15年11月の『3』から約3年振りとマイペースなリリースながら、その唯一無二で独創的なサウンドは作品毎に深みを増しアップデイトしている。
7年のデビュー時に「はっぴいえんど×トロピカリズモ」と称された彼らだが、本作ではブラジルのミナス・サウンドからウルグアイのカンドンベ、キューバのソンなどアフリカン・ルーツのリズムを基調とする南米音楽を消化し、Urbane=洗練させたサウンドに仕上げている。
アルバム・タイトルのメロウやリード・トラックのアーバンというキーワードは、昨今のAOR~シティポップ・シンドロームへのアンチテーゼと深読みもされそうだが、ツチヤニボンドならではのアーバン・サウンドと解釈すべきだろう。
収録曲は先行で3月にMVが公開された「Urbane」をはじめ全9曲。井手健介と母船の代表曲「青い山賊」のカバーを含んでいる。因みに井手は、14年に惜しくも閉館した吉祥寺バウスシアターのスタッフだった。
レコーディングには土屋貴雅の他、ギターの亀坂英とドラムの波照間将の不動メンバー、新たにベーシストとして土屋の実弟であるツチヤマコトが参加している。ツチヤは先月ソロ・アルバム『amaoto memo』をリリースしたばかりで、弊サイトでも紹介しているので記憶に新しいだろう。
また前作から引き続き、元“森は生きている”から増村和彦がドラムとパーカッションで、篠原玄もパーカッションで参加しており、現レギュラー・メンバーはこの6名から構成されている。
ゲスト・ミュージシャンは、増村と元同僚の岡田拓郎(ギター)と大久保淳也(フルート)が各2曲、“本日休演”から岩出拓十郎(ギター)と樋口拓美(ドラム)が別の2曲で参加している。また他にもパーカション集団“La Señas (ラセーニャス)”の佐藤ドンドコ、TAMTAMのトロンボーン奏者の荒井和弘が各々パーカッションで参加している。
そしてエンジニアには、ジャンルを超えて様々なミュージシャンからの信頼も厚い、中村公輔が前作から引き続き迎えられている。
では主な収録曲を解説していこう。
リード・トラックの「Urbane」は、このアルバムのキーワードでもある支柱的曲と言っていいだろう。この曲はギター・リフとフルートのユニゾンによるイントロから、ブルース進行を基にしたムーディーなヴァースを経て、テンポを上げキューバン・リズムのサビへと展開する。全体的なサウンドは70年代初期のニューソウルやギル・スコット・ヘロンなどのジャズ・ファンクの匂いもする。特徴的なフルートのリフは大久保がプレイしている。
続く「Nevoa」はアコースティック・ギターによるボッサのリズムを基調にして、リヴァーブの効いたシンセサイザーとエレキ・ギターがアクセントになっている。音数が少ないサウンドの中で樋口がプレイするスルドのリズムは重要なエレメントといえる。
そしてカバー曲の「青い山賊」であるが、井手健介と母船による15年のオリジナル(石橋英子も参加している)の情緒的なサウンドから一転、ここでは新崎純とナイン・シープスの「かじゃでぃ風節」(江村幸紀氏のEM Recordsから今年7インチでリイシューされた)にも通じる、琉球民謡とミナス・サウンドを融合させたアレンジで、この解釈は非常に面白い。なにより土屋本人がプレイしている三味線がいつまでも耳に残る。大久保のフルートをフィーチャーした夢想的な甘いサビ(ブリッジ?)を経て、唐突にアフロ・ブラジリアン・ファンクのインスト・パートへと雪崩れ込むのは、ツチヤニボンドらしい。
「Diggin' On You」と「五月の嘘」は『3』から踏襲されたサウンドで、前者はナンセンスな歌詞から発展したリズムが面白く、嘗ての「メタル ポジション」(『2』収録 11年)、「ヘッドフォン ディスコ」(『3』収録)に通じるツチヤニボンド・ワールドらしいナンバー。後者はアフロ・ブラジリアンなリズムとスピリチュアルなギター・リフとシンセ・パッドのコントラスが気持ちよく、リズム・チェンジを繰り返しながら展開していく。
アルバム中最もスロー・テンポで始まる「覚えてない」は、土屋得意のモラトリアム・ソングでサイケデリア且つプログレなサウンドがただただ気持ちいい。
リード・トラックの「Urbane」は、このアルバムのキーワードでもある支柱的曲と言っていいだろう。この曲はギター・リフとフルートのユニゾンによるイントロから、ブルース進行を基にしたムーディーなヴァースを経て、テンポを上げキューバン・リズムのサビへと展開する。全体的なサウンドは70年代初期のニューソウルやギル・スコット・ヘロンなどのジャズ・ファンクの匂いもする。特徴的なフルートのリフは大久保がプレイしている。
続く「Nevoa」はアコースティック・ギターによるボッサのリズムを基調にして、リヴァーブの効いたシンセサイザーとエレキ・ギターがアクセントになっている。音数が少ないサウンドの中で樋口がプレイするスルドのリズムは重要なエレメントといえる。
そしてカバー曲の「青い山賊」であるが、井手健介と母船による15年のオリジナル(石橋英子も参加している)の情緒的なサウンドから一転、ここでは新崎純とナイン・シープスの「かじゃでぃ風節」(江村幸紀氏のEM Recordsから今年7インチでリイシューされた)にも通じる、琉球民謡とミナス・サウンドを融合させたアレンジで、この解釈は非常に面白い。なにより土屋本人がプレイしている三味線がいつまでも耳に残る。大久保のフルートをフィーチャーした夢想的な甘いサビ(ブリッジ?)を経て、唐突にアフロ・ブラジリアン・ファンクのインスト・パートへと雪崩れ込むのは、ツチヤニボンドらしい。
「Diggin' On You」と「五月の嘘」は『3』から踏襲されたサウンドで、前者はナンセンスな歌詞から発展したリズムが面白く、嘗ての「メタル ポジション」(『2』収録 11年)、「ヘッドフォン ディスコ」(『3』収録)に通じるツチヤニボンド・ワールドらしいナンバー。後者はアフロ・ブラジリアンなリズムとスピリチュアルなギター・リフとシンセ・パッドのコントラスが気持ちよく、リズム・チェンジを繰り返しながら展開していく。
アルバム中最もスロー・テンポで始まる「覚えてない」は、土屋得意のモラトリアム・ソングでサイケデリア且つプログレなサウンドがただただ気持ちいい。
続く「子供(Para ninos ninos)」は、前出の「Diggin' On You」同様言葉遊びが持つリズムが曲をリードしており、日本語とポルトガル語が共存した歌詞の展開は画期的であり、シタールのような琵琶のリフがドローン効果を生んでいる。
ラストの「Movement」は、「五月の嘘」同様に作詞は土屋で、ドラムの波照間が作曲でタッグを組んでいる。ドラマーが作る曲の特有さというか変拍子とリズムのあり方が非常にユニークだ。その曲調からミステリアスなアルバムの着地点として興味深い。
アルバム毎のレビューで繰り返しになってしまうが、やはり彼等の独創的なサウンドは唯一無二な存在で、拘りを持つ音楽ファンを虜にするのは間違いない。
最後に本作のリリースに合わせて下記の日時と会場でレコ発ライヴを予定しており、対バンにはGUIROが主演する。この個性豊かな2組が同じステージでプレイすることは非常に希であるので、興味を持った音楽ファンは是非予約して足を運んで欲しい。
【4thアルバムMellowsレコ発】ツチヤニボンド x GUIRO
2018/12/8(土)渋谷7thフロア
開場18:30 開演19:00
前売3000円/当日3500円(1ドリンク別)
前売受付: tybmellows@gmail.com
(テキスト:ウチタカヒデ)
ラストの「Movement」は、「五月の嘘」同様に作詞は土屋で、ドラムの波照間が作曲でタッグを組んでいる。ドラマーが作る曲の特有さというか変拍子とリズムのあり方が非常にユニークだ。その曲調からミステリアスなアルバムの着地点として興味深い。
アルバム毎のレビューで繰り返しになってしまうが、やはり彼等の独創的なサウンドは唯一無二な存在で、拘りを持つ音楽ファンを虜にするのは間違いない。
最後に本作のリリースに合わせて下記の日時と会場でレコ発ライヴを予定しており、対バンにはGUIROが主演する。この個性豊かな2組が同じステージでプレイすることは非常に希であるので、興味を持った音楽ファンは是非予約して足を運んで欲しい。
【4thアルバムMellowsレコ発】ツチヤニボンド x GUIRO
2018/12/8(土)渋谷7thフロア
開場18:30 開演19:00
前売3000円/当日3500円(1ドリンク別)
前売受付: tybmellows@gmail.com
(テキスト:ウチタカヒデ)
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