2016年9月23日金曜日

☆Various:『 Kinked! Kinks Songs & Sessions 1964-1971』(Ace/CDCHD1463)

犬伏巧さんに教えていただいたキンクスのレイ・デーヴィスがPye時代の1964年から1971年の間に他アーティストのために書いた曲を26曲も集めた驚異のコンピレーション『Kinked! Kinks Songs & Sessions 1964-1971』について、簡単に聴きどころだけ紹介したい。私は音楽誌を買わないので既に紹介されているか分からないが、これだけ凄い作品集なので、キンクスの伝道師である犬伏さんが既に詳しく紹介されているはずだ。よってアーティストやその背景などは一切割愛させていただく。26曲中、キンクスでレコーディングしたナンバーや、その後キンクスやレイ・デーヴィスのデモが発掘された「I Go To Sleep」「All Night Stand」「This Strange Effect」「A Little Bit Of Sunlight」も既発表のものとして省略、さらに「A Well Respected Man」のフランス語版であるPetula Clarkの「Un Jeune Homme Bien」も除くと、このCDで初めて聴く(※注:
後述) レイ・デーヴィス(1曲デイヴ含む)のナンバーは「I Bet You Won't Stay-The Cascades」「King Of The Whole Wild World-Leapy Lee」「One Fine Day-Shel Naylor」「Oh What A Day It's Going To Be-Mo & Steve」「Little Man In A Little Box-Barry Fantoni」「Nobody's Fool-Cold Turkey」「Emptiness-The Honeycombs」「The Virgin Soldiers March-The John Schroeder Orchestra」の7曲で、これが目玉だ。デイヴ作が1曲だけありそれが1964年の「One Fine Day」、シェル・タルミーらのプロデュースだけあって、下降するコードの繰り返しのまさに初期のキンキー・サウンドでカッコいい。1965年の「I Bet You Won’t Stay」はいかにも『Face To Face』風のポップなサウンドでいいし、ジョー・ミークがプロデュースしたハニーカムズの「Emptiness」のポップでいい出来だ。1966年の「King Of The Whole Wild World」はなんとレイ自身がプロデュースしているだけあって『Something Else』を少し思い起こさせるアコースティックな曲でいい。ただ作曲だけの同年の「Little Man In A Little Box」はキンクス的なサウンドであるが特に印象に残る曲ではなく「Oh What A Day It's Going To Be」に至ってはレイの曲とは思えない大時代的なバラードだった。1969年の「The Virgin Soldiers March」は後の『Percy』を思わせるインスト、あと先日の『Muswell Hillbillies - Deluxe Edition』にボーナスとして収録された「Nobody’s Fool(Demo)」のは目玉から外したもののピアノによるシンプルなデモが、1972年になってようやくリリースされたCold Turkeyのヴァージョンはまさに『The Village Green…』のキンクスで全く違う。これらの曲の中には小松崎さんが1994年と1995年に作った名作コンピ『Mod Gear』『First Mod Cool Step』に初収録されたものがあったが、全てこの『Kinked!』に収録された。ただ「I Go To Sleep」がPeggy Leeだが『Mod Gear』ではThe Truthだったのが僅かに違うかな。このCDで思い出したが、レノン=マッカートニーの他アーティストに書いた曲をほとんど収録(メリー・ホプキンの「Goodbye」とバッドフィンガーの「Come And Get It」以外網羅)したEMIの名作コンピLPThe Songs Of Lennon and McCartney Gave Away』。未だにCD化されないのはなぜなのか?ハリウッドボウルの次はこれかな。(佐野邦彦)


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