ここらでジョン・レノンを唐突だが出しておこう。初めにお断りしておくが、オリジナル盤とリマスター盤の違いなど、ビートルズ関係は徹底的に調査されているため、比較せず、その曲が「聴ける」という観点のみで作成している。なお68~69年のジョンとヨーコの実験作『Unfinished
Music No.1:Two Virgins』『Unfinished Music No.2:Life With The
Lions』『Wedding Album』は音楽ではないのでカット。さらにヨーコ関連のものも自分はどうしてもあの声が苦手なので、省略する。ジョンのソロは、単体アルバムは少ないが、膨大なデモをセレクトしたボックスなどボックスセットは3つ必要だし、書籍の付録だったり、その他でもコンピやフランク・ザッパのライブなど要チェック項目はそこそこある。ただポールに比べれば楽。ジョンのアルバムは自分の内面をさらけ出すからジョンであり、今の圧倒的支持がある。そのためジョンの最高作と言えば『John Lennon/Plastic Ono Band』となるが、個人的には次作『Imagine』がベスト。「Imagine」「How」「Jealous Guy」「Oh My Love」など珠玉の曲が並ぶ。以降はこれらを超える曲をジョンは書けなかった。主夫として数年過ごし、活動再開した時の2枚、その中のカセットのデモしか残っていなかった「Grow Old With Me」を聴いた時に、この曲がジョンの手によって完成していれば、結婚式のスタンダードになっただろうと確信するほどの傑作で、ジョンの創作意欲は衰えていなかった、まだまだ名曲が書けたのに…と悲しくも嬉しくもあった。
★JOHN LENNON COLLECTING GUIDE
☆オリジナル・アルバム
1969 『Live Peace In Toronto
1969』(Capitol)※Plastic Ono Bandでリリース。1969年トロントでのライブ。US10
1970 『John Lennon/Plastic
Ono Band(2000 Reissue)』(EMI)※ボーナス・トラックで「Power To The People」と「Do The Oz」(ヨーコの声が小さめで良い)収録。「Do The Oz」は他で聴けるので、ミックス違いにこだわらなければ『John Lennon
Signature Box(Box Set)』があればこの2000年の盤は不用。US6-UK8
1971 『Imagine』(Capitol)※『John Lennon Signature Box(Box Set)』があれば不用。US1-UK1
1972 『Some Time In New
York City』(Capitol)※2005年のリイシューではディスク2のフランク・ザッパとの共演ライブ4曲を外して「Happy X’mas」など他でも聴ける曲を入れて1枚もので発売したので、間違えないよう注意。1枚目のスタジオ録音は10曲中7曲がジョン。『John Lennon Signature Box(Box Set)』があれば不用。US48-UK11
1973 『Mind Games(2002 Reissue)』(EMI)※ボーナス・トラックで「Aisumasen(Home Version)」「Bring On The Lucie(Home Version)」「Meat City(Home Version)」収録。US9-UK13
1974 『Walls And
Bridges(2005 Reissue)』(EMI)※ボーナス・トラックで「Nobody Loves You(Home Version)」と既発のエルトン・ジョンとの共演ライブ「Whatever
Gets You Thru The Night」収録。US1-UK6
1974 『Roots』(AdamⅧ)※モーリス・レビーが通販で『Rock’n’ Roll』のマスターから15曲入りで11月に発売したものの、キャピトルからの訴えで1975年2月に発売中止となったほぼ海賊版。今は他で聴けるが「Angel Baby」「Be My Baby」抜きの13曲が『Rock’n’Roll』として発売された。当初は『Roots』の方にフェイドアウトが長い曲があるなどあったが、CD時代では『Roots』でしか聴けない部分があるのは「Slippin’ & Slidin’」がちゃんと完奏してその後にジョンのセリフが入りドラムで締めるので5秒長いこと。当然未CD化。
1975 『Rock’n’Roll(2004
Reissue)』(EMI)※ボーナス・トラックの「Angel Baby」「To Know Her Is To Love Her」は『Menlove Ave.』と同じだが、「Since My Baby
Left Me」は『Menlove Ave.』収録のものとは別テイク。「Just Because(Reprise)」もアルバム未収録部分を入れたもの。US6-UK6
1980 『Double Fantasy(2000
Reissue)』(Capitol)※ボーナス・トラックで「Help Me To Help Myself」収録。もう1曲はヨーコ。オリジナル盤は14曲中7曲がジョン。US1-UK1
1980 『Double
Fantasy/Stripped Down』2010 Reissue(Capitol)※オリジナル盤に、ヴォーカル中心のミックスの「Stripped Down Version」をプラスした2枚組。
1984 『Milk And Honey(2001
Reissue)』(Capitol)※ボーナス・トラックで「I’m Stepping Out(Home Version)」とジョンが歌う「Every Man
Has A Woman Who Loves Him」(『Lennon(Box)』のものより9秒短い)収録。もう1曲はヨーコ。オリジナル盤は12曲中6曲がジョン。US11-UK3
1986 『Live In New York
City』(Capitol)※72年のマジソン・スクウェア・ガーデンのライブ。US41-UK55
☆必要なコンピレーション盤
1975 『Shaved Fish』(Capitol)※ジョン初のベストだが、最後の「Happy X’mas」からつながる1分ほどの「Give Peace A Chance(Reprise)」は72年のOne To One Concertからのライブ音源。US12-UK8
1986 『Menlove Ave.』(Capitol)※未発表音源集。5曲は『Rock’n’Roll』の未収録曲「Here We Go Again」「Rock And Roll People」「My Baby Let Me」と前述の『Rock’n’Roll(2004 Reissue)』に収録した「Angel Baby」「To Know Her Is To Love Her」。残り「Bless You [Live]」「Nobody Loves You (When You're Down and Out) [Live]」「Old Dirt Road [Live]」「Scared [Live]」「Steel and Glass [Live]」の5曲は『Walls And Bridges』のリハーサル集。US127
1988 『Imagine(Original
Soundtrack)』(Capitol)※71年の「Imagine(Rehearsal)」と79年「Real Love(Demo)」収録。US31-UK64
1990 『Lennon(Box Set)』(Capitol)※4枚組ベストだが、74年11月のエルトン・ジョンとの共演ライブ「Whatever Gets You Thru
The Night」「Lucy In The Sky With Diamonds」「I Saw Her Standing There」が3曲とも収められたジョンのCDはこのボックスのみ。またジョンが歌う「Every Man Has A Woman
Who Loves Him」の最も長い(といっても9秒だが)収録はこのボックスのもの。
1998 『John Lennon
Anthology(Box Set)』(Capitol)※79曲に及ぶジョンの全てのアルバムに渡る未発表デモ、ライブ、レア音源集で、まさに究極のコレクターズ・アイテム集である。その中でも目を引くのは、まず、ジョンがリンゴのために書いた「I’m The Greatest」と「Goodnight Vienna」のデモが非常に素晴らしい。聴いた時には興奮した。そして残されたジョンのデモ・テープにジョージ・マーティンがストリングスを付けた「Grow Old With Me」で、まさに永遠の名曲であることを再確認させられた。そしてジョン・レノンのコレクターが探し求めたAdamⅧの『Roots』のみ収録の残る1曲「Be My Baby」もめでたく収録。ライブでは71年のアポロ・シアターのライブ「Attica State」「Imagine」、同年のJohn Sinclair Benefit Concertから「Luck Of The Irish」「John Sinclair」、72年のOne To One Concertからは「Woman Is The Nigger Of The World」「It’s So Hard」「Come Together」、そして71年にジョンが作曲とヴォーカルで参加したBill Elliot And The
Elastic Oz Bandのシングル「God Save Oz/Do The Oz」も両面とも収録(「Do The Oz」は当時のシングルのままのミックス)された。未発表で有名な「Mucho Mungo」「The Rishi Kesh Song」をはじめ「Long Lost John」「Dear John」「Mr. Hyde's Gone (Don't Be Afraid)」などのデモ・テープも存分に楽しめる。US99-UK64
2003 『Lennon Legend:In
His Own Words』(書籍)※Mike Douglas Showの「Imagine」のライブ(72年)収録のCDが付いていた。
2004 『Acoustic』(Capitol)※ただのアコースティック・ギターをバックにしたデモを集めただけで16曲中7曲が初登場のテイク。US31
2006 『The U.S. Vs. John
Lennon』(Capitol)※71年のJohn Sinclair Benefit
Concertから「Attica State」のライブと「How Do You Sleep(Instrumental)」収録。
2010 『John Lennon
Signature Box(Box Set)』(Capitol)※CD11枚組。9枚は『John
Lennon/Plastic Ono Band』から『Milk And Honey』のオリジナル・アルバムなので、ボーナス・トラックのない、または他で聴ける『John Lennon/Plastic Ono Band』『Imagine』『Some Time In New York City』はこのボックスがあれば不用となる。ディスク10はシングルでしか聴けない69年の「Give Peace A Chance」「Cold Turkey」、70年の「Instant Karma」、71年の「Power To The People」「Happy X’mas」、75年の「Move Over Ms.L」(「Stand By Me」のB面)である。目玉は未発表曲集のディスク11で、未発表トラック13曲中、ホームデモは5曲で「Nobody Told Me」「Beautiful Boys」に未発表曲「One Of The Boys」「Serve Yourself」「India India」3曲が含まれる。その他の別テイクは「Mother」「Love」「God」「I Found Out」「Honey Don’t」「Isolation」「I Found Out」「I Don’t Want To Be A Soldier」。
☆必要な参加盤
1992 Frank Zappa &
The Mothers『Playground Psychotics』(Zappa Records)※『Some Time In New
York City』の4面に収録された71年4月フィルモアでのジョンとフランク・ザッパ&ザ・マザースのライブを、ザッパ自身が再編集した。「Diptheria Blues」の後半から「Well」「Say Please」「AAAWK」「Scumbag」「A Small Eternity With Yoko Ono」がそれで、「Well」のザッパのギターソロは長く、「Scumbag」はフランク・ザッパ&ザ・マザースのヴォーカルも聴ける。
1996 『Rock'n'Roll Circus』(Abkco)※ローリング・ストーンズが1969年に制作したものの、オクラ入りで終わった幻のライブが見られる(DVDも同時発売)ようになった。ジョンはエリック・クラプトン、キース・リチャードをバックに従えてThe Dirty Macの名前で「Yer Blues」を披露した。収録は68年12月。もう1曲演奏し、それはヨーコの曲。
2011 『The Old Grey
Whistle Test 40th Anniversary』(Warner Bros)※BBCの「The Old Grey Whistle Test」に主演した時の75年3月の「Stand By Me」収録。
☆必要な12インチシングル
1980 「Starting Over(Long
Version)」(Geffin)※通常ヴァージョンより27秒長いのでエンディングのアーアーのあともう一度starting overと繰り返していく歌う部分が聴ける。未CD化。
オマケ〇シングルチャート
69 Give Peace A
Chance-US14-UK2、Cold Turkey-US30-UK12、70 Instant Karma-US3-UK4、Mother-US43、71 Power To The
People-US11-UK6、Imagine-US3-UK1(※UKは80年1位、75年6位)、Happy Xmas-US3-UK4(※UKは72)、72 Woman Is The Nigger Of TheWorld-US57、73 Mind Games-US18-UK26、74 Whatever Gets You Thru The Night-US1-UK36、75 ♯9 Dreams-US9-UK23、Stand By Me-US20-UK30、80 (Just Like)Starting Over-US1-UK1、81 Woman-US2-UK1、Watching The Wheels-US10-UK30、82 Love-UK43(70年のReissue)、84 Nobody Told Me-US5-UK6、Borrowed Time-UK32、I’m Steppin’
Out-US55-UK88、85 Jealous Guy(71年のReissue)UK45-US80(USは88年)
(作成:佐野邦彦)
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