1年遅い紹介だが、宇野誠一郎の遺した膨大な楽曲から、「江草啓太と彼のグループ」による再録音の第2弾だ。2014年にⅠ,2015年にⅡ、そして今月Ⅲが出るが、Ⅲはまだ聴いていないのでⅡの紹介である。今回の収録曲は20曲。前作は「ムーミン」「ふしぎなメルモ」「長靴をはいた猫」「チロリン村とクルミの木」「さるとびエッちゃん」「一休さん」「ネコジャラ市の11人」「アンデルセン物語」「山ネズミロッキーチャック」などの主題歌・挿入歌16曲で構成されていたが、今回は20曲、「W3」「悟空の大冒険」「ひょっこりひょうたん島」「さるとびエッちゃん」「ネコジャラ市の11人」「アンデルセン物語」という有名曲だけでなく、ラジオドラマでは初期で有名な「一丁目一番地」や初音盤化の「渥美清のドン・キホーテ」の「うちのドン・キホーテ」、これも初音盤化の人形劇「大どろぼうホッツェンプロッツ」、あの「ブンとフン」の挿入歌「悪魔ソング」、少年ドラマシリーズの「暁はただ銀色」、さらに舞台曲から小学校の校歌まで幅広い選曲ながら、腕利きのミュージシャンにかかると宇野メロディーがいかに美しく、温かく、素晴らしいか思い知らされる。歌は増山江威子、熊倉一雄、宮本貞子などが担当し9曲が歌入り、11曲はインストルメンタルで、実に軽快に楽しめる。時代がまちまちだと音質に大きな差があり、またスコアしかないものなどは再演するしかないのだが、こういう素晴らしいミュージシャンの手にかかると、統一性があって実に素晴らしい。今、朝この紹介文を書いているが、BGMにこれほど爽やかなものはない。慶応出身では冨田勲、山下毅雄、小林亜星が知られているが、早稲田には宇野誠一郎、中村八大&永六輔、大滝詠一がいて一歩も引けをとらない。洒落た曲を得意とする慶応グループに対して、早稲田グループは心が開けていくような開放感のある美しい曲を得意とする。宇野さんの素晴らしい楽曲を再び蘇らせてくれる江草さん達の演奏と歌がさえるⅢも是非。(佐野邦彦)
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