ブリティッシュ・ロック・ファンなら誰でも好きなスモール・フェイセス。彼らはロンドンのイーストエンド地区出身でモッズの中から生まれたバンドだった。そのモッズ時代、強烈なビートに乗せたR&B全開のサウンドで、スティーブ・マリオットの黒いシャウト・ヴォーカル中心に酔わせてくれたデッカ時代と、アコースティック・ギターも多用し、サイケ・ポップな、いかにもイギリスを感じさせるイミディエイト時代、そのどちらが好きかで大きく音楽的趣味が分かれる。自分は圧倒的にデッカ時代が好きで、特にデッカ時代のシングルB面曲の、「It’s Too Late」「Understanding」「I Can’t Dance With You」「E too D」などのカッコよさにはいつ聴いても惚れ惚れ。逆にイミディエイト時代はいくらスモール・フェイセスの最高傑作と言われても『Ogden’s Nut Gone Flake』に思い入れは無くデッカの1stの方が文句なしに好きだ。事実、スモール・フェイセスはアメリカでのヒットがなく、不満を抱いたグループを脱退し、ハンブル・パイを結成してしまう。しかしスティーブ・マリオットの相方はやはりロニー・レーンしかなく、60年代の2人だけが化学変化を起こせた。70年代では無理で60年代の奇跡だった。なお、みなが信じていた大量のフレンチEP音源とか、スモール・フェイセスの山のような別テイクの嵐を見事に整理し、正しい情報でリイシューしてくれた恩人は犬伏巧さんなので、改めて感謝したい。
★THE SMALL FACES(60's)
◎Decca Years
☆オリジナル・アルバム
1966 『Small Faces』2015 Reissue『The Decca Years』(Universal)収録UK3
1967 『From The Beginning』2015 Reissue『The Decca Years』(Universal)収録UK17
☆必要なコンピレーション
2015 『The Decca Years』(Universal)内に上記オリジナル盤『Small Faces』『From The Beginning』の内容全てと、『Greatest Hits』として1965年~1967年のDeccaでの8枚のシングルとFrench EP別テイク2曲(「Don't Stop What You're Doing(Alternate Version)」(歌い方からまったく違う)、「Come On
Children(Original French EP Version)」)(後述のフランス盤LPのAlternate Versionに似ているが、2分50秒以降のオルガンのアレンジから、ブレイク時のア・カペラの歌詞など明らかに違っている。そもそもどちらもアルバム・ヴァージョンより50秒短い。)『Rarities & Outtakes』として1970年代の仏盤LPで登場したDecca時代の別テイク13曲や、ステレオ・ヴァージョン2曲、「My
Mind’s Eye」の英シングル初期Matrixのみの初期テイク、『From The Beginning(Deluxe Edition)』で登場した初期テイク1曲、バックトラック5曲が収録された。冒頭の「Come On Children(Alternate Version)」は当初French EP Versionとしてボーナス・トラックに収録されていたヴァージョン。続く「Shake(Alternate Version)と合わせて初期の一発録りの演奏も歌もラフなヴァージョンで、SFファンならお馴染みのテイク。続く「You Better Believe You
(Alternate Version)」は、演奏は同じだがマリオットの歌が別でエンディングが30秒ほど長い。「Own Up Time(Alternate Version)」は演奏が40秒長く「E Too D(Alternate
Version)」は16秒長くこちらは完奏する。ディスク1にも入っていた「Don't Stop What You're Doing(Alternate
Version)」を挟んで、次はマリオットの歌い方が少し違う「What's A Matter
Baby(Alternate Version)」のあとは別テイクのハイライト「What'cha Gonna
Do About It(Alternate Version)」で、これらはみな70年代リリースのフランス盤LP『The Small Faces』で登場したもの。「What'cha Gonna Do About It(Alternate Version)」はフィードバックのイントロからまったく違う演奏で最も荒々しく、シングルよりも魅力的。「Sha La La La Lee(Stereo)」初期で唯一のステレオ・ヴァージョン、「Runaway(Alternate
Mix)」は『From The Beginning (Deluxe
Edition)』で登場したこれもステレオ・ヴァージョン(モノは5秒長い)だ。この他は『From The
Beginning (Deluxe Edition)』のディスク2で登場した「That Man(Alternate Mix)」(エンディングに叫び声なし)、「Yesterday,Today
And Tomorrow(Alternate Mix)」(完奏する『From The Beginning』と違って効果音で終わる)、「Picaninny(Backing Track)」、「Hey Girl(Alternate Version)」(シングルのエンディングにあるshake your handなどの歌詞を歌っていない)、「Take This Hurt Off Me(Alternate Version)」(エンディングの歌い方が違う)、「Baby Don't You Do It(Alternate Version)」と続く。みな大きな違いではなく、ステレオ・ヴァージョンの2曲以外は前述のフランス盤LP『The
Small Faces』収録曲。そして「My Mind's Eye(Early Version)」だ。このヴァージョンはイギリス盤シングル初期マトリックス等で間違えて収録されたヴァージョンで、エンディングのin my mind's eyeの後のコーラスの人数が落ちてしまっていて2人だけのハモリで薄い。(『From The Beginning(Deluxe Edition)』にはAlternateと書いていながら通常ヴァージョンを間違えて収録していた。)そのディスクの残り6曲は『From The Beginning(Deluxe Edition)』で初登場になったテイクで、内訳は5曲のBack Track「Talk
To You(Take5)」「All Our Yesterday(Take11)」「Show Me The Way(Take3)」「I Can't Make
It(Take11)」「Things Are Going To Get Better(Take14)」と、リード・ヴォーカルがシングル・トラックなのは『From The Beginning』と同じだがオルガンが大きく入りアレンジが良くなった「(Tell Me)Have You Ever Seen Me(Alternate Mix
Take2)」だった。ディスク5は『BBC
Session』として1965年-1966年のBBCのスタジオ・ライブ16曲収録。既発の『The BBC Sessions』からImmediate時代の1968年のライブ3曲は外し、1965年9月4日の3曲、1966年3月19日の3曲、1966年5月3日の3曲、1966年8月3日の3曲を収録し、本ボックスの目玉である初登場音源である1966年1月16日放送のJoe Ross Pop Showでの4曲を紹介する。「Sha-La- La-La-Lee」はこの後の収録のテイクよりもテンポアップしていて勢い溢れるライブだ。続いて「Whatcha Gonna Do About It」。オルガンが効いているので、シングルの近い仕上がりだ。驚いたのはインストの「Comin' Home Baby」、イアン・マクレガンのオルガンがクールで、ジャジーな仕上がりでこれは驚き。最後は「You Need Loving」で、3月19日の演奏よりオルガンが全面で鳴っていてこれも良い。本ボックスでUniversalの『Small Faces(Deluxe Edition)』『From The Beginning(Deluxe Edition)』で未収録なのは不要の疑似ステレオだけなので、この2枚はもういらない。なお「Just Passing」「Picanniny」のステレオはImmediate側で聴ける。
1997 『The Definitive Anthology Of The Small Faces』(Repertoire)※スモール・フェイセス前リリースの63年のスティーブ・マリオットのソロ・シングル「Give Her My
Regards/Imaginary Love」、マリオットがいた64年のモーメンツのシングル「You Really Got Me/Money.Money」、スモール・フェイセス脱退後にジミー・ウィンストンが作った67年のシングル「Sorry She's Mine/ It's Not What You
Do」…Jimmy Winston & His Reflectionと、「Real Crazy Apartment/Snow White」…Winston's
Fumbというレアトラックを含むヒストリー・コンピレーション。
2004 『Nice』(Pilot)※1966年の「Beat Beat Beat」出演時の「Hey Girl」「All Or Nothing」「What’cha Gonna Do About It」「Sha-La-La-La-Lee」4曲と、1967~68年の「Beat Club」出演時の6曲収録。Decca時代の前者はリアル・ライブ。後者は口パク。前者全部と後者から1曲を入れたQuick Timeで再生するライブ映像のCDもプラスされているが、全て後にDVD化されている。よって音源的にはCDであるという点以外、レアなものはない。
☆必要なEP
2010 Steve Marriott:『Moments EP』(Acid Jazz)※スモール・フェイセス結成以前のモーメンツの未発表曲「Good Morning Blues」「You’ll Never Get Away
From Me」を収録。既にCD化されたシングル曲「You
Really Got Me」「Money Money」も合わせて収録。収録は1964年。UKの限定アナログEP。未CD化。
◎Immediate Years
☆オリジナル・アルバム
1967 『Small Faces(Immediate)(Deluxe Edition)』2012 Reissue(Sanctuary)※オリジナル盤14曲のモノラル&ステレオ(ほぼ収録時間に差が無く、「Get Yourself Together」のモノが3秒、「All Our Yesterday」のステレオが3秒長い程度)+別テイクや「(If You Think You're) Groovy」のバックトラック(P.P.アーノルドの歌抜きでスティーブ・マリオットのコーラスあり)、「Don’t
Burst My Bubble」(Stereo)等など17曲を追加。ボーナス側では「I’m Only Dreaming」「I Feel Much Better」のStereoは収録されず。特に別テイクが多く「Green Circles」のように8テイク(厳密には10テイク)もあるものは4テイク(最後がつっかかるような編集のモノと、そのつっかかる編集は外したステレオLP収録のステレオ、後半の歌い方が違うAlternateTake2 Mono、および中間からハミングのコーラスが最も厚く重なってくるAlternate Take1 Mix3)が本盤に収録されている。UK12
1968 『Ogden’s Nut Gone Flake(Deluxe Edition)』2012 Reissue(Sanctuary)※モノラル&ステレオ盤+US盤の別ミックス、未発表曲「Kamikhazi」、初期ミックス14曲を追加。モノとステレオでは、モノの「Happydaystoytown」が7秒、「Rollin’ Over」が16秒長く、ステレオは「The Journey」が7秒、「Rene」が25秒長い。この中でしか聴けないのはClassicsIVの「Spooky」のような未使用インスト「Kamikhazi」と、初めて聴くストリングスが入った「Ogdens' Nut Gone Flake (Early Session Version - Mono)」、同じく聴けないストリングスが入った「Happiness Stan (Backing Track - Mono)」、アップテンポでピアノやギターが中心に位置し聴きやすい「Lazy Sunday (Alternate USA Mix - Stereo)」、後の「Rollin’ Over」の「Bun in the Oven (Early
Session Mix - Mono)」はテンポが遅く歌も一部違う。後の「Hungry Intruder」の「The Fly (Take 4 - Instrumental Version - Stereo)」はフルート、ストリングスの代わりがメロトロン。テンポが相当に遅いデモが「Mad John (Take 7 - Early Session Version - Stereo)」で、USAMixは1曲のみ。というのもUSA
Mixは意図的に左右をずらしてダブルトラックのように見せたものだからだった。UK1
☆必要なコンピレーション
1967 『There Are But Four Small Faces+15』2009
Reissue(ビクター)※USのみのコンピ盤。これにエンディングでキーを下げないで終わる貴重な「Here Comes The
Nice(US Single」や、Immediate時代の「Take
My Time」「The Pigs Trotters」「The
War Of The World」のインストや「Don’t Burst My Bubble」(Mono)などのレアトラックなどP.P.アーノルドとの共演「Groovy」など15曲追加。
1967 『There Are But Four Small Faces(Deluxe
Edition)』2014 Reissue(Charly)※上記とはまったくの別コンセプトで、この編集盤のステレオとモノ(Promotional DJ Versionと題され、ステレオを無理矢理モノ化したものもある)が基本で、他レアトラックをプラスしたもの。ここのみで聴けるハミングコーラス入りの「Green Circles(Alternate Take1 Mix2)」は『Small
Faces(Immediate)(Deluxe Edition)』のMix3で2分15秒くらいに聴こえる笑い声の入ったコーラスのオーダーダブがないので聴こえない。BoxのMix1はハミングしか入っていない。そしてこれまた別テイクの宝庫の「(Tell Me)Have You Ever Seen Me」では、ステレオでシングル・トラックだがすぐにコーラスが付き50秒のwords out of placeはユニゾンで1分12秒からメロトロンが入る初出のVersion3(Stereo)がこの盤で登場した。この曲は初出が『From The Beginning』なのでモノのみでヴォーカルがシングル・トラック、メロトロンもないVersion1(Mono)、『The
Decca Years』などにはヴォーカルがシングル・トラックながら1分後のhave you ever seen meの後にアドリブのシャウト・ヴォーカルが入り1分10数秒にメロトロンも入るAlternate Take2(Mono)があった。このTake2が以降のヴァージョンでも使用されているのではないか。この2つがDecca音源だが、『Here Comes The Nice』BoxのTake2 Alt.Mix1-Stereoはまったく同じもので,monoの間違いである。前述の『Small Faces(Immediate)(Deluxe Edition)』にはヴォーカルがダブル・トラックのVersion2(Mono)と、ステレオ盤にはダブル・トラックのVersion2(Stereo)があり、さらにヴォーカルがシングルながら50秒のwords out of placeがハモり1分12秒のメロトロンが入るVersion3(Mono)があった。その他、『There Are But Four Small
Faces (Deluxe Edition) 』のDJモノの方のAlt Monoは加工品なのでちょっと除外したい。テイクの声が入る「Eddie's Dreaming
(Take 4, Mix 1)」、カウント入りで歌がソロの「Show Me The Way (Take 5,
Alternate Mix)」、そしてテレビ出演した時のオケなので基本はインストだが時々コーラスが入る「Tin
Soldier (TV Backing Track)」が登場した。洋盤で「Here Comes The
Nice(US Single」も初収録。
1969 『In Memoriam+15』2009 Reissue(ビクター)※ドイツ先行でリリースされた編集盤に、Immediate時代のシングルや「Wham Bam Thank You Mam」(Stereo)「Don’t Burst My Bubble」(Stereo)「Me You And Us Too」(Mono)など気合の入ったヴァージョン15曲追加。「I’m Only Dreaming」「I Feel Much Better」もStereo。なおLPのA面は1968年のライブ5曲である。
1969 『The Autumn Stone+1』2009 Reissue(ビクター)※『In Memoriam』の内容を含むImmediate時代のコンピレーション。「The Autumn Stone」のバックに笛が入った別ミックス収録。
1997 『The BBC Sessions 1965-68』(Strange Fruit)※BBC関係のスタジオ・ライブ15曲収録。Decca時代の12曲は+4曲で『The Decca Years』の『BBC Sessions』に入ったが、Immediate時代の3曲「If I Were a Carpenter」「Every Little Bit Hurts」「Lazy Sunday」は外されてこの盤でしか聴けないので重要。
2006 Steve Marriott『Tin
Soldier:Steve Marriott Anthology』(Castle)※「Green Circles」(Italian Version)収録。『Here Come The Nice The Immediate Years Box Set 1967-1969』の「Green Circles (Take 1 Italian Version)」に比べ9秒会話とカウントが頭に入るが、フェイドアウトはBoxが9秒長い。
2014 『Here Come The Nice The Immediate Years Box Set 1967-1969』(Charly)※CD4枚+アナログEP4枚のボックス・セット。CD全85曲中、41曲が初登場のテイクで、初期デモや練習風景、完成ヴァージョンもエンディングが長く自然終止している部分まで聴ける曲が多い。ディスク1は『Small Faces Singles Worldwide
As,Bs and EPs』と題されたImmediate時代のシングル、EPを集めたもので、全てオリジナルのモノ・シングル・ヴァージョン。よってエディットされているものはエディットしたものが入っている。目玉はディスク2と3の『Small Faces In The Studio,Olympic,IBC and Trident Sessions』で全て初登場のヴァージョンである。まずは短いがラフな「Green Circles」の原型インストの「Shades Of Green」。(99年のCastleのアルバム『The Darlings Of Wapping Wharf Launderette』収録の「Wham Bam, Thank You Man
(Alternate Stereo Mix)」のシークレットトラックがこれ)続いて途中で終わる「Green Circles(Take1)」と、中間にハミングが入る「Green
Circles(Take 1 Alt Mix 1)」。この3曲はモノ。続いて後の「Tin Soldier」となるバッキング・セッション風景の「Anything(Tracking Sessions)」と、バッキング・トラックの「Anything
(Backing Track)」。ステレオで既発の「Tin Soldier(Instrumental)」と少し違う。「Show Me The Way(Stripped Down Mix)」はバッキングを出来るだけ小さくミックスした生のヴォーカルが聴けるヴァージョン。他に「Donkey Rides,A Penny A Glass」「Things Are
Going To Get Better」「Red Balloon」のステレオのStripped Down Mixが聴ける。後の「I Can't Make It」となるセッション風景の「Wit Art Yer(Tracking Sessions)」とバッキング・トラックの「Wit
Art Yer(Backing Track)」はベースがブンブン唸ってカッコいい。そして歌の入った「I
Can't Make It(Alt Mix)」はヴォーカルが違うだけでなく、エンディングがフェイドアウトではなく自然終止するまで入っている。これらもステレオ。後の「Things Are Going To Get Better」のバッキング・セッション風景が「Doolally(Tracking Session)」。「Call It
Something Nice」の短いラフなセッション「What's It Called?」。これはモノ。そして「Call It Something Nice(Take 9)」はリード・ヴォーカルをオフ気味にしたテイク。リード・ギターもオフ気味でこちらの方が自然だ。こちらはステレオ。途中で終わる「Wide Eyed Girl」のあとは「Wide Eyed Girl On The
Wall(Alt Mix)」で、アコースティック・ギターがオンになっていて、エンディングが30秒以上長く自然終止するまで入っている。どちらもステレオ。アコースティック・ギターが入らない初期インストの「Red Balloon With A Blue Surprise」と、「Red
Balloon(Alternate Mix)」よりさらにヴォーカルがオンの「Red Balloon(Alt
Mix)」。これもステレオ。そしてギターのリフを小さく演奏、2テイクのあと、ア・カペラでリード・ヴォーカルだけが入った後の「Wham Bam Thank You Mam」の「Saieide Mamoon」でディスク2が終わる。ステレオ。ディスク3は「Wham Bam Thank You Mam(Alt Mix)」からスタート、ギターのリフよりもオルガンを大きくフィーチャーし、ヴォーカルも生っぽいステレオ・ミックスだ。後の「Just Passing」で、時折強くかかるエコーが入らない「This Feeling
Of Spring(Take 1)」。「All Our Yesterdays(Backing Track)」はブラスが入ったバッキング・トラックで既発の「All Our Yesterdays(Take 7 Backing Track)」と違う。モノで完奏する。「Talk To You(Alt Mix)」は20秒近く長く自然終止するまで入ったステレオ。キーボードを大きめにバランスよくミックスしている。「Mind The Door Please」は初登場のモノのインストで、ロニー・レーンのベースとケニー・ジョーンズのドラムのみ。ケニーのドラムが縦横無尽でカッコよく、フーではキース・ムーンとは違ってリズムを正確にキープするだけでつまらないと思っていたが、見直した。非常にサイケデリックでまるでピンク・フロイド。「Mad John(Tracking Session)」はスティーブ・マリオットとロニー・レーンだけの練習風景。ステレオ。「A Collibosher(Take 4)」はギターとブラスを中心にしたインストで、16秒長いため。自然終止まで聴くことができる。ステレオ。「Lazy Sunday Afternoon(Early Mix)」は「Lazy
Sunday」のヴォーカルをオーバーダブする前のテイク。モノ。「Jack(Backing Track)」は「The War Of The Worlds」のことで、25秒長いので自然終始まで聴ける。そして「Fred(Backing Track)」は「The Pig Trotters」のことで、オルガンが大きくミックスされている。どちらもBacking Trackとあるが曲自体がインスト。ステレオで収録されている。「Kolomodelomo(Take 1)」は後の「Donkey Rides,A Penny A Glass」で、ラフなステレオの初期インスト。「Jenny's Song(Take 2)」は「The Autumn Stone」のことだが、シタールが大きくミックスされている。ステレオ。ディスク4は『Alternate Small Faces Out-Takes And In Concert』で別テイクとライブで構成されている。その中で初登場のテイクだけ紹介するとまず「Green Circles(Take 1 Italian Version)」。スティーブ・マリオットの『Tin Soldier』で初めて聴くことができたイタリア語ヴァージョンだが、ミックスが違い最初のサビはベースだけのバッキングに聴こえるテイクだ。モノ。「Yesterday,Today And Tomorrow(Alt Mix)」は既発のAlternate
Mixと同じくエンディングにノイズのようなエフェクトが入るテイクだがエコーが全体的にやや薄い。ステレオ。「Get
Yourself Together(Alt Mix)」は従来ヴォーカルが片チャンネルに極端に寄ったステレオだが、真ん中からさらにオンに出てくるステレオで、ステレオでカットされていた1分10秒と1分50秒に入っていないコーラスが入った。「Eddie's Dreaming(Take 2 Alt Mix)」はエンディングにアドリブ・ヴォーカルが入ったAlternate
Mixの方でステレオ。「Up The Wooden Hills To Bedfordshire(US Alt
Mix)」はエンディングのオルガンが小さめにミックスされたモノ。「Afterglow Of Your
Love(Alt Single Version)」はキーが低いのでテンポも遅く少しロング・ヴァージョンとなっている。モノ。「Picanniny (Alt Mix) [Stereo]は99年のCastleのアルバム『The Darlings Of Wapping Wharf
Launderette [Disc 2]でしか聴けなかった「Picanniny(Stereo)」の事で貴重。ライブは『In Memoriam』と同じものだが、「All Or Nothing(Live)」は、曲ではないがエンディングのナレーションが多く入っていて20秒長い収録である。その他の曲は同じ。続いてアナログの紹介へ移ろう。「Mystery...」と題されたアセテートは「Something I Want To Tell You」で、従来のテイクと違ってエコーがかかっており、最初の間奏でロニーのため息がカウンターのように入ってくるのが決定的に違う。モノ。なお、「(Tell Me)Have You Ever Seen Me(Take2 Alt.Mix1-Stereo)」はモノであり、『The Decca
Years』のAlternate Take2とまったく同じものだった。
☆必要な参加アルバム
1968 Billy Nicholls:『Wound You Believe』1998 Reissue(テイチク)※「Would You Believe」で、スティーブ・マリオットとロニー・レーンがプロデュースを担当、スモール・フェイセスがアレンジでクレジットされバックを担当、後半にスティーブ・マリオットのシャウトのコーラスが堪能できる。モノ・シングル・ヴァージョンも収録され、こちらはややマリオットのヴォーカルが聴こえにくい。Immediateでアンドリュー・オールダムのプロデュースで1968年に制作されたが財政難で100枚作られただけで終わる。1998年になってビリー・二コルス本人のレーベルSouth Westからリイシューされ、以降、幻の名盤としてずっとカタログ化されているが、世界初のリイシューはテイチクが早かった。私がダメもとでテイチクにオファーをかけてもらったらOKが出て、リイシュー出来た時は心から感激したもの。その後South Westで限定リイシューが始まり、以降、爆発的に世界中でリイシューされていくことになる。
オマケ〇シングルチャート
65 Whatcha Gonna Do About It-UK14、66 Sha-La-La-La-Lee-UK3、Hey Girl-UK10、All Or Nothing-UK1、My
Mind’s Eye-UK4、67 I Can’t Make
It-Uk26、Here Come The Nice-UK12、Itchycoo Park-UK3-US16、Tin Soldier-UK9-US73、68 Lazy Sunday-UK2、Universal-UK16、69 Afterglow Of Your Love-UK36
(作成:佐野邦彦)
オマケ:1992年 VANDA8号用SMALL FACESアンケート
★真島昌利さん(THE BLUE HEARTS)
好きなスモール・フェイセス・ナンバー・ベスト5
①What‘cha Gonna Do
About It②All Or Nothing③My Mind’s
Eyes④Sorry She’s Mine⑤Sha-La-La-La-Lee
好きなアルバム・ベスト3
①Small Faces(Decca)②From The Beginning③記入無し
★加藤ひさしさん(THE COLLECTORS)
好きなスモール・フェイセス・ナンバー・ベスト5
①
Lazy Sunday②Itchycoo Park③The Autumn Stone④Sha-La-La-La-Lee⑤ My Mind’s Eye
好きなアルバム・ベスト3
①Ogden’s Nut Gone Flake②Small Faces(Immediate)③Best Album(詳細不明)
★古市コータローさん(THE COLLECTORS)
好きなスモール・フェイセス・ナンバー・ベスト5
①
All Or Nothing②My Mind's Eye③Itchycoo
Park④Lazy Sunday⑤Tin Soldier
好きなアルバム・ベスト3
①
2020 Hits(Best盤。詳細不明)②③記入なし
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