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2016年9月11日日曜日

☆Beatles:『Live At The Hollywood Bowl』(Universal/UICY15566)

みなさんはこのCDLP時代に購入し、本CDも既に購入しただろうから詳しくは紹介しないが、改めて聴いて気づいたことについて簡単に。本CDは基本的に①1964823日と②1965830日のライブをオーバーダビングとか一切なしに1977年になって発売されたLPCD版だが、1996年の「Real Love」のシングルに収録された②の「Baby’s In Black」と、さらに未発表の①の「You Can’t Do That」と「I Want To Hold Your Hand」、②の「Everybody’s Trying To Be My Baby」の4曲を加えたものだ。LP収録の13曲とCD版を聴き比べたが、リマスターで音質の向上はあるが、MCも含め、「Long Tall Sally」の最初の間奏のリードギターが欠落したままであり、歌・演奏の差し替えは行っていないと思う。初登場の「I Want To Hold Your Hand」は素晴らしいライブでなぜLP Versionに入らなかったのか不思議だ。ジョンは「ストレートなロックをプレイした時の俺達が生み出すサウンドは本当に素晴らしく、イギリスじゃ誰も俺達に及ばなかったんだ」と言っていたが、このライブを聴くとこのアルバムの時点のジョンの言葉は真実だったことがはっきり分かる。やる気のある時のジョンとポールが生み出すハーモニーは最強で、演奏テクニックで勝っていようがそんなものを吹き飛ばす力がある。同時期よりさらに遅いが66年のローリング・ストーンズ、67年のキンクスのライブ盤を聴けば明らか。フーはこの時期のライブアルバムはないもののライブコンピで超絶テクニックのライブが聴けるが、ジョンとポールのハーモニーにはかなわない。私はビーチ・ボーイズのファンではあるが、「No Reply」の2パート、「Please Mr.Postman」の3パートのハーモニーにはかなわないと正直思う。狂おしいまでのテンションがあるからだ。そして1964年と1965年はジョンの作曲、ヴォーカリストの能力の最盛期なので、ずっとポールのソロ・ライブのビートルズ・ナンバーばかり聴いているのでさらに新鮮だ。「Dizzy Miss Lizzy」とか最高だろう。Plastic Ono Bandのライブも悪くはないけど、この若さにはかなわない。そういえば『Collectors No.5』をリリースしたばかりのコレクターズにインタビューした時、ビートルズ談義で盛り上がった時、加藤さんと古市さんは最近、『With The Beatles』がいいんだよと声を揃えた。「ビートルズをずっと聴いてきて、『SGT.Peppers』などを目指してやってきて、ふと頭だけで作っているような気がした時に『With The Beatles』を聴くと新鮮で、あの若さはあの時じゃないと絶対出せないなと思う。それがいいんだよなー」と言っていたことを思い出した。初期の魅力というのは永遠にある。このライブの翌年以降はポールの作曲能力が年毎に飛躍的に伸び、ジョンはサブに回っていくのだがするとヴォーカリストのテンションも低下していってしまう。自分はジョンが大好きだが、音楽評論家に多いジョン信者ではないので、冷静だ。「ビートルズは、初期はジョンのバンドで『A Hard Day’s Night』はジョンのアルバムの頂点。以降はポールの力が増し『Rubber Soul』が両者の力が拮抗した一番幸せなアルバム。以降はポールが中心でジョンがスパイス(実はこれが大きい。ポールのソロ・アルバムの物足りなさはやはりジョンがいないから)になり66年以降はポール中心のバンド」というのが自分の見解。66年以降のビートルズでポールが書いた名曲の数々は前述のようにポールのライブでたっぷり堪能しているので、ジョンのパワーがみなぎっていたこの時期のライブが残されていたことはファンにとって最もうれしい事だろう。日本公演の1966年のライブは記憶にあるとおり一気にテンションが下がっていたしね。初登場の「You Can’t Do That」はサビの部分もコーラスが入らず、これは意図的だったのか、マイクの問題か分からないが、ボツになったのが分かる。「Everybody’s Trying To Be My Baby」は快調な出来だが、ジョージ枠なので「Roll Over Beethoven」に取られたというところ。先の「I Want To Hold Your Hand」はジョンとポールのヴォーカルがユニゾン、ハーモニーともパワフルで、サウンドも快調でベストの出来だった。ジョンとポールの強力なハーモニーが最高の「Baby’s In Black」は、後に収録されたといっても、これもLP Versionから外されたのはもったいない。自分が選曲していれば「Things We Said Today」を落として…でも他は1曲も落とせないので「I Want To Hold Your Hand」「Baby’s In Black」の2曲を入れてLPは切りのいい14曲仕様にしていたな。なおこのCDの「Baby’s In Black」は、曲は同じだがMCは「Real Love」のものとまったく違う。「Real Love」のMCは前日の829日のものだった(ちなみにLPの時から「Ticket To Ride」と、「Dizzy Miss Lizzy」の後半部分は829日が使われた)ので収録日の830日のものだろう。(佐野邦彦)

最後に自分のミニコミで山下達郎さんとブルーハーツの真島昌利さんが91年にビートルズのアンケートに答えてくださったが、みないかに初期好きなのか分かるので書き添えておきます。山下さんは「絶対に影響されるのでBeatlesはつとめて聴かないようにしていた時期がありました!」といかにも山下さんらしいコメントがあり、選んだ曲は山下さんの曲とは離れた感じのジョンの曲ばかりで、実は意識はしていることが伺われます。反面、真島さんは自他ともに認めるビートルズ好き、ストレートに「今日の気分はこんな感じです」と書いていますがこの時点はブートレッグだった3曲がありマニアックなチョイスになっています。

山下達郎                   真島昌利

〇好きな曲ベスト5               〇好きな曲ベスト5

    No Reply                ①I Should Have Known Better

    Not A Second Time              Ask Me Why

    All I’ve Got To Do                                                  All I’ve Got To Do

    This Boy                                                                 I’ll Be Back

    Ask Me Why                                                          Not A Second Time

 

〇好きなアルバムベスト5                                         〇好きなアルバムベスト5

    日本版の「2nd」              ①A Hard Day’s Night(UK)

    日本版の「No.5」              The Beatles’ Second Album

    Help                                                                     ③ビートルズ No.5

    For Sale                                                               With The Beatles

                                                          ⑤ Rubber Soul(UK)

 

〇カバー曲ベスト5                                               〇カバー曲ベスト5

    Mr.Moonlight               ①Twist And Shout

    Devil In Her Heart             Leave My Kitchen Alone

    Anna                    Don’t Ever Change

    Boys                   ④Clarabella

    Long Tall Sally               Bad Boy
 

 

 

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