はじめに近況。2年間待った最新治療は金沢大病院へ入院した当日に、検査結果が悪いという事で中止、その2年前の群馬大では2か月前に悪化して中止と、泣いても泣ききれない運の悪さだ。全て自費診療で事前に検査入院、治療薬購入までしたのに...。急遽、それまでの東京女子医大で29回目の化学療法を終えたが、悪化した下半身はほぼ動かずで、今はトイレも含め全てベッド上。下の世話まで大部屋で嫌だが仕方ない。2年前の群馬大では4か月そうだった。どう治療するか決まるのは連休明けで、嫌な気分だ。書ける元気があるうちに即座に書くので、少々詰めが甘いのはご勘弁。さてこのライブは、2015年夏にロンドンのハイド・パークで、フー結成50周年を記念した「The Who Hits 50! Tour」と題されたツアーのファイナルとして、6万5千人もの大観衆を前に行われたものだ。メンバーはピート、ロジャーに、ザック・スターキー、ピノ・パラディーノなどのベスト・メンバーが揃った。まずデビューを1964年のハイ・ナンバースのシングルにしたのでなく、フーとしてリリースした1965年1月の「I Can't Explain」を起点とした所に、この名曲への自信と思い入れがうかがえる。もちろんトップはこの曲から。50周年記念ということで、まあアルバムの範疇に入れるか迷うが『My Generation』から「My Generation」と「The Kids Are Alright」。サードの『Sell Out』から「I Can See For Miles」1曲、代表作『Tommy』と『Who's Next』からはしっかり4曲ずつ披露された。そして『Quadrophenia』から2曲。キース・ムーン最後のアルバム『Who Are You』から1曲、ケニー・ジョーンズ時代から2曲、そして60年代のシングル曲2曲(何故か「The Seeker」だけ付属のCD編だけで画像からは落ちたが)、70年代のシングル1曲ずつとよく考えらえた選曲だ。「Substitute」がない、「Summertime Blues」がないと聞こえてきそうだが、個人的にはベスト5の曲だがいつも入らない「Go To The Mirror」や大好きな「Little Billy」。「The Real Me」もよく外れるな。またこれも大好きな『Sell Out』の曲もなかなかセレクトされない。あれがない、これがないといっても何しろ名曲が多すぎるのだから仕方がない。さて映像を見ると、オールド・モッズのビンテージのベスパがずらりと並びカッコいい。するとライブでは出てこない、セカンド・アルバムのトップを飾る「Run Run Run」に載せてベスパが走りだし、これはいい演出だ。そして「I Can See For Miles」のリフレインに乗ってステージ端からピートが現れ、ザックの短いドラムを合図に、「I Can't Explain」が現れ、フーの伝説が、ライブで綴られていく。この後のライブが羨ましいのは、ないしろ母国で一騎当千のフーのファンが集まっているから、ロジャーがマイクを出せばカウンターのコーラスをしっかり観客が歌っているのがいい。バックにはメンバーの顔がしばしば現れるが、キースが主体で、時折ジョン、あとメンバー4人、映画のシーンなども入る。しかしケニー・ジョーンズ時代の2曲でもケニーの姿は映らない。フーは永遠にオリジナルの4人のメンバーなんだなと改めて思う。曲的には「Pictures Of Lily」「Bargain」「Join Together」「You Better You Bet」がいい。しかしやはり『Tommy』の「Amazing Journey」からの4曲メドレーは空気が変わる。やはりフーの頂点はここかと(『Who's Next』とどちらかというと迷うがライブでは空気の変わり方が違う)思い知ったしだい。ステージ後ろの巨大スクリーンの画像が見ものなのだが、ここでは最初はトミーを模したような不気味な銀色のオスカーのような彫像がバック、「Pinball Wizard」でやっとピンボールになるが、「See Me Feel Me」ではまた不気味な銀色の巨大なこちらを指さす手が延々映る。まったく個人的な意見だが、花輪和一の世界を見ているかのようだった。「Baba O'Riley」の映像は、いかにも初期のコンピューターという雰囲気の映像でなかなか見せる。ラストはメンバー紹介をして満を持しての「Won't Get Fooled Again」。ロジャーの大ジャンプも、ピートのギターぶち壊しもなく、やはりジジイになったフーがそこにいて、無理しなくてこれでいいと自分は思った。(佐野邦彦)
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