さて、大物が続いた中、中堅のヒットメイカー、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズを紹介しよう。アメリカを代表するコメディアン・ジェリー・ルイスの息子のゲイリー・ルイスをリード・ヴォーカルに据えたグループで、その他のメンバーはタダのオマケでレコーディングの参加もほとんどない。しかし1964年の「This Diamond Ring」から7枚連続で全米トップ10入り、9曲連続のトップ20入りという実績はあまりに凄い。この実績は、プロデューサーのスナッフ・ギャレット、アレンジャーのレオン・ラッセルの2人で作り出したサウンド、起用したコンポーザーの人選が見事な証だ。ギャレットは4枚目からはプロデューサーはデイヴ・ぺルに変わり、実質的なレコーディングのボスはレオン・ラッセルだったという。レオン・ラッセルはその後ソロで大活躍するため『New Directions』からはスタッフが変わりプロデュースはゲイリー・クレインなど3人、アレンジャーはジャック・ニッチェ、ニック・デカロらが付き内容はいいがもうグループの「旬」が過ぎていてチャートは振るわない。その後の『Listen』はゲイリー・ルイスのソロ名義にして、ジャック・ニッチェが全部のアレンジを担当した、彼らのアルバムで唯一、誇れる内容だったが、ノン・チャートだったため、昔、私がゲイリー・ルイスにインタビューした時に「金ばかりかかってまったくヒットしなかった」と忌々しそうに吐き捨てており、スナッフ・ギャレットとレオン・ラッセルがいれば…と恨み節のように話していたのを聴き、この人は「ショー・ビジネス」の世界にいる人だと思った。その後の『Now!』では久々スナッフ・ギャレットが復帰、アレンジャーにはアル・キャップスという実力者が付き、内容は良かったが大きなヒットは生まれなかった。ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズは、モンキーズよりも早い、アメリカのプロ・ミュージシャン達のブリティッシュ・インベンションへの返答だったという位置づけだ。なお1969年以降は2枚のアルバムをLibertyからリリース、かつてのスタッフからも離れロック色が強くなったが内容的にパスした。
★GARY LEWIS & THE PLAYBOYS(1964-1968)
☆オリジナル・アルバム
1965 『This Diamond
Ring』1999 Reissue(Taragon)※『A Session With Gary Lewis & The Playboys』との2イン1。+2曲だが『The Complete Liberty Singles』で聴ける。US26
1965 『A Session
With Gary Lewis & The Playboys』1999 Reissue(Taragon)※『This Diamond Ring』との2イン1。上記参照。US18
1965 『Everybody
Loves A Clown』1992 Reissue(Capitol)※『She’s Just My Style』との2イン1。+3曲だが他CDで聴ける。US44
1966 『She’s Just My
Style』1992 Reissue(Capitol)※『Everybody Loves A Clown』との2イン1。上記参照。US71
1966 『Hits Again!』(Liberty)※未CD化。そのためヒットシングル以外の「Look Through Any Window」「It’s Too Late」「Face In The Crowd」「A Well Respected Man」「Rubber Ball」「Autumn」「One Track Mind」「You Baby」「Daydream」が未CD化のまま。US47
1967 『You Don’t
Have To Paint Me A Picture』2012 Reissue(BGO)※『New Directions』『Gary Lewis Now!』との3イン1。US79
1967 『New
Directions』2012 Reissue(BGO)※『You Don’t Have To Paint Me A Picture』『Gary
Lewis Now!』との3イン1。US185
1967 『Listen!』2010 Reissue(Now Sounds)※ステレオ&モノラル仕様。+モノシングル2曲。Gary Lewisのソロ名義のリリース。
1968 『Gary Lewis
Now!』2012 Reissue(BGO)※『You Don’t Have To Paint Me A Picture』『New
Directions』との3イン1。US150
☆必要なコンピレーション
1990 『Legendary
Masters Series:Gary Lewis & The Playboys』(Capitol)※「My Heart’s Symphony」の頭にスティックのカウントを含むスタジオチャット入り。
1996 『Great Coke
Commercials 1』(Vox Records)※1966年のCoca ColaのCM「Things
Go Better With Coke」2テイク収録。
2004 『The Very Best
Of Gary Lewis & The Playboys』(東芝EMI)(日本のみ)※バッキングに木琴が加わりホーンが欠落、ビートが増して華やかになった「Sure Gonna Miss Her(Alternate Version)」のはこの盤のみ。シングルよりはるかに出来がいいこのヴァージョンはアルバム『Hits Again!』のステレオで登場した。後に『Golden Greats』にも入っていたという幻のヴァージョン。
2010 『The Complete
Liberty Singles: :Gary Lewis & The Playboys』(Collector’s
Choice)※プロモのみの「Doin’ The Flake」「Way Way Out」やシングルのみの「Has She Got The Nicest
Eyes」、シングルB面曲の「Hard To Find」「Tijuana Wedding」「I Don't Wanna Say Goodnight」「May The Best Man Win」「Ice Melts In The Sun」などアルバム未収録を含む1965~1970年のシングル45曲全収録。『Hit Again!』がCD化されていないので「I Can Read Between The Lines」もCDはこれのみとなっている。
オマケ〇シングルチャート
64 This Diamond
Ring-US1、65 Count Me In-US2、Save Your Heart For Me-US2、65 Everybody Loves A Clown-US4、She’s Just My
Style-US3、66 Sure Gonna Miss
Her-US9、Green Grass-US8、My
Heart’s Symphony-US13、(You Don’t Have To)Paint Me A Picture-US15、Where Will The Words
Come From-US21、67 The
Loser-US43、Girls In Love-US39、Jill-US52、68 Sealed With A Kiss-US19
(作成:佐野邦彦)
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