2016年11月5日土曜日

☆『SONGS松任谷由実 宇宙がつなぐ歌と記憶』と『SMAP×SMAP』でのコラボか感動的。そしてユーミンの最新アルバム『宇宙図書館』(Universal/UPCH29230)を紹介。


113日放送のNHKの「SONGS松任谷由実」が感動的だった。そして1031日の「SMAP×SMAP」も。『SONGS』ではユーミンは3曲、ストリングス付の生バンドで歌ったが、心を打ったのは、NHKからNASAを通してソユーズにいた日本人宇宙飛行士の大西さんとの宇宙中継だった。そこでの大西さんはユーミンの「地球にいるどなたかを思い浮かべるとしたら?」の質問に対して「やっぱり家族ですね。幸い(クルーがいるので)宇宙に来て孤独を感じることはありません。でも「孤独を感じないということ」イコール「さみしさを感じないということ」ではありません。大切な人に会うためにしっかりと元気に帰りたいと思います」と答え、ユーミンは大きくうなずき、このあとユーミンは「ああーなんか涙が出そうになりました。いくつかの答えに。本当にハートウォームな時間を過ごせました。」と目を潤ませていた。その前のユーミンの質問の「宇宙でも人は音楽を求めるものでしょうか」に対し大西さんは「宇宙ではとっても無機的な音で満ちているんです。地球で感じるような風の音だったり、雨が窓を叩く音だったり、雷の音だったりそういう自然の音がここにはまったくないんです。で、音楽っていうのも人が作った人工的なものなんですけど、そこには曲を作った人の血が通っていて、音楽は宇宙ではとても生きているように感じます。私にとって音楽は無くてはならない存在です」と答え、続けてユーミンが「私の歌を宇宙で歌うとしたらどんな歌が思い浮かびますか?」の質問には「そうですね、「瞳を閉じて」のように聞いているだけで地球の自然が、情景が思い浮かんでくる曲は、自然に頭の中に流れてきますね」、ユーミンはじゃあちょっと歌ってみますね、とア・カペラで「瞳を閉じて」のAメロを即興で歌った。この受け答えで大西さんのただの科学者ではない、文学的な表現力、感受性を感じて、自分もユーミンのように感動させてもらった。歌った歌もシングル曲でオリジナルアルバムには入っていない1984年の「VOYAGER~日付のない墓標~」、そして1983年のアルバム『VOYAGER』から「不思議な体験」、そしてニューアルバム『宇宙図書館』から「宇宙図書館」の3曲を歌い、とても歌詞に意味のある3曲で、選曲の良さが溢れていた。番組内ではソユーズからの地球の昼と夜の光景が実に美しく、昼は青く輝き白い雲が帯をなし、夜は人間の住む場所の明かりが大陸や島を縁取る。そして昼も夜も雷の光の瞬きがアクセントを添えていた。

そして「SMAP×SMAP」ではメドレーで『宇宙図書館』から「Smile For Me」、そして1981年のシングル「守ってあげたい」を6人で歌い、始終ユーミンは満面の笑顔でメンバーの一人一人の目を見ながら歌っていた。最近の「SMAP×SMAP」はクイズで回答者のリアクションのみ映し他のメンバーのリアクションを一切映さないなど、不仲の部分を隠すカメラアングルに終始していて実に冷え冷えとしていたのだが、最後の「守ってあげたい」ではユーミンを中心に5人がユーミンを見るように囲んで、つまりメンバーのお互いの顔をはっきり見るアングル、そこでユーミンは満面の笑顔で「so don’t you have to worry,worry 守ってあげたい あなたを苦しめる全てのことから ‘couse I love you」と歌ったのでこれは感動的だった。

自分は日本の音楽はユーミンと山下達郎、大滝詠一、そして甲本ヒロト&真島昌利の5人が本当の天才と確信しているのだが、この両番組を見て改めてそのことを再確認した次第。

さて、では最新アルバム『宇宙図書館』を簡単に紹介しよう。アルバム12曲中5曲がアル・シュミット・プロデュースによるLAの録音となっている。「宇宙図書館」は宇宙がテーマではなく失った人に対する思いを歌った美しいバラードだ。サビの展開の心地よさがさすがユーミン。全体的に染み入るような曲が多い中、自分の好みはLA録音で、オールドタイミーなジャズタッチの「月までひとっ飛び」そして前述の「Smile For Me」はシャッフルビートが心地よい開放感溢れる曲で大サビの見事な転調とアコギの使い方は最高。そして60’sを思わせる軽快なポップナンバー「君(と僕)のBIRTHDAY」が、高揚感があってまさに自分の好みそのもの。ミディアムのバラードの「私の心の中の地図」もなかなかいいし、5曲中4曲がおススメとなった。(佐野邦彦)


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