ポール・マッカートニーの現時点でのオールタイムベストがこの4枚組の『Pure McCartney』だ。全67曲で、ポールのセレクトによるこのコンピは妙に偏った選曲となり1997年の『Flaming Pie』から7曲も入っていながら、名盤の一つと人気が高い1989年の『Flowers In The Dirt』からは1曲もセレクトされていない。2001年の『Driving Rain』からもゼロ。もちろんカバー曲やアンプラグドのアルバムからはセレクトされるはずもない。この手の高額のコンピには未発表曲か別ヴァージョンを入れるものだが、全て既発のものばかり。2015年に12インチのみでリリースされた「Hope
For The Future」(配信は2014年)が初めてCD化されたのが自分にとっての唯一の救い。2016Remasterが24曲あるが自分には違いがよく分からず、この24曲はみなSuper Deluxe Editionになっていないアルバムなどの曲なので、わざわざこのコンピの為にリマスターしたのではなく、今後の発売のための下準備をしただけだ。CDで発売されるとつい買ってしまう自分にはまあこの「Hope For The Future」1曲だけで渋々OKだが、自分のようにポールをコレクティングしている人以外は不要だろう。それ以外では先日リリースされた『Pipes Of Peace(Super Deluxe Edition)』のボーナスで初登場のした「Say Say Say(2015 Remaster)」は47秒のフーフーというファルセットのハモりが違いハーモニカの後のイエーイエーが入っていなかった初登場の別テイク。ただしこちらは7分弱と長いが、『Pure McCartney』のものは3分37秒と短く編集されている。そして「No More
Lonely Night」はSingle Editなのでアルバムの頭の20秒間のベースはカットされ、歌から始まっている。もうひとつ「Venus And
Mars~Rock Show」はさらに大胆なSingle EditでVenus And Marsの歌の前のコードが8回から5回と短く、特に「Rock Show」はアルバムの1分6秒から2分10秒までがカットで特に華やかな前半のサビがないのはもったい無さすぎる。トータルで3分6秒も短い。これらの3曲は短く編集しただけなので特に価値はなし。なお、この67曲の配分は70年代35曲、80年代10曲、90年代8曲、2000年以降14曲で、やはりポール自身も黄金期は70年代と思っているようだ。(佐野邦彦)
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