私が一番最初に買ったビーチ・ボーイズのレコードは、1969年、まだ小6でこづかいの範囲内(月600円)で買える東芝音工の4曲入りコンパクト盤だった。「I Get Around」「Fun Fun Fun」「Hawaii」「Little Deuce Coupe」という文句ない選曲だが、これは『Beach Boys Concert』からのライブ盤。間違えて買ってしまってスタジオ録音が好きな自分にとってはショックだった。ライブ盤ではあの比類なきコーラス・ワークが分からない。しかし次の選択がまさにベスト・チョイスだった。その当時のアルバムの最新盤は『Sunflower』で、日本盤のみ1曲目に「Cottonfields」のシングル・ヴァージョンがプラスされた仕様だった。1曲目にビーチ・ボーイズのコーラス・ワーク全開の「Cottonfields」だったことは大きい。冒頭からビートルズも出来ないコーラス・ワークを聴いて、一瞬で夢中になってしまった。そして「This Whole World」「Add Some Music To Your Day」「Deirdre」「Tears In The Morning」「All I Wanna Do」「Forever」「Our Sweet Love」「At My Window」…夢のような美しい曲が並び、ビーチ・ボーイズはこの瞬間、ビートルズと並ぶ、最も好きなミュージシャンになったのである。当然、過去のビーチ・ボーイズの音源を集めようとしたが『Friends』未満は全て廃盤という悲しい現実が待っていた。さらに当時はビーチ・ボーイズについて書かれたものは何もなく、どんなアルバムやシングルが出ていたのかすら分からない。その中、突如、東芝は『Surfin’ USA』だけ復刻。飛びついてすぐに買ったが半数がインストで期待を裏切った。東芝はこの愚行を夏になると繰り返していた。そして当時、買えた下限の『Friends』は、今は大好きな名盤だが、『Sunflower』のコーラスはそこにはなく、これもその当時は期待を裏切っていた。しかしこれで止めないのは、東芝がリリースしていた白いエンボスのような紙質のジャケットのベスト盤を買っていたからだ。ここで「Fun Fun Fun」や「I Get Around」や「California Girls」などの最高のナンバーを堪能していて、ビートルズ同等のクオリティのヒット曲を作れることを知っていた。この当時、今あげた日本盤以外はビーチ・ボーイズは輸入盤でしか手に入らず、新宿レコード、渋谷のヤマハ、お茶の水のディスクユニオンの3店に足繁く通うことになる。特に新宿レコードの山崎さんは(後に独立し、福岡で「山兵」という中古盤店をやっておられた)詳しくて、クリスマス盤の存在とか教えてもらった記憶がある。しかし店に売ってたのはオリジナル盤から4曲程度カットした廉価版で、『Today』が『Dance Dance Dance』のタイトルになっていたり、『Shut Down
Volume 2』から『Summer Days』までの4枚の廉価盤ばかり流通していた。しかし『Surfer Girl』『Little Deuce Coupe』は手に入らない。LPの裏ジャケに載っている当時発売中のLPのジャケットとその掲載された一部の曲目を眺めながら、これらの曲はどれだけ素晴らしい曲なんだろうと、妄想を膨らませていた。ビーチ・ボーイズも新譜を出し『Surf’s Up』では『Sunflower』の陽光は感じられなくなってしまったが、この中の「Disney Girls」に惚れ込んだ。今でも全ビーチ・ボーイズのナンバーで10本の指に入る極上のバラードで、メロディ、ハーモニー、歌詞の全てが最高だった。この曲を書いたブルース・ジョンストンは、『Sunflower』では「Tears In The Morninng」とブライアンと共作の「Deirdre」があり、これだけの傑作を書けるのは天才に違いないと、この1971年からブルース・ジョンストンを追い始めた。しかしブルースはこのアルバムを最後に6年間、ビーチ・ボーイズを脱退、テリー・メルチャ―とイクイノックス・プロダクションを作り、バリー・マニロウに書いた「I Write The Songs」がグラミー賞最優秀歌曲賞を獲得するなど活躍するが、その情報は日本にはほとんど入ってこなかった。なにしろ私はあれほど惚れ込んだ『Sunflower』はアメリカで151位しかランクされず、日本ではもう「オワコン」扱いだったのだ。そして1972年にリリースされた新作は2枚組で、1枚目には『Carl & The Passions:So Tough』とビーチ・ボーイズの名前はどこにもなく、そして2枚目は前から存在は聴いたことがある過去のアルバム『Pet Sounds』。1972年当時、このアルバムを「史上最高のアルバム」と褒め称える人は、少なくとも日本にはいなかった。今まで聴いてきたビーチ・ボーイズとは違う深い音像に驚き、ただ聴いた瞬間に「これは世紀の傑作だ!」とも思えなかった。それまで『Pet Sounds』までのビーチ・ボーイズを追いかけてきたので、当時のアメリカのファンと似た反応だったのかもしれない。しかし当時のアメリカのファンのような保守的な聴き方はしていなかったので、再度聴いた時には曲の良さだけでなく、信じられないベース・ライン、渦巻くような高度なコーラスワークなど、これはもの凄い傑作だったに違いないと思い何度も聴き込んでいった。一方『Carl & The Passions:So Tough』は内ジャケには見慣れない黒人メンバーが2人いるし、サウンドは最近2作とはまったく連続性が感じられないR&Bやストリングスの大バラードで、まったく好きではなく、内容的にもこれはビーチ・ボーイズではない、別プロジェクトとしばらく思っていた。こうしている間に1973年頃から、好きだったプログレのバンドの曲はやたら長くテクニカルになり、レッド・ツェッペリンも『Houses Of The Holly』で当時は期待を裏切られ、1974年にイギリスでベイ・シティ・ローラーズが席巻、「ビートルズの人気を超えた!」などの海外からニュースを見て、こんなのが流行るようではもうロックの時代は終わったと、自分は音楽を聴くのをやめて、マンガやアニメーションの方が面白いと、持っていたレコードの多くをハンターとかに売りとばしてマンガの資金に当てていった。この選択肢は間違いともいえず、個人的には80年代に「漫画の手帖」というミニコミの編集人で30冊を出し、当時のミニコミでは断トツの1万部を発行できたのだかたら、その準備期間になった。ただ1974年以降のブランクのため『アメリカン・グラフィティ』の洗礼も受けず、今も興味が持てない。フーの回に『四重人格』が『Tommy』とは違ってピンとこないし、「さらば青春の光」も1回見ただけでもう十分というように、自分は米英の音楽が好きなだけで、ライフスタイルには少しも憧れがないんだなと実感した。ただビーチ・ボーイズに関しては1974年のベスト盤『Endless Harmony』が200万枚を超えるメガ・ヒットになったことから、キャピトル時代のオリジナル・アルバムが全てリイシューされるというとてつもない事が、私の知らない上に起きていたのだ。音楽に戻るきっかけは、1979年の山下達郎のコカ・コーラのCMだった。あまりに素晴らしいア・カペラのコーラスに、ああ、ビーチ・ボーイズが好きだったな、また聴いてみたいなとふと大学の生協のLPコーナーを見たら、70年代前半にあれだけ夢見ていた幻のオリジナル盤が全部、日本盤で売ってるではないか!その日は手持ちで買えるだけ買って、翌日には残り全部を買って、そこからは夢のような日を過ごした。そして自分は一気にロックの世界に戻ってくる。ビートルズは売らなかったのでソロの買い足しぐらいだったが、同じく大きかったのはこの1979年からキンクスのオリジナル・アルバムがPRTからリイシューされていったことだ。今まで名前しか知らなかったキンクスの体験はビーチ・ボーイズとは別の衝撃で、かつキンクスはアリスタで大活躍し始め、現役バンドとしての追体験は爽快だった。一回、コレクティングが始まると、全てを投げうっても…に近いほど、手間暇を惜しまず徹底的にやるのが自分なので、ビーチ・ボーイズを筆頭に3年もあれば、アルバムは集め終わり、もうこのコレクティングガイドに出てくるシングルオンリー、コンピ盤オンリーなど、インターネットもない時代に、イエナや丸善で買った洋書の情報を頼りに追いかけが始まったのである。
★THE BEACH BOYS(Part 2)
☆必要なコンピレーション盤
1968 『Stack-O-Tracks』1990 Reissue(Capitol)※1963年~68年のカラオケ・アルバム。CDは『Beach Boys’ Party』との2イン1。「Help Me Rhonda」、「California
Girls」、「Our Club」3曲のカラオケを追加収録。
1980 『The Capitol
Years(Box Set)』1990 Reissue(東芝EMI)※この当時はシングルでしか聴けなった曲をAB面とも網羅し、今では他でも聴けるが「Auld Lang Syne」のア・カペラ、68年「Bluebirds Over The Mountain」のオランダ用シングル・ヴァージョン(このヴァージョンは下記の『The Beach Boys Rarities』にも入ったが片チャンネルごとにそれぞれの楽器を入れた極端なステレオだったので、モノのこちらの方が聴きやすい)が収録され、ビーチ・ボーイズ・ファンを狂喜させたボックス。LP時代は日本とオーストラリア盤でブライアン・ウィルソンが60年代にプロデュースした他アーティストの作品を集めた「Brian Wilson Productions」のアルバムも付いていて、涙ものだった。今やブライアンの初期プロデュースは『Pet Project-Brian Wilson Productions』(Ace)などでさらに充実したコンピが作られているが、全てのレア・コレクションの原型がこのボックス・セットと言えよう。CD化された際、「Brian Wilson Productions」が外されたが、日本のみ外さずに同じ形でCD化した。今でもイントロのシンバルの逆回転がなく、エンディングが長い「Never
Learn Not To Love」のシングル・ヴァージョンはこのボックスと日本独自盤『The Beach
Boys Single Collection(Box Set)』のみ。
1981 『Ten Years Of
Harmony』1991 Reissue(Sony)※1970年から1980年のBrother
時代のベスト。LPでは「California Saga:California(Single
Version)」、「Rock And Roll Music(Single Version)」、「School Days(Single Version)」がシングル・ヴァージョンだったが、CD化された時にドイツ盤CD以外はアルバム・ヴァージョンに戻ってしまった。ただし前の2つは2000年の『Greatest
Hits Vol.3:Best Of Brother Years1970-1986』(Capitol)に収録、その他に『Sunflower』セッションの69年「San
Miguel」(後に『Good Vibrations Box』に入った)と『15 Big Ones』セッションの76年「Sea Cruise」といった未発表曲なども収録されていた。よって未だ本盤のみが「School
Days(Single Version)」(イントロ部分の最後に鐘が入る。カナダのみ)と「Sea Cruise」である。
1983 『The Beach
Boys Rarities』1997 Reissue(東芝EMI)※このCDは、音源的には他のCDでも聴けるようになった。本CDはビートルズの『Rarities』のヒットの二匹目のドジョウを狙って作ったキャピトル時代の未発表曲やアルバム未収録を集めたがまったくヒットせず。そのため東芝EMIはこれもビートルズのメドレーヒットを倣って作った「The Beach Boys
Medley」(こちらは狙い通りスマッシュヒット)に加え12インチ・シングル用に作った新たな2つのメドレーを加えて『Rarities/Beach Boys Medley』の2イン1でリリースした。『The Beach Boys Rarities』には目立つ曲がなく、市場からすぐに消えたのは仕方がないが、ソロ部分にリード・ヴォーカルがまったく入っていない66年8月24日収録の最も歌がワイルドで魅力的な「Good Vibrations」(25秒後に歌が入る。「Good Vibrations」(40th Anniversary
Edition)のシングル(Capitol)にも収録。なお『The
SMiLE Sessions』では「Good Vibrations(Alternate Edit)」として歌のない部分にブライアンの歌を入れ込んだ。)67年のボツアルバム『Lei’d In Hawaii ‘LIVE ’Album』用の録音「The
Letter(Alternate Mix)」は、『1967
Sunshine Tomorrow』と音源は同じでも演奏とヴォーカルがオンのミックスで明らかに印象が違うので必要である。「With A Little Help From My Friends」も本盤の方が、ヴォーカルがオン。ただしかつてのような価値はない。
1986 『Made In
U.S.A.』(Capitol)※ベスト盤。シングルとして同年小ヒットした「Rock'n' Roll To The Rescue」収録。CDシングルや12インチ・シングルなど多数リリースされている。この曲が入手できれば不用のアルバム。US96
1986 『25 Years Of
Good Vibrations』(Brother)…アメリカツアーで売られたベスト盤LP。81年の「Runaway」のライブ収録。未CD化。
1993 『The Beach
Boys Single Collection(Box Set)』(東芝EMI)(日本のみ)…当時のキャピトルのシングル・ヴァージョンに徹底的にこだわって作られている。よってエコーがかかっていた「Surfin’ Safari(US Single Version)」や、当時のUSシングルでしか聴けないフェイドアウト時に上昇していくヴォーカルが一瞬聴ける、ロング・ヴァージョンの「Don’t Worry Baby(US Single Version)」は未だにこのボックスでしか聴くことができない。アメリカからのマスターでは既にその部分は消えていて、最初のスタンパー時には入っていたものなので、盤おこしで対応した。また前述のとおり、「Never Learn Not To Love(Single Version) 」や「Little
Saint Nick(Stereo Single Version2)」もこのボックス以外では、入手困難である。2015年に復刻されている。
1993 『Good
Vibrations:Thirty Years Of The Beach Boys(Box Set)』(Capitol)…発表当時は幻だった『SMiLE』の音源がまとめて収録されたので最重要視されたボックス・セット。今は『The
SMiLE Session』の登場で、『SMiLE』音源面ではみな収録されてしまったが、いくつかは構成が違う。「Wind Chimes」は36秒短く、中間のコーラスの後はそのリフを延々続けていくが、『SMiLE』ではそのリフにホーンが入りまたコーラスと展開が違う。「Do You Like
Worms」は27秒長いが、『SMiLE』ではハワイ語の歌の前にbicycle riderの歌が入るが、こちらはインストのままで、ハワイ語の歌の後にもさらにインストが続く。「Vegetables」は20秒短いが、基本的に構成が違うし使っている音源も違う。こちらでは『Smiley Smile』ヴァージョンのア・カペラは入らないし、エンディングの部分へつなぐ部分は歌をフェイドアウトするが、『SMiLE』では上昇するア・カペラのスキャットでつなぐ。この上昇するスキャットはこちらでは中間でvegetablesのパートをつなぐ部分で使う。最初の「Mama Says」パートも『SMiLE』とは違って崩した感じの歌い方の音源を使っている。「I Love To Say
Da Da」は1分ほど短いが、『SMiLE』が冒頭に「Cool Cool Water」のア・カペラを持ってきたからなのだが、『SMiLE』ではワッワッの歌にオーバーダビングした部分がありさらにエンディングはバックトラックを大きくミックスしている。それ以外の10曲は『The SMiLE Sessions』で同じかさらに長く収録されたものを聴ける。既に前述のオリジナル盤コーナーで紹介した大量のテイクがありそれを除いても、さらに60年の「Happy Birthday Four Freshmen」…(ディスク1のシークレット・トラック。後に『Hawthorne CA』で曲目化されたが録音前の話し声はカットされた。)62年の「Their Hearts Were Full Of Spring(Demo)」、63年の「Little Surfer Girl」、「Punchline」…『U.S. Singles Collection』にも収録)、「Things We Did Last Summer」、「KYA」「KEWB」「Murray The K」などのラジオのジングルなどを集めた「Radio Station Jingles」、66年のラジオジングル「KOMA」と66年10月のミシガンのライブでライブ初演奏の「Good Vibrations」、『Sunflower』セッションのボツ曲で69年「Games Two Can Play」と70年「I Just Got My Pay」、『Surf’s Up』時のボツ曲70年「H.E.L.P.
Is On My Way」と71年「4th
Of July」、77年の未発表アルバム『Adult
Child』より「It’s All Over Now」…(テンポアップした別テイクが『Made In California』収録)と「Still I Dream Of It」…(注:ブライアンのソロ・アルバム『I Just Wasn’t Made For
These Times』にピアノ弾き語りのHome Demo収録)、『M.I.U. Album』のボツ曲78年「Our Team」があり、さらにセッション風景を収めた「Hang On To Your
Ego(Sections)」「God Only Knows(Tracking Sections)」「Good Vibrations(Sections)」は画期的な試みで、前2つは後に『The Pet Sounds
Sessions』に形を変えて収録されたが、15分を超える「Good
Vibrations(Sections)」は『Smiley
Smile/Wild Honey』のボーナス・トラックのVarious Sessions、『Smile Sessions(Deluxe Edition)』のSession Highlights、『Made In California』のStereo Track Sectionsはここからの抜粋しており、現在でもおおもとになっている。なお、67年のボツアルバム「Lei’d In Hawaii」用のリハーサルの「Surfer Girl」も入っているが、『1971 Sunshine Tomorrow』に収録されたものの、本BOXのテイクの方がヴォーカルがオンである
1995 『Endless Summer(Gold CD)』(DCC)…『Endless Summer』のゴールドCD収録の「Good Vibrations」はエンディングのリフレインが8秒長く、最後のテルミンのリフが3回ではなく5回聴こえる。
1997 『Pet Sounds
Sessions(Box Set)』(Capitol)※Mojo誌選出の最も偉大なロックアルバムで1位となり、ポール・マッカートニーなどの絶賛の言葉が溢れる『Pet Sounds』は、発売当時とはまったくの正反対、Capitolでも最も高い評価のアルバムとなる。そういう機運の中、『Pet Sounds』のセッションを大量の初期テイクやセッション風景、ボツテイクなど含めて驚異の4枚組ボックス・セットとしてリリースされた。初登場のステレオ・ミックス(「Wouldn’t
It Be Nice」のミドルがブライアン)とモノ。演奏は基本的にHighlight From
Tracking Dateで練習風景を流しておいて完成版Stereo Backing Trackへ移る。曲によってはバック・コーラス付とか、ストリングスのみとかもプラス。全曲に、ボツだった「Trombone Dixie」と、同年1966年録音の「Good Vibrations」も加えての「バックトラック編」。そしてビーチ・ボーイズの凄さを改めて味わえるインスト以外全曲の「ア・カペラ編」。全曲とも歌をやめる部分まで入っている。その後がお宝満載の「別テイク編」となる。目玉となるのは「God Only Knows」で、ブライアンがリード・ヴォーカルを取るBrian
Wilson Vocal、エンディングがア・カペラの違うアレンジになるWith A Cappella Tag、間奏がサックスのSax Soloと3ヴァージョンも楽しめる。「I’m Waiting For The
Day」でマイクがリード・ヴォーカルを取るMike Lead Vocal、「Sloop John B,」は初期テイクのブライアンが歌うBrian Wilson
Vocal、完成度が高くなった一番をカールが歌うCarl Sings First Verseなどが目を引くが、「Here Today」のAlternate Versionのようにブライアンの歌いまわしが少し違うテイクも面白い。「Wouldn't It Be Nice」のAlternate Version(2テイクあり)では1番と2番の歌詞が逆になっていた。どの別テイクもヴォーカルが前面に出ていて迫力がある。ただしプロモーションフィルムでは別テイクが聴けるのに「That’s Not Me」の別テイクは収録されず、「I Know There’s An
Answer」ではなく原曲の「Hang On To Your Ego」の『Good Vibrations Box』で初登場した出だしでマイクが「ブルルル」というテイクが収められた。確かにこちらのテイクの方がバック・コーラスもあるのでより完成ヴァージョンだが、前述の『Pet Sounds』の1988年東芝EMI及び1990年Capitolリリースのモノ盤収録の「Hang On To Your Ego」のコーラスが入っていないが、マイクの余計な「ブルルル」がないテイクは収録されなかった。ここまでやったのになぜ?という思いが残る。なおディスク2の「Here Today(Stereo Backing Track」の後にシークレット・トラックで録音時の会話と「I Just Wasn’t Made For These Times」のア・カペラが10数秒出てくる。
1997 『Essential:Perfect
Harmony』(Capitol)※ヴォーカルのミックスをバッキングに比べて大きくした「Hushabye(Vocal Up Version)」「When I Grow
Up(Vocal Up Version)」が収録されているが、文字で書いただけでパーフェクトを目指す人以外は不要の代物。
1998 『Endless
Harmony Soundtrack』(Capitol)※同名のフィルムと、本CDとは何の関係もなく、このCDのみの曲が大半だ。まず冒頭がサンレイズのリック・ヘンとブライアンが共作した69年の未発表曲「Soulful Old Man Sunshine」。今は『Made In California』にも収録されたが、デモの「Soulful Old
Man Sunshine(Writing Session Excerpt)」はこれのみ。66年10月のミシガンのライブ「Medley:Fun
Fun Fun~Surfin’ Safari~Shut
Down~Little Deuce Coupe」、68年のロンドン公演のリハーサル「Good Vibrations(Live-1968 Rehearsal)」、72年のライブ「Heroes And Villains」、同72年ニューヨークのライブで「Wonderful/Don’t Worry Bill」と「Long Promised
Road」、68年の未発表曲「Sail Plane Song」…(『Made In California』にステレオの別ヴァージョン収録)、69年の未発表曲「Loop De Loop」、71年のデニスの未発表曲「Barbara」、78年のマイクの未発表曲「Brian’s Back」…(Editしたものが『Made In California』に収録)なお、「Endless Harmony」の改訂版(ジャケットの違う改訂版だが、シークレット・トラックが入っているものと入っていないものがあるので注意。どうしても欲しい場合はiTunesで3分32秒のものの単品購入が確実)収録のものは最後にシークレット・トラックで「Kiss Me Baby」のア・カペラが20数秒入っている。ただ、「Kiss Me Baby」のア・カペラは別に発表されているので価値はない。ちなみに67年のボツ『Lei’d In Hawaii』用の追加録音「God Only
Knows(Live-1967 Rehearsal)」は『1967 Sunshine Tomorrrow』に収録されたが、本盤の方がヴォーカルがオンである。。
2000 『Surfin’』(Varese Sarabande)※モーガン・テープにデニスとカールが参加したTri-Fiveのシングルなど加えたもの。「Surfin’」のエンディングは他ではみなリフレイン4回でフェイドアウトするが5回入って自然終止する。「Surfin’ Safari」のCandix Masterも最後までボリュームを絞っていないので7回目のリフレインの後のコードで終止する。(Capitolのヴァージョンは再録音なのでこれではない)がある。そして重要なのはKenny
& The Cadetsの「Barbie」がレコードとは違ってサビ前の歌詞がyou love only meであり、エンディングの4回目のyou love only meのmeでメロディが上昇する別テイクであることだ。「What Is The Young Girl Made Of」はレコードと同じヴァージョンでどちらもモノ。
2001 『Hawthorn,CA:Birthplace
Of A Musical Legacy』(Capitol)※コアなファン向けのレア・トラック集。別ヴァージョンの宝庫なのでオリジナル・アルバムの項など上記で大半が紹介されてしまった。大量のそれを省いても、ディスク1に65年のシカゴのライブ「Shut Down」と、シークレット・トラックで63年のカリフォリニア・ハリウッド・ボウルのライブで短い「KFWB Jingle」(それまで『Cowabunga!』(Rhino)のボックス・セットでしか聴けなかったので超お得)、ディスク2に67年収録のボツアルバム『Lei’d In Hawaii』用リハーサルの「Good Vibrations」(『1967
Sunshine Tomorrow』は最後にYeahと入るがドラムのロールで別テイク!)、『Good Vibrations Box』など既発のセッションをつなぎあわせた「Good Vibrations(Stereo Track Sections)」、66年~67年に録音されたハル・ブレインとブライアンの会話をバックに音楽が流れている程度の「Vegetables
Promo(Instrumental Section)」、『Wild Honey』セッションの未発表曲67年「Lonely Days」(『1967
Sunshine Tomorrow』に歌の後に演奏だけ40秒プラスされたAlternate Takeが収録された)、68年のデニス作の未発表曲「A Time To Live In A Dream」、そしてシークレット・トラックで「Heroes
And Villains」のア・カペラが短く入っている。
2002 『Classics
Selected By Brian Wilson』(Capitol)※ブライアンが選んだビーチ・ボーイズのベスト盤というのが売りだが、「California Feelin'」の新録音ヴァージョンが加えられた。実質はブライアンのソロだが、ブライアン・バンドがハーモニーと演奏をしているので、この頃の本家よりも出来がいい。
2007 『The Warmth Of
The Sun』(Capitol)※前作ベストの『Sounds
Of Summer』が大ヒットしたので作られた第2弾ベスト。当時は初のステレオ・ミックスが聴けるのが売りだった。前述のとおり、イントロのドゥワップにコーラスが入る「Why Do Fools Fall In Love(Single Version)」のシングル・ヴァージョンが聴けるのはこの盤と『U.S. Singles Collection』。間奏に咳が入らない「Wendy」のステレオ・ミックスはこの盤で聴ける。あとこれも前述したが「California Dreamin'」のSEが冒頭に来たのはこの盤と『Made In California』だけ。
2008 『U.S. Singles
Collection:The Capitol Years 1962-1965』(Capitol)※タイトルのとおりビーチ・ボーイズがCapitolでのデビュー盤から「California Girls」までのシングル・EPを再現したもの。ステレオ&モノの4曲入りが基本なので、モノしか存在しなかったりした場合、カラオケとか別ヴァージョンなどを入れてある。このボックスでしか聴けないのはオリジナル・アルバムで紹介したバックトラック2曲とモノ・ミックス2曲以外は、65年のシカゴのライブ「409」(2015年に『Live In
Chicago 1965』でダウンロード販売)とモノの「Blue Christmas」。あとは編集ものだが前述した頭に中間部のア・カペラを持ってきた「Why Do Fools Fall In Love(2008 Mono Single Version)」と歌が終わった後に40秒会話が入る「Graduation Day(Studio Version)」は改めて記しておこう。
2009 『Summer Love
Songs』(Capitol)※第3弾のベスト。やはり当時は初ステレオ・ミックスが売りだったが、今では前述の冒頭にピアノと鉄琴の初登場の26秒のイントロが付いた「Why Do Fools Fall In Love(New
Stereo Mix With Intro)」が目玉。歌が始まるとステレオのアルバム・ヴァージョン。前述の14秒長い「Time To Get Alone(New Stereo Mix)」も改めて記しておく。「Don't Worry Baby(2009 Stereo Mix)」はそれまでのステレオと違って真ん中からリード・ヴォーカルが出てくる新ミックス。Dennis Wilson& Ramboの「Fallin' In Love」(Lady)は、イントロにストリングスが加わった新ヴァージョンでステレオ化された。後ろの2つは『Made In California』にも収録。後はシークレット・トラックで「Don't
Worry Baby」のア・カペラが20秒ちょっと入っている。
2011 『The Smile
Sessions(Box Set)』(Capitol)※66年8月から67年5月まで(「Good Vibrations」を含むと66年2月より)続けられた『SMiLE』のセッションの全容を収めた、ビーチ・ボーイズ・ファンの夢を実現したCD5枚+LP2枚+7インチ・シングル2枚の驚異的なボックス・セット。アナログもお飾りではなく、アナログのみのヴァージョンがあり、全て聴きもらせない。様々なアイデアで断片が作られ、まるで実験場。ブライアンが選んだ『SMiLE』の19曲(全てモノラル)に加え、『SMiLE』セッションとして「Heroes And Villains」37ヴァージョン、「Good Vibrations」25ヴァージョン、「Vega-Tables」と「Love To Say Dada」6ヴァージョン、「Do You Like Worms」5ヴァージョン、「Wonderful」と「Surf’s Up」4ヴァージョン、「Wind
Chimes」と「Cabin Essence」3ヴァージョン、「Our Prayer」「The Old Master Painter/You Are
My Sunshine」「Child Is Father Of The Man」2ヴァージョン、「Look」「Holiday」「I Wanna Be Around/Work Shop」「The
Elements:Fire(Mrs. O’Leary’s Cow)」1ヴァージョンが収められた。セッションに別ヴァージョンはない『SMiLE』の曲は「Gee」「I’m
In Great Shape」「Barnyard」のみ。アルバムから漏れたが歌詞を変えて『Smiley Smile』で「She’s Goin’ Bald」として使われた「He Gives Speeches」、シングルB面用の「You’re Welcome」2ヴァージョン、『SMiLE』セッションで録音されボツとなったカールの「Tones/Tune X」とデニスの「I Don’t Know」そしてブライアンの「Tetter Totter Love」、『SMiLE』セッション6曲のバック・コーラスをつないだ編集版「Smile Backing Vocal Montage」、『SMiLE』セッション中止直後の録音「Cool Cool Water」2ヴァージョンと「With Me Tonight」の元の「You’re With Me Tonight」、逆に65年10月の録音なので『SMiLE』セッション前ながら既に『SMiLE』の先進性が溢れているブライアンの「Three Blind Mice」がCD5枚に収められた。そしてアナログのLPがCDと同じではない。4面にボーナス・トラックで収められたものだが、今でもこのLPでしか聴けないのは「You’re Welcome」のステレオと、ボックス内からの持ってきた会話を冒頭に持ってきた「Surf’s Up」のステレオ。『Made In California』に収められたが「Vega-Tables」「Wind Chimes」もステレオだった。さら『SMiLE(Deluxe Edition)』には収められたが「Cabin
Essence(Session Highlights And Stereo Backing Track)」もボックス内ではLPのみである。さらに2枚のシングル。「Heroes
And Villains(Part1)」と「Heroes
And Villains(Part2)」はCDには入らず、『SMiLE(Deluxe Edition)』と『Made In California』でCD化。そして「Vega-Tabels」のシングルはイントロがなしで12秒に聴いたことがないコーラスが入るヴァージョンで、未だにこのシングル盤でしか聴くことができない。
2011 『The SMiLE
Sessions(Deluxe Edition)』(Capitol)※1枚ものとボックスとの中間で作られたCD2枚のデラックス・エディション。ただこの中にはボックスに収録されなかった音源が4曲ある。「Good Vibrations(Session Highlights)」…(『Good Vibrations Box』のSessionsの短縮版だがステレオ)はこの盤のみ。また「Cabin Essence(Session Highlights And Stereo Backing Track)」もCD化されているのはこの盤のみ。「Heroes And Villains(Part1)」、「Heroes And Villains(Part2)」は『Made In California』にも収められた。
2013 『Made In
California(Box Set)』(Capitol)※未収録曲、レア・トラックなど満載の究極のコンピレーション。多くの別ヴァージョンはオリジナル・アルバム等で山のように紹介したので未紹介のものは少ないと思いきやまたまだ大量にある。63年の『Surfer Girl』セッションでの貴重な未発表曲「Back Home」、モノしかない『SMiLE』からは「Our Prayer」、「Vega-Tables」、「Wind Chimes」がステレオ化された。『Summer Love Songs』で冒頭にストリングスが加わったヴァージョンでCD化されたDennis Wilson & Rambo名義の唯一のシングル「Fallin’ In Love」(Lady)は本ボックスにも収録されたがそのカップリングの「Sound Of Free」も収録され初のCD化。ただしモノ。『Surf’s Up』セッションの71年のデニスの未発表曲「(Wouldn’t It Be Nice To)Live Again」の後に続くのは、本ボックスの目玉のひとつ「California Feelin'」である。78年の『L.A.』セッションの時に録音されたもののオクラ入りで、後に前述の『Classics
Selected By Brian Wilson』にブライアンのソロ・ヴァージョンで発表したが、ビーチ・ボーイズのオリジナルはこれ。カールとブライアンが交互にリード・ヴォーカルを取り、サビをブルースが歌う。シンプルなバッキングだが、ハーモニーも十分だ。そして『Hawthorne,CA』に初収録されたマイクの78年の未発表曲「Brian’s Back」は、1分以上短くEditされ、イントロもギターとピアノからピアノのバックにミックスを変えて「Brian’s
Back(Alternate Mix)」として収録された。後述の「It’s A Beautiful Day(Single Edit/2012 Mix)」は、聴きもののサビの部分のバッキングの鉄琴などがはっきりと聴こえて爽快な仕上がり。従来のシングル・ヴァージョンより11秒長く収録。79年の『Keepin’
The Summer Alive』セッションからはマイク作の「Goin’ To The Beach」とカールが歌う「Da Doo Ron Ron」が初登場。80年の未発表曲はブライアンとマイクが歌うロネッツのカバー「Why Don’t They Let Us Fall In Love」。95年のブライアンとアンディ・ペイリーのコラボのレコーディング中にビーチ・ボーイズがコーラスで参加した「Soul Searchin’」(リード・ヴォーカルもカール。ブライアンの『Gettin’
In Over My Head』収録のものは再録音)と「You're Still A Mystery」も目玉のひとつ。2012年の「Isn't It Time(Single Version)」はサビがジェフリー・フォスケットではなくマイクに変更されメロディも変わってしまった残念なヴァージョン。『50 Big Ones』にも収録されていた。65年シカゴでのライブは「Runaway」、66年パリのライブは「You're
So Good To Me」。67年の未発売アルバム『Lei'd
In Hawaii』関連としてはリハーサルの「The Letter」が『1967 Sunshine Tomorrow』や『The Beach Boys Rarities』のものはまったく別の歌と演奏の力強いヴァージョンで貴重。このセッションでの「California Girls」と「Help Me Rhonda」も『1967 Sunshine Tomorrow』に収録されたが、本BOXのミックスは圧倒的にヴォーカルがオンである。嬉しいのは68年シカゴのライブの「Friends」と「Little Bird」。この2曲の当時のライブが聴けるなんて夢のよう。同年ロンドンのライブの「All I Want To Do」は『The Beach Boys Rarities』に収録されていた音源だがフェイドアウトせずに終わりまで全部入っている。72年ニュージャージーのライブは「Help Me Rhonda」「Wild Honey」、そしてニューヨークで「Only With You」。ライブ・バンドとして乗りに乗っていた時期なので「Wild Honey」なんて最高にカッコいいロックンロールだ。73年シカゴのライブの「It's About Time」も素晴らしい出来。75年メリーランドのライブ「I Can Hear Music」も歌・演奏ともに力強い。93年のニューヨークのライブは「Vegetables」「Wonderful」、95年ルイビルのライブ「Sail On Sailor」と続き、93年ロンドンのライブ「Summer In Paradise」は97年のオムニバス『MOM Ⅱ』に収録されたものだった。そしてまたも目玉、64年10月14日にバックトラックが録音された「Guess I'm Dumb(Instrumental Track With
Background Vocal)」。65年になってグレン・キャンベルのリード・ヴォーカルと、ハニーズのバック・コーラスが録音されてシングル・リリースされる訳だが、このオケだけ聴いても64年にこれだけ斬新なメロディとサウンドの曲を生み出せたブライアンの才能には改めて驚嘆する以外ない。「Sherry She Needs Me(1965 Track With 1976
Vocal)」はブライアンのソロ・アルバム『Imagination』でお馴染みだろうが、『Summer Days』のセッション中の65年3月にこの魅力的なバックトラックとコーラスが録音されたもののオクラ入りとなり76年にブライアンがリード・ヴォーカルを入れたものの、やはり未発表で終わっていた。「Mona Kana(Instrumental Track)」は68年にデニスが書いた未発表のインストで、ホーンの使い方などまるでブライアン。「Where Is She?」は『Sunflower』セッションの69年に録音されたブライアンの小品。「Good Vibrations(Stereo
Tracking Session)」は、『The SMiLE Sessions』のSession Mastersの短縮版。「I Believe In Miracles(Vocal Section)」は『Smiley Smile』セッションの時のコーラスの断片。「Why(Instrumental)」は『M.I.U.
Album』セッションの77年に録音されたブライアンのインスト。軽快なこのアルバム・セッションにふさわしい爽やかなインストである。「Barnyard Blues」は74年頃のデニスが書いた未発表曲。「You’ve Lost That Lovin’ Feeling」は『Love You』セッションの76年に録音されたもの。前作では同じくライチャス・ブラザースの「Just Once In
My Life」を収録しており、フィル・スペクター・ファンのブライアンの気持ちが分かる。「Back Home(1970 Version)」は70年の『Sunflower』セッションで録音されたもので、アルが作曲に加わったので63年に録音したものとはメロディが大幅に変えられていた。結局『15 Big Ones』のものは、サビ以外は63年ヴァージョンが使われた。「California Feelin'(Original Demo)」は、前述の曲の74年のブライアンによるピアノ弾き語り。いかにもデモだ。「My Love Lives On」も同じく74年に録音されたデニスによるピアノ弾き語り。そして最後はこれもボックスの目玉、64年11月6日収録のBBCの「Top Gear」用のスタジオ・ライブ。「Wendy(BBC/Live In The Studio 1964)」「When I
Grow Up(BBC/Live In The Studio 1964)」「Hushabye(BBC/Live
In The Studio 1964)」の3曲が披露されたが、演奏はシンプルそのものだが、ハーモニーの素晴らしい事。まさに完璧、バンド・サウンドのこの3曲に聴き惚れてしまう。
2013 『The Big Beat
1963』(iTunes Only)※1963年に録音された未発表曲集。ビーチ・ボーイズは「Mother May I」(「Our Car Club」の原曲)、「I Do(Demo)」、「Ballad Of Ole’ Betsy(Demo)」(Inst)。ブライアンのソロで「First Rock And Roll
Dance(Instrumental)」、「Gonna Hustle You」、「Bobby Left Me(Backing Track)」、「Side
Two(Instrumental)」、「Thank Him(Demo)」、ボブ・ノーバーグとブライアン(バックはハニーズ)の「Marie」、ボブ&シェリの「The Big Beat」(「Do You Remember」の原曲)と「Ride Away」(「Surfer’s Holiday」の原曲)。ゲイリー・アッシャーの「If It
Can’t Be You」、ヴィッキー・コッハー(Vicki Korcher)の「The Summer Moon」(「The Surfer Moon」の原曲)、ハニーズの「Funny Boy」「You Brought It All On Yourself」「Rabit Foot(Unfinished Track With Backing Vocals)」(「Our Car Club」の原曲)、以上が全てブライアンの曲。他ハニーズで6曲収録。
2014 『Keep An Eye
On Summer:The Beach Boys Session 1964』(iTunes Only)※全46曲中38トラックの内容は『Shut
Down Volume 2』『All Summer Long』『Today!』『The Beach Boys’ Christmas Album』『Beach Boys Concert』(2in1のボーナス曲の関連で2曲は『Little Duece Coupe』の方で紹介)の中で紹介しており、数あるこのコーナーのコンピの中でもトップ4に入る最高の内容の未発表トラック集。Part1の「オリジナル・アルバム編」で未紹介なのが「Unreleased Jam/Let’s Live Before Die」はブライアンが書いたインストで、冒頭に明るいインストが出てくるがこれはお遊びで、その後に出てくる三連符の洒落た感じのバラードがその曲。「Endless Sleep(Larry Denton Vocal)」は、Jody
Reynolds=Dolores Nance作のロック・ナンバーで、Larry Dentonが歌でお遊びと思われるが、控えめなコーラスは付けられた。「Fun
Fun Fun(Live)」と「I Get Around(Live)」は『Beach Boys Concert』でサクラメントのライブでの出来が良くないと外され、スタジオ録音されたものに歓声を被せて収録したもののオリジナル・テイクと言われているが、「Fun Fun Fun」はイントロと間奏のギターが違うし、「I Get Around」にはライブではハンドクラップが入っていて、逆に間奏のギターは全く聴こえずコーラスだけなのでこれも違う。もっと別のテイクが使われていた。1964年のBBCでのスタジオ・ライブで4曲収録され「I Get Around」「Surfin’ USA」「Graduation Day」の3曲に加え一番の目玉は「The Little Old Lady From Pasadena」で、このジャン&ディーンのナンバーの、ビーチ・ボーイズのスタジオでの録音はこれだけだろう。特に工夫はないが4曲ともハーモニーは十分。この8曲が未紹介。既にPart1で紹介済みの38曲は、ア・カペラ、カラオケ、演奏のみなどで完奏していたりステレオになっていたものも多く、最高のアイテムがならんだが、その中でもまったく初登場のテイクは、歌にカウンターのオルガンがオーバーダブされていて、外して正解だった「Little Honda(Single Mix)」と、クリスマス・アルバムのためにディック・レイノルズが録音していた「Christmas Eve」と「Jingle Bells」のオケの3曲だけだった。
2016 『Pet Sounds(50th Anniversary Super Deluxe Edition)』(Universal)※1997年リリースの『Pet Sounds Sessions(Box Set)』の全部に初登場音源をプラスしたBoxで、スタジオの初登場音源は3テイク。まずは「I Know There’s An Answer(Alternate Mix)」。これは前身の「Hang On To Your Ego」の1st Verseの後のマイクの余計なブルルルルが入っていて歌詞は「I Know
There’s An Answer」という代物。完成ヴァージョンではカットされた歌に巻き付くハーモニーがずっと聴こえる。もうひとつは9分以上と長い「I Know There’s An Answer(Vocal Session)」。この曲はセッション集やバッキングトラックは前身の「Hang
On To Your Ego」で登場しているので、最後に歌詞の改変があった歌の方だけ今回のボックスでの登場となった。そのため前半はダラダラした歌で、後半になって使用しなかったア・カペラの歌の練習になる。最後は「Good Vibrations(Master Track with Partical Vocal)」。これは「Good Vibrations」でも演奏はほぼ完成していて、リード・ヴォーカルだけ歌詞が完成していない部分もあるので欠けた部分もあるし仮歌風で軽く歌ったものだ。演奏とバック・コーラスはラストを残してほぼ仕上がっているので少し新鮮。他はライブでまず一番古い1966年10月22日ミシガン州立大学のライブの「Wouldn’t It Be Nice」「Sloop John B.」「God Only Knows」の3曲が嬉しい。というのもアルバムがリリースされた年のライブだからだ。そして「God Only Knows」「Wouldn’t It Be Nice」と「Good Vibrations」は1967年11月19日ワシントンDCのDaughters Of The American Revolution Constitution Hallでのライブも収録。1966年の前述のライブは、歴史的価値はあるが「God Only Knows」はオルガンのイントロなど演奏がシンプル過ぎてライブとしての出来はあまりよくない。「Wouldn’t It Be Nice」はそこまでは劣らないが、こちらの方が弾むようなリズムがあった。3回目の「God Only Knows」は1972年11月23日ニューヨークのカーネギーホールのライブで、ホルン風のキーボードも入り、演奏とコーラスの厚みが格段に進化し、レコードに近くなっている。4回目登場の「God Only Knows」はさらに10年後の1982年のジャマイカのモンティゴ・ベイのライブで、カールの歌とコーラス、バッキングの演奏はさらなる厚みを増した。そして「Sloop John B.」も23年後の1989年5月23日カリフォルニアのユニバーサルスタジオのライブも収録、こちらも歌・コーラス・演奏が比較にならないほどの進化を遂げていた。ラストの2曲は1993年11月26日のニューヨークのパラマウント劇場のライブでの「Caroline No」と「You Still Believe In Me」のライブである。ただし1997年の『Pet Sounds Sessions(Box Set)』の「Here Today(Stereo Backing Track」の後にシークレット・トラックで録音時の会話と「I
Just Wasn’t Made For These Times」のア・カペラが10数秒出てくるが、このシークレット部分は本ボックスでは聴くことができない。
2016 『Becoming The
Beach Boys: The Complete Hite & Dorinda Morgan Sessions』(Omnivore Recordings)※なんと63トラック中43トラックが未発表という驚異のCD2枚組。ビーチ・ボーイズがキャピトル契約以前にモーガン夫妻のスタジオで1961年から62年にかけて録音した音源集である
①
Surfin’…Take3, Take4、Take5、Take6、Take8が初登場でTake
3とTake 6は途中で終わるが残りはほぼCandixのMaster並みの完成度で、Take4のラストの最後に一瞬アドリブのファルセットあり。Take1&2は『Made In
California』の「Surfin' (With Session Intro/Mono)」Take7は『Good Vibrations: Thirty Years Of The
Beach Boys』収録、MasterはCandixのシングルで『Lost And Found』のCandix Master、Take2はFirst Attempt、コード弾きのギターに乗せたDemoはThe Pendeltonsとして既に『Lost And Found』でCD化されている。なお『Good Vibrationsは: Thirty Years Of The Beach
Boys』収録のほぼア・カペラのデモの「Surfin' (Rehearsal)」はここには収録されていない。
②
Luau…アコギのDemo Take2はDemo Take1とほぼ同じだが,Demo Take3はギターのリフが全く別、Take1&2、Take3&5-6、Take8-11、Take12はシングルとほぼ同じで複数テイク記載のものは最後のテイクのみ完奏し、初CD化。Demo Take1は『Lost And Found』のThe Pendeltons、Take7はFirst Attempt、MasterはCandixのシングルB面でCandix
MasterでCD化されている。
③
Lavender…ア・カペラのRehearsal Take1、Rehearsal Take3は『Lost & Found』収録のものとほぼ同じ、Take1、Take2、Take4にはギターとベースが入っているが音質は歪んでいて良くない。これらは初CD化。Rehearsal Take2は『Lost & Found』と同じものでCD化されている。
④
Surfin’ Safari…間奏のギターが入っていないTake3&4、Take5&6、Take10と、Candixシングルと間奏のギターがほぼ同じのOverdubTake2 on Take10は初CD化。Overdub Take1 on Take6は『Lost & Found』のCandix Sessions、MasterはCandixのシングルと同じでCandix Master、Stereo OverdubはCandix OverdubbingでCD化されている。このStereo Overdub はAriola のみのSingleのステレオだが、ドラムとベースが大きくミックスされているモノのシングルはリズムがバタバタ遅れて聴こえて相当違って聴こえる。Ariolaのモノシングルは音質が悪いが『Surfin' 1962』(Rock Melon)のCDで聴くことができる。
⑤
Surfer Girl…リード・ヴォーカルが入っていないTake1、Take2、Take3、Take4、Take5、Take6(Take3、Take5は途中まで)とリード・ヴォーカルが入っているもののサビのメロとディが同じメロディで3回繰り返すOverdub Lead Vocalは初CD化。Masterは『Lost
& Found』のCandix Masterと同じでCD化済。
⑥
Judy…リード・ギターが入っていないTake1、Take2と、間奏が違いコーラスの後からリード・ギターが入るOverdub Take4、そしてデモといいながらリード・ギターの音も弾き方も違ってボリュームが大きくミックスされて完成度が高く感じられるDemo-April 1962 Guitar Soloは初CD化。間奏のギターがコーラスの後から始まる『Lost & Found』のCandix MasterはMaster、間奏のギターがコーラスの途中から始まるCandix Session はOverdub Take1&2のTake2[でCD化済(3秒で終わるOverdub
Take1は本CDのみ)。
⑦
Beach Boys Stomp(a.k.a. Karate)…まだリード・ギターもなくブレイクと「カラテ!」の掛け声もない短いTake1、Rehearsal Take2、そこにシンプルなリード・ギターが加わったもののやはりブレイクと「カラテ!」も入っていないOverdub Take1 on Take1は初登場。最後の最後に「カラテ!」が入った1分半もない短いOverdub Take2 on Take1は古くは1969年のLP『Beach Boys Biggest Hits』のあと様々な廉価版CDに入りこのCDにも収録、そしてリードギターが充実し尺が長く1分20秒でブレイクと「カラテ!」の掛け声が入り、さらに演奏が続いて2分5秒で最後にもう一度「カラとテ!」が入る『Lost & Found』のCandix SessionはMasterとして本CDに入った。
⑧
Barbie…この曲はサビの前の歌詞がShe Loves Only Meと歌うSingle Versionと、You Love Only Meと歌う『Beach Boys Biggest Hits』に最初に入ったAlbum Versionがあり、本CDではどちらも収録。なお本物のKenny & The Cadetsのシングル(Brianがリード・ヴォーカルでCarlとAl、Audree
Wilson、Val Poliutoがヴォーカル)では最後のYou
Love Only Meが3回目の途中までで最短、CDは3回目の終わりまで、Album Versionは4回目まで入り最後はメロディを変えて歌っている。そしてSingleのみサビの最後の…Perfect TimeのTimeの最後を巻いたように歌う。初CD化はまずOverdub Take1。サビ前は「You…」、サビのコーラスのあとのブライアンのカウンターのメロディが少し違い、「Time」の部分も歌い方が違う。最後も3回目のYou Love Only Meを下げて歌って4回目はコーラスのみとかなり違う。次の初CD化はOverdub Take2-4で、2と3はすぐ終了、4はサビ前は「You…」でサビが終わる前に終了してしまう。初CD化のOverdub Take5はサビ前は「She…」でSheを長く伸ばして歌っている。その後もサビ後のBarbieを伸ばして歌うなど問題ありと判断したのか最後のリフレインの前に終わる。最後の初CD化のOverdub Take7はサビ前は「You…」でラストのリフレインは4回で上昇して終わり自然終止する。
⑨
What Is A Young Girl Made Of…ピアノをバックでシンガー不明のラフなDemoと、Kenny &The
Cadetsのシングルと演奏は同じながら後半の裏声のあと笑って終わるOverdub Take1、後半の裏声部分を忘れてやはり笑って終わるOverdub Take3、最後のリフレインがシングルと同じで裏声にならないで5回で終わるOverdub Take6、最後のリフレインの4回目と5回目が裏声になるOverdub Take7は初CD化。シングルと同じで最後のリフレインが裏声にならずに4回で終わる本CDのMasterは様々な廉価版に登場、最後のリフレインが3回目から裏声になり5回目の最後は高音で伸ばす『Lost & Found』のStereoは本CDのOverdub Take4&5のTake5でCD化されていた(イントロのみで終わるOverdub Take4は本CDのみ)。
☆必要な参加アルバム
1963 『Shut Down』1997 Reissue(EMIミュージックジャパン)※Capitolリリースのオムニバス盤だが、ここに収録された「Shut Down」は冒頭にエキゾースト・ノートが入りイントロも被っている。
1971 『Celebration』2000 Reissue(Castle)※1970年の「Wouldn’t It Be Nice」のライブ収録。CDタイトルは『Clebration:Live At Big Sur』。
1979 『Americathon』(Lolimar)…サントラ。1分以上演奏が長い「It’s A Beautiful Day(Long Version)」はこの盤のみ。未CD化。(注:Editしたシングル・ヴァージョンは『Ten Years Harmony』収録。このシングル・ヴァージョンは『Made In California』にも収録されたがはるかに音が良くなっているので隠れていた楽器の音などが聴こえるようになった)
1982 『Brian Wilson Rarities』(EMI)…オーストラリアのみリリースのブライアン・ウィルソンがプロデュースした曲等を集めたLPに64年の「What’d I Say」のシドニーのライブが収録されていた。未CD化。
1983 『Rock’n’Roll City』(Hitbound)…マイク・ラブとディーン・トーレンス中心に作られたカセット・オンリーのオムニバス・アルバム。シングルでリリースされた「California Dreamin’」とは違い、マイクがリード・ヴォーカルでアレンジも全く違う別-ジョンの「California Dreamin'(1983 Version)」が収録されていた。表記したのはプロモLPのレーベルで、カセットのメーカーはRealistic。カセット販売のためLPはプロモのみで貴重だ。未CD化。
1984 『Up The Creek』(Pasha)…サントラ。本盤のみ収録の「Up The Creek」収録。未CD化。
1986 『Fourth Of July』(Love Foundation)…1984~85年の建国記念日のライブ。1984年のライブでは「Back In The USSR」(リード・ヴォーカルとドラムがリンゴ・スター)と「Surfer
Girl」(サビをフリオ・イレグスアスが歌う)、1985年のライブからは「Barbara Ann」(ギターの間奏がジミー・ペイジ)、「Come Go With
Me」(オーク・リッジ・ボーイズと共演)の計4曲収録。未CD化。
1988 OST:『Tequila Sunrise』(Capitol) …下記参照
1988 Everly Brothers『Some Hearts』(Universal)…前者はサントラでEverly Brothers &
The Beach Boys名義の「Don’t Worry Baby」としてCDシングルもリリースされた。前者は間奏でdon’t worry babyの後にビーチ・ボーイズのコーラスになるが、後者はdon’t worryを繰り返す。尺も19秒長い。
1987 Fat Boys『Crushin’'』(Polydor)…Fat Boys And The Beach Boysの『Wipe Out』収録。大ヒットしたのでCDシングルや12インチ・シングルがあり、それがあれば不用。
1991 『Two Rooms:Celebrating The Songs Of Elton John & Bernie Taupin』(Polydor )…エルトン・ジョンのトリビュート・アルバム。「Crocodile
Rock」収録。
1993 Brian Wilson『Still I Dream Of You』(M&M)…このCDには『Pet
Project』など60年代のブライアンの参加作品を集めたCDに未収録のBlossoms「Things Are Changing」、Nodaens「Beach Girl」、Hale
& The Hushabyes「Yes Sir,That’s My Baby」、Bob & Bobby「Twelve-O-Four」「Baby What You Want Me To Do」、Laughing Groovy「Vegetables」、Ron Wilson「I’ll Keep On Loving You」「As Tears Go By」に加え、当時のアセテート盤から入手したイントロが欠けていないSurvivors「Pamela Jean」が入っているので、これが最貴重盤の1枚と言えよう。当時これでしか聴けなかったのはBasil Swift & The
Seegrams「Farmer’s Daughter」(Ace『Here Today! The Songs Of Brian Wilson』収録)、Timers「No-Go Showboat」(ステレオで10インチLP Various:『Sessions
‘64』収録。ただしモノはこの盤のみ)がある。なお歌詞が違う「Barbie(Single Version)」「Barbie(Album Version)」を両方その違いを認識してオリジナルで収録していた。
1996 『Televison’s Greatest Hits Volume 4』(TVT)…64年放送のテレビドラマ「Karen」のビーチ・ボーイズが歌う主題歌をテレビサイズでそのまま収録。ちなみにこの曲は当時レコード化されたが、サファリーズが歌っていた。
1998 Sol De Mexico『Acapulco Girls』(Latin EMI)…Sol De Mexico With The Beach Boys名義で「California Girls」の舞台のカリフォルニアをアカプルコに変えた、マリアッチ・サウンドとビーチ・ボーイズのコーラスが最高にマッチした「Acapulco Girls」と、「Kokomo」収録。
2000 『Farm Aid Volume One』(Redline)…96年のカールが歌う「God Only Knows」のライブ収録。アメリカの小規模農場や個人農家を支える基金のためのチャリティ・ライブ。
2001 Annette Funicello『The Best Of Annette』(Walt Disney)…アネットがBuenaVistaから65年にリリースしたシングル「The Monkey’s Uncle」収録。同名のディズニーの映画の主題歌(DVD化されている)で、冒頭でライブが見られるが、リード・ヴォーカルをアネットが歌っている以外、演奏とバック・コーラスは全てビーチ・ボーイズ。ビーチ・ボーイズのクレジットはないが、最盛期のライブがオープニングで見られ、ファンにはたまらないので特別にこのコーナーに含めた。この曲は様々なベスト盤に収録されているので、この盤でなくても何でもよい。今、直近の収録盤として紹介しただけ。
2007 Four Seasons『Jersey Beat:The Music Of Frankie Valli & The Four Seasons』(Wea)※CD3枚+DVD映像1枚のヒストリー。犬猿の仲として有名なビーチ・ボーイズとフォー・シーズンズが唯一共演した1984年のシングル「East Meets West」(The Beach Boys/Frankie
Valli And The Four Seasons名義)収録。
2009 『Home For The
Holidays』(JDRF)…小児糖尿病の患者のためのチャリティ・オムニバスだが、マイクが2006年にiTunesでネット配信のみで販売していた「Santa’s Goin’ To Kokomo」をビーチ・ボーイズ名義で収録。クレジットをよく見るとバック・コーラスにブルースの名が。マイク&ブルースだから「ビーチ・ボーイズ」というなんともセコい代物。
2015 Various:『Sessions ‘64』(Omnivore)…初登場のStereo Mix、Stereo Backing Trackでは、Castellsの「I Do」(Brian作・プロデュース・参加)、Timersの「No Go Showboat」(Brian作・参加)、Honeysの「He’s
A Doll」(Brian作・プロデュース)があり、その他に1983年の「Go Away Boy」の原曲「I Can See Right Through
You(Go Away Boy)(Stereo Backing Track)」(Brian作・プロデュース)を収録。10インチLPのみ。今CD化。
☆必要なシングル・12インチシングル
1970 「Susie Cincinnati(Single Version)」(Brother-Reprise)…「Add Some Music To Your Day」のB面。(1974年の「Child Of Winter」のB面及び1976年はA面でB面は「Everyone's In Love With You」)シングルはエキゾースト・ノートがイントロに入るが、アルバム・ヴァージョンは1番と2番の間に入る。未CD化。
1978 「Hey Little Tomboy(Single Version)」(Brother-Reprise)…「Peggy Sue」のB面。エンディングが14秒長く、演奏部分がずっと続く。未CD化。
1979 「Here Comes The Night/Here Comes The Night(Instrumental)」(Caribou)…12インチ・シングル。『L.A.』のものは8秒でシンセが入り、42秒でコーラス、3分5秒でカールの歌が始まるが、12インチではドラムが長く続き22秒でシンセ、58秒でコーラス、カールの歌は3分22秒と遅めになっている。ただし12インチのエンディングは盛り上がってオーケストラでピタッときれいに終わるが、『L.A.』のものはそのあとにシンセの余韻のようなリフが17秒近くあり最終的な尺は7秒長くなっているが、いらないエンディングだった。。B面はただのカラオケではなくカールの歌の部分にサックスのソロが入るなど、それだけで聴ける作りになっている。構成は『L.A.』のヴァージョンだが、演奏は1分36秒短くなっている。どちらも未CD化。
1986 「Lady Liberty」(Capitol)…「California Dreamin’」のB面及び「Still Cruisin'」の4曲入りCDシングル(英Capitol)収録。「Lady Linda」の替え歌だが、イントロにセリフが被り、エンディングの「主よ人の望みの喜びよ」はカットされた。この曲の発表の時点で、作者のアルはリンダ夫人と離婚し、再婚していた。アルバム未収録。
1986 「Rock'n'Roll To The Rescue(Parcadella Mix)/ Rock'n'Roll To The Rescue(Instrumental)/ Rock'n'Roll To The Rescue(Beach
Party Mix)」(米Capitol)…アメリカのみリリースの「Rock'n'Roll To The Rescue」の12インチ・シングル。タイトル曲と表記の3ミックスに「Good Vibrations(Live In Londonより)」の計5曲入り。Parcadella Mixはほぼパーカッションとヴォーカルだけのミックス、Insrumentalはカラオケ。未CD化。Beach Party Mixは頭と終わりにハウス風のミックスが施した3分以上長い6分30秒の長尺で、前述の1989年リリースの「Still Cruisin'」の4曲入りCDシングルにも収められた。Parcadella MixとInsrumentalが未CD化。
1987 Fat Boys「Wipe Out(Wave 1 Version)/ Wipe
Out(Wave 2 Version)」(Tin Pan Apple)…「Wipe Out」の12インチ・シングル。Wave 1 Versionはスクラッチが入るもののシングルに近いが、Wave 2
Versionはハウス・ミックス。未CD化。
1987 The Beach Boys /Little Richard「Happy
Endings/California Girls(Live)」(Critique)…A面はリトル・リチャードとの共演シングルで、ブルースとテリー・メルチャーが書いた美しいバラード・ナンバー。B面は録音年不明のビーチ・ボーイズのライブで、頭に「一緒に歌おう」のMCが入る。12インチ・シングルにはLong Versionと書かれているが、長さは同じ。未CD化。
1989 「Living Doll」(Eva-Tone)…バービー人形「California」に封入されたオマケのソノシートのみ収録。実際はブライアンのソロ作品だが、ビーチ・ボーイズとクレジットされている。未CD化。
1989 「Kokomo(Spanish Version)」(Elecktra)…「California Dreamin'」の再シングル化の際にカップリングで収められた「Kokomo」のスペイン語ヴァージョンで、レコーディングにはブライアンも参加した。3曲入りCDシングル(Electorola)にも収録されている。アルバム未収録。
1989 「Somewhere Near Japan(Promo CD Version)」(Capitol)…カセット・シングルのみでリリースされた「Somewhere Near Japan」(アルバムと同じヴァージョン)のキャンペーン用のプロモ用CD(1曲のみ)には、ドラムのイントロから始まり、ヴォーカルが前面に出た歯切れのいいヴァージョンが入っていた。プロモCDのみ。
1990 「Problem Child/Problem Child(Instrumental)」(RCA)…テリー・メルチャー作の軽快なロック・ナンバー。同名のサントラだが、カセット・シングルのみのリリース。A面はピクチャー・スリーヴ付のプロモCDシングル(1曲のみ)が作られた。A面はカセットとプロモCDのみ、B面のカラオケはカセットのみである。
1990 「Problem Child(Radio Edit)」(RCA)…この曲のプロモCDは2種類あり、このRadio
Edit(1曲のみ)にはピクチャー・スリーヴがない。そしてこのヴァージョンはシングル・ヴァージョンから子供の声を全面的にカットしてあるため、さらにタイトで魅力的なヴァージョンだった。プロモCDのみ。
1993 John Stamos With The Beach Boys「Forever(AC
Mix)/Forever(CHR Mix)」(Brother)…『Summer In Paradise』からカットした「Forever」の3曲入りCDシングルに収録されたもの。まずCD Mixはアメリカ盤『Summer In Paradise』に収録されたメリハリの弱いテイク。そこでAC Mixはエレキギターとアコースティック・ギター、そしてリズム・セクションを大きくミックスし、イギリス盤『Summer In Paradise』ではこの出来のいいAC Mixに差し替えた。逆にコンテンポラリー・ヒット・ラジオ用にさらにエレキギターのソロを大きくフィーチャーしたのがCHRミックス。CHRはアルバム未収録。
1996 Status Quo With The Beach Boys「Fun Fun
Fun/Fun Fun Fun(Extended Fade Version)」(Polygram)…ステータス・クォーとの共演シングル。コーラス・パートからビーチ・ボーイズの歌が入ってくる。3番の歌詞はマイクが新しく書いており、リード・ヴォーカルもマイク。CDシングルのカップリングのExtended Fade Versionは59秒エンディングが長い。
2010 「Friends(A Cappella)」(Robo Records)…Al Jardine「Don't Fight The Sea」のB面。アル・ジャーディンのホームページから通販のみで購入できる7インチ・アナログ・シングルに収録された。同曲のア・カペラで最後の部分のみ演奏が被る。ちなみに東日本大震災のためにアルがチャリティーで作ったシングルなので、レーベルに漢字で「友」と書いてある。
2012 「That's Why God Made The Radio(Instrumental)」(Capitol)…「That's Why God Made The Radio」の7インチ・アナログ・シングルのB面のみ収録のカラオケ。
2012 「California Girls(Live)/Do It Again(Live)/Sail On Sailor(Live)」(iTunes)…iTunesのみでダウンロードできる「Isn't It Time(Single Version)」のEPのカップリングで、50周年記念ツアーの2012年のシカゴでのライブ。「Sail On Sailor」だけ『Live-The 50th
Anniversary Tour』(Capitol)収録のものと同じと思われる。
☆必要なバック・コーラス参加盤等(表立ってクレジットされていないもの。アネットの「The Monkey's Uncle」のみ「必要な参加盤」に記載した)
1963 Jan & Dean「Surfin' 」「Surfin' Safari」…『Take Linda Surfin'』(Liberty)収録。
1964 Jan & Dean「Little Deuce Coupe」…『Drag City』(Liberty)収録→3曲とも2002年リリースのJan
& Dean:『Take Brian Surfin’』(東芝EMI)に収録。この3曲はビーチ・ボーイズが演奏とバック・コーラスを担当している。アルバム自体はブライアンがジャン&ディーンのために書いた曲や、コーラスで参加した曲を集めたコンピレーション。
1971 Charles Lloyd「All Life Is One」…チャールズ・ロイドのアルバム『Warm Waters』(MCA)に収録。ブライアン、カール、マイク、アルがバック・コーラスを担当したが、後半のコーラスが被る部分でやっと参加しているのが分かる程度の代物。未CD化。
1979 ピンク・レディー「波乗りパイレーツ(USA吹込盤)」…ヒットした同曲のこのB面は驚くことにブライアン、カール、ブルース、マイクの4人がコーラスを担当していたので、A面よりはるかいい出来で、ビーチ・ボーイズ・スタイルのコーラスが楽しめる。96年『Mie & Kei-Pink
Lady Best Selection』(ビクター)でCD化された。
1984 Julio Iglesias「The Air That I Breathe」…フリオ・イグレシアスの『1100 Bel Air Place』(Columbia)収録。ビーチ・ボーイズとしてコーラスに参加しているが、ただのバック・コーラスでビーチ・ボーイズらしさは皆無。
1986 Joan Jett & The Blackhearts「Good Music」「Fun Fun Fun」…ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの『Good Music』(Epic)収録。カール、アル、ブルース、マイクがコーラスを付けているが、ビーチ・ボーイズらしさはあまり感じられない。
1990 Southern Pacific「G.T.O.」…サザン・パシフィックの『County Line』(Warner Bros.)収録。ビーチ・ボーイズとしてコーラスに参加しているが、サビのファルセットでようやくそれらしさを感じられる程度。
1993 Carnie & Wendy Wilson「I Saw Mommy
Kissing Santa Claus」…ブライアンの娘のカーニー&ウェンディ・ウィルソンのアルバム『Hey
Santa!』(Capitol)に、77年に録音してボツになった『Merry Christmas From The Beach Boys』用に録音していたもの。まだ8歳と7歳の彼女らの歌のバックに、ビーチ・ボーイズがコーラスを付けるご愛嬌の1曲。
1996 Jeff Foxworthy「Howdy From Maui」…ジェフ・フォックスワージーの『Crank It Up-The Music Album』(Warner Bros.)収録。ジェフは歌ではなく語りを入れるが、インストの「Diamond Head」や「Wipe Out」のフレーズを散りばめたバッキングの中、ブリッジの部分をビーチ・ボーイズが歌っているとクレジットされている。実際はアルのソロという話もある。
1996 Collin Raye「Winter Wonderland」…『Stars And Stripes Vol.1』に参加したコリン・レイの『Christmas:The
Gift』(Sony)収録。ビーチ・ボーイズとしてコーラス参加のクレジット(ブライアン、カール、アル、ブルース、マイク)。「God Only Knows」を彷彿とさせる素晴らしいハーモニーが楽しめる。
1998 Mike Love,Bruce Johnston And David Marks Of The Beach Boys『Salute Nascar』(76/Meleco)…マイク&ブルースが、まだビーチ・ボーイズの一員として復帰していないデビッド・マークスを加えて、ビーチ・ボーイズのナンバーなど10曲をカバーしたCD。カーレースの「ナスカー」50周年記念に作られ、ガソリン・スタンド・チェーンの「76」で売られていた。
2006 Billy Hinsche「FBI Wipeout」…ビリー・ヒンチの『Mixed Messages』(RD&B)収録。88年にビーチ・ボーイズがFBIに慰問に訪れた時に「Wipeout」のラップ部分の歌詞を変えて歌ったライブだが、きちんとハモッていない。参加したのはカール、アル、ブルース、マイクの4人。
2011 Chicago「Wishing You Were Here/Feelin’
Stronger Every Day」…シカゴとビーチ・ボーイズが共演した75年の伝説のライブツアーが初めて限定でリリースされた『Live Chicago In '75 XXXIV』(Rhino Handmade)に収録された。共演したナンバーで収められたのはこの2曲だけだが、版権の関係でビーチ・ボーイズのコーラスはミックスを下げて収録されている。前者はそれでも感動的な仕上がり。後者はマイクのリードは消されているが、隠し味でコーラスが分かる。
オマケ〇シングルチャート
61 Surfin’-US75、62 Surfin’
Safari-US14、409-US76、Ten Little
Indians-US49、63 Surfin’
USA-US3-UK34、Shut Down-US23、Surfer
Girl-US7、Little Deuce Coupe-US15、Be True To Your School-US6、In My Room-US23、64 Fun Fun Fun-US5、I
Get Around-US1-UK7、Don’t Worry Baby-US24、When I Grow Up(To B A Man)-US9-UK27、Little
Honda(from EP)-US65-UK11、Wendy(from EP)-US44、Dance Dance Dance-US8-UK24、65 Do You Wanna Dance-US12、Please Let Me
Wonder-US52、Help Me Rhonda-US1-UK27、California Girls-US3-UK26、The Little Girl I
Once Knew-US20、Barbara Ann-US2-UK3、67 Sloop John B.-US3-UK2、Caroline No(As-Brian Wilson)-US32、Wouldn’t
It Be Nice-US8、God Only Knows-US39-UK2、Good Vibrations-US1-UK1、67 Then I Kissed Her-UK4、Heroes And
Villains-US12-UK8、Wild Honey-US31-UK29、Darlin‘-US19-UK11、68 Friends-US47-UK25、Do It Again-US20-UK1、Bluebirds Over The Mountain-US61-UK33、69 I Can Hear Music-US24-UK10、Break
Away-US63-UK6、70 Add Some Music
To Your Day-US64、Cottonfields-UK6、71 Long Promised Road-US89、73 Sail On Sailor-US49、California Saga:California-US84-UK37、76 Rock And Roll Music-US5-UK36、It’s OK-US29、78 Peggy Sue-US59、79 Here Come The Nigh(Disco Version)-US44-UK37、Good Timin’-US40、Lady Lynda-UK6、It’s A Beautiful Day-UK45、Sumahama-UK45、80 Goin’
On-US83、81 The Beach Boys
Medley-US12-US47、Come Go With Me-US18、85 Getcha Back-US26-UK97、It’s Getting’ Late-US82、86 Rock’n’Roll To The Rescue-US68、California
Dreamin’-US57、87 Wipe Out(with
The Fat Boys)-US12-UK2、88 Kokomo-US1-UK25、89 Still Cruisin’-US97-UK78、96 Fun Fun Fun(with Status Quo)-UK24
(作成:佐野邦彦)
オマケ:1993年 VANDA6号用THE BEACH BOYSアンケート
★山下達郎さん
〇好きなアルバムベスト5
順位などつけようもなく、この5枚
Little Deuce Coupe
Shut Down Volume 2
All Summer Long
Today
Pet Sounds
〇20曲でベスト盤を作ったら
1. Surfer Girl
2. Your Summer Dream
3. Ballad Of Ole’ Betsy
4. Cherry Cherry Coupe
5. Don’t Worry Baby
6. The Warmth Of The Sun
7. Keep An Eye On Summer
8. Hushabye
9. We’ll Run Away
10.
Wendy
11.
Dance Dance Dance
12.
I’m So Young
13.
She Knows Me Too Well
14.
Let Him Run Wild
15.
Let’s Go Away For Awile
16.
Wind Chimes
17.
Passing By
18.
Our Prayer
19.
All I Wanna Do
20.
Surf’s Up
ボーナス・トラック
21. I Do
22 Wonderful(『Smile』Version)
〇ブライアン・ウィルソンが『Smile』を完成させていたら、ビーチ・ボーイズはどうなっていたと思いますか。
A:想像も付かないし興味も湧かない。当時は『Pet Sounds』でさえあまり好意的には受け入れられなかった(特に日本では)事から考えても、『Smile』が完成しようがしまいが、恐らく大した違いはなかったと思う。いずれにせよ現在の価値観からの『Smile』に対するそのような仮定が、有意義な事とは私には感じられない。
〇ビーチ・ボーイズはあなたにとってどういう存在ですか。
A:御師匠様
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