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2019年1月6日日曜日

Brian Wilson December 10, 1966 Letter.

平成の世から新たな御代へと移り変わる候となった、思えば先帝の御代から平成には様々な変化があった。音楽メディアにおいては、レコードからCDという大きな流れがあったが、今上帝治世の末にはCDからレコードという動きもある。
弊誌ゆえの贔屓の引き倒しではあるが、The Beach Boys/Brian Wilson復権の動きも昭和〜平成になり次第に大きくなっていったと言えよう。 1980年代はKokomoの大ヒットもあったが、Smile/Pet Sounds再評価の動きは1970年代中葉以降米国で活発化していた。1985年にドキュメンタリー映画American Bandのリリースで未公開映像や音源の数々は多くの関心を呼んだ。
一方旧作の再発は依然として進まなかったが、主にSmileのbootlegリリースのインパクトは大きく、日本にも80年代初頭には伝搬している。 1984年刊行の雑誌Forever 第6号においてその衝撃が特集され、その後米国においてもDomenic PrioreによるSmile録音時のドキュメント本『Look, Listen,Vibrate,Smile』が刊行され、The Beach Boys研究の金字塔を打ち立てている。




Smileのbootlegについて音源の流出経路はほぼ特定されていて、1979年に刊行された公式バイオ本の著者Bryon Preissとその周辺と推定されている。
理由は定かではないが、(一説によればBrianがMFQのThis Could Be The Nightをカバーしたかったが手元に音源がなく、第三者に依頼し、提供した報酬としてコピーしたテープを渡したという説もある)米国国内で関係者やライター周辺では通称Preiss Tapeとして流通していたことは確かである。
冒頭に述べたように当時の音楽メディアはテープかレコードしかなく、bootlegのレコード音源はPreiss Tapeの数世代コピーという状態であった、現代のリスナーならば身銭を切って購入するようなことは到底考えられない品質だが、ノイズの向こうから聞こえるセッションの断片は想像力をたくましくさせたものである。
筆者の記憶では80年代中葉では最初の入荷時即品切れとなり西新宿では数万円で売られていた記憶がある。
80年代以降はCDが本格的に普及し、音質も向上し1987年に世界初Smileのbootlegが登場している、こちらもダビングされた音源のコピーか何かが多かったが、それと並行してCapitolもThe Beach Boysの旧作のCD化作業を始めており、Mark Linett(先年、映画のLove and Mercyでカメオ出演している)中心に音源のデジタイズ及びマスタリングの進行を伝えるレファレンス用のテープが作成されており、これらはスタジオ関係者へ配られ、高音質のSmile音源がすでにこの時点で存在していた。 
1990年になると当時としては高音質デジタルマスタリングされたと思しきbootlegで、日本製とも言われる名盤?T-2580のリリースがあった、以降は正規盤CDやbootlegの怒涛のリリースが始まるが割愛する。 

1966年当時のBrianの息吹を伝えるアイテムを当方のコレクションから紹介しよう。

日付は1966年12月10日Smile session真っ只中の手紙であり、奇しくもGood Vibrationsが全米チャート・ナンバーワンと記録された日である。



その内容は、 

”しばらく手紙でやりとりしよう。(何かわからないけど)結果をもたらす出来事が起きるはずだと思っているよ。
何かコメントしてね。
アルバムのトレンド
シングル
コンサート
映画
広報
写真
それじゃ ブライアン”  

手紙の宛先はFred Vail、The Beach Boys結成当時から興行面で大きく関わりがあり、当時十代ながら南カリフォルニアの新興バンド中心の興行で頭角を表し、次第に全国ツアーでも興行のブッキングなどを任された人物である。
The Beach Boysにライブアルバムを提案したのもFredであり、彼の声はアルバムBeach Boys Concertの冒頭で"And now,from  Hawthorne,Califorinia,to entertain you tonight"の部分で聴くことができる。
この手紙の時点ではFredは設立前後のBrother Recordの要職にいた関係からBrianとの親密さが感じられ、筆致からはBrianの何かに憑かれたかのような興奮が伝わってくる。
(text by MaskedFlopper / 編集:ウチタカヒデ)

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