前編に続いて、サード・アルバム『夜霧(よぎり)』を6月26日にリリースする、ウワノソラのメンバーにおこなったインタビューの後編をおおくりする。
●レコーディングの時期と今回参加したミュージシャンの紹介と各自のエピソードを聞かせて下さい。
角谷:レコーディング時期は18年の9月から19年の3月末まででした。 各参加ミュージシャンの方と共にエピソードに触れていきます。
(回答:角谷博栄、いえもとめぐみ)
深町仰君
ファーストからずっとコーラスや管弦アレンジ面で手伝ってもらっています。共同生活では基本僕が夕飯を作っていまして、いつも割と量を多く作っていたので見事に太らせることに成功しました。
彼が買っていた“うまかっちゃん”というソウルフード的インスタントラーメンを僕が食べてしまった時は、すごく悲しそうにしていました。
熊代崇人君
ファーストからずっとベースを弾いてもらっています。関西で引っ張りだこのプレイヤーです。
大晦日、一人で作業していまして、年が明けたあとすぐに車で駆けつけてくれまして、年越しそばと称する“ペヤングGIGAマックス”をくれました。一年に3回ぐらいしかスラップはしないというベーシストです。
玉田和平君
パーカッションとエンジニアをやってもらっております。ボンゴを買って、録音したいから叩いて、と元旦から録音を手伝ってもらったりしておりました。
ミックス作業は2か月間ほぼ毎日電話やメールをしながら遠隔で基本、夜12時から朝6時まで行い、細かい微細なものまですべて対応してもらい感謝しております。”今まで1000バンド以上録音してるけど、キツい仕事ランキングベスト3に『陽だまり』と『夜霧』が見事に入っているよ”と言っておりました。
越智祐介さん
ファーストでドラムを数曲担当して頂いておりまして、今回全ての楽曲でお願いすることになりました。 楠瀬誠志郎さんのバンドをはじめ、いろいろなサポート活動などでご活躍されております。東京在住なので、遥々大阪までレコーディングをしに同伴して下さいました。素晴らしい演奏をして下さいました。
杉山悟史さん
今回ほぼ全てで鍵盤を担当してくださいました。関西若手ではNo1プレイヤーでは、と思っております。
情熱的で、深夜まで続いたレコーディングでも素晴らしい演奏を連発して下さいました。録音させてもらった後に、 “大量の資料や楽譜が送られてきて、これはガチだと思った”と仰っておりました(笑)。
宮脇翔平君
ファーストから鍵盤を担当してもらっております。現在は小坂忠さんのアルバム参加をはじめ、東京にてサポートや自身のプロジェクトで活躍しております。
今回は鍵盤では1曲のみの参加でしたが、曲の相談をしたりとちょいちょい助けられておりました。
難波大介君
大学の後輩のギタリストで現在は講師や演奏中心に活躍しております。 ラインと天才的なタイム感に大学の頃から惚れ込み、何かあるとお願いしております。
「ホテル70」のソロは彼が22歳の時にデモの音源で演奏していたソロをそのまま使っております。
横山貴生さん
67’以降サックスソロやフルートソロは横山さんにお願いしております。 プレイも毎回感動させて頂いております。関西の大御所で、演奏活動や、レコーディング、NHKなどでの演奏など幅広く活躍されております。僕の周りのミュージシャンたちは“GOD”と呼んでおります。
お人柄も全てにおいて尊敬しております。今回、録音の合間に、音楽を辞めようと思った事はないのですか。との僕の問に、 “そんなのはいつだって思っている”と仰られていて、こんな凄いミュージシャンでもそれを考えるんだと、少し親近感といいますか安心したり、演奏において“僕は後ろを向いている人が振り向くような演奏したいといつも思っている”、”全ての音楽から勉強できるし僕はまだまだ勉強途中なんだ”、などすごく考えさせられるような、もちろんそれが普通かもしれませんが、僕にとって沢山の有り難い事を仰ってくれる師匠的な存在です。
それでいて”ビール一杯で僕は何でもやります”的な事を仰られる気さくで腰の低い方で、粋さに毎回惚れ惚れしてしまっています。そうでなければ名もないギャラもちゃんと支払われるかも分からないようなウワノソラ’67からなんて参加してくれていません。
ウワノソラはそういう方の音楽愛に支えられ表現をする事が出来たバンドなのです。和光堂人。僕の中では”実るほど頭を垂れる稲穂かな”ということわざがお似合いすぎる人生の先輩です。
杉野幹起君
関西で活躍中のサックスプレーヤーです。2015年のウワノソラのライブで「ロキシーについて」のソロが杉野の人生のMAXだったとの声が未だに周りからあります(笑)。今回録音ではソロを取ってはいませんが彼のソロが好きなのです。
今年の8月のライブでも彼がサポートしてくれるのでソロを楽しみにしております。
横尾昌二郎さん
関西若手トランペットではNo.1プレイヤーではないでしょうか。演奏活動や自身のプロジェクト、今年なにわJAZZ大賞を受賞していたりと大活躍されております。
録音においても、事前にブラス隊のみで集まり練習して下さるなど、グッときた事がありました。
『陽だまり』の「パールブリッジを渡ったら」では横尾さんのかっこいいソロが聴けます。横尾さん主催のビッグバンド“YOKOO BB”は動画もYOUTUBEで見られますね。今年、250名~500名のビックバンドの指揮をされる予定で、それでギネス記録に挑戦する、という面白い事もやられていて、都合よく関西にいたらそのステージ絶対見たいと思っております。
磯野展輝君
今回最年少のトロンボーンのサポートプレーヤーです。ブラスの合同練習はまさかの彼の自宅スタジオで行いました。
楽曲でもかなりハイノートがありますが見事に演奏して頂けました。「陽だまり」でも参加して頂いております。
まだ彼のライブにはいったことが無いので、いつか行きたいです。
蝶の刺青
福神陽香さん大学の後輩のホルン奏者で、卒業してから存在を知り『陽だまり』制作に参加して頂いております。
現在和歌山在住で、わざわざ1曲の為に大阪まで来てくれました。ライブよりレコーディングの方が緊張すると、スタジオでストレッチを入念にしていたのが印象的でした。「蝶の刺青」ではトロンボーンとホルンのユニゾンで理想の音像が作ることが出来ました。
松本尚子さん
今回初めて制作に参加して頂きました。数々の賞を受賞されている大阪で活躍されているバイオリニストで、難しい譜面も難なく演奏して頂けました。
容姿端麗にしてバイオリンを弾いている姿と出音の良さが相まって、ずっとソワソワ、クラクラ、ドキドキしておりました。
中塚哲司さん
ファーストからすべてのアルバムでビオラ演奏をサポートして下さっている先輩です。頼り続けています。
生涯現役を胸に掲げ、音楽と猫に果てしない愛情を注ぎながら、ロシア民謡をベースとする自身のバンドや講師などでご活躍されております。
録音の後、セッションに行く際、「隕石のラブソング」のフレーズが気に入ったから今日はこのフレーズをソロでやりまくるわ!と仰られていて、後日お話を聞くと本当にずっとソロで演奏されていたようです(笑)。車の中がめちゃくちゃ汚いことで僕の中で有名です。
玉木俊太君
『陽だまり』からチェリストとして参加して頂いています。現在は関西フィルハーモニー管弦楽団で活躍しております。
普段はフットサルとサッカーの事をほぼ考え、移動中はサッカーゲームとの徹底ぶりで、感心させられました。 ピッチの良さに毎度救われています。
福田直木君
AOR界の愛の伝道師。バンド、ブルーペパーズやラジオDJなどでも活躍中です。
「ロキシーについて」でコーラスとリハモを担当してくれました。録音ではコーラスラインをあっという間に紙にメモし、1時間もかからず終わりました。録音後はいつものお薦め曲の紹介のし合い。楽しかったです。
桶田知道君
元ウワノソラ、現在は“陸の孤島の電子歌謡”を掲げ、アルバムや楽曲制作をし、ソロで活躍しております。
今回は「夜の白鳥」のコンポーズで参加。2015年に彼が『夜霧』の為に作曲してあった曲をやっと今回レコーディングいたしました。独特のメロディラインと歌詞の世界観、本当に桶田だけのものなんだなぁと改めて思いました。
宇都宮泰さん
音楽家として音楽プロデューサーとして1970年代より活動されていて、プロジェクト毎に独自の音楽理論を展開し音楽表現に直結した音響システムを開発・導入されるなど、音響の鬼才と称される方です。
67’からマスタリングアドバイザーとして教えをご教授して頂いております。毎度、新たなる課題を提示して頂き、いつも自分はまだまだ未熟だと感じさせて頂いております。
角谷:ご参加して下さったミュージシャンの方々には毎回本当に感謝させて頂いております。 何十年間も音楽や楽器、演奏に人生をかけ、考えてこられた方の一音には物凄い重みがあります。
そんな方々の音が絡み合い、今作のサウンドになっている事。本当に光栄でなりません。勿論僕は宅禄で作られた音楽も好きで、その音を否定しているつもりは毛頭ありません。いずれやってみたいとも思っておりますし。 “有難うございました。それじゃまた何かありましたら宜しくお願いします”といってミュージシャンの背中を見送りサヨナラをするのですが、内心、もしかすると、これが最後になってしまうんだなぁ、なんてことを毎回思っております。
大資本に支えられているわけでもなく、インディーレーベルでもなく、ウワノソラは自主制作なので、そんな時、一瞬のセンチメンタルに苛まれていたりもしておりました。
●参加ミュージシャンの方、一人一人に対する感謝の気持ちが強く伝わりました。 今後もこの方々とクリエイティヴなサウンドを作り続けて下さい。
角谷:まだまだ表現したい事が沢山あるので、僕もいえもとさんも限りゆくまで頑張りたいと思っています!宜しくお願いします。
●このリリースに関係したレコ発ライブをご紹介下さい。
角谷:7月7日に渋谷のタワーレコードでインストア、トークショウがあります。 8月3日に青山、”月見ル君想フ”にて、初のワンマンライブがあります。
◎Pied Piper House presents ウワノソラ『夜霧』
発売記念トーク+ミニライヴ+サイン会
開催日時:2019年 7月 7日(日) 15:00
場所:渋谷店 タワーレコード渋谷店6F Pied Piper House https://tower.jp/store/event/2019/07/003033
◎ウワノソラ – 7YEARS LIVE –
開催日時:2019年 8月 3日(土) 開場17:30分 開演 18:30分
場所:青山 月見ル君想フ
http://www.moonromantic.com/?p=40562
●最後に本作『夜霧』の魅力を挙げてアピールして下さい。
角谷:午前二時。田舎に近い郊外。アスファルトの表層1cmから薄っすらと立ち込めた夜霧が一瞬、艶っと光る。
それを密閉した感じのアルバム、でしょうか...。魅力は、完全なリスナーの方の聴いて頂いた主観が全てなので。良いでも悪いでもあると。 やっぱりちゃんと試聴しないと損する方もおられると思います。楽しめる方も。
いえもと:今回はテーマが「夜」に統一されていますが、色気や清らかさなど様々な「夜」を楽しんでいただけるかと思います。
数年前に制作されていた曲もようやく皆さんに聴いていただけることになり嬉しいです。
今までとはまた違った作品になっているので、是非聴いてみてください。
◎ウワノソラ・オンラインストア・リンク
【オンラインストアでご購入の方で希望者にはサインをお入れします】https://uwanosoraofficial.stores.jp/items/5ce79e9a0b9211098e15afaf
◎アルバム扱い店舗リスト
パイドパイパーハウス(東京)
ペットサウンズレコード(東京)
CD屋(沖縄)
ジャンゴレコード(奈良)
ディスクブルーベリー(東京)
六本松蔦屋書店(福岡)
タワーレコード各店舗
デシネ・ショップ (dessinee shop)
今井書店(鳥取)
他各店舗
(インタビュー設問作成/編集:ウチタカヒデ)
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