2017年5月19日金曜日

☆八重山126万、宮古70万と10数年で倍、680万の人でごった返す沖縄本島にならないかと危惧している。鹿児島県のため冷遇されている奄美群島と、宮古島と石垣島の中間に浮かぶ多良間島が残された聖域。観光客がほとんど来ない多良間島を90分特集した「島の恋文-沖縄県多良間島」がNHKで放送。出生率日本一はなんと多良間島だった。


八重山(石垣島を中心とした10の島々)の入域観光客数と宮古入域観光客数(伊良部島も含め橋で結ばれた5つの島々)の平成28年度の最終結果がやっと公表された。八重山1267千人、宮古703千人と、 自分が初めて八重山へ行った1999年の2.08倍、初めて宮古へ行った2002年の2.19倍も観光客が増えていて、昔の知る人ぞ知る人だけが集まる、日本で一番美しい静かな海が損なわれていくようで、心配だ。まあ沖縄本島も増えていて680万人、こんな人でごった返す島ではないのでまだ救われているが…。こうなると不便な島が隠れ家的存在になるので、宮古島と石垣島の中間に浮かぶ多良間島と、どの対岸に見える人口3人の島、(宮古)水納島には極上のビーチがあり残された聖域だ。また本土資本が投資し、国が補助金をつぎ込む沖縄県に比べ、その南端の与論島は22㎞しか離れてなく、同じ琉球弧ながら鹿児島県であることで可哀そうなほど観光客が少ない奄美群島も狙い目だろう。特に与論島は百合が浜を含め奇跡のビーチに囲まれた島なのでここは八重山・宮古を凌ぐかもしれないのに惜しい。

自分が最初に八重山に行ったのが1999年、宮古は2002年、家族4人で長男が小5の時から(2歳差)長男が大4で就職するまで年1回ずつ八重山6回、宮古6回の12回行った。ビルが立ち並びビーチも人が多い沖縄本島は魅力が無くゼロ。本島から250㎞南の宮古、450㎞南の八重山は、海の美しさが比較にならないほど綺麗でそして人が少ない。誰もいないビーチなんてザラだし、人気がある場所もmax50人くらい。どちらも琉球王国に占領された別々の国々なんで言葉も文化も違う。美しいビーチだけでなく安全なリーフ内に信じられないほどの熱帯魚に溢れたビーチがあって全て車で回れてしまう宮古、ビーチのレベルでは宮古に劣るが、日本一美しいビーチのニシハマがある波照間、ジャングルをカヌーとトレッキングで幻の滝まで走破する西表、海底遺跡と今も完璧な形で保存されているDr.コトー診療所が見られる与那国など10の島が全て日帰りできる八重山はまったく別の魅力に溢れているので、片方行っただけではお話にならない。家族4人で八重山・宮古の全有人島19に全部行くのが個人的目標で、最後の年にようやく達成し、心から満足したが、しかしその後も妻と2人で八重山2回、宮古に1回、後半は車椅子で行って、子供達とは行けなかった八重山の秘祭、西表島のジャングルに朽ちた炭鉱跡、日本最長の無料橋の伊良部大橋へ行けたので、行き残した場所がなく、今は思い出だけで十分。これ以上は贅沢。島別の魅力を語るのはキリがないので、興味のある方はWeb VANDAの簡易にまとめた抜粋版があるのでご覧いただきたい。(文末に掲載)本屋に売っている数多くの「石垣・宮古…」というガイド本は通り一遍で肝心な場所が載っていないがこちらは実踏済なので自信あり(笑)それとは別に各回ごとの旅行記も個別にアップしたので、南大東島や与論島など含め25回分ある。有給休暇は20日、夏休み5日は、毎年、旅行とVANDA制作・営業、Radio VANDA収録で完全消化していたので、最近よくアンケートになる「給料か休日か」の選択肢はもちろん自分は休日だが、休みの8割はVANDA関連なんで逆に仕事より忙しかったのだが…。下記は八重山・宮古の入域観光客数の推移。どちらもここ15年で倍以上と急増している。その原因ははっきりしていて八重山は2013年に新石垣空港ができ、その前は滑走路が1500mで東京からの直行便はJAL傘下のJTAの中型機のみだったが、今は2000mと並みの大きさになり通常の旅客機が就航できるようになりANAも直行便を就航、この年から年々急増している。またここ2年ほど主に台湾などからクルーズ船が就航し、2016年は193727人が外国人であり、なんと6人に1人と知って驚愕。宮古はこれも2015年の無料では日本最長(3540m)の伊良部大橋の開通で、一気に人気となり、驚くべき急増を遂げた。宮古島市のホームページでは外国人の数が分からないが、やはりクルーズ船が100回来ているという記事もあるので、相当数の外国人が来ていると思われる。

☆八重山入域観光客数              ☆宮古入域観光客数

H11年度(1999)   609,222      -

H12年度(2000)   584,677      -

H13年度(2001)   604,656     320,807

H14年度(2002)   626,442     340,992

H15年度(2003)   711,966     368,982

H16年度(2004)   718,737     383,363

H17年度(2005)   763,858     412,447

H18年度(2006)   780,091     389,358

H19年度(2007)   764,514     372,690

H20年度(2008)   773,546     373,440

H21年度(2009)   722,536     337,356

H22年度(2010)   707,811     404,144

H23年度(2011)   672,933     332,473

H24年度(2012)   742,098     413,654

H25年度(2013)   984,1861   400,391

H26年度(2014)   1,130,537     430,528

H27年度(2015)  1,180,192     513,601 ※2

H28年度(2016)   1,266,788     703,054

注;H23年度は東日本大震災のため少ない。

※1…2013/3/7 新石垣空港開港。

※2…2015/1/31 伊良部大橋開通。

(宮古の公表が歴代「年度」なので、「八重山」も「年度」に計算しなおし直して合わせてある。)

こうしてみると冒頭に書いたとおり自分が初めて八重山・宮古へ行った時の倍以上観光客が増えていて、昔を知っている私や友人達の間では残念な思いが強い。八重山のベスト1ビーチの波照間島のニシハマは多くても40人ぐらい、宮古のベスト1ビーチの吉野海岸も同程度、これはmaxの人数で、日本最高のビーチがほぼプライベートビーチなのが、人が溢れる沖縄本島にはない最高の魅力だった。今は倍だからな…。ただ最近行った人の話では、便数が少なく、外洋に出るので欠航もしばしばある波照間は運べる人数が決まっているので大きな変化がないというのが安心なところ。しかしみなみに「日本の美しいビーチ」は1位から3位が波照間島ニシハマ、宮古島・与那覇前浜、竹富島コンドイビーチで、他に3か所入ってベスト10の内6を八重山・宮古で3つずつ分け合い、順当な結果になったが、個人的には「他の3つ」は同意できず、もっといいビーチがある。観光客の数では昨年を除き八重山の半分しかない宮古だが、ビーチの美しさ・楽しさという一点で見たら、5つの島を3つの大橋で渡れる宮古の方が圧倒している。ただし八重山は石垣島の離島桟橋から驚くほど頻繁に出発する高速船で、一番近い竹富島で10分、一番遠い波照間島が60分で、毎日好きな島に渡って遊べる特別な楽しみがある。(通常、飛行機で30分の与那国島は船だと4時間もかかるので別にした。ただし日帰りは十分可能)竹富島を入れれば12島も可能だ。石垣島自体は栄えているが宮古島のような見どころはないので、石垣島は宿泊地で、毎日、さらなる離島へ行くのが定番だ。その中には、島の9割がジャングルで、カヌーとトレッキングでビーチにまったく頼らないで楽しめる西表島の存在は貴重で、宮古にはこういう場所はない。雨天でも楽しめる貴重な島だ。さてその八重山の平成28年(年度ではない)の島別の来島数は下記のとおり。石垣島はここへ来ないと他へいけないので群を抜いて多い。

H28年八重山島別入域観光客数

石垣島   1239244

竹富島    481832

西表島    329917

小浜島    190269

与那国島   39276

波照間島   35921

黒島     23770

鳩間島     4363

新城島     2924

嘉弥真島    2679

この中でおススメは波照間島、西表島、与那国島、黒島、竹富島の5つ。下位3つの鳩間島、嘉弥真島は小さすぎるし(ただし嘉弥真島は野生のウサギ天国)、新城島はの上地島は立入禁止の聖地だらけ、下地島は個人所有の牧場がほとんどでビーチのみ滞在可と制限が多い。大型リゾートがのさばる小浜島は文句なしで選外となった。

ちなみに沖縄本島の入域観光客数は、沖縄全体で発表されていたので八重山・宮古分を単純に引いただけでも680万人と圧倒的な数字だ。どおりであんなに人だらけな訳で、個人的では1日見ただけだがもう行きたいとは思わなかった。ちなみにその中の外国人観光客数は宮古分が公表されていないので推定だが最低でも183万と急増していて、台湾、韓国、中国、香港などが主流。九州も2010年から4回行ったが、主要観光地には中国語、韓国語が常に飛び交っていた。しかし自分が行った20142015年の八重山・宮古では、外国語は聞こえなかったが、今年行った人の話では、石垣島と宮古島で中国語がよく聞こえていたとか。勝手な思いだが、日本人も増えて欲しくないのにプラス外国人は辛い。八重山・宮古のビーチでは波の音だけがBGM、音楽は一切不要でビーチ・ボーイズも山下達郎も大滝詠一も聴いたことがない。音楽を聴くのは本土の海に遊びに行く時だ。人間の声は子供の声が聞こえるぐらいがベストで、人が増えるのは静けさを求めて来ているのにマイナス要因にしかならない。今、急増しているのは主にクルーズ船やLCCの団体客なので、案内はベタな場所と決まっているので避けることと、当たってもバスでの短時間の滞在なので去るのを待てばいい。

ちなみに八重山と宮古には米軍基地はない。最西端の与那国島に自衛隊基地が完成、石垣島と宮古島も自衛隊基地誘致が具体化していて、ここ12年の間に実現するだろう。台風でとんでもない災害が起きるこれらの先島には自衛隊の存在は災害復旧にも貢献するからメリットが大きい。ちなみに奄美群島にも米軍基地はなく、鳩山は一時、普天間の移転先は県外と言ってすぐ撤回したが、それは徳之島への移転で根回しもしなかったためにすぐに地元に拒否され頓挫した。地元への説得前に言ってしまったのだからアホとしかいいようがなく、だいたい県外といっても奄美群島は薩摩に散々搾取された過去があるので、はい、じゃあお受けしますなど言う訳がないのに歴史を知らないのは困ったものだった。一方安倍政権は辺野古のバーターにディズニーランド、UFJ誘致を持ちかけるが、企業側から採算が取れないと袖にされ、カジノという沖縄に不要なものも知事に拒否された。あまりに幼稚なアメだったが、そのアメに飛びつき、万博+カジノという自治体が出てきた。こちらは政権と結託しているから困ったものだ。

沖縄は米軍基地負担のバーター扱いで国の補助金も多く、観光県として伸びる一方だが、かわいそうなのが奄美群島である。奄美群島は鹿児島県であることから奄美群島の振興法は定められているものの年々減らされている。言語的には琉球言語圏だが、琉球王国の奄美支配には常に反抗していて、薩摩の1609年からの琉球支配の時に、琉球王国は奄美群島をすぐに薩摩に割譲した。奄美大島は鹿児島から387㎞と遠く離れていて、南東の喜界島は並びから少し離れているが、順に西に徳之島、沖永良部島、与論島と並んで沖縄本島への「琉球弧」の一部になっている。与論島と沖縄本島とは22㎞しか離れてなく、与論島のビーチの美しさは八重山を凌ぎ、宮古に匹敵、もしかするとそれ以上の美しさで最高の島なのだが、訪れる観光客は少ない。平成28年は過去最高の入域観光客数だったそうだが、沖縄と違って国の補助も僅かで、沖縄本島の680万、石垣島の126万、宮古島の70万に比べて可哀そうな数字だ。

H28年奄美群島入域観光客数

奄美大島   353315

喜界島     25833

徳之島     86418

沖永良部島   58312

与論島     54636

与論島へ2015年、奄美大島へは2009年の皆既日食騒動の時に行ったが、奄美大島では阪急交通社の激高価格ツアーなのに用意されたのは小学校の校庭のみで自分でテントを持っうのてきてそこで宿泊、食事はかなり歩いてコンビニのような店へ行っての自主調達というトンデモないプランだったのでよく覚えているが、自販機に並んでいたのが沖縄はさんぴん茶のみだが、奄美は緑茶の方が多く、明らかな違いを感じた。よりヤマト文化圏に近く、名物の鶏飯はとても洗練された逸品だが、その店で購入した弁当は安くかつ巨大で、これは沖縄並みだった(笑)

さて、最後に紹介する、冒頭に書いた宮古島と石垣島の中間に浮かぶ多良間島は、25分で到着する飛行機は39人乗りのプロペラ機が宮古島出発のみ12便、2時間かかるフェリーも宮古島から11便でなんと日曜運休。そのため観光客はほとんどいない。

☆多良間島入域観光客数(年度失念。多良間村として行政が別なので公表なし)

9900

この数字は、多良間で唯一取材される国の重要無名文化財の8月踊りと、多良間島マラソンに来る人が大半で、自分が八重山・宮古のビーチでもベスト5に入れるウカバには3回行って3時間遊んで計9時間いたが、観光客を見たのは1人だけだった。もうひとつのシャワーがあるふるさと海浜公園のビーチも、シャワーを使ってしばらくのんびりする間、他の観光客に出会うのはここも3年で11組ペース。これだけのプライベートビーチはちょっとない。そしてそのふるさと海浜公園の目の前に見えるのが(宮古)水納島だ。宮国さん一家が島全体を牧場にしているが、電話でお願いすると自分の船で往復してくれ、非常に設備の整って快適な空き家を貸してくれる。ただし食べ物、飲み物は多良間島の生協で買い込んでの自炊となる。貸家は1軒のみなので、島を半周する広大な白浜のビーチと美しい海は完璧なプライベートビーチとなる。本当の贅沢はこの両島にある。ただし(宮古)水納島へ行くのは、多良間と水納島の間の海流が速いので荒れやすく、少し熱帯低気圧が近づいただけで欠航と言われてしまい、自分も3回多良間へ渡ったのに2回は海が荒れているからと断られ、3回目にやっと渡れたという高いハードルがあるので留意する必要があるが、苦労した甲斐がある素晴らしい島だ。このようにまだまだ人が訪れないビーチがあるので、きちんとチョイスすると、特別な思いを味わえる。

この文を書いたばかりのタイミングでNHKBSプレミアムで「島の恋文-沖縄県多良間島」が放送された。島の半年の暮らしを追いかけた素晴らしい番組だ。冬中心なので天気が良くないのがちょっと残念だが、多良間島単独で90分の放送は今まで無かった。この島がTVで特集されたのは国の重要無形文化財の「八月踊り」だけで、「まっぷる」「るるぶ」で申し訳程度に多良間を1P取り上げるが、その写真は「八月踊り」、ビーチが写っても極小サイズ。しかしこの島の子供の出生率は3.14で日本一だ。島民の収入は低い。地方に行けば行くほど公務員の給料は高給とされるのだが、多良間村は日本の自治体最下位の1722位で366万円。1位の目黒区の半分以下だ。普通の村民の多くはサトウキビと漁業だけで子供を育てる。島には高校がないので、中学1年の娘に来客はあと3年だなと親に言う。親は微笑むだけだが、悲壮感はない。みな同じだからだ。親たちは「高校に出して、大学へとか幾らかかるかなんて考えていたら育てられないよ。」島では島民みんなで子供を見守り、協力して育てている。一方出生率最下位は渋谷区だそうだ。日本で最も高級な住宅街「松濤」を抱え、多良間とは比較にならない富裕層が住んでいるのに、子供は生まない。極端な言い方だが、渋谷は日本で一番子育てしづらい場所なのだ。よくTVや雑誌で「子供1人を大学まで卒業させるのは〇千万必要です」「老後資金は年金以外に〇千万必要」などとファイナンシャルプランナーかなんだか知らないが、最も金のかかるパターンを選択して、不安を煽っているあいつらはクズだ。信用してはならない。多良間島を見れば、「子供?今、アリゾナにいるよ」など、みんな島外に出していて、「この深夜の漁で4人育てたよ」というお父さんは、本土の船のような漁船はひとつもなくボートに網やモリで釣った魚で育てたのだ。そのやっと釣った中で最も大きなタコを、浜辺で何かの神事で飲んでいる友達(島民はみな友達)に、「これ持ってって」とポンと上げてしまう。飲んでいる人たちは「宝がきた」と喜ぶ。そして「みんなで何かやっていればあげたりもらったり。多良間の常識です。」とニッコリ笑う。島の言葉は難解な沖縄の言葉でも格別に難しい多良間語で、独特の鼻に抜ける音を使うので日本語では表示が出来ず、「リ」「イ」「ム」「ギィ」「ピィ」「ビィ」に「パ」のような〇が右上に付き、島の地名もそう表示されていて驚くはず。だからこの番組の90分、島の人同士の話には全て字幕が付く。字幕なしではカケラも分からない。実は宮古も八重山も同じだが、地元の人同士の話は外国語としか思えず、こっちを見てパッと日本語で話すのを見て、いつもみんなバイリンガルだなあと感心してしまうほど。島には毎月、旧暦による神事があって、冒頭では火の神様への祈願だった。たくさんの食べ物と泡盛を備え、いつもどうぞ召し上がってくださいと言ってから祈る。NHKのスタッフが「火の神様っているんですか?」と尋ねるとおばあは「いるよ。ヤマトにはいないのかい?」と笑う。沖縄全土に見られる大きな亀甲墓は、家族みんなで集まってお供えとお祈りとあとに一緒に飲食をする広いスペースがあるのが特徴だが、そこで天国で使うお金として、お金の形にへこんだ紙を燃やして祈っていたが、これは中華圏でよく見られる習慣だ。でも純日本の部分もある。これは素晴らしい習慣だと思ったのは旧暦正月に、その年の年男・年女がみな集まって食事会をしてみんなで公民館で盛大に祝う「トゥイ会」だ。赤ちゃんから80代を過ぎた老人まで一堂に介して交流を深めるのは素晴らしい事で、島を出て行った人も帰ってくる。これは他の自治体でも導入したらどうだろうか。八重山・宮古では他に実施しているところがあるらしい。ここに集まる時は女性は着物、男性はスーツか羽織袴で、これはヤマトだ。琉球風の服を着ている人はなく、あの服は本島観光用なのだろう。床屋さんは子供達に凧揚げを教えるためしばしば不在にしていて島民に「3回来たのに2回いなくて。今日も帰ろうと思ったらおーいと声をかけられた。凧揚げばかりでなくていてよ」と苦笑い。でも終わるとすぐに凧揚げに行き、自分よりかなり年上の足が不自由な老人に「〇兄。凧揚げ見に行こう」と声をかけ、その〇兄は子供達の後ろで嬉しそうに見ている。その他、サトウキビを植えた後は、雨が降るようにとみんなで集まって泡盛を飲んで祝い、島最大の製糖工場はなんと100日間24時間操業をするが、みんなの生活を守る金庫を前に祈る。一番、素敵だなと思ったのは害虫を袋に入れて集め、木の船を作ってからそこに害虫をつぶして大きな葉に包み、木の船に乗せて海に離して「島に害虫が来ない」ように祈る。色々な思いがこもった祈りがいい。それは島の人がみな集まって行うので、孤立する人などはありえず、みな友人、先輩、後輩で深くつながる。島唯一の有償運送の運転手(知っているオヤジだった)は、「多良間島が一番。島から出ようなど思わない」ときっぱり。しかし本土から来た若い嫁に多良間はどう?と聞くと「退屈!だって何にもない!」とはっきり言うのもおかしい。都会から来たら、このゆったりしたした暮らしはそう思えるだろう。100歳近いおばあは、道路を行き交う人に声をかけなから日がな宮古上布の原料になる植物の繊維を毎日、毎日ほぐしていて、本当に時間はそれぞれの人の中にある。(佐野邦彦)

Web VANDAの八重山・宮古ガイド


0 件のコメント:

コメントを投稿