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2018年5月9日水曜日
ジェフリー・フォスケット:『LOVE CAN GO THE DISTANCE / TRUE LOVE WAYS:VSEP-830』7インチ・アナログ盤:平川雄一
現在、マイク・ラヴとブルース・ジョンストン率いる「ザ・ビーチ・ボーイズ」で活動中のジェフリー・フォスケット。2017年から日本国内で7インチ・アナログ盤を精力的にリリースしている。
【2017年】
『FISH! / THIS COULD BE THE NIGHT』VSEP-822
【2017年】
『JODY / YOU REMIND ME OF THE SUN』VSEP-826
【2018年】
『ONLY WITH YOU / FEELING JUST THE WAY I DO』VSEP-829
【2018年】
『LOVE CAN GO THE DISTANCE / TRUE LOVE WAYS』VSEP-830
ジャケットをジミー益子のイラストで統一しているのが一貫性があって小気味良い。
そしてご覧のようにA面は全て山下達郎楽曲のカヴァーで、いかにも日本市場(の中でも、ある一定層のヒトビト)向けと言える。
何より今年2018年の選曲はなかなか攻めていて(というか私好みで)良い。
今年のレコードストアデイ2018に2作発表しているが、今回は『LOVE CAN GO THE DISTANCE / TRUE LOVE WAYS』を取り上げる。
A面は山下達郎の『LOVE CAN GO THE DISTANCE』をカヴァー。
山下達郎が1999年にシングルとしてリリース、当時NTTコミュニケーションズのTVCMソングとなっており、私はリアルタイムでそのCMを観て、この曲を知った。
初めてブラウン管から流れるア・カペラを聴いた時、あまりの素晴らしさに度肝を抜かれた。当時19歳の私は、これほどまでに桁違いに最高な曲を作れる日本人が存在するのか、と驚き感銘を受けた。それ以来、今の今までこの曲は山下達郎楽曲中で私の一番好きなものとなっている。
さて今回のジェフリー版だが、原曲よりもサラッとした印象。
ジェフリーの歌いっぷりも、山下達郎の様に溜めずに歌い流している。
歌の情感も比較的込めずに、やはり「サラリ」と歌っている。
山下達郎の原曲では静寂から始まり徐々に厚みと広がり、深みが増してゆき、最後に大きく上空へ昇華する「流れ」があるが、このジェフリーのカヴァーバージョンでは、あえてなのか、最初から最後まで一様に平坦な道を歩んでゆく。そんなアプローチの仕方。
原曲の「荘厳で物憂げ、しっとりとした」風合いとはまた違った、言わば「カリフォルニア風のカラッとした」手触りだ。
それが「らしさ」といえば「らしさ」なのかもしれない。
B面はバディ・ホリーのバラード『TRUE LOVE WAYS』。
ホリーが死の4か月前に録音し妻に奉げた美しくも悲しいラヴ・ソングだ。
このB面でのジェフリーの歌唱が本当に素晴らしい。
彼の美声が十二分に発揮された、ジェフリーのこの曲への思い入れがひしひしと伝わる丁寧で愛のある歌いっぷりに、聴いていて嬉しくなってしまった。
演奏もシンプルではあるが的確で丁寧。歌の良さを引き立てる好プレイである。
レコードストアデイ用の数量限定盤との事なので、気になる方は早めのご入手を。
オススメです。
平川雄一
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