
(『Stay in Love』/ 77年)
◎Chuck Rainey の中ではゴリゴリ感が強い。らしい独特なラインがクセになるダンスナ ンバー。
●Dream On / Bill LaBounty
(『Bill LaBounty』/ 82年)
◎このテンポ、切ないコード感とマッチして数あるAORの良曲の中でもすこぶる気持ち良 いタイム感。Jeff PorcaroとChuck Raineyのコンビネーションが、何を上にのっけても 気持ちよくなるくらいに素晴らしいからだろう。
●I Want You / Chuck Rainey/David T. Walker Band
(『Chuck Rainey / David T. Walker Band』/ 94年)
◎Chuck Raineyのベースに呼応するかのようなDavid.Tのギターのオブリガードがいちい ちグッとくる。このベースがなかったら生まれないであろうフレーズの数々。
Dream On / Bill LaBounty
【松木MAKKIN俊郎(Makkin & the new music stuff / 流線形 etc)】
http://blog.livedoor.jp/soulbass77/
● Think About It / Len Novy
(『No Explanations』/1969年)
◎まず自分内ルールでソウル/ジャズ系を選外としたことをお断りしておきます。これは一発目のボン!という重たい響きから、全体をコード弾きで彩った浮遊感ある演奏へ。 60年代フォークシンガーの作品とは思えない先進性に舌を巻く。
●Djinji / Hirth Martinez
(『Hirth From Earth』/1975年)
◎ミュートの効いた音色にワンフィンガーピッキングのニュアンス。3度へのアプローチや繊細なヴィブラート。ソウルベースの何たるかを語り尽くす。
● You Make Me Feel Like Dancing / Leo Sayer
(『Endless Flight』/1976年)
◎ここにチャックを連れてきた人選の妙。シンプルだが、まさに踊るかのような演奏。楽曲を表現した演奏というより、まるでチャック・レイニー讃歌のようにも聴こえる。堂々の全米No.1ヒット。
●Yes I Do / Laura Allan
(『 Laura Allan 』/1978年)
◎シンプルな楽曲と編成だからこそ、メロディやビートに対するチャックのアプローチの基本形がしっかりと残されているという、実は貴重なテイク。教科書のように完璧なラインだが、そのサウンドは決して真似できない。
●Marina Del Rey / Marc Jordan
(『Mannequin』/1978年)
◎ツボを心得た演奏…と言うとありきたり過ぎるが、まさにツボと言うツボをひたすら押してくるような演奏。歌うようなラインに、音の切り方、ゴーストノート。スチールパンの音色と相俟って夢心地に誘う。
Marc Jordan / Marina Del Rey
【ウチタカヒデ(WebVANDA管理人)】
●See / The Rascals
(『See』/ 69年)
◎ヤング・ラスカルズ時代からセッションマンとしてレコーディングに参加していたが、この曲はフェリックス・キャヴァリエのワンマン・バンド化した末期アルバムのサイケデリック・ソウルな先行シングルだ。手数が多いながらもハーモニーを邪魔しないチャックらしいプレイが聴ける。
●Now Is The Time / The Free Design
(『Heaven/Earth』/ 69年)
◎高度で複雑なコーラス・ワークでソフトロック・ファンには特別な存在である、クリス率いるデドリック兄弟のグループのサード・アルバムを代表する1曲。東海岸の技巧派ジャズ・プレイヤーが多く参加した中で、チャックの有機的なベース・プレイはサウンドの中で素晴らしく機能している。
●Kid Charlemagne / Steely Dan
(『The Royal Scam』/ 76年)
◎チャックの名を上げた説明不要な名演中の一曲。グルーヴのトリガーはバーナード・パーディのラテンファンク・スタイルのドラミングだが、トニック~5度~トニックを繰り返すチャックのベースラインが、えも言えぬ快感を生んでいる。このアルバムでのパーディとのリズム隊はいずれも国宝級の名演だ。
●Sweet Sadie The Savior / Patti Austin
(『End Of A Rainbow』/ 76年)
◎スティーヴ・ガッド、エリック・ゲイル、リチャード・ティーというスタッフのメンバー達にチャックが加わったリズム・セクションの名演。特に3分08秒の所謂スタッフ・スイングするパートからは、ゴードン・エドワーズには出せない緻密なグルーヴの核となっている。
●Some People Can Do What They Like / Robert Palmer
(『Some People Can Do What They Like』/ 76年)
◎ミーターズやリトル・フィートにバッキングをオファーし独自のファンク・サウンドを追求した英国ブルーアイドソウル・シンガーの3作目のタイトル曲。ハイハット・ワークからジェフ・ポーカロだろうか?それに呼応し激しくシンコペートするチャックのプレイがとにかく白眉である。