2018年12月20日木曜日

ポール・マッカートニー フレッシュン・アップ・ジャパン・ツアー 2018 極私的レポート

VANDA誌30号「今更ながらポール・マッカートニーの魅力を語る」、WebVANDA「the Sweet Onions近藤君とPREFAB SPROUTの新作を聴く」等々、それぞれ過去に、ウチタカヒデさんとの対談レビューの機会をいただきました。
直近では私が所属するユニット、The Bookmarcsの最新アルバム「BOOKMARC MELODY」(2018.11.28リリース)のインタビューが掲載され、大変嬉しく思っております。
この度、ウチさんのご厚意によりビートルズ関連の執筆のご提案をいただきました。どうぞ宜しくお願い致します。


2018年が間もなく終わろうとしている。 少し前の出来事も、随分と昔のことのように感じてしまうこの頃。世の中は実に目まぐるしくせわしなく進んでいて、日々は泡のように消えて行ってしまう。しかし忘れてはいけない、いや、忘れることのできないビッグイベントが秋に開催された。ポール・マッカートニーの来日、フレッシュン・アップ・ジャパン・ツアー2018である。
なんと2017年の来日公演から僅か1年半で実現したコンサート。しかも5年ぶりのニューアルバム「エジプト・ステーション」を引っさげて、ポールが日本にやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ! 巷では「平成最後の○○」という言葉が飛び交っているが、まさに平成最後のポール来日! あっぱれあっぱれである。  

少しくだけた前置きはこのくらいにして、ここからはライブ私感、いわゆる詳細なレポートは既に他所で出尽くしていると思うので、個人的な感想文のようなものを、出来るだけ簡潔に記したいと思う、お手柔らかに。 


鑑賞したのは初日の10月31日東京ドーム公演。ソロとして初来日した90年(筆者は当時10代)のコンサートを皮切りに、これまで必ずライブに足を運んできたのだが、開演前のワクワクやドキドキ、そしてポールがステージに登場する瞬間の高揚感は、他では決して味わえない特別な体験である。今回もまた、その興奮指数は更新された。



オープニングは「A Hard Day’s Night」。イントロのギター、ジャーンの響きで、バンドと観客同士の心は一気に結びつく。あの日あの時あの場所で、どれだけこの曲が流れ、幾つのドラマが生まれてきたのだろうか。想像するだけで頭がクラクラしてしまう。
2曲目にしてアッパーなナンバー「Hi Hi Hi」で会場は早くもヒートアップ。ここで日本語での挨拶『コンバンワ トーキョー タダイマ!』。いつだってポールは明るくチャーミングで、僕らを笑顔にし、時に涙を誘い、励ましてくれる。
4曲目の「Letting Go」で騒つく会場。なんとホーン・セクションがアリーナの客席の中で演奏している。これはなかなか心憎い演出だ。
続いて最新アルバムから「Who Cares」「Come On To Me」を披露。
ポールお得意のシンプルなロックナンバー。特に「Come On To Me」ではさながらダンスフロアにいるような錯覚に。76歳にして踊れる新曲を持ってくる。いやはやさすがとしか言いようがない。
続く「Let Me Roll It」では、毎度必ずシャツの腕まくりをしながら歌うポール。これがなんともカッコよくてニヤニヤしてしまう。
いつか筆者がライブでこの仕草をしていたら、あー、あいつポールの真似をしているんだなと暖かく見守って欲しい。。

中盤の個人的ハイライトは、ホーン・セクションの導入が嬉しい「Let ‘Em In」。50年ぶりに披露された「From Me To You」。シャウトと美メロがあまりに美しい、これぞロック・バラードな「Maybe I’m Amazed」。
前回アウト・ゼアー・ツアーからレパートリーに加わった「Queenie Eye」は、ジョニー・デップ、メリル・ストリープ他、著名人が多数出演するミュージック・ビデオを映しながらのパフォーマンスに目を奪われる。特にメリルは、ティーンの頃から熱狂的なポールファンだったようで、画面にメリルが笑顔で登場する度に、なぜだかグッときてしまう。そして、これまた生のサックス・ソロが圧巻だった「Lady Madonna」、ジョージとポールの仲睦まじい映像が涙を誘う「Something」等々、圧倒的なステージングにただただ魅了された。

終盤に差し掛かると寂しい気持ちでいっぱいになってくる。もうすぐこの夢のような時間は終わってしまう。そこにポールがいる。
そもそもこの瞬間は本当に現実なのだろうか。大袈裟ではなくそう思う。でもポールは容赦しない。いつも通り完璧に、さらに畳み掛けるように怒涛のロックナンバーを突きつけてくるのだ。
「Sgt.Peppers Lonely Heart’s Club Band(Reprise)」で我に帰る。『マダキキタイ?』とポール。「Helter Skelter」で完全ノックアウトだ。もはやため息しかこぼれない。
ラストの「Golden Slumbers~Carry That Weight~The End」のメドレーは、ビートルズにハマった高校時代にタイムスリップ。そこから自分の人生を振り返り、脳内で色んな思いや映像が交錯する。
そして、魔法のようなショーの終わり。。 


『See You Next Time!』とポールは毎回最後に言ってくれる。当たり前のようでいて奇跡のような現実、そして時間。ビートルズの音楽がもたらしてくれた幸福や優しさ、またポールが今もなお、精力的にライブを継続し、世界中を飛び回っているという歴然たる事実に敬意と感謝を表して、この極私的感想文を結ばせていただきます。完


SET LIST 10月31日@東京ドーム 
A Hard Day’s Night
Hi,Hi,Hi 
All My Loving
Letting Go
Who Cares
Come On To Me
Let Me Roll It
I’ve Got A Feeling
Let ‘Em In
My Valentine
Nineteen Hundred Eighty-Five
Maybe I’m Amazed
I’ve Just Seen A Face
In Spite Of All The Danger
From Me To You
Love Me Do
Blackbird
Here Today
Queenie Eye
Lady Madonna
Eleanor Rigby
Fuh You
Being For The Benefit Of Mr. Kite!
Something
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Band On The Run
Back In The U.S.S.R.
Let It Be
Live And Let Die
Hey Jude

アンコール 
Yesterday
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (reprise)
Helter Skelter
Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The End


【近藤健太郎・プロフィール】
ポップグループthe Sweet Onionsのヴォーカル、ギター、作詞・作曲担当。The Bookmarcsのメンバーとしても活動中。最新リリースはThe Bookmarcs「BOOKMARC MELODY」(2018.11.28)。インディペンデントレーベルphilia records主宰。他アーティストへの楽曲提供も手掛ける。

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