大滝詠一のアナログシングル9枚+音源CD1枚の『Niagara 45rpm Vox』(Niagara/ソニー)がリリースされて、大滝の音源リイシューがほぼ完成した。21384円なので高額との批判もあるがこの中の4枚のプロモ・シングルはその1枚だけで軽くボックスの値段を超えるので安い買い物だ。自分も大滝のコレクターだが、あまりに高すぎるものは断念しているので非常に助かった。特に素晴らしいのはアナログだけで組まずにその音源のCDを付けた事。アナログ復権の昨今だが、自分はCDで十分なので、ボックスを購入したが、障害の身を押してシングルはプレイする根性はなく、CDからiTunesに入れてもうしまっている。マテリアル派じゃないんで。さてまず貴重なプロモ4枚の違いから。
大滝詠一楽団名義の「ブルー・バレンタイン・デイ (インストゥルメンタル)」は、イントロにわざとスクラッチノイズが2回入り、「今日は」の歌いだしの部分のギターがリード用に入っている。A面は「ブルー・バレンタイン・デイ」のシングル・ヴァージョンで、モノはこれだけ。ただし大きな違いはない。この曲はエコーがかかった『NIAGARA CALENDAR '81』のヴァージョンが好きで、『A Long
Vacation』以降の大滝が好きな自分でも、大滝のベスト5に入れるほど好きな曲で、初のカラオケに感動した。
同じく大滝詠一楽団名義の「青空のように (インストゥルメンタル)」はシングル・ヴァージョンのカラオケだが、カスタネットが『NIAGARA
CALENDAR '81』並みに大きく入っている。エンディングはシングルより5秒短く「ランララララー」にからむ大滝のコーラスがあまり聴こえない。A面は「青空のように」のシングル・ヴァージョンで、モノはこれだけ。これも大きな違いはない。
多羅尾伴内楽團名義の「サーファー・ムーン (The Surfer Moon)Promo
Version」はイントロのベースの音が大きくミックスされ印象が大きく違う。オリジナルの『多羅尾伴内楽團
Vol.2』の波の音はない。A面の「心のときめき (Ajoen
Ajoen)Promo Version」もオリジナルの『多羅尾伴内楽團 Vol.2』の波の音が無く、頭に一瞬入るドラムではなく、イントロに5秒のドラムのソロが入る。このイントロのドラムは『Niagara Black Vox』『NIAGARA FALL STARS』などと同じだが、エンディングは1秒ちょっとでフェイドアウト、ほとんど聴こえない『Niagara Black Vox』、11秒ドラムが続く『NIAGARA FALL STARS』とエンディングが違う。なお『Niagara
Black Vox』収録のものに波の音はない。
最後はメチャクチャ高額のプロモだ。モンスター名義の「ピンク・レディ(Promo
Version)」だが、『LET'S ONDO AGAIN』は頭に15秒の「Oh my darling…」のイントロがあり2分40秒で曲が終わる。最後にワウのような声が被り2分56秒から3分4秒まで小さく駕籠かきの掛け声が聞こえる。そして『Let's Ondo Again
Special』にはさらにイントロの25~26秒のブレイクにピーポーのような声が入っているが、このプロモには15秒までのイントロをカット、前述のイントロのブレイクはシングルでは10~11秒になるがピーポーの声がなく、エンディングのあとのワウのような声もない。カップリングの多羅尾伴内楽團名義の「峠の早駕籠(Promo Version)」シングルの駕籠かきの掛け声が4秒で演奏が始まるが、『LET'S ONDO AGAIN』は掛け声が17秒、『Let's Ondo Again Special』は20秒から始まる。ちなみに『Let's Ondo Again Special』は演奏が始まって3秒後の掛け声のようなSEが大きく、15秒後の「ピッ」という声がこちらでは「ピピッ」と2回になっていた。
続いてレギュラー盤。「お花見メレンゲ(Single Version)」が決定的にアルバムと違うのは大滝のヴォーカルがシングル・トラックであること。そしてヴォーカルは『NIAGARA CALENDAR '78』よりオンであり聴きやすく『NIAGARA
CALENDAR '81』の演奏のオーバーダブは無い。加えてモノである。A面は「ブルー・バレンタイン・デイ」のシングル・ヴァージョン。
「Cobra twist(Single
Version)」は、『GO! GO! NIAGARA』よりヴォーカルが若干オン気味で、時に最後の「Hey Little Cobra,Don’t You Know You’re Gonna Shut’em Down」のコーラスが大きくはっきりミックスされている所が違う。そのあとのリフレインは11回ではなく10回でフェイドアウトする。加えてこれもモノ。なお『NIAGARA FALL STARS '81 Remix Special』は最後のリフレインに変なオルガンのような音がオーバーダブされ30秒以上長く無駄に完奏している。他でも81年のミックスはフェイドアウトするものでも変なオルガン入り。A面は「青空のように」のシングル・ヴァージョン。
レアな多羅尾伴内楽團のシングル「霧の彼方へ (Mr. Moto)」は『NIAGARA FALL STARS Vol.1 2nd Issue』のテイクよりキーもピッチも低く、イントロのギターのエフェクトもなく堂々とした仕上がり。(エフェクトは『NIAGARA FALL STARS '81 Remix Special』の方がもっと大きい)このシングル・ヴァージョンは『多羅尾伴内楽團Vol.1』にB面の「悲しき北風
(The Last Leaf)」と一緒に収録されている。
あと残りの2枚、「幸せにさよなら」と「ナイアガラ音頭」シングル・ヴァージョンAB面は『NIAGARA TRIANGLE Vol. 1 30th
Anniversary Edition』に収録済みだ。4500セット限定なので無くなって後悔しないように今の内に購入しよう。
(佐野邦彦)
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