2015年7月26日日曜日

☆Ronny & The Daytonas:『The Complete Recordings』(Real Gone Music/RGM0376)

サーフィン&ホットロッド・ファンの中で人気が高いロニー&ザ・デイトナスの未発表4曲を含む1964年から1968年に発表された全48曲のコンプリート作品集がリリースされた。1965年のアルバム『Sandy』を頂点として、ソフトロックにも通じるような洒落たサウンドとメロディの曲も多いが、傑出したものはない。ブライアン・ウィルソンを頂点としてそれを10とすると、ブルース・ジョンストン・ワークスが8、その下のジャン&ディーン・ワークスが6でそのあたりのレベル。ただし4程度のゲイリー・アッシャーのワークスよりはずっといい。(ただしここでいうゲイリー・アッシャー・ワークスとはスーパー・ストックスなどの粗製乱造のサーフィン&ホットロッドバンドの事で、その後のサジタリアスになると一気にレベルがあがり逆転しているので誤解のないよう)耳触りはいいのだが同じようなサウンドの曲が並ぶので48曲を通して聴くとちょっと辛い。このグループの中心は、文句なしにバッキー・ウィルキンことジョン・ウィルキン。1964年の「G.T.O.」が全米4位という大ヒットなり華々しいデビューを飾ったロニー&ザ・デイトナスは同年、同タイトルのアルバムを出すが、記憶に残る曲はなかった。1965年にバッキー・ウィルキンはメンバー外で多くの曲を共作したバズ・カーソンとBuzz & Bucky1枚シングルを出していた。歌の入ったA面より、美しいメロディを持つB面のインストの「Bay City」の方が印象に残る。この年の凡庸なサーフィン&ホットロッドのシングルを出した後にいよいよ「Sandy」をリリース。このメランコリックなメロディを持つウィルキンの曲は27位と再びチャートにランキングされた。本CDにはアルバム未収録のB面のインストもきちんと入っているのが嬉しい。そして1966年に名盤『Sandy』をリリースする。全編がドリーミーで「Nancy」のようなソフトロック系ともいえる転調を生かした曲も多く、サーフィン&ホットロッドを脱却し、フォークロック系にスタンスを移していた。声をはりあげないボソボソとした歌い方も曲にマッチしていた。ただし1966年ではこれでも良かったのだが。さて、このCDでは嬉しい事にその後のシングルまで追っていく事ができる。『Sandy』以降1968年までの13曲は、ロックレヴォリューションの時代に突入した中、ドゥワップ調、ロック調、ボイス&ハート風、サイケなどと迷走、その片面はいつものウィルキン調が多く聴きやすいのだがヒットするとは思えず、後半はもうオリジナルでは勝負できないとカバー曲に一気にシフトしている。限界がはっきり伝わってきた。4曲の未発表曲・テイクはまあそれなりの出来で、やはり落ち着くウィルキン調の「Angelina」が一番いいかな。(佐野邦彦)
The Complete Recordings










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