いきさつは分からないが、突如、ブライアン・ウィルソンの1964年という最も脂が乗っていた時代のプロデュース、作曲、バックに参加したレア・シングルの初登場ステレオ・トラックなどが一気に7曲も初登場、それも10インチのアナログ盤のみというマニアックなリリースとなった。順に紹介するとまずは名曲で知られるCastellsの「I Do」だが、ビーチ・ボーイズ版にはステレオがあったが、Castellsの方はモノしか存在していなかった。元々Castells版もビーチ・ボーイズ版も、同じオケでブライアンが作曲・プロデュースして歌も歌っていることから、ビーチ・ボーイズ版はバス・ヴォイスが強いのと、間奏にPon Ponのコーラスが入っていないくらいだった。この初登場のCastellsのステレオの「I Do(Stereo Mix)」はすっきりとしたいい仕上がりで、ビーチ・ボーイズ版よりアレンジも含め出来はいい。もうひとつの「I Do (Stereo Backing Track)」はスタジオのチャットから始まり、エンディングも自然終止まで入っていてはるかに長く、ああ、こんなバッキングの鐘はこんなメロディだったのかと楽しめた。TimersはGary Usherがアレンジ、コンダクトをした覆面グループで、ビーチ・ボーイズの『Little Duece Coupe』の中でも最高の出来だったブライアン作の傑作「No Go Showboat」を、シングル化したもの。このトラックにはブライアンがコーラスで参加していると言われている。今まで日本のみリリースの『Brian Wilson Still I Dream Of You』(M&M)で盤おこしのモノラル・ヴァージョンを聴くことが出来たが、ステレオは初登場。モノのシングルでは多少荒っぽくガレージ色も漂っていたが、この「No Go Showboat(Stereo Mix)」のステレオだと分離がいいのでこれもすっきりと聴こえてスムーズで楽しめる。他に「No Go Showboat(Stereo Backing Track)」が入っていたが、こちらの尺は変わらない。今まで紹介した4曲はB面で、A面は全てHoneys。まずはブライアン作・プロデュースの「He's A Doll」だが、冒頭は通常のモノマスター。B面の「The Love Of A Boy And A Girl」もモノマスターで入り、この2曲のみ、既にCD化された音源だった。しかし初登場の「He's A Doll(Stereo Mix)」が登場、こちらは元々メロディのキャッチーさに比べサウンドは平面的だったので、コーラスが聴こえやすいくらいでステレオになって劇的な違いは感じられない。もうひとつの「He's A Doll(Stereo Backing Track)」はスタジオ・チャットから始まり、エンディングもはるかに長くブライアンのプロダクションが楽しめた。最後はこれぞ初登場の「I Can See Right Through You(Go Away Boy)(Stereo Backing Track)」で、歌の入ったものは彼女らが再結成した1983年のアルバム『Ecstasy』に収録されていたが、まさかブライアンが1964年にこの曲を書いてプロデュースまで行いオケまで作ってあったとは驚きだ。重厚感のあるオケで歌がこの当時の歌が入っていたらどれだけ素晴らしかったことだろうか。スタジオのチャットから始まり、完奏していた。2000枚限定なので早く入手しておこう。これだけでお腹一杯だが、単独で紹介するようなレベルのものではないので、2014年のブライアンの参加作品をついでに最後に紹介しておこう。The Great Pretendersの『Mini Mansions』(Capitol/00602547207906)の中の「Any Emotions」という曲だが、牧歌的なメロディの曲のバッキングのコーラスを担当している。意外とヘヴィなサウンドになっていくので、最後にはっきりとブライアンのリード・ヴォーカルが聴こえるがその程度。コンプリートを目指す方だけどうぞ。(佐野邦彦)
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