日本のamazonでDoxy Collectionよりmp3販売されたビーチ・ボーイズのライブ・アルバム第2弾。これは25曲ともっとも曲数が多く値段も1000円のままだが、音質はブートレグそのもののレベル。ただしミキシングがちゃんとしているので、前に紹介した1971年のFillmore Eastよりずっと聴きやすい。この時期はロック志向の強いカールがソロ・アルバムを出して自らもソロ・ライブを行っていたため、なんとカールがツアー参加していない。メンバーはブライアン、デニス、マイク、アルの4人だ。鬼のマイクはなんとヘロヘロのブライアンに、カールが歌う曲をフルで歌わせたりしているので、歴史的?には非常に興味深かった。今のブライアン・バンドのように高音のサポートがないので気の毒だが...。あのヒップなビーチ・ボーイズを目指していた昨日紹介の1971年のライブから10年経ち、その間1974年の昔のベスト盤『Endless Summer』のメガヒット、このブレイクを受けて隠遁状態のブライアンをユージン・ランディの力で引っ張り出し、「Brian's Back」の強烈なキャンペーンとタイアップした『15 Big Ones』のヒット、そして久々にアルバム全体をブライアンが作曲・プロデュースした『Love You』は、内容はいいのにヒットせず、ブライアンはまた隠遁生活に逆戻り。その後のにっちもさっちもいかない時期のライブが本盤だ。先のブライアンがほぼフルでリード・ヴォーカルをとった曲では「Surfer Girl」があるが一番目立つ主旋律なのに音程が微妙に外れている、これは大丈夫かと危惧したが、後に2曲連続で「God Only Knows」と「Don't Worry Baby」のソロが登場。ブライアンは必死に高音で歌い「God Only Knows」は成功したが、さすがに「Don't Worry Baby」は音程的に厳しく3番なんて声が出ていない。最後の方の「Good Vibrations」なんてブライアンは相当メロディを崩していて、その後を受けるのはいつもライブで音程不安定なマイクなのだから、まあひどいグズグスな仕上がりだった。マイクはこの頃にはが観客に歌わせるパフォーマンスを行っていて、この出来の中、ちゃんと観客がレスポンスで協力してくれていたので有難い思いがした。「Catch A Wave」の冒頭のア・カペラをまったくハモれなかったりとか、問題は多いが、マイク主導と思われる「Surfin' / Surfin' Safar」「409 / Shut Down」「Little Old Lady from Pasadena / Little Deuce Coupe」などの古い曲を多くチョイス、特に「Long Tall Texan」のカバーにはこんなカバーまでやるのかとビックリ。マイクのリード・ヴォーカルの音程はいつも怪しいが、この当時の最新曲の「School Days」「Lady Lynda」はアルがリード・ヴォーカルなので安定度は抜群だ。アルの存在はいつも救いだな。この時から「Back In The USSR」をマイクがカバーで歌うが、これはマイクの思入れがあってのこと、しばらく毎年この曲のカバーが続く。(佐野邦彦)
0 件のコメント:
コメントを投稿