The Beach Boys自身の映画出演作は極めて少ないが、その中のうち「Monekey's Uncle」(Richard M. Sherman、Robert B. Sherman作)のプロモ16mmフィルムを入手しデジタル化してみた。
内容は本編映画オープニング部分を利用した内容になっているが、こちらはモノクロではあるものの本編では見られない内容となっている。
【映画版本編オープニング】
本編ではAnnette Funicelloの歌が入るとロゴが消え、しばらくロゴなしの演奏シーンが見ることができるが、"Ape for me!"とハモろうとした瞬間、今度は出演者等のクレジットが出現しBrianの姿が消されてしまう。 プロモ版ではこのようなことがなく、"Ape for me!"とハモり、見得を切っているメンバーの姿が確認できるが、Brianの口があってないのがご愛嬌だ。そしてイントロのメンバーのユニゾンで"Uh, huh, She loves the monkey's uncle"から始まる部分もロゴの壁に阻まれ全体を見ることができないが、プロモ版では容易に見ることができる。
それ以降も出演者等クレジットが流れダンス会場と思しきダンスに興じる映像と間奏の後AnnetteとMikeがモンキーダンスを踊るシーンにと変わるが、プロモ版では宣伝の為なのか劇中シーンの数々がコラージュされ流れる仕様となっているので、 "A bride! A groom! A chimpanzee! " と、映画ではハモっているシーンも出てこない。再び"AnnetteがLove all those monkeyshines,Every day is Valentine's"と歌い出し、"Ape for me!"とハモる瞬間製作者のクレジットがBrianの胸あたりに出現し、画面中央部に映し出される形となっている。
プロモ版の方はロゴの登場はなく終部まで演奏が続くように編集されている。 プロモ版で仕様されている音源はモノ音源だが、シングルとは異なるミックスとなっており全体的にベース音が大きくコンプレッションの効いたやや歪んだ音で、Annetteのヴォーカルにはエコー処理がされていない。おそらく映画館での音響を考慮しての結果と思われるので映画版も同様の処理がされていると思われる。 また本作のラジオのスポット広告用プロモレコードもあり、歌なしの演奏やコーラスのみのパートを断片的に聞くことができる。
【「Monekey's Uncle」プロモ16mmフィルムデジタル化版】
Hal Blaine (drums)
Gene Estes (percussion)
Bill Pitman (guitar)
Tommy Tedesco (guitar)
Steve Douglas (saxophone)
Jay Migliori (saxophone)
一年後奇しくも『Pet Sounds』〜『Smile』まで長い付き合いとなるメンバーである歌の方は別の日に行われたようだ。
この録音を仕切っていたのはSalvador "Tutti" Camarata、Disneyの音楽部門のトップである。戦前からミュージシャンやビッグバンドのアレンジャーとして活躍し、米Deccaから多くの作品を手がけ、渡英の際米国内へ英国産クラシック音楽の普及の為にLondon Recordの立ち上げにも関与している。後にDisneyに見出され音楽部門で手腕を発揮し独自レーベル設立や今では有名になったDisney映画のヒット曲を手がけ、Annetteのデビューもその中の一つである。
Annetteは「Monkey's Uncle」の前にはサーフィンを主題とした映画にいくつも出演し劇中歌の提供者にBrianやGary Usherも名を連ねている。
当時GaryがDeccaの製作スタッフにコネがあったのもThe Beach Boys起用に影響があったと思われる。
セッションの話に戻るが、録音場所のSunset Soundの設立者はCamarataであり、Disney関連専門の音楽スタジオが当時なかった為自ら設立したものであった。Disneyの経営からCamarataが離れるとスタジオ経営に専念し、多くのミュージシャンから愛されロックの名盤を数々生んでいる。
The Doorsの『Strange Days』からPrinceの『Purple Rain』、Decca/London繋がりの妙縁かThe Rolling Stonesの『Exile on Main St.』が代表作だ。現在も親子二代に渡って経営を続けている。
(text by MaskedFlopper / 編集:ウチタカヒデ)
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