ブライアンが作曲・プロデュースを担当した傑作、Castellsの「I Do」はここにも入っているが、以前本CDと同じAceからリリースされたブライアン作曲・プロデュース集『Pet Project The Brian Wilson Productions』に本来入るべき音源だった。以前がプロデュース編、今回はカバー編という位置づけだ。ただ少し前に紹介したCastellsのコンプリートCDに入っていたので、それすら持っていない人はマスト・バイ。ここには本CDに収録のKeith Greenのカバーも一緒に収められていた。その他のJan& Deanの2曲や、Tokens、Bruce & Terry、Tony Rivers & The Castaways, Hugo Montenegro、Nick DeCaro、Surfaris(「Wipeout」のインストバンドと思っていると歌もの多し)のカバーはそれぞれのグループのCDを持っていればお馴染みの曲。ブライアンが作曲・プロデュースしたPaul Petersonの「She Rides With Me」は、そのオリジナルは上記のワーナーのコンピに久々に収録されたが、本CDではJoey & The Continentalsのカバーが収められた。ブライアンのプロデュースではないが、Paul Petersonのようにヴォーカルにエフェクトがかけられていないのですっきりしている。「Guess I'm Dumb」もブライアンのプロデュースではないJohnny Wellsのカバーが入った。エコーも十分でいい出来だが、アボットの解説のオリジナルより出来がいいというのはまったく同意できない。驚きはあの「So Much In Love」で有名なTymesの「Surf City」だろう。まったく黒さが無く、白人のグループのよう。Super Stocksの「My First Love」はたいした曲ではないが、アルバム『Surf Route 101』にしか入っていないので持っていない人はこれでリストを埋められる。ビッグネームで気が付かないのはまずBobby Veeの「Here Today」。このシンガーはいい曲が多いのだが、このカバーはアレンジのセンスがダメでブライアンのフリーフォームなベースがないので出来はよくない。Peggy Marchの「Aren't You Glad」はこの渋い曲を選んだセンスだけで二重丸。その他Louis Philippeの「I Just Wasn't Made For These Time」、Kirsty MacCollの「You Still Believe In Me」、Betty Everettの「God Only Knows」はなかなかベスト盤に入らなかったので助かる。最後にCarmen McRaeの「Don't Talk」はしっとりとしたジャズ・バラードでこれは聴かせる。収穫。あ、忘れてた。DarianSahanajaは冒頭で「Do You Have Any Regret?」をカバーしているがこれはマニアック。ブライアンの幻のセカンド・アルバム『Sweet Insanity』では「I Do」と呼ばれていた曲で、さすが一番弟子だけある。メロディ的には「Thank You」の方がいいが、歌詞がヤバ過ぎてこれは決して使えないから仕方ないか。(佐野邦彦)
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2015年8月30日日曜日
☆Various:『Here Today!The Songs Of Brian Wilson』(Ace/1445)
『Here Today!The Songs Of Brian Wilson』の紹介が遅れてしまったがワーナーの『She Rides With Me-Surfin' & Hot Rod Nuggets』のコンピが出たばかり、同時発売のGirl Groupコンピも2つ紹介したいのがあるが今日は入院前日、こちらは退院後で。本CDのまず目玉が、M&Mの『Brian Wilson Still I Dream Of You』の中でしか聴けなかった1965年のBasil Swift & The Seegrams名義のシングル「Farmers Daughter」だ。プロデュースはニック・ベネットとあるがそのパンキッシュなアレンジといいブライアンがやっているのは明白、ただしリード・ヴォーカルはブライアンと言われていたが、解説を書いたBBの専門家の一人、キングスレイ・アボットはダニー・ハットンと断定していた。この人が言えば説得力はある。このダニー・ハットンはブライアンの親友でご存知スリー・ドッグ・ナイトのリード・ヴォーカリスト。その前身のRedwoodというバンドで、ブライアンから「Darlin'」と「Time To Get Alone」をもらって吹き込んだもののビーチ・ボーイズで使うからとオクラになった。ただ後者は1993年の『Celebrate-Three Dog Night』のコンピにだけひっそりと納められていたので持っていなかった人は収穫。メリハリの利いた仕上がりで一聴の価値がある。聴けそうでなかなか聴けないブライアンの隠れた傑作がHondellsに書き下ろした「My Buddy Seat」。実際はゲイリー・アッシャーのプロデュースで、コーラスはブライアンとブルース・ジョンストン、テリー・メルチャー、ゲイリー・アッシャーにメンバーで中核のチャック・ギラードなどという超豪華メンバーで、曲も迫力満点でスリリング、小ヒットしかしなかったのがもったいない快作だ。あとブライアンが「Don't Hurt My Little Sister」の原曲をフィル・スペクターに提供したもののスペクターはラリー・レヴィンに曲をまかせてアメリカ政府の雇用キャンペーン用のプロモとしてのみ使用されたというほろ苦い曲があるが、その「Things Are Changing」はSupremes、Blossoms、Jay & The Americansの3グループが同じオケで吹き込んだ。Supremesは1995年のコンピ『Anthology』で、Blossomsは日本のM&Mが1993年のCD『Brian Wilson Still I Dream Of You』のみで、そしてJay & The Americansは1991年のベスト盤『Come A Little Bit Closer』でCD化されていた。このレアな曲は目立たずひっそりと入っていたので、今回本CDに収められたこのJay & The Americansのヴァージョンは持っていない方が多いと思う。
ブライアンが作曲・プロデュースを担当した傑作、Castellsの「I Do」はここにも入っているが、以前本CDと同じAceからリリースされたブライアン作曲・プロデュース集『Pet Project The Brian Wilson Productions』に本来入るべき音源だった。以前がプロデュース編、今回はカバー編という位置づけだ。ただ少し前に紹介したCastellsのコンプリートCDに入っていたので、それすら持っていない人はマスト・バイ。ここには本CDに収録のKeith Greenのカバーも一緒に収められていた。その他のJan& Deanの2曲や、Tokens、Bruce & Terry、Tony Rivers & The Castaways, Hugo Montenegro、Nick DeCaro、Surfaris(「Wipeout」のインストバンドと思っていると歌もの多し)のカバーはそれぞれのグループのCDを持っていればお馴染みの曲。ブライアンが作曲・プロデュースしたPaul Petersonの「She Rides With Me」は、そのオリジナルは上記のワーナーのコンピに久々に収録されたが、本CDではJoey & The Continentalsのカバーが収められた。ブライアンのプロデュースではないが、Paul Petersonのようにヴォーカルにエフェクトがかけられていないのですっきりしている。「Guess I'm Dumb」もブライアンのプロデュースではないJohnny Wellsのカバーが入った。エコーも十分でいい出来だが、アボットの解説のオリジナルより出来がいいというのはまったく同意できない。驚きはあの「So Much In Love」で有名なTymesの「Surf City」だろう。まったく黒さが無く、白人のグループのよう。Super Stocksの「My First Love」はたいした曲ではないが、アルバム『Surf Route 101』にしか入っていないので持っていない人はこれでリストを埋められる。ビッグネームで気が付かないのはまずBobby Veeの「Here Today」。このシンガーはいい曲が多いのだが、このカバーはアレンジのセンスがダメでブライアンのフリーフォームなベースがないので出来はよくない。Peggy Marchの「Aren't You Glad」はこの渋い曲を選んだセンスだけで二重丸。その他Louis Philippeの「I Just Wasn't Made For These Time」、Kirsty MacCollの「You Still Believe In Me」、Betty Everettの「God Only Knows」はなかなかベスト盤に入らなかったので助かる。最後にCarmen McRaeの「Don't Talk」はしっとりとしたジャズ・バラードでこれは聴かせる。収穫。あ、忘れてた。DarianSahanajaは冒頭で「Do You Have Any Regret?」をカバーしているがこれはマニアック。ブライアンの幻のセカンド・アルバム『Sweet Insanity』では「I Do」と呼ばれていた曲で、さすが一番弟子だけある。メロディ的には「Thank You」の方がいいが、歌詞がヤバ過ぎてこれは決して使えないから仕方ないか。(佐野邦彦)
ブライアンが作曲・プロデュースを担当した傑作、Castellsの「I Do」はここにも入っているが、以前本CDと同じAceからリリースされたブライアン作曲・プロデュース集『Pet Project The Brian Wilson Productions』に本来入るべき音源だった。以前がプロデュース編、今回はカバー編という位置づけだ。ただ少し前に紹介したCastellsのコンプリートCDに入っていたので、それすら持っていない人はマスト・バイ。ここには本CDに収録のKeith Greenのカバーも一緒に収められていた。その他のJan& Deanの2曲や、Tokens、Bruce & Terry、Tony Rivers & The Castaways, Hugo Montenegro、Nick DeCaro、Surfaris(「Wipeout」のインストバンドと思っていると歌もの多し)のカバーはそれぞれのグループのCDを持っていればお馴染みの曲。ブライアンが作曲・プロデュースしたPaul Petersonの「She Rides With Me」は、そのオリジナルは上記のワーナーのコンピに久々に収録されたが、本CDではJoey & The Continentalsのカバーが収められた。ブライアンのプロデュースではないが、Paul Petersonのようにヴォーカルにエフェクトがかけられていないのですっきりしている。「Guess I'm Dumb」もブライアンのプロデュースではないJohnny Wellsのカバーが入った。エコーも十分でいい出来だが、アボットの解説のオリジナルより出来がいいというのはまったく同意できない。驚きはあの「So Much In Love」で有名なTymesの「Surf City」だろう。まったく黒さが無く、白人のグループのよう。Super Stocksの「My First Love」はたいした曲ではないが、アルバム『Surf Route 101』にしか入っていないので持っていない人はこれでリストを埋められる。ビッグネームで気が付かないのはまずBobby Veeの「Here Today」。このシンガーはいい曲が多いのだが、このカバーはアレンジのセンスがダメでブライアンのフリーフォームなベースがないので出来はよくない。Peggy Marchの「Aren't You Glad」はこの渋い曲を選んだセンスだけで二重丸。その他Louis Philippeの「I Just Wasn't Made For These Time」、Kirsty MacCollの「You Still Believe In Me」、Betty Everettの「God Only Knows」はなかなかベスト盤に入らなかったので助かる。最後にCarmen McRaeの「Don't Talk」はしっとりとしたジャズ・バラードでこれは聴かせる。収穫。あ、忘れてた。DarianSahanajaは冒頭で「Do You Have Any Regret?」をカバーしているがこれはマニアック。ブライアンの幻のセカンド・アルバム『Sweet Insanity』では「I Do」と呼ばれていた曲で、さすが一番弟子だけある。メロディ的には「Thank You」の方がいいが、歌詞がヤバ過ぎてこれは決して使えないから仕方ないか。(佐野邦彦)
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