2015年7月26日日曜日

☆Classics IVのプロデューサー兼ソングライターのBuddy Buie死去

Classics IVAtlanta Rhythm Sectionのプロデューサーであり、それぞれのギタリストだったジェームス・コブと大半の曲を書いたソングライターでもあるバディ・ビューイ(Buddy Buie)が7月18日に亡くなった。74歳だった。この両グループ、どちらも大ヒットを連発してきたが、私にとっては圧倒的にクラシックスIVだ。バディ・ビューイとジェームス・コッブの書く美しく憂いのあるメロディ、独特のアタックのギター、そしてデニス・ヨストのハスキーな魅惑のヴォーカルによって最高に魅力的なクラシックスIVのサウンドが生み出された。このグループはマイク・ポストがキャピトルでプロデュースした時の2枚のシングルはフォー・シーズンズの真似で、まったくヒットしなかった。そしてインペリアルに移籍してプロデューサーがバディ・ビューイに代わる。彼は、自分が所属するビル・ローリー・プロダクションズのサックス奏者であるマイク・シャープの「Spooky」を最初のシングルに選ぶ。そこでサウンドは180度変わり、デニス・ヨストのヴォーカルを目一杯生かしながら、ブルージーなマイク・シャープ本人のサックス・ソロをフィーチャーし、あのジェームス・コブの伝説のアタックの効いたギター・リフに乗せてこの曲はみるみるチャートを駆け上がり1967年に全米3位となる。この曲はビューイ=コブの作品ではなかったが、以降はこの2人で曲を作っていく。ヘヴィな「Soul Train」のあとは続く哀調を帯びた1968年の「Stormy」は5位と大ヒット、都会的で洒落ていてどこかブルーな雰囲気のクラシックスIVのサウンドが凝縮した個人的にも一番好きな曲のひとつだ。そして続く1969年のメロウで見事な転調をみせる「Traces」は全米2位、甘い「Everyday With You Girl」は19位と快進撃が続いた。この時にはスマッシュヒットに終わったが「Midnight」という哀調とドラマティックさと密度のあるサウンド、そして素晴らしいデニス・ヨストのヴォーカルという最高傑作を生み出している。クラシックスIVのアルバムは1968年の『Spooky』と『Mamas And Papas/Soul Train』、1969年の『Traces』、1970年の『Song』、そしてMGM Southへ移籍しての1973年の『What Am I Crying For』の5枚だけでカバーの多い1stを除いては全てビューイ=コブが大半の曲を書いた傑作揃い。しかしなぜか1枚もオリジナル・アルバムのCD化がない。その当時はゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのオリジナル・アルバムのCD化もなく、東芝EMIの担当者にリイシューを強く進言したが「5000枚売れますか?」の条件に「いや、そこまでは無理」と返事をせざるを得なかった。じゃあそのかわりベスト盤を好きに選曲していいですよということで作ったのが『The Very Best Of Classics IV』と『The Very Best Of Gary Lewis & The Playboys』だった。ヒット曲を入れるのなんて当たり前で、いかにアルバムの名曲をチョイスするのが腕の見せ所。クラシックスIVは当時、CapitolLegendary Master Series、オーストラリアのRavenのコンピがあったが、どれも選曲がイマイチで、「The Comic」という名曲はどちらも入っていないし「Rainy Day」とか「Traffic Jam」など漏らさず入ったコンピを作ってコアなファンの方にも満足していただいた。ちなみにゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズもあの「土曜日の恋人」にインスパイアを与えた「We'll Work It Out」や、ロッド・マクブライエン、ボブ・リンド、パレードの書いた曲などを入れ、特にこのCDでしか未だに聴けない「Sure Gonna Miss Her」のシングル・ヴァージョン、これはシンコペーションの効いた木琴が全編に入ったまったく違うテイクで非常にカッコいいヴァージョンなのだが、『The Complete Liberty Singles』なんていうCDも平気でアルバム・ヴァージョンを入れている有様。ちなみにこのコンピは山下達郎先生が「サンデーソングブック」で絶賛していただいてとても嬉しかった記憶がある。ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズはデビューから全米トップ10入りシングルが7曲連続という輝かしい実績があるので後に2イン1、3イン1でアルバムが出たものの、中間に出た『Hits Again』だけCD化されないという中途半端さが悲しい。まあそんなことで、特にクラシックスIVはベスト盤だけでオリジナル・アルバムは未だにゼロという有様なので、バディ・ビューイも浮かばれない。この機に再評価が進むことを期待したい。(佐野邦彦)
Buddy Buie.jpegBest Of Classics Iv

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