① 『The Rolling Stones』…UKでの1枚目のアルバム。もともとモノラル盤のみ。問題は「Tell Me」で、シングルよりは長いが3分45秒でフェイドアウトしてしまっていて、オリジナル盤の4分6秒のヴァージョンを使わなかったのは極めて残念。オリジナル盤は突然ブツッ切れてしまう編集ミスのヴァージョンだったので聴きやすくしたのだろうが…。現行の同名CDで解消される。なおごく初期のmatrixXARL6272-1A、2Aのみ収録のデモ・ヴァージョンは相変わらず封印されたままである。
② 『The Rolling Stones No,2』…UKでの2枚目のアルバムでモノラル盤のみ。以前に日本でCD化されたが長く廃盤だった。その日本盤CDは「Time Is On My Side」はギター・イントロは同じだがステレオで収録されていた。また同じくチェス録音の「What A Shame」「Down The Road Apiece」「I Can’t Be Satisfied」もステレオ収録だったので、後者の2曲は初のモノラルリイシューで貴重。ちなみにチェス録音のロング・ヴァージョンの「Everybody Needs Somebody To Love」(Version2)もステレオがあり1980年のLP『Rock’n’Rolling
Stones』で聴ける。
③ 『12×5』…USでの2枚目のアルバム。LPはステレオ盤も出ていたが疑似ステレオのみ。現行の単品CDはチェス録音の「Around And Around」「Confessin’ The Blues」「Empty Heart」「2120 South Michigan Avenue」「It’s All Over
Now」「If You Need Me」はステレオ。その中で「2120
South Michigan Avenue」はオリジナル盤の後半をカットされたショート・ヴァージョンは2001年までの単品CDではモノラルで収録し、2002年以降の単品CDは1964年に西ドイツでリリースされた『Around And Around』に収録された1分30秒も長いロング・ヴァージョンを初のステレオで収録した。本CDでは『Around And Around』と同じモノラルのロング・ヴァージョンで収録され、これは初CD化。ロング・ヴァージョンでないとマディ・ウォータースが弾いたとされるギターソロで聴けないので価値が激減だ。なお「Time Is On My Side」はシングルと同じオルガン・イントロ・ヴァージョンである。
④ 『The Rolling Stones Now!』…USでの3枚目のアルバム。これもまたステレオ盤は疑似ステレオのみ。現行の単品CDは「Heart Of Stone」と②の「What A Shame」「Down The Road Apiece」はステレオだった。本盤の「Everybody
Needs Somebody To Love」(Version1)は②より2分4秒短いまったくの別ヴァージョンで、完成度が低くデモテイクと言われている。
⑤ 『Out Of Our Heads(US)』…USでの4枚目のアルバム。これもまたステレオ盤は疑似ステレオのみ。当時と同じ仕様のCDなので追加情報は「The Under Assistant West Coast Promotion Man」はシングル盤と違って2分43秒のYou Break My
ASSの部分をカットしたため10秒短い。あと追加情報では1986年のみリリースの分売された『Hot Rocks 1』収録の「Satisfaction」「Play With Fire」はステレオでこのCDでしか聴けない。特に「Satisfaction」は生ギターやピアノがはっきりと聴こえて非常に新鮮なステレオだった。
⑥ 『Out Of Our Heads(UK)』…UKでの3枚目のアルバム。これもまたステレオ盤は疑似ステレオ。US盤とは12曲中6曲異なる。
⑦ 『December’s Children』…USでの5枚目のアルバム。未収録や未発表、新曲を集めて作ったこの当時のアメリカ編集盤特有のカタログ増やし用アルバム。現行単品CDでは「Look What You’ve Done」のみ後で発見されたステレオである。ちなみに⑤の『Hot Rocks 1』の「Get Off Of My Cloud」はステレオでギターのリフが際立って聴こえる。ただしこのCDのみ。
⑧ 『Aftermath(UK)』…UKでの4枚目のアルバムで、このアルバムからステレオ盤が同時発売されることになった。モノの「Under My Thumb」はステレオに比べエンディングが17秒も短い。「Goin’ Home」はピッチの関係かモノの方が5秒長い。「Out Of Time」もモノがなんと20秒もエンディングが短い。「I Am Waiting」はモノが2秒長い。「Take It Or Leave It」もモノが2秒長い。「What To Do」はステレオが2秒長い。ステレオ盤、モノラル盤が同時に出るとこのように大きな違いが増えてくる。
⑨ 『Aftermath(US)』…USでの6枚目のアルバムで、このアルバムからアメリカでもリアルステレオ盤が同時発売されることになった。ただしUK盤から4曲減らし「Paint It
Black」が入っただけ…。その「Paint It Black」だがCD時代になってからエンディングが23秒長いものにモノが入れかえったので、この短いオリジナルのモノは初CD化。ステレオもこの短い長さの方で『Through The Past Darkly』などで聴くことができる。「Think」は⑧(UKモノ)やステレオ盤より6秒長い。さらに「I Am Waiting」は⑧(UKモノ)より5秒長い。ということはステレオより7秒長い。
⑩ 『Between The Buttons(UK)』…UKでの5枚目のアルバムでステレオ盤と異なる。長くモノラルの復刻が待たれたベスト3の1枚だ。「Yesterday’s Papers」はステレオの最後のリフレインの歌がモノは1回多いため17秒も長い。「My
Obsession」のモノはオルガンの音圧が素晴らしくピッチが僅かに遅いためステレオより3秒長い。「Connection」がステレオに比べ5秒長くエンディングに「パッパパラララ」のコーラスが入っている。「Cool Calm And Collected」はモノがエンディングのグシャグシャが僅か1秒長い。「Please Go Home」はステレオが2秒長い。「Who’s Been Sleeping Here?」はステレオの3分27秒から入るエンディングのリードギターがモノにはない。「Complicated」のモノはドラムが大きくミックス、ステレオより5秒長い。「Miss Amanda Jones」のモノはピッチが遅く5秒長い。「Something Happened To Me Yesterday」のモノも2秒長い。
⑪『Flowers』…USでのスタジオ録音の8枚目のアルバム。7枚目の『Between The Buttons(US)』はUKの⑩から「Back Street Girl」「Please Go Home」をカットしてこの『Flowers』に回し、ヒットしたばかりの「Let’s Spend The Night Together」「Ruby Tuesday」を入れたものだが、このボックスからはカットされた。というのも『Flowers』には「Let’s Spend The Night Together」「Ruby Tuesday」も収録されたからだ。
ステレオの『Flowers』のCDは疑似ステの「Have You Seen Your Mother Baby Standing In The Shadows」以外は全てステレオ。 ステレオの「Let’s Spend The Night Together」はモノよりエンディングが13秒も長い。逆に「Ride On Baby」のステレオは最後のリフレインがモノより4回ちょっと少なく6秒短い。「Ruby Tuesday」のステレオはピッチが遅いため5秒長い。「Sittin’ On A Fence」はステレオ盤のピッチが遅いため4秒長い。しかし「Mother’s Little Helper」のステレオはわずかにピッチが速くモノより1秒ちょっと短い。本アルバムの「Out Of Time」のモノは『Aftermath』のモノより1分37秒もEditされていた(同じEditでありながら『Flowers』のステレオはモノより3秒長い…)このアルバムも寄せ集めではあるが、タイトルのとおりポップな曲を集めていてコンセプトがはっきりと出ていた。
⑫『Their Satanic Majesties Request』…1967年のこのアルバムからUK、USで統一された。モノラルの復刻が待たれたベスト3の2枚目。「Sing This All Together」はモノのパーカッションが目立つがステレオの方がコーラスに広がりがある。「Citadel」はモノのギターがより迫力満点でカッコいい。「Sing This All Together(See What Happens)」ピッチが遅くモノは5秒長い。なお8分過ぎの薄気味の悪いメロトロンは45回転で聴くと「We Wish You A Merry Christmas」のメロディになると言われここを「Cosmic Christmas」と名付けられたが45回転でも不気味でそう言われれば聴こえるかもという程度。アナログを持っていない人はYou Tubeで聴けば十分。「The Lantern」は歌の前の鐘の音がステレオは2回でモノは3回と明らかに違う。
ステレオの『Flowers』のCDは疑似ステの「Have You Seen Your Mother Baby Standing In The Shadows」以外は全てステレオ。 ステレオの「Let’s Spend The Night Together」はモノよりエンディングが13秒も長い。逆に「Ride On Baby」のステレオは最後のリフレインがモノより4回ちょっと少なく6秒短い。「Ruby Tuesday」のステレオはピッチが遅いため5秒長い。「Sittin’ On A Fence」はステレオ盤のピッチが遅いため4秒長い。しかし「Mother’s Little Helper」のステレオはわずかにピッチが速くモノより1秒ちょっと短い。本アルバムの「Out Of Time」のモノは『Aftermath』のモノより1分37秒もEditされていた(同じEditでありながら『Flowers』のステレオはモノより3秒長い…)このアルバムも寄せ集めではあるが、タイトルのとおりポップな曲を集めていてコンセプトがはっきりと出ていた。
⑫『Their Satanic Majesties Request』…1967年のこのアルバムからUK、USで統一された。モノラルの復刻が待たれたベスト3の2枚目。「Sing This All Together」はモノのパーカッションが目立つがステレオの方がコーラスに広がりがある。「Citadel」はモノのギターがより迫力満点でカッコいい。「Sing This All Together(See What Happens)」ピッチが遅くモノは5秒長い。なお8分過ぎの薄気味の悪いメロトロンは45回転で聴くと「We Wish You A Merry Christmas」のメロディになると言われここを「Cosmic Christmas」と名付けられたが45回転でも不気味でそう言われれば聴こえるかもという程度。アナログを持っていない人はYou Tubeで聴けば十分。「The Lantern」は歌の前の鐘の音がステレオは2回でモノは3回と明らかに違う。
⑬ 『Beggars Banquet』…モノラルの復刻が待たれたベスト3の最後の1枚。まずは「Sympathy For The Devil」だがモノはピッチが速い(こっちが正規スピードだそうだ)のでステレオと尺は同じだが、エンディングのミックのアドリブヴォーカルが10秒長く聴ける。また歌が始まるまでのミックの唸り声?もモノはミック単独。「No
Expectations」はピッチが遅くでステレオが6秒長い。同じ理由で「Dear Doctor」のステレオは5秒長い。「Parachute Woman」のモノはハーモニカが1分54秒まで入って2分14秒で終わり、ステレオはハーモニカが1分58秒で入り2分20秒で終わるため6秒長い。「Jigsaw
Puzzle」はステレオが12秒も長い。「Street
Fighting Man」は同じアルバムヴァージョンでステレオが3秒、「Stray Cat Blues」は4秒、「Factory Girl」は2秒、「Salt
Of The Earth」は4秒ステレオが長い。これだけステレオが長いのはピッチの関係だろう。
⑭ 『Let It Bleed』…「Live With Me」はモノだとミック・テイラーのギターが若干聴きづらいのでステレオの方が出来がいい。「Midnight Rambler」は3秒、「You’ve Got The Silver」は3秒、ピッチが遅いためステレオが長い。
⑮ 『Stray Cats』…シングル、EPのみ等の貴重音源を集めたコンピ。「Fortune Teller(Version1)」は現行の『More Hot Rocks』に入っていた『Got Live If
You Want It』に歓声を入れる前のスタジオ・ヴァージョン。「Poison
Ivy(Version1)」は現行の『More Hot Rocks』に入っている1963年に「Fortune Teller」と一緒に録音された。1986年にリリースされ2001年までリリースされていた旧版の『More Hot Rocks』の古いCDではグイロが欠けているテイクの「Fortune Teller(Version3)」とハーモニカが入っていないテイクの「Fortune Teller(Version2)」が入っていたが本CDに未収録なのは残念。「Poison Ivy(Version2)」はよりヘヴィな仕上がりで同じ1964年のEPの「Bye Bye Johnny」「Money」と共に収録された。「I’ve Been Loving You Too Long」は前述のライブ盤の歓声なしのテイクで現行の『More Hot Rocks+3』に収録されているが初登場のステレオだったので、この歓声なしテイクが登場した1980年独仏リリースの『Collector’s Only』以来のモノラルの初CD化となり貴重。またイタリアで1966年にリリースし、1982年に日本で『Slow Rollers』のLPに収録されていた「As Tears Go By」のイタリア語版「Con Le Mie Lacrime」も実は初CD化。「The Under Assistant West Coast Promotion Man(Single Version)」はアルバムの自主規制部分がないものなので10秒長くなっている。(2001年までのLPサイズボックスの旧版「『Single Collection The London Years』に収録のものはさらにエンディングが4秒長く最長ヴァージョン)。「We Love You」(Single Versionなので最後に僅かに「Dandelion」が聴こえる)「Dandelion」(Single Versionなので最後に僅かに「We Love You」が聴こえる)のカップリングシングルと、ヴォーカルとコーラスがまったく違い荒々しさが魅力の「Street
Fighting Man(Single Version)」も注目だろう。なお「We Love
You」、「Dandelion」のステレオは『More Hot Rocks』などで聴ける。その旧版には「Jumpin’ Jack Flash」「Child Of The Moon」のステレオシングル、現行版には「Honky Tonk Women」「You Can’t Always
Get What You Wants(Single Edit)」のステレオシングルが入っている。あと本CDではモノのみのシングルでは「Come On」「I Want To Be Loved」「I Wanna Be Your Man」「Stoned」「Not Fade Away」「19th
Nervous Breakdown」「Sad Day」「Long Long While」「Who’s Driving Your
Plane」「Street Fighting Man」(Single Version)があり、ステレオが存在するものは「We Love You」(Single Version)「Dandelion」(Single Version)「Jumpin’ Jack Flash」「Child Of The Moon」「Honky Tonk Women」「You Can’t Always
Get What You Want」(Edit Single Version)がある。
(佐野邦彦)
はじめまして。
返信削除昨夜、我が家にも「Mono Box」が届き、早速、聴いています。
>問題は「Tell Me」で、シングルよりは長いが3分45秒でフェイドアウトしてしまっていて、オリジナル盤の4分6秒のヴァージョンを使わなかったのは極めて残念。
全く、同意です。
旧版日本盤ファーストCDは、「tell me」のためだけに、まだ持っておく価値がありますね。
今回の「tell me」は、レコードのアメリカ版ファースト・アルバムの「tell me」の長さのように思います。
どうせオリジナル通りの収録ではないなら、2002年sacdのアメリカ版ファーストの「tell me」の方が、オリジナルの長さに近かったように思います。