1970年までのサイモン&ガーファンクルは本当にいい。曲作りのクオリティがアルバムの度に加速度的に進化、『Parsley,Sage,Rosemary & Thyme』『Bookends』『Bridge Over Troubled Water』の3枚の優れた楽曲にはため息が出るほどだ。ポール・サイモンは、「Bridge Over Troubled Water」は自分が作った曲なのに、アート・ガーファンクルがその天使の声で万雷の拍手を浴びているのを、雑な気持ちでいたと語っていたが、そういう思いの長い蓄積が、全米・全英で1位を獲得したS&Gの活動の頂点でユニットに終止符を打たせてしまったのだろう。でもポールの曲を一番表現できたのはアートの声であり、個人的にはサイモン&ガーファンクル、それもポールの才能が頂点に達する1970年までの楽曲で自分は十分である。彼らによって学んだことも多く、ロックのグルーヴ感はエレキギターの有無は無関係、「Mrs.Robinson」でのポールのアコースティック・ギターのカッティングのカッコよさは、まさにロックだった。同じ1968年にはロック史上の最高作である「Jumpin’ Jack Flash」がリリースされているが「Mrs.Robinson」も一歩も劣らない。ただ、リアルタイムに1970年に中学生になった我々は「ビートルズ派」「ストーンズ派」とおおまかに区分されていたがその中に「S&G派」の友人がいたがそう言えない雰囲気があった。ポップ寄りのものは…という時代がまだ残っていたのだ。そんなものはグループである事も自由なCSN&Yの出現などで垣根は消え去っていくのだが…。なお1957年から1963年までのTom & Jerry時代の音源は、オールディーズで内容が違いすぎるため、下記に別掲載した。
★SIMON & GARFUNKEL(1964-1970)
☆オリジナル・アルバム
1964 『Wednesday
Morning,3 A.M.(Extra Track)』2001 Reissue(Sony)※未発表の「Bleecker Street [Demo Version]」「He Was My
Brother [Alternate Take 1]」「Sun Is Burning [Alternate
Take 2]」の3曲追加。(1曲は『Old Friends(Box Set)』のもの。)US34-UK24
1965 『The Paul
Simon Songbook(Extra Track)』2004 Reissue(Sony)※この盤では未発表の「I Am A Rock [Alternate Version]」「A Church Is
Burning [Alternate Version]」の2曲追加。Paul SimonのソロでS&Gの録音ではないが、ボーナスを含めた全14曲中13曲をS&Gで録音しているため、含める。USは当時未発売。
1966 『Sound Of
Silence(Extra Track)』2001 Reissue(Sony)※未発表曲「Blues Run The Game (Outtake)」「Barbriallen
(Demo)」「Rose Of Aberdeen (Demo)」「Roving Gambler (Demo)」の4曲追加。(1曲は『Old Friends(Box Set)』のもの。)US21-UK13
1966『Parsley,Sage,Rosemary
& Thyme(Extra Track)』2001 Reissue(Sony)※「Patterns(Demo)」「A Poem On The Underground
Wall(Demo)」の未発表デモ2曲追加。US4-UK13
1968 『Bookends(Extra
Track)』2001 Reissue(Sony)※未発表の「Old
Friends(Demo)」とシングルB面曲「You Don’t
Know Where Your Interest Lies」追加。US1-UK1
1968 『Graduate(Soundtrack)』(Sony)※同名映画のサウンドトラック。8曲収録され、「Mrs. Robinson(Hamming)」「Scarborough Fair/Canticle (Interlude)」「Scarborough
Fair/Canticle(OST)」「The Big Bright Green Pleasure
Machine(Alternate)」「Mrs. Robinson(Alternate)」「The Sound Of Silence(Alternate)」の6曲はこの盤でしか聴けない別テイク。US1-UK3
1970 『Bridge Over
Troubled Water(Extra Track)』2001 Reissue(Sony)※「Feuilles-O」「Bridge Over Troubled Water (Demo
Take 6)」の2曲追加。(1曲は『Old Friends(Box Set)』のもの)US1-UK1
2002 『Live From New
York City,1967』(Columbia)※1967年のライブ19曲。(『Old Friends(Box
Set)』のライブ4曲も収録された。)US165
2008 『Live 1969』(Columbia)※1969年の様々な場所でのライブ17曲。『Simon & Garfunkel’s Greatest Hits』のライブ2曲も収録された。US33
☆必要なコンピレーション(ライブ参加含む)
1972 『Simon &
Garfunkel’s Greatest Hits』(Columbia)※「The 59th Street Bridge Song」「Homeward
Bound」のライブはこの盤のみ。ただし『Live 1969』に収録された「For Emily, Whenever I May Find Her」「Kathy's
Song」はエコーが減ってドライな感じになので、本盤の方がいい出来だ。US5-UK2
1997 『Old
Friends(Box Set)』(Columbia)※未発表デモとライブがリリース当時は15曲入った。後にリリースされたオリジナル盤とライブ盤に7曲が収録されたが、67年のライブの「Red Rubber Ball」や68年のライブ「Overs」「A
Most Peculiar Man」「Bye Bye Love」、69年のライブの「Hey Schoolgirl/Black Slacks」「That Silver Haired Daddy Of Mine」(『Live 1969』より尺が長い)と、1967年のColumbia Special Productsのコンピ『A Very Merry
Christmas』に収録されていた「Star Carol」とその時の未収録曲「Comfort And Joy」はこのボックスでしか聴けない。また67年のシングル「Fakin’ It」のB面のみの「You
Don’t Know Where Your Interest Lies」はこのボックスが初CD化だった。なお似たタイトルの2003年の再結成ライブ『Old Friends(Live On Stage)』はまったくの別物なので要注意。UK170
2007 『Monterey
International Pop Festival(Live)』(Razor & Tie)※同名のボックス・セットに入りきらなかった未収録曲を集めたものだが、「Homeward Bound」「Sound Of Silence」が収録された。1967年のライブ。
☆必要なシングル
1963 「Carlos
Dominguez」(Tribute)※1963年にPaul Kane名義で出し、1964年にはPaul Simon名義で再リリースされた。メロディ、歌詞、サウンドともポール・サイモンそのものでTom & Jerry時代と決別している傑作だが未CD化のまま。カップリングは「He Was My Brother」でこちらは後に『The Paul Simon
Songbook』に収録された。「Carlos Dominguez」はかつて日本のReal Musicから『In The Beginning』のCDに収録されていた。
オマケ〇シングルチャート
65 The Sound Of
Silence(Electric Version)-US1-UK9、66 Homeward Bound-US5-UK9、I Am A Rock-US3-UK17、The Dangling Conversation-US25、A Hazy Shade
Of Winter-US13、67 At The Zoo-US16、Fakin’ It-US23、68 Scarborough
Fair/Canticle-US11、Mrs.Robinson-US1-UK4、69 The Boxer-US7-UK6、70 Bridge Over Troubled Water-US1-UK1、Cecilia-US4、El Condor Pasa-US18、72 America-US97、For
Emily Whenever I May Find Her(Live)-US53 ※リリースは72年だが68年、69年の録音。
(作成:佐野邦彦)
※Tom & Jerry時代の音源は、オールディーズで内容が違いすぎるため、下記に別掲載した。
◎Tom & Jerry時代の音源(1957-1963)◎
☆必要なコンピレーション(トップのディスクは著作隣接権切れ音源を集めたもので、この会社はビートルズも1963年までの音源は、保護対象から外れたので、合法的にリリースした。レーベルが関係ないので、音源のコンディションが良ければ網羅できたので文句なしだ。この盤を基本として、他はそこに収録されなかった1963年以降の音源(リリース年)などが収録されたものを記載した。)
2013 『Simon &
Garfunkel The Early Years 1957-1962』(Rock Melon)※1957年から1962年にリリースされたTom
& Jerry(Simon & Garfunkel)のシングル6枚11曲、True Taylor(Simon)のシングル1枚2曲、Jerry Landis(Simon)のシングル6枚11曲、Tico & The
Triumphs(Simon)のシングル4枚8曲、The Mystics(Simon参加。「All Through The Night」はPaulの作曲・アレンジ)のシングル1枚2曲、Artie Garr(Garfunkel)のシングル2枚4曲のほか、Jerry Landis名義のセッション10曲が収録され、ほぼワークスを網羅している。以下のアルバムはこのCDには未収録の曲が入ったCDである。
2009 『Early Simon
& Garfunkel』(Deejay)※59年のThe Cosines(Paul Simon & Carol King)の録音「Ask Me Why」収録。ただしこのシングルは1992年になってChanceよりJerry
Landis名義で、アナログでリリースされた。
2000 『Two Can Dream Alone』(Burning Airlines)※58年の録音だが66年のPickwickのTom & Jerry時代の廉価盤LP『Simon & Garfunkel』で発表された「Simon Says」「Tia-Juana Blues」と、59年のArtie Garr(Garfunkel)のシングル「I Love You(Oh Yes I Do)」「A Soldier And A
Song」、63年のJerry Landis(Simon)の音源「Flame」、他にArtie
Garrのシングル「Beat Love」のハーモニー入りヴァージョン収録。
1993 『Tom And Jerry
Their Greatest Hits Vol.1』(Domino)※64年のJerry Landisの未発表曲「Forever And After」「Aeroplane Of Silver Steel」収録。-
1993 『Tom And Jerry
Their Greatest Hits Vol.2』(Domino)※64年のJerry Landis(Simon)の未発表曲「Bingo」収録。
☆Tom & Jerry時代の必要なシングル
1962 The Mystics(Paul Simon参加):「Don’t Tell The Stars/Let Me Steel Your Heart Away」(Laurie)※A面はPaulがリード・ヴォーカル。
1992 Jerry Landis: 「Just To Be With You」※B面は「Ask Me Why」。1959年に The
Cosines(Paul Simon & Carol King)で録音されたもの。
※なお、1961 Tom &
Jerry(Simon & Garfunkel);「I’ll Drown In My Tears/The
French Twist」(Mercury)もディスコグラフィーに記載されているが、どちらもソウルフルなインストで、作曲がA面Glover、B面J.Kennedy-B.Tubert-B.Bisney-M.Singleton、プロデュースはShelby Singletonとクレジットされていたので、同名異グループで無関係。
オマケ〇シングルチャート
57 Hey
Schoolgirl-US49
(作成:佐野邦彦)
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