2001年にジョージ・ハリスンが亡くなり、翌年にはエリック・クラプトンが中心に、ポール、リンゴなどの超豪華メンバーによって追悼コンサート『Concert For George』が行われ、ソフト化された。そしてそれから12年。今度はジョージの息子のダニーが中心となり、2014年9月28日にロサンゼルスのフォンダ―・シアターで追悼ライブ『George Fest』が行われた。この日はジョージのワークスの残る総決算ともいうべき『The Apple Years 1968-1975』のボックスのリリース日であり、前回ほどの派手さがない中、ダニーが一生懸命、タイアップを行った。そうしてコンサートから1年5か月後に、ようやくCD+Blu-ray(DVD)に仕様でリリースにこぎつけた。選曲はダニーが担当、『Concert For George』では半数がビートルズ・ナンバーで、ポール、リンゴ、クラプトンによる「While My Guitar Gently Weeps」が目玉だったが、ダニーはあえてこの名曲を外し、ビートルズ・ナンバーは9曲、ソロ・ナンバーを17曲に配分を変えた。ただし超名盤『All Things Must Pass』から12曲セレクトしたので、多くのジョージ・ファンに馴染み深いコンサートになっている。まずはブライアン・ウィルソンが歌う「My Sweet Lord」で、アル・ジャーディンやダリアン、スコット・ベネットを始め多くのメンバーに囲まれ、ほぼ忠実なカバーだった。スピリチュアルなものへ傾注するブライアンにとって、ジョージのこの曲は衝撃だったようで、心底好きなようだ。最後はア・カペラになってエンディング。歓声の中、すぐに退出していくのはいかにもブライアン…。歌はノラ・ジョーンズの「Something」「Behind The Locked Door」がさすがに素晴らしい。そしてアン・ウィルソンの「Beware Of Darkness」に心を捕らわれた。ジョージのソロ曲でもコード進行の見事さはこの名曲で止めを刺すだろう。この繊細な曲をパワフルなヴォーカルで彩った。その他「Ballad Of Sir Frankie Crisp」「Wah-Wah」「Let It Down」「What Is Life」「Isn’t It A Pity」「I’d Have You
Anytime」がいい出来で、ほぼ『All Things Must Pass』の曲ばかりだ。1970年にこのアルバムがリリースされた時にあまりに素晴らしい曲で埋め尽くされていたので、みなビートルズ解散後はジョージが最高なんじゃないかと大きな話題になったものだ。1970年当時はジョンとポールは期待値が高すぎたので、『ジョンの魂』に今ほどの高い評価はなく、ポールに至っては「Another Day」から『McCartney』『Ram』とまあ酷評の嵐だった。どうして「Every Night」や「The Back Seat Of My Car」に気付かないんだろうと当時から思っていたが、ジョンでも「Love」くらいしか評価されていない時代が、今では考えられないだろうが確かにあったのだ。そしてジョージの次作の『Living In The Material World』は「Don’t Let Me Wait
Too Long」という個人的な超名曲を始め、美しい曲が多く好きなアルバムだが評価は一気に下がり、ジョンは『Imagine』で一気に回復、ポールも少し遅れて『Band On The Run』で天才の評価が戻って、ジョージはやはり3番手のいう位置に戻っていくのだが、アルバムには必ず光る曲があったので、それを聴くのが楽しみだった。そんなジョージだが、ガンには勝てず、私の今の歳と同じ58歳にこの世を去っている。自分も部位は違っても同じ病気で同じ歳。このアルバムを聴きながら、自分にはズシンと応えた。来週はまた抗がん剤で3泊4日入院。ベッド上だけの毎日であまりに時間があるので、個人番号カードを作ろうと妻に介護用ベッドに寄りかかった状態で写真を撮ってもらって申請した。しかし写真をみて衝撃。なんとも精気に乏しく老けた感じなのだ。そうだよなあ。髪の毛も細くなって毛量がない。でも逆転の発想で35回も抗がん剤やってまだちゃんと髪の毛があるんだから感謝くらいしておくか。食欲はあるので、体重が増えていて、訪問医の先生には「体重を増やさないように管理してという患者は佐野さんだけ」と言われる始末(笑)「先のことを考えない」ことが私の生きる極意なので、好きなものを食べて、好きな事をして、ストレスを出来るだけ減少して過ごそうっと。1日中ベッドの上なんだからそれしかないよね。(佐野邦彦)
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