ツチヤは2011年からサウンドクラウド上で自作曲を発表しシンガー・ソングライターとして活動を始めた。13年よりハカラズモ!(現在休止中)に参加し、その後16年春よりツチヤニボンドに参加することになる。そのきっかけは意図されていたのか知れないが、スタジオでのバンド練習に参加しそのままライブに出演して、気付いたらメンバーになっていたという。
ツチヤニボンドの革新的で雄一無二なサウンドの素晴らしさは、筆者の過去レビューを一読して欲しいが、ここではツチヤのこのソロアルバム『amaoto memo』を紹介したい。
本作は基本的にツチヤの自宅スタジオを中心にエンジニアリングも含め一人多重録音でレコーディングされており、各種ギターとベース、キーボードの主要楽器は彼がプレイし、サポートとしてハカラズモ!のドラマーである吉川賢治が全曲、フルート奏者の松浦彩花、パーカッショニストの篠原玄が各2曲で参加している。
またミックスとマスタリングには、ツチヤニボンドをはじめ個性的なバンドやアーティストを多く手掛けるエンジニアの中村公輔が担当しているのも大きなポイントだ。
アルバム全体的に音数を削ったギター主体の風通しのいいリズム・トラックに、詩情溢れる心象風景を描いた独特な世界が浮遊感あるヴォーカルによって歌われる。
メロディのスケールやコード進行には60年代中期以降のポップスやサイケデリック・ロックの匂いがするので、所謂ソフトロックとカテゴライズされるも理解出来るが、それだけには収まらないサムシングな魅力があるのも確かだ。
では筆者が気になった主要曲を解説していこう。
冒頭の「雨音メモ」は1分10秒の小曲だが、イントロの4小節を聴いて直ぐに本作の素晴らしさを感じ取った。複数のギターがリズムのタペストリーを紡いで、有機的に動くベース・ラインとミッドテンポのシェイクでグルーヴするドラム・パターンだけでサウンドは完成されている。
続く「かくれんぼ」は前曲の変奏曲のようだがコード進行はやや異なる。ブリッジのエレキギターのリフにはポール・マッカートニーの匂いがして、続く松浦のフルート・ソロもソフトサイケなスケール感がたまらない。
「おはようとさようなら」はバーズ風の西海岸フォークロック調のヴァースに、英国のマージービート風のフックが融合しているユニークな構成だ。この曲もシンプルな楽器編成なのだがパート毎のコード転回が巧みなので聴き飽きない。
本作中最も異色なのはインストの「新しい街で」だろう。フェイザーを効かせたエレキギターのリードのバックでアコースティック・ギターがボサノヴァを刻む。巨匠エンニオ・モリコーネの60年代末期~70年代初期のラウンジ系サウンドトラックを彷彿とさせる音像が爽やかである。
本作中最もビーチボーイズ(ブライアン・ウィルソン)の影響下にあると思しき「夢の続き」は、リズム・アレンジやコーラス・ワーク的に非常に凝っており、音楽通が多いWebVANDAの読者に最も好まれるだろう。
ラストの「森のリズム」は60年代中期のサイケデリック・ロックとその影響下にある80年代のネオアコースティック系のサウンドに通じており、筆者が好きなLove & Rocketsの『Earth Sun Moon』(87年)を彷彿とさせた。
ツチヤが所属するツチヤニボンドのエクスペリメンタルなサウンドとは異なる、彼独自の音世界に興味を持った音楽ファンは是非入手して聴いて欲しい。
(テキスト:ウチタカヒデ)
冒頭の「雨音メモ」は1分10秒の小曲だが、イントロの4小節を聴いて直ぐに本作の素晴らしさを感じ取った。複数のギターがリズムのタペストリーを紡いで、有機的に動くベース・ラインとミッドテンポのシェイクでグルーヴするドラム・パターンだけでサウンドは完成されている。
続く「かくれんぼ」は前曲の変奏曲のようだがコード進行はやや異なる。ブリッジのエレキギターのリフにはポール・マッカートニーの匂いがして、続く松浦のフルート・ソロもソフトサイケなスケール感がたまらない。
「おはようとさようなら」はバーズ風の西海岸フォークロック調のヴァースに、英国のマージービート風のフックが融合しているユニークな構成だ。この曲もシンプルな楽器編成なのだがパート毎のコード転回が巧みなので聴き飽きない。
本作中最も異色なのはインストの「新しい街で」だろう。フェイザーを効かせたエレキギターのリードのバックでアコースティック・ギターがボサノヴァを刻む。巨匠エンニオ・モリコーネの60年代末期~70年代初期のラウンジ系サウンドトラックを彷彿とさせる音像が爽やかである。
本作中最もビーチボーイズ(ブライアン・ウィルソン)の影響下にあると思しき「夢の続き」は、リズム・アレンジやコーラス・ワーク的に非常に凝っており、音楽通が多いWebVANDAの読者に最も好まれるだろう。
ラストの「森のリズム」は60年代中期のサイケデリック・ロックとその影響下にある80年代のネオアコースティック系のサウンドに通じており、筆者が好きなLove & Rocketsの『Earth Sun Moon』(87年)を彷彿とさせた。
ツチヤが所属するツチヤニボンドのエクスペリメンタルなサウンドとは異なる、彼独自の音世界に興味を持った音楽ファンは是非入手して聴いて欲しい。
(テキスト:ウチタカヒデ)
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