さて、イギリスのロック・バンドは超大物揃いだが、データ量が凄く、最後に回すことにして、まずは歴史的にはビートルズやストーンズと同時期から活躍したホリーズを詳細に紹介しよう。ただ対象はグラハム・ナッシュがいた1968年までなので、そこで終わりだ。ナッシュ脱退以降は別のバンドと言っていい。1963年にデビューしたホリーズは、当初自作は少なく徐々に自作を増やすもののシングルは他の作曲家が書いてアメリカでも大ヒットを得るようになる。しかし1966年の「Stop Stop Stop」のシングル以降は、メンバーのグラハム・ナッシュ、アラン・クラーク、トニー・ヒックス3人の自作自演の曲で勝負するようになりアルバム全曲も3人のオリジナルで、1967年には『Evolution』『Butterfly』というプログレッシブな傑作アルバムを作り出して、ホリーズは歴史に残る偉大なバンドの仲間入りを果たしたのである。しかし従来のホリーズ・ファンには受け入れられず、『Butterfly』がノン・チャートだったため、グループは、全曲ボブ・ディランのカバーのアルバムを作ることになり、このことに反発したグラハム・ナッシュはグループを脱退し、バーズのデビッド・クロスビー、バッファロー・スプリングフィールドのステファン・スティルスとクロスビー・スティルス&ナッシュに参加する。その後のナッシュの活躍はニール・ヤングの参加もあり、時代を変える力にまでなっていく。さて、嬉しいことにナッシュにこだわるホリーズ・ファンは多く、イギリス盤はLP、シングル、EP、海外盤のみなど数多くのCDを集めなければいけなかったが、ホリーズにグラハム・ナッシュが在籍した黄金時代の作品は『Clarke,Hicks & Nash Years:The Complete Hollies April
1963-October 1968(Box Set)』(EMI)…以下Box Setと表記、で一気にほぼ全部聴けることになった。CD6枚で3千円ちょっと、これで無駄なく揃ってしまうこんなCDは他のグループにない。このBox Set以外はBBCライブなど一部の音源である。なお、付け加えておくと、グラハム・ナッシュの代わりにホリーズに加入したテリー・シルベスターは、ソロだとメロディ・メイカーで甘いヴォーカルで素晴らしいレコードを作っているのに、ホリーズだと目立たない地味な存在で終わってしまったのが残念だ。
★THE HOLLIES (Graham Nash Years)
☆オリジナル・アルバム(※ただし、曲だけを聴きたいのならBox Set)』にアルバム部分は全曲収録)
1964 『Stay With The Hollies』2013 Reissue(ワーナー)※ステレオ&モノラル仕様。「Little Lover」は間奏のギター、「Candy Man」は間奏のハーモニカが違う。ボーナストラックにオーストラリアの1stLP収録の1分長くギターの間奏もある「Poison Ivy(Take9)」を初CD化。UK2
1964 『In The Hollies Style』2013 Reissue(ワーナー)※ステレオ&モノラル仕様。「In Her Kiss」はモノが3秒、「Come
On Home」のモノは6秒長い。ボーナストラックには「We’re
Through(Alternate Take)」(アコギのリフが小さ目で全面的に入るパーカッションが大きい。ハンドクラップなし)収録。
1965 『The Hollies』2013 Reissue(ワーナー) ※ステレオ&モノラル仕様。「Too Many People」のモノは最後にガラスを割るようなSEが入っている。「Lawdy Miss Clawdy」のステレオは50秒からのギターの間奏にモノにはないハーモニカが少し被る。ステレオの「When I Come Home To You」に入っているバックのアルペジオギターがモノにはない。ステレオの「Fortune Teller」で大きく鳴り続けるカウベルがモノでは非常に小さい。ボーナストラックの「Look Through Any Window(Alternate Version)」は後半ウーというコーラスが入り手拍子も大きく入る。68年の『Hollies Greatest』(Parlophone)が初出。UK8-US145
1966 『Would You Believe』2013 Reissue(ワーナー) ※ステレオ&モノラル仕様。ステレオの「I’ve Got A Way Of My Own」は4秒長い。ボーナストラックの「A Taste Of Honey」のモノは初CD化。UK16
1966 『For Certain Because』2013 Reissue(ワーナー)※ステレオ&モノラル仕様。モノの「It’s You」「Don’t Ever Think About Changing」は5秒長い。ボーナストラックに「Non Prego Per Me(Mono
Version)」「Devi Aver Fiducia In Me(Mono Version)」…イタリアのみのシングルでこの2曲もステレオ&モノ仕様。 UK23-UK91
1967 『Evolution』2013 Reissue(ワーナー)※ステレオ&モノラル仕様。ステレオの「Ye Olde Toffee Shoppe」の右に鳴り続けたチャイムがモノには入っていない。ボーナストラック「Kill Me Quick(Mono Version)」「We’re
Alive(Mono Version)」…この2曲もステレオ&モノ仕様。モノは初CD化。UK13-US41
1967 『Butterfly』2000 Reissue(EMI) ※ステレオ&モノラル仕様。モノの「Away Away
Away」が3秒、「Maker」が19秒、「Would You Believe」が13秒、「Step Inside」で2秒長い。そしてモノの「Pegasus」ではthe flying horseの歌のカウンターにホーンが入るが、ステレオでかなり小さい。また「Wishyouawish」のモノの冒頭5秒は小鳥のさえずり、ステレオの冒頭5秒は小川のせせらぎとまったく違い、ステレオは2分で終わるがモノは最後にまた小鳥のさえずりで7秒長い。さらにボーナストラックに「Try It (US Mono Single
Version)」は冒頭と終わりのSEがなく20秒短い。
☆必要なコンピレーション
1988 『The Hollies』(EMI Compacts For Pleasure)※リード・ヴォーカルが粘っこくコーラスが少ない「Searchin’(Alternate Version)」収録。Box Set未収録曲。
1993 『Rarities』(東芝EMI)※「Like
Every Time Before(Complete version)」はリード・ギターが入っている。そのため冒頭のサビの部分から的確なコードのギターがジャラーンと入り、間奏でも派手ではないがリードギター入りとなる。ということは今まで他に入っているこの曲はリードギター欠落ヴァージョンを聴いてきたということだ。Box Set未収録曲。
1993 『30th Anniversary Collection』(EMI)※「(Ain’t That)Just Like Me」は2回のやり直しが入り47秒、「Now's
The Time」は6秒、「I Understand」は13秒、「Keep Off That Friend Of Mine」は5秒、「Yes I Will」は32秒(『The Hollies At Abbey Road 1963-1966』の「Come
On Back」の終わりに同じものが入っている)、「I’ve Got A Way Of My Own」は3秒、「Kill Me Quick」は8秒、「Carry Anne」は8秒、そしてナッシュ脱退直後だがトニー・マコウレイ作の傑作「Sorry Suzanne」の前も19秒、スタジオチャットが入っていた。
1997 『The Hollies At Abbey Road 1963-1966』(EMI)※「Poison Ivy」(Take10-12)
(前の曲の「Whole World Over」の後半の50秒で、イントロのみ失敗のTake10とTake11が入っていた。そのままカウントで完成品のTake12につながる。
2005 『For Certain
Because』(Magic)仏 ※『Clark.Hicks
& Nash Years』のボックス未収録の67年Swedenでの放送用ライブ「Reach
Out I'll Be There」「Too Much Monkey Business」「Stop Stop Stop」収録。Box Set未収録曲。(2003年のボックス・セット「Long Road Home(Box Set)」にも収録されていた。)
2008 『Les Hollies
Featuring Graham Nash』(Magic)仏※『Clark.Hicks & Nash Years』ボックス未収録の1966年の「Just One Look」「On A Carousel」のライブ収録。Box Set未収録曲。
2011 『Clarke,Hicks & Nash Years:The Complete Hollies April
1963-October 1968(Box Set)』(EMI)※1964-67年のアルバムに、アルバム未収録シングル「(Ain’t That)Just Like Me」「Hey What’s Wrong With Me」「Searchin’」「Whole World Over」「Now’s The Time」「Just One Look」「Keep Off That Friend Of Mine」「Here I Go Again」「Baby That’s All」「We’re Through」「Come On Back」「Yes I Will」「Nobody」「I’m Alive」「You Know He Did」「Look Through Any Window」「If I Needed Someone」「Running Through The Night」「Bus Stop」「Don’t Run And Hide」「After The Fox」「It’s You」「Non Prego Per Me」「Devi Avere Fiducia In Me」「On A Carousel」「All The World Is Love」「We’re Alive」「Kill Me Quick」「Carrie Anne」「Signs That Will Never Change」「King Midas In Reverse」「Everything Is Sunshine」「Jennifer Eccles」「Open Up Your Eye」「Listen To Me」「Do The Best You Can」「Like Every Time Before」「Blowin’ In The Wind(Nash Version)」、アルバム未収録EP「What Kind Of Love」「When I’m Not There」「Honey And Wine」、60年代のコンピレーションLPで発表された曲で66年の「A Taste Of Honey」68年の「Look Through Any Window(Alternate Version)」「Yes I Will(Alternate Version)」「Wings」、さらに『30th
Anniversary Collection』『Long Road Home』などのコンピレーションBoxでまとめられた70年代以降にリリースされた未発表曲63年の「Zip A Dee Do Dah」「I Understand」「Poison Ivy」64年「We’re Through(Alternative Arrangement」「She Said Yeah」65年Listen
Here To Me(Demo) 「So Lonely(Demo) 」「Bring Back Your Love To Me(Demo) 」「Little
Bitty Pretty One」66年「She Gives Me
Everything I Want」「I Can’t Get Nowhere With You」「You In My Arms「Look Through Any
Window(French Lyric Version)」「Stewball(French Lyric
Version)」 「You Know He Did(French Lyric Version)」「We’re Through(French Lyric Version)」67年「Schoolgirl」68年「Tomorrow
When It Comes」「Relax」「Man With
No Expression」「A Taste Of Honey(1968 Version)」そして未発表ライブは 68年5月の Lewisham
Odeonでのライブの「Stop!Stop!Stop!」「Look
Through Any Window」「The Times They're A Changin'」「On A Carousel」「King Mindas In Revese」「Butterfly」「Jennifer Eccles」「Carrie Anne」なド152曲収録の究極のBox Set。基本的にこれで一般的なホリーズのコレクティングはほぼ完了と言っても過言ではない。
2012 『Radio Fun』(EMI)Graham
Nash在籍時のBBCなどのスタジオ・ライブ。1964年9月~1968年3月までの32曲収録。Box Set未収録。
2014 『Hollies Greatest+Singles Vol.1』『Hollies
Greatest+Singles Vol.2』(ワーナー)1963年~1968年のGraham Nash時代のシングルをステレオ&モノで網羅。Vol.1では「(Ain’t That)Just
Like Me」のステレオは10秒、「Stop!Stop!Stop!」のステレオは間奏が10秒長いので全長も10秒、「All
The World Is Love」のステレオは3秒、「Sign
That Will Never Change」のステレオは4秒長い。アルバムとの重複表記になるが「I’ve Got A Way Of My Own」のモノは4秒、「It’s You」のモノは5秒長い。Vol.2では「Jennifer Eccles」のモノは10秒、「Do The Best You Can」のステレオは10秒長い。
オマケ〇シングルチャート
63 (Ain’t That)Just Like Me-UK25、Searchin’-UK13、Stay-UK8、64 Just One
Look-UK2-US98、Here I Go Again-UK4、We’re Through-UK7、65 Yes I Will-UK9、I’m Alive-UK1、Look Through Any Window-UK4-US32、If I Needed
Someone-UK20、66 I Can’t Let
Go-UK2-US42、Bus Stop-UK5-US5、Stop
Stop Stop-UK2-US7、67 On A
Carousel-UK4-US11、Pay You Back With Interest-US28、Carrie Anne-UK3-US9、King Midas In
Reverse-UK18-US51、Dear Eloise-US50、68 Jennifer Eccles-UK7-US40、Do The Best You Can-US93、Listen To Me-UK11
(作成:佐野邦彦)
0 件のコメント:
コメントを投稿