筆者が06年に共同プロデュースしたコンピレーション・アルバム『Easy living Vol.1』にも楽曲を提供していたが、10年に活動を休止しておりその動向が注目されていた。
今回のリリースを機に音楽活動を再開することは非常に喜ばしい。アルバムにはWebVANDA読者にもアプローチする、ソフトロック系の曲も収録されているのでここで紹介したい。
小林しのは99年にharmony hatchのヴォーカリストとしてデビューし、ソングライティングも手掛けるなど中心メンバーであった。空気公団が所属したことで知られるcoa recordsより『ケーキケーキケーキ』と『苺苺苺苺』の2枚のアルバムをリリースし、02年にバンドは解散する。 その後ソロへと転身し、多くのコンピレーション・アルバムに楽曲提供するなどそのキャリアは順調であったが10年に活動を休止していた。
それから約6年を経て、初のソロアルバムとしてリリースされたのが本作『Looking for a key』である。『~心の鍵を探して~ すべてのファンタジーポップファンに贈る14枚の地図』という副題を持つこのアルバム、思春期の少女が抱く夢想性をバックグランドにした世界観が遺憾なく発揮されている。
トータルサウンドプロデューサー(アレンジや主な演奏含む)にthe Sweet Onionsの高口大輔を迎え、共同ソングライターには同じくthe Sweet OnionsやThe Bookmarcsで活動する近藤健太郎(アレンジ含む)をはじめ、元harmony hatchの宮腰智子、職業作詞家として多くの楽曲を手掛けている磯谷佳江などが参加している。またmelting holidaysのササキアツシがアレンジャーとして2曲に参加しているのにも注目したい。
アルバムはアコーディオンをフューチャーしたシャッフルの「雨をひとさじ」からはじまる。リズム・セクションの全てを高口が演奏しており、先月リリースされたThe Pen Friend Clubのサード・アルバム収録の「街のアンサンブル」にも似たサンシャインポップが心地よく、冒頭のナンバーとして相応しい仕上がりである。
続く「解放区」はVOXコンチネンタル・オルガン風の音色が象徴するブリティッシュ・ビート系のポップスだ。初期のエルビス・コステロにも通じる親しみのある曲調も好感が持てる。
そして筆者がアルバム中ベスト・トラックと挙げたいのが4曲目の「Yes, my lord」だ。イノセントな歌詞に呼応するエヴァーグリーンなサウンド、打ち込みで構築させたソフトロックの理想的な姿がここにある。アレンジと全インストルメンツはササキアツシということで納得のクオリティーだ。08年にWebVANDAで絶賛したmicrostar(マイクロスター)の「東京の空から」の世界観にも近い、一聴して心を鷲掴みにされる名曲であり、ソングライターとしての小林の高い才能を感じさせる。
共作では宮腰が曲を提供したサイケデリックなムード「幻の森」、近藤が提供したラストの「記憶のプリズム」が出色だ。前者は中期ビートルズ、後者には大滝詠一のエッセンス(「幸せな結末」etc)が見え隠れして面白い。両曲ともサウンドプロデューサーである高口のアレンジ・センスが光っている。
小林の声質は飯島真理(このアルバムで「夢色のスプーン」をカバーしている)にも通じる、幼さの中に艶を持ったスウィートなものでアルバムを通して幸福感に満ち溢れている。
そして筆者がアルバム中ベスト・トラックと挙げたいのが4曲目の「Yes, my lord」だ。イノセントな歌詞に呼応するエヴァーグリーンなサウンド、打ち込みで構築させたソフトロックの理想的な姿がここにある。アレンジと全インストルメンツはササキアツシということで納得のクオリティーだ。08年にWebVANDAで絶賛したmicrostar(マイクロスター)の「東京の空から」の世界観にも近い、一聴して心を鷲掴みにされる名曲であり、ソングライターとしての小林の高い才能を感じさせる。
共作では宮腰が曲を提供したサイケデリックなムード「幻の森」、近藤が提供したラストの「記憶のプリズム」が出色だ。前者は中期ビートルズ、後者には大滝詠一のエッセンス(「幸せな結末」etc)が見え隠れして面白い。両曲ともサウンドプロデューサーである高口のアレンジ・センスが光っている。
小林の声質は飯島真理(このアルバムで「夢色のスプーン」をカバーしている)にも通じる、幼さの中に艶を持ったスウィートなものでアルバムを通して幸福感に満ち溢れている。
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