8月にビーチ・ボーイズのレア・アイテム、プロモ・7インチ盤『Spirit of America / Boogie Woodie』に関する記事を提供してくれた筆者20年来の友人が、佐野邦彦氏がVANDA誌以前にビーチ・ボーイズに関する記事を投稿していた『RAVE ON』誌を紹介してくれた。
氏の記事によってビーチ・ボーイズ・コレクターとして開眼していった彼による回想録を少しお送りしたい。
佐野氏が泉下の客となられた、かの知らせには涙腺が緩むのを禁じ得なかった。
ジャンルを超えた様々な音の調べの豊かさを世に知らしめるべく尽力された人生に敬意を払う。
その中でも数々の方々が賞賛されるようにソフトロックをいちジャンルにまで昇華させた事は特筆すべきであるが、ソフトロック言論確立に至るまでのインターネット無き時代から草の根で培われた多くのミニコミ、人的交流を基盤に続けられてきたオールディーズ研究の成果の一つでもある。
1970年代前半からオールディーズ研究のミニコミが刊行され、1970年代後半さらに数誌が刊行されると同時に交流や人気が拡大していくこととなる。
当方のThe Beach Boys収集もまずは身の回りの聞くことができる音源を探すところから始まり、ほとんど国内再発盤がない状況からのスタートは暗中模索であった。かかる状況では、日本語によるThe Beach Boys収集の指南や歴史など体系的に知る手段は皆無であって、あったとしても断片的であったが、間もなく答えは海外にある事に当然ながら気がつく。
輸入盤や中古レコード店にコレクター向け雑誌があり、たまたまThe Beach Boysが特集されており、おまけに世界中の個人ファンクラブの住所が掲載されていた。すかさず当方は手紙を出しまくり入会することが出来ると、ファンクラブ内で行われるレア音源の交換や既に米国で刊行されていた伝記や研究書の入手が出来、ようやく彼等の全貌が分かるとともに、コレクター道の嚆矢となった。
ほとんど徒手空拳に近い形でThe Beach Boysやオールディーズに耽溺していた当方ではあるが、ある日とある中古レコード店で見つけた雑誌の表紙がGene Vincentではないか!とよく見ると英語ではなく日本語で色々な記事で特集されており、目に付いたのがThe Beach Boys rare masters???執筆者は佐野邦彦とある、それが佐野氏との出会いの始まりであった。
その雑誌は『RAVE ON』という名前で、前身の『Back to the Rock』から続くオールディーズ研究の大きな潮流の中にあることが分かる。
巷間かまびすしい、ビートルズやロック中心史観とは異なるポピュラー音楽の宝庫がそこにあった、それを契機に音楽の趣味は完全にコンテンポラリーから背を向けてしまう結果となるが、渺渺たるものではあるが収集してきたアイテムやそこで得た知識などコラムの形で披露させていただくことで佐野氏への追辞に代えることとしたい。
(text by -Masked Flopper- / 編集:ウチタカヒデ)
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