自分のコレクティングはUS/UK問わず60年代から70年代半ばまでの男性ミュージシャンに集中し、女性ヴォーカルはコンポーザーとプロデューサー関連で入るだけで、その比率は驚くほど少ない。女性グループ単品で集めているのは、ロネッツしかないと言っていいだろう。好きなのはフィル・スペクターのプロデュースでのPhilles時代である。スペクターは間違いなく自分のサウンドの美学は自分の妻になったヴェロニカがいるロネッツに傾注していて、Wall Of Soundはロネッツで完成させようとしたと思う。Philles時代のロネッツの未発表曲のクオリティは圧倒的で、他を寄せ付けないことで明らかだ。ロネッツはスペクターに出会う前のガールグループ時代の曲の魅力的なのでそれも加えてある。そしてこだわったのはPhilles時代のステレオ音源である。スペクターの「Back To MONO」のイメージ戦略、ブライアン・ウィルソンの片耳の聴力が悪いことから、ブライアンの才能が最も輝いた同時期の『Today!』『Summer Days』『Pet Sounds』がモノで作られたことから、「モノ至上主義」のようなリスナーがいるが、自分はステレオが好き。ビーチ・ボーイズのトゥルー・ステレオ化は最高の楽しみだったし、スペクターのステレオはとてもいいのに封印してしまっていることに納得がいかない。70年代にはLPでステレオ盤が普通に売っていたのだ。「ステレオは横の広がりだが、モノは縦の広がり」というスペクターの言葉は、未だに自分の心に響かない。シングルはモノ盤のほうのカッティングが良く迫力あるサウンドで楽しめることがある事は分かる。ただしAlternate Versionとしての比較でモノの勝ちといった印象。昔、お茶の水にあった半地下のレコード屋でシングルを買った時にオヤジに「家ではモノ針を使ってる?スピーカーもモノだよね?違うの?まだまだだね」と言われた時に非常に不快だった。ベストコンディションで聴いた方がいいのは分かるが、好き嫌いはこっちで決めるし、人には指図されなくない。ロネッツに話を戻すと、ヴェロニカは歌い方にクセがあり、70年代以降は興味がない。1990年代に六本木のSweet Basil139に来日した時に行ったが、あのパンパンに張ったダイナマイトボディ(?)には相当ひいた。見ない方が良かったな。
★THE RONETTES(Philles及び60's)
☆オリジナル・アルバム
1964 『Presenting
The Fabulous Featuring Veronica』2011 Reissue (Sony
Legacy)※『Phil Spector Presents The Philles Album
Collection(Box Set)』にモノラル盤が収録。なお1990年に日本のM&MからリリースされたCDのみステレオ盤。ステレオ盤はかなり違っているので、CD化しないのはもったいない。「Walking In The Rain」のステレオは6秒長くウォーオオーと上昇していくヴェロニカの声が聴こえる。「Do I Love You」と「(The Best Part Of) Breakin' Up」のステレオは5秒短い。「I Wonder」のステレオも10秒短いがバックのストリングスが大きくミックスされている。「Be My Baby」のステレオは5秒短いが間奏のストリングスの音圧が強くステレオは壁から飛び出してくるように聴こえるので個人的には内容は上。「You Baby」のステレオは6秒短いため、モノの最後のブレイク前にフェイドアウトしてしまう。「Baby I Love You」のステレオはフェイドアウトが15秒も短いが、間奏で飛び出すストリングスの音圧、歌が始まってからのリズム隊が迫力満点で、ステレオの方が「Be My Baby」以上に魅力がある。「How Does It Feel」は22秒、1分51秒、2分22秒で演奏がブレイクする時のコーラスがモノには歌詞があり、ステレオはウーウーウーウーウーで歌詞がない。そしてステレオは5秒短い。「Chapel Of Love」のステレオは3秒短くフェイドアウト時のアドリブヴォーカルが聴こえない。US96
☆必要なコンピレーション(ライブ参加含む)
1963 Various『A Christmas Gift For You From Philles Records』※単品でもモノラル盤が毎年リイシューされるクリスマス・スタンダードである。1991Reissure『Phil Spector:Back To Mono(Box Set)』(Abkco)にも単品収録されていて本作でRonettesは3曲が単独作品。このクリスマスモノCD以外に本BOXだと他にPhilles時代の未発表曲「Keep On Dancing」「Soldier Baby Of Mine」「Woman In Love」、Crystals名義で後日発表されたがRonettesが歌っていた「Girl Can Tell」も収録されているので必要。これらの曲は1975年にPhil SpectorがPhilles時代の未発表トラックを集めたVarious『Rare Masters Vol.1』(Phil Spector International)にロネッツの64年録音の「Girl Can Tell」、65年録音の「Paradise」「Soldier Baby Of Mine」「Woman In Love」と、Various『Rare Masters Vol.2』(同)に64年録音の「Keep On Dancing」、65年録音の「Everything Under The Sun」「I Wish I Never Saw
The Sunshine」「Here I Sit」が初登場し、そのクオリティの高さにみな驚愕したもの。なお、本クリスマス盤にはステレオ盤があり、1974年にWarner-Spectorから『Phil Spector’s Christmas Album』のタイトルで、ステレオで数年間リリースされた。しかしステレオはCD化されていないまま。ステレオの広がりも個人的には大好きで、ステレオのCD化を強く希望するが、フェイドアウトしないアレンジが多いので尺などの違いはない。
1963 Crystals『The Crystals Sing The Greatest Hits Volume 1』※2011 Reissue(Sony Legacy)※Various『The Philles Album Collection(Box
Set)』(Sony Legacyの中にオリジナルのタイトルで収録されているが、ここにはRonettesが歌った「The Twist」「Mashed Potato Time」「Hot Pastrami」とVeronicaではなくNedra Talleyがリードを取った「Wah Watusi」が収録されている。
1963 『Murray The K.’s
Holiday Revue:Live From The Brooklyn Fox』1996
Reissue(Magrum)※「Be My Baby」の1963年のライブ収録。
1963 『KYA’s
Memories Of The Cow Palace』(Autumn)※1963年9月28日の「What’d I Say」のライブ収録。83年にRhinoからリイシュー。未CD化。
1965 『The Ronettes
Featuring Veronica』※1992 Reissue 『The Complete Colpix & Buddah Yeas』(Sequel)※オリジナルのLPは『The Ronettes Featuring Veronica』(Colpix)で、1961年から62年にPhil SpectorがプロデュースをしていないPhilles以前のColpixとMayでリリースされたシングル9曲に未発表の2曲を足した11曲仕様。このCDはさらにコーラスなどが入った「Silhouettes」(Overdub Session)がプラスされている。なおこのリストの対象外だが本CDには70年代のBuddah時代の曲も4曲収録さてお徳用。Buddahはオマケなので重要ではなく、それ以外の11曲は『The Ronettes Featuring Veronica』(EMI Gold)『The Ronettes The Early Years ’61-‘62』(Rhino)など色々な会社でリリースされている。
1981 Various『The Wall Of Sound』(Phil Spector
International)。※Philles及び以降のDionの作品をLP9枚組にしたがその中の『The Ronettes Sing Their
Greatest Hits Vol.2』にPhilles時代のさらなる未発表曲で65年録音の「Loves」収録。M&MのVarious『Rare Masters』でCDになったが、未CD化。なお本BOXの『The Ronettes Greatest Hits』(= Presenting The
Fabulous…のこと)と『Phil Spector’s Christmas Album』(=A Christmas Gift…のこと)はステレオで収録されている。
1992 『The Best Of
The Ronettes』(Abkco)※シングルのみのPhilles時代のA面曲「Born To Be Together」「Is This What I Get For Loving You」「Why Don't
They Let Us Fall In Love」「You Came,You Saw,You Conquered」(この曲のみA&M)にPhilles時代の未発表曲「Paradise」「Here I Sit」「I Wish I Never Saw The Sunshine」「Everything
Under The Sun」さらにPhil SpectorがプロデュースしていないPhilles時代の「I Can Hear Music」も収録。2011年リリースの『Be My Baby:The Very Best Of The
Ronettes』(Sony Legacy)と同内容。
1995 『All The Hits』(Charly)※「Blues For Baby」(「Born To Be Together」のB面)、「Oh I Love You」(「Is This What I Get For
Loving You」等のB面)収録。
2001 Various『Where The Girls Are Volume4』(Ace)※62年にActoからリリースしたThe
Heartbreakers名義のシングル「The Willow Wept/You Had Time」収録。Phil Spector以前の録音。
☆シングルのみ(未CD化)
1962 「You Bet I
Would」(May)※Phil Spector以前のシングルだが、アルバム収録のものとはイントロのドラムの叩き方が違う。このシングルはロールの連続だけで最後にシンバルを叩かない。なおカップリングは「Silhouettes」。
オマケ〇シングル
63 Be My Baby-US2-UK4、Baby I Love You-US24-UK11、64 (The Best Part Of)Breakin’Up-US39-UK43、Do I Love You-US34-UK35、Walking In The Rain-US23、65 Born To Be Together-US52、Is This What I Get
For Loving You-US75、66 I Can
Hear Music-US100、69 You Saw You
Came You Conqured-US100
(作成:佐野邦彦)
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