今年になって「ここ3年、取材がなかった私の永遠の憧れの地、ギアナ高地の取材番組が先日NHKBSプレミアムで、「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」として放送された。」と視聴記を書いたが、9月17日に今度はBSテレビ朝日で「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」が写真家の寺沢孝毅の取材で2時間枠でたっぷり放送された。本放送は2016年だったので見逃していたとい大失策、取材の舞台はアウヤンテプイである。世界最高の高さ979mの滝のエンジェル・フォールは、どのテーブル・マウンテンの滝も同じだが、台地の上の川があってそこから落ちているではなく、台地の下の地下水脈が切れているところから落ちて入るので、エンジェル・フォールも台地の数メートル下の穴から出ており、寺沢はカメラマンであることから命がけでロープで宙づりになって落ち口が見えるように写していた。ただその写真は特に絶景とは言えず、この手はTV放送の中でも何度も登場していたドローン空撮の方が向いているのでは?と一瞬考えたが、ヘリコプターを年何機も墜落させるというギアナ高地を隔絶させる回りを取り囲む1000mの断崖の外へ出たらドローンなどあっという間に気流で墜落してしまうのだろう。個人的にアウヤンテプイが楽しいのは、ここは台地の上が東京23区以上と飛び切り広いだけあって、テーブル・マウンテンの上が緑で覆われ、チュルン川という川も流れていることから、多くの生物に出会えることだ。以前もオポッサムという哺乳類、シギタチョウという鳥がいて驚いたものだが、今回はヘビに出会った。45回も登っているというガイドがヘビを見たのはこれで3回目と言っていたから、昆虫、両生類以外はあまり出会えないようだ。今回はアウヤンテプイ固有種のカエルのテプイラ・エレルカイを発見後、さらに台地の上のカエルはみな茶褐色だが水かきのない緑色のカエルを見つけ新種ではないがクリスタルカエルという珍しい種類で、さらに背中にまだら、褐色の2種のカエルはアウヤンテプイの固有種で、標本見本もないという激レアものだった。TVは2013年のロライマ、2015年のサリサリニャーマの映像が挿入され、画質もいいことから、この2回も特番で放送したのではと惜しまれる。最後はアウヤンテプイ上だが、全テーブル・マウンテン上で最も深い383mというシマ・アオンダという穴(谷)の中腹から流れ出すアオンダの滝の水源調査へ行くのだが、これが困難を極める。崖の上からロープで懸垂下降していくしかないのだが崖に僅かに飛び出た幅1mの第一キャンプで1泊が必要だが、突然の雷雨で全員到着は夜中の2時。そこからさらに下降して高さようやく180mのアオンダの滝の落ち口へ到着する。水が流れ出す横穴の珪岩洞窟の奥へたどっていくが、100m奥で崩落があり水源調査はそこで終わる。洞窟の奥には水の底の藻を食べるために水中でも暮らもるようになったコロギスという昆虫や、不気味なウデムシが見つかった。ガイドはこのアオンダの滝に来た日本人はあなたが初めてだと言っていたが、実は1991年の「ビーグル号探検記」で谷の下まで一気に懸垂下降していた。今回は絶景には特に出会えなかったが、植物も含め生物に多くスポットを当てたのはそれなりに満足できた。次回のギアナ高地の特集にまた期待したい。次は出来る限り初めて行くテーブル・マウンテンの景色を見てみたいものだ。
※ギアナ高地の魅力とは
さてギアナ高地とは何か。こうやってパソコンに文字を入力するだけで胸が躍ってしまう、私の終生、憧れの地、ギアナ高地。地球最後の秘境である。ギアナ高地は、南米ベネズエラ、ブラジルを中心に6各国にまたがる高地帯なのだが、ベネズエラのカナイマ国立公園を中核とするテーブル・マウンテンが林立する地域、いやテーブル・マウンテンそのものをギアナ高地と指すと言っていいだろう。そう、ギアナ高地の魅力はここに100以上点在するテーブル・マウンテンと呼ばれる2000m級の高山群の卓状台地にある。テーブル・マウンテンの名前の由来は、これらの山の四方が切り立った1000m近い断崖に囲まれ、その多くの頂上は平坦で、まるでテーブルのように見えるからなのだが、あまりの高低差に植物や動物が地上と隔絶され、生物の75%以上がここでしか見られない固有種になってしまった。その数は4000を超えるという。しかしこれらのテーブル・マウンテンはそれぞれが地表とは別の生物世界を持っているため、テーブル・マウンテンごと固有種がいる。みなジャングルの奥地にあり、地上から辿りつくのが困難なため、ヘリコプターで卓状台地(テプイ)の上に降りるしかないのだが、平坦に見える台地も実際は亀裂だらけで、探索は困難を極める。そのため、未だ大半が人跡未踏で、実際の固有種の数は想像もつかないという。
約2億年前の地殻変動で湖底にあった台地が隆起し、その後雨によって削られ、固い岩盤のみが残ってこの独特の地形が生まれた。この地はゴンドワナ大陸の分裂の中心軸であり、赤道付近からまったく動いていないため、その当時からの生物がそのまま奇跡的に残ったのである。ゴンドワナ大陸分裂の存在を裏付けるものとして、ギアナ高地特有のステゴレプスという植物がある。この植物が存在するのは他ではアフリカだけで、南米とアフリカが地続きだったことを証明しているのだ。
ただ、卓状台地は赤道直下なので紫外線が強烈で、さらに北東から常に吹きつける貿易風がギアナ高地にぶつかることによって生まれる年間4000mm以上という激しい雨により台地の堆積物は押し流され、生物が生きる環境としては非常に過酷だ。そのため卓状台地では高い樹木がほとんどなく、少ない養分を吸収するため食虫植物が極めて多い。テプイごとに固有種があるというヘリアンフォラというギアナ高地独特の食虫植物が知られているが、モウセンゴケやミミカキグサも多いし、パイナップル科のブロッキニアは葉を筒状にし、中心に貯まる水を酸性にして食虫植物に進化をしていた。ハウァでは卓状台地を黄色に染めるほどの大群落を作る。全体的に多いのは原始的なパイナップル科やランの仲間で、現在の地上を覆う進化した植物であるキク科、イネ科、マメ科の植物は少ない。キク科の植物など、草に進化する前の樹木の姿に留まっている
動物類では昆虫と爬虫類、両生類、ほかは僅かな鳥類と哺乳類がいる程度。(鳥類・哺乳類はエサが少ないので緑がある部分にしかいない。シギタチョウとオポッサム、ハナグマは撮影されている)天敵がいないためカエルは跳ねることができなかったり、水かきがなかったり、原始のまま取り残された。オレオフリネラという小さな跳ねることができない原始カエルが有名だが、ロライマ、クケナン、アウヤンテプイといったテーブル・マウンテンで見つかったこのカエルは、山によって腹の模様が違い、進化から取り残された中でも、気の遠くなるほどの長い時間の中で、微妙な違いが生まれていた。生物が多いアウヤンテプイには、固有種のカエルのテプイラ・エレルカイや、他では見れらない緑のクリスタルカエル、さらに別の模様が違う固有種など4種類が同時に見つかるが、みな水かきがないなど、原始的なカエルだった。サリサリニャーマという巨大穴の中のカエルは、水場がないため。水かきがない代わりに吸盤の付いた長い指があり、水たまりのない中生い茂る植物に張り付くため、独自の進化をしていた。チマンタのカエルも水かきがないが、こちらは背中に卵を産み付け背負って歩く。こういったカエルは他の場所にもいるが、チマンタのカエルは9つほどしか卵がなく、エサが少ないから育つ分だけ生んでいるようだ。卓状台地上では餌が極端に少ないため、バッタの仲間は水中で餌を探すようになり、エラらしきものが作られたカマドウマの仲間、腹に気泡を抱えて水中を歩くコオロギの仲間もいて、こちらは水棲に進化したようだ。アウヤンテプイのコロギス(コオロギとキリギリスのあいの子)は、水中の藻を主食にするため水生に進化してしまった。そして紫外線対策か、体が透明になってしまったゴキブリもいて、まさにワンダーランド。
テーブル・マウンテンが地下水脈によって浸食され大陥没した350m四方の大きな穴が8つも陥没でできた山、サリサリニャーマもあり、穴の底は卓状台地とも隔絶されてしまってさらなる固有種が生まれるという迷宮のような場所もある。
コナン・ドイルはギアナ高地を見て、この頂上台地には恐竜が生き延びているのではと想像し、「ロストワールド」を書いた。真偽の程はかなり怪しいが、ギアナ高地に50年以上住む探険家、アレクサンドロ・ライメは、アウヤンテプイで、1m程度のプレシオザウルスの仲間を見たと証言している。日本ではNHK、TBS、テレビ朝日という、娯楽志向でないテレビ局がギアナ高地を何度も取材して放送しているので、是非エアーチェックしてギアナ高地を見て欲しい。一度見たら、中毒になること間違いなしだ。
●取材したテーブル・マウンテン
・アウヤンテプイ(2500m)…卓状台地が東京23区よりも広いギアナ高地で最大のテプイ。その崖の端から一気に地上まで落ちる滝が有名なエンジェルの滝(現地名はアンヘルの滝)で、落差979mは世界一。あまりの高さに水は途中で霧になり、よって滝つぼがない。エンジェルの滝の空撮、また水量の少ない乾季の時の滝の下からの映像は、ギアナ高地映像の定番だ。このアウヤンテプイを下から歩いて登り、さらに台地を横切ってエンジェルの滝まで縦走したのはNHKの「グレートサミッツ:アウヤンテプイ」だけ。ガイドの話でもまだ3組くらいしか縦走を果たしたチームはないとか。アウヤンテプイは台地の上にもある程度の高低差があり、台地を流れるチュルン川の周りには、頭よりも高い樹木が生い茂り、他のテーブル・マウンテンとは違って緑も水もあるので生物の発見が多い。先のNHKの映像でこの森の中で飛べない鳥、シギダチョウを発見するが、こういった地面を歩く恒温動物を見たのはギアナ高地上で初めてで、嬉しくなった。そして「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」ではチュルン川回りの森林で、南米唯一の有袋類である哺乳類のオポッサムが発見される。待望の、初の哺乳類の発見に興奮。かわいい顔の小動物だった。「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」でカエルは他のテーブル・マウンテンで見つかるオリオフリネラという原始カエルではなく、緑色など4種のカエルも発見できた。みな水かきがなく、ジャンプもできないような原始的なカエルばかりだ。そして45回も登頂したガイドが3回しか見たことがないというヘビもこの番組で発見している。さらにこの番組では途中、エンジェルの滝の発見者であるジミー・エンジェルが自分の乗っていた小型機で台地の上に着陸した場所、そこはギアナ高地に人間が初めて降り立った場所になるため、それを記念してベネズエラ空軍が置いたという石碑を、台地の上で探し出した。ちなみに飛行機はもちろん大破したが、ジミー・エンジェルは一緒に乗っていた妻と共に歩いて生還を果たしている。エンジェルの滝は雨季には水量が増して何本もの滝になるが、その雨季の取材がテレビ朝日の「新ビーグル号探検記」だ。この番組では水量があるのでチュルン川もゴムボートで下流へ向かい、迫力がある。さらにシーマ・アオンダと呼ばれる383mというギアナ高地で最大の大きさの穴(谷?)にロープ1本で下降していったのはこの番組で、その命知らずぶりには脱帽される。穴の底では白い(他ではみな赤)ミミカキグサが発見された。シーマ・アオンダの途中から180mの落差のアオンダの滝が出てくるが、横穴の水源調査は「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」で100m奥の崩落個所まで行きついている。奥には水生昆虫になってしまったコロギス(コオロギとキリギリスのあいの子)や、ウデムシが生息していた。外観では、アウヤンテプイ台地には100mもの巨石が垂直にピョコンと4つ飛び出ているのだが、その通称「見張り番」や、「摩天楼」と呼ばれる巨石の空撮も見所である。
・ロライマ(2810m)…四方がきれいな垂直な崖、頂上の台地は空撮では見事に平坦なので、そのチーズケーキのような印象的な全景がまさにテーブル・マウンテンなのがこのロライマ。一般の観光客も麓から1拍2日のトレッキング(もちろん相当な体力が必要)で登ることができる。アウヤンテプイと並びギアナ高地取材の定番だ。平坦なので登らずともヘリコプターで直接台地に降り立つこともできる。取材で登山過程を見せないのはヘリを使用。ただし卓状台地は常に雲が沸き立ち、突然の豪雨があるのだが、当然、台地の縁の気流は上昇気流が常にあって悪く、しばしばこれらテーブル・マウンテンの回りでヘリが墜落しているので、完全に安全とは言えない。このロライマを完全縦走したのは「ニュースステーション」のみ。着陸点、登山の到着点とも一面岩で、風雨で浸食され残った岩が奇妙な造形となり地球外の惑星のように見えるのだが、それがまずロライマの見どころのひとつ。そして水晶が地上一面に露出した「水晶の谷」、「The Pit」(穴)とか「EL FOSO」(窪み)とか呼ばれる穴があり、穴の縁の崖を降りると下には水が流れ、水によって侵食された穴の縁がコロッセウムのように残り、上からの光が注ぐと水面の水に反射して実に幻想的な光景となるのだが、この3箇所がロライマの3点セットと言えるだろう。そして必ず岩の上の植物コロニーで、原始カエルのオレオフリネラを見つけている。縦走ではロライマの先の方は崖だらけで、踏破は崖を降り再び登るというザイルを使った登山となっていく。ロライマの本当の見どころは、崖の縁に立ち、遠く他のテーブル・マウンテンを望むというギアナ高地ならでは絶景だ。特に姿形がそっくりなクケナンが見える場所がベストポイントだろう。なお、海外制作でエンターテイメント的色彩も交じっている「探検ロストワールドの世界」では、ロライマ山の洞窟の探検があり、かなりの生物を発見するが、ハナグマの骨があったのには驚かされた。いつの骨なのかは分からないが、哺乳類がいたというのはこの放送を見た時はギアナ高地上での初めての発見だった。
・サリサリニャーマ(1350m)…ギアナ高地取材の主要テーブル・マウンテンのひとつ。ここの台地には大小8個の大穴が開いていて最大のものは穴の直径、深さとも350mもある。この最大の穴に最初に下りたのはNHKの「ギアナ高地巨大穴の謎に迫る」。この時と後の「世界ふしぎ発見」は、ヘリで穴の底のギリギリまで降りてヘリから直接穴の底へと降りられたが、大沢たかおは「天空のロストワールド」で、ヘリの下にロープ1本で吊り下げられ、降りていった。穴の底に着いた時、満面の笑顔で楽しかったという大沢たかおの度胸には脱帽だ。穴の底にはナビア・ヤウアナという花が咲くとその回りの葉も白くなり、花を目立たせるように進化したパイナップル科の草が面白い。穴の中だけの固有種だ。不気味なのはウデムシ。サソリのようだが異常に手が大きく、体もまだらでまさにエイリアン。こんなのが歩いているのだから自分だったらおちおち寝てはいられない。他ではザトウグモと思いきや、ミズカマキリの仲間という足だらけの昆虫もいた。この穴の取材の定番は、穴の縁にあり膨大な種の山を登り、その奥にある洞窟に生息するアブラヨタカのコロニーを見つけること。実はこの種は夜行性のアブラヨタカが夜、飛び立って地上で得た果実の種をここで吐き出しているので、長い年月の間にこんな膨大な数の山になっていたのだ。NHKと「世界ふしぎ発見」ではその近くにある深さ100m、直径150mの穴にも下降するが、NHKはロープで下降、「世界ふしぎ発見」ではヘリを使いロープ1本で吊り下げられ下降する。レポーターの女性、竹内海南江は凄い!ただしこちらの穴には見所はない。
・ネブリナ(3000m)…ギアナ高地の最深部にあり3000mと最高の高度を持つネブリナ山は、ーナ)と呼ばれている。ベネズエラとブラジルの国境の真ん中にあり、貴金属が採れるというので入山が制限され、放送はNHKの「霧の山ネブリナ」のみ。オリノコ川を進み、ジャングルを踏破しながら徐々にネブリナの姿が近づいてきたある日の夜、山で雷鳴が響く。すると昨日渡ったばかりの小川が轟々と流れる大きな濁流になっていた。上流で豪雨があったようだ。このままではまずいと撤退を決めるが戻るに戻れない。途方に暮れていた時に、ダイヤの盗掘人が残したボートを見つけた。木を切って即席のオールを作り、みんなでボートに乗り込んで濁流を下っていく。目の前に次々と現れる倒れた木を乗り越え、あるいはかがんで通り凄し、小さい木はマテチェで切り捨てる。この8時間の川くだりは、全てのギアナ高地取材で最も緊張感があり、まるで映画を見ているかのようだった。その後、3日間の豪雨が続いたことから、取材陣は九死に一生を得たのだった。この後、たどり着いた村にたまたま滞在していたベネズエラ空軍に交渉して、2日間のみという予定でネブリナまでヘリを出してもらう。標高2600m付近に平原を見つけそこに降ろしてもらった関野吉晴はネブリナを精力的に歩き回る。そこはパイナップル科の植物の群落と、様々なラン、食虫植物にびっしりと覆われた緑の台地だった。一見は日本の山と変わらないが、植物相がまったく違う。まさにギアナ高地だ。驚くべきはヤシが群生していたこと。3000mの高山にヤシの木が生えていることは驚くべきことだ。映像では雲の上にヤシの木の群落が映る。目を疑う光景だ。そして常に95%近い湿度があるためヤシの木に苔が生えているのだが、そんなヤシの木は他にはないそうだ。しかし映像はそこで終わる。時間の関係でネブリナの頂上には行けなかったので、これから上にどんな植物や動物がいるのかは分からない。色々海外のサイトでも探してみたが、ネブリナ登頂の映像はなかった。サリサリニャーマ以外、日本人が取材したほとんどのテーブル・マウンテンに登った関野吉晴。是非、彼をチーフに、ネブリナ登頂の番組を作って欲しいものだ。
・チマンタ(2693m)…ここを取材したのは「新世界紀行」だけ。本文中に書いた背中に卵を背負ったカエルの発見と、チマンタヤいうチマンタにしかない巨大な松ぼっくりのような草が印象に残る。このチマンタヤ、昼の強烈な日差しで水分を奪われ、火を点けるとあっと言う間に燃えてしまった。
・クケナン(2650m)…ロライマと一緒にヘリ観光ではこの隣のクケナンにも降りてくれる場合があるようだが、取材したのは「新ビーグル号探検記」。台地の光景もロライマと瓜二つだが、水晶がむき出しの穴があり印象的。オレオフリネラもやはりいた。フジの「グレートジャーニーZ・秘境ギアナ高地聖なる山クケナン」で関野吉晴がクケナンを麓から登頂、初め南北の縦断を目指すが途中に深い亀裂が走り分断されているため、東西の縦断に変更し、初の縦断を果たす。DVDは抜粋版なので出てこないが、本放送ではハナグマの群れの撮影に成功している。
・ワチャマカリ(1700m)…「ニュースステーション」の2回目の放送のみ取材。食虫植物だらけの台地だった。NHKの「地球アドベンチャー冒険者たち 南米ギアナ高地謎の山未知の民」で、関野吉晴が麓から初登頂を果たす。頂上は他のテーブル・マウンテンのようにフラットではなく、緑が茂り川が流れ、その中で一番高い丘を目指して初登頂を果たす。新種と見られるトカゲやカエルを発見した。
・マラワカ(2700m)…ここも「ニュースステーション」の2回目の放送のみ取材。テーブル・マウンテンというより、山塊のようになっている。山の中腹で探索した5mという世界最大の長さ(茎というより蔓)を持つカトレア・マキシムというランが見所。
・ハウァ(?m)…「世界ふしぎ発見!地球最後の秘境!南米ギアナ高地大紀行」のみ取材。ヘリから黄色の花畑に見えたが、着陸すると食虫植物ブロッキニア・ヘクトイデスの大群落だった。黄色く見えたのは葉の色だった。
・イルテプイ(2600m)…「THE世界遺産カナイマ国立公園Ⅱ」のみ取材。岩が多い台地で、植物が生えている台地はモウセンゴケやヘリアンフォラなど食虫植物が散見されたが、あっと言う間に終わってしまった。ナレーションでは3日間の撮影と言っていたが、放送は5分だけ。
・アウタナテプイ(1400m)…木の切り株のような特異な形をしたアウタナは古くから地元民にとって「生命の樹」として崇められた神の山だった。冒険登山家のレオ・ホールディング達はDVD『Autana』で「初登頂の東岸壁を初登攀する。オーバーハングもありロック・クライミングの連続。途中に大きな横穴のアウタナ洞窟があり、そこをベース・キャンプにする。登攀がメインなので頂上は何の調査もない。背の高い食虫植物が群生する頂上だった。
・チュリテプイ(2600m)…チマンタ山塊を構成するテーブル・マウンテンで、空撮では大地の亀裂が多い。大地の下に大きな珪岩洞窟があり、NHKの「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」で洞窟探察を行う。硬い珪岩に洞窟ができるのは世界でも珍しく、その原因として洞窟内で新陳代謝で有機酸を出すバチルスというバクテリアを発見、このバクテリアの長い作用で珪岩の隙間に入った水の隙間が大きくなり落下を起こし、洞窟ができたのではいう推測が生まれた。
●ギアナ高地映像リスト
1987年
・新世界紀行:魔の山チマンタ
(TBS/ロケ地:チマンタ/キャスター恵谷治) 映像ソフト①
1987年
・世界の秘境:霧の山ネブリナ
(NHK/ロケ地:ネブリナ/キャスター関野吉晴) 映像ソフト②
1988年
・ニュースステーション4週連続放送
(テレビ朝日/ロケ地:アウヤンテプイ→マラワカ、ワチャマカリ→ロライマ完全縦走/キャスター関野吉晴) 映像ソフト③④⑤
1991年
・新ビーグル号探検記:失われた進化の世界ギアナ高地
(TBS/ロケ地:アウヤンテプイ、クケナン)
1997年
・そそり立つ太古の世界・南米ギアナ高地
(NHK/ロライマ、アウヤンテプイ) 映像ソフト⑥/※A
1997年
・GUAYANA-The Lost World-
(パイオニアLDCソフト/ロケ地:ロライマ。アウヤンテプイは空撮) 映像ソフト⑦
1997年
・グレートジャーニーZ・秘境ギアナ高地聖なる山クケナン
(フジ/ロケ地:クケナン縦走/キャスター関野吉晴)映像ソフト⑩(抜粋)
1999年
・世界遺産:カナイマ国立公園Ⅰ及びⅡ
(TBS/ロケ地:Ⅰ...アウヤンテプイは長いが空撮のみ、Ⅱ...ロライマ) 映像ソフト⑧/※Ⅰ...B、Ⅱ...C
2002年
・NHKスペシャル:ギアナ高地巨大穴の謎に迫る
(NHK/ロケ地:サリサリニャーマ)
2006年
・天空から降る巨大瀑布:ギアナ高地カナイマ国立公園
(NHK/ロケ地:ロライマ、アウヤンテプイ) ※D
2007年
・世界ふしぎ発見:地球最後の秘境ギアナ高地巨大な穴の謎
(TBS/ロケ地:サリサリニャーマ/キャスター竹内海南江)
2007年
・世界ふしぎ発見:南米ギアナ高地大紀行
(TBS/ロケ地:アウヤンテプイ、ロライマ、ハウァ/キャスター竹内海南江)
2008年
・天空のロストワールド
(テレビ朝日/ロケ地:ロライマ、サリサリニャーマ/キャスター大沢たかお) ※E
2009年
・グレートサミッツ:アウヤンテプイ
(NHK/ロケ地:アウヤンテプイ完全縦走) 映像ソフト⑨
2009年
・THE世界遺産:カナイマ国立公園Ⅰ及びⅡ
(TBS/Ⅰ...ロライマ、Ⅱ...サリサリニャーマ、イルテプイ)
2010年
・探検ロストワールドの舞台
(ディスカバリーチャンネル/ロケ地:ロライマ):
2010年
・世界遺産ものがたり:カナイマ国立公園♯51、♯52
(旅チャンネル/ロケ地:アウヤンテプイ) ※F
2012年
・Autana
(Berghaus/ロケ地:アウタナ・テプイ) 映像ソフト⑪
※イギリスを代表する冒険家のレオ・ホールディングによるアウタナ・テプイの登頂の映画。崖のぼりが中心で頂上は少しだけ。
2014年
・地球アドベンチャー冒険者たち 南米ギアナ高地謎の山未知の民
(NHK/ロケ地:ワチャマカリ(初登頂)/キャスター関野吉晴)
2016年
・秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ
(BSテレビ朝日/ロケ地:アウヤンテプイ、ロライマ(2013年)、サリサリニャーマ(2015年)/キャスター寺沢孝毅)
2017年
・桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む
(NHK/ロケ地:アウヤンテプイ、チュリテプイ) ※G
※空撮等で一瞬映ったテーブル・マウンテン
A...アコバンテプイ、カスティーヨ、B...ユルアニテプイ、C...アコバンテプイ、アンガシマテプイ、D..ウェイテプイ、E..アウタナ・テプイ、F..クサリテプイ、G...アコバンテプイ
※その他、NHKで食虫植物だけをターゲットにした『神々の詩:食虫植物南米ギアナ高地』もあり。
参考文献
●写真集
・「ギアナ高地THE LOST WORLD」(関野吉晴)(講談社)…ため息が出るほど素晴らしい写真ばかりで、バイブル的存在。ギアナ高地の山々から、植物、生物まで充実している。エンゼルフォール、アウヤンテプイ、ロライマ、ネブリナの4章で構成されている。
・「Lost Worlds of the Guiana Highlands」(Stewart McPherson)(Redfern)…唯一の洋書だが、頂上大地の景色が素晴らしく、そこの植物、生物の写真、特に群生する食虫植などはファンはたまらない。、アウヤンテプイ、ロライマ、クケナンの写真が多く、ネブリナや遠景では珍しいテプイの写真が多い。上記の本と合わせて必携。
・「ギアナ高地巨大穴の謎に迫る」(早川正宏、チャールズ・ブリュワー=カリアス)(NHK出版)…同名のNHK番組の写真集版。サリサリニャーマは上記本にはないのでこの2冊でほぼ完璧。写真は映像からおこしたものは少し荒い。
● 書籍
・「ネブリナ山探検紀行」(関野吉晴、NHK取材班)(日本放送出版協会)…NHK「霧の山ネブリナ」で語りきれなかった詳細が分かり読み応えがある。
・「ギアナ高地を行く」(恵谷治)(徳間書店)…ギアナ高地に憧れ続けた本人の思いとテレビ取材の裏側が面白い。チマンタ行きは不本意だったとは。
・「とにかく、しつこくアマゾンネブリナ」(敷島悦郎)(講談社)…ネブリナに憧れて単身ブラジルに向かい、現地の人間と格闘する。取材じゃないとかくも大変。
(作成:佐野邦彦)