ちょっと気づくのが遅れてしまったが、2月リリースのこのCD『The Deram Records Singles Collection』は、ホワイト・プレインズがDeramレコードから1970年から1974年にリリースした13枚の全シングルを網羅したものだ。ホワイト・プレインズと言えばファースト・アルバム全曲に残りのシングルA面を集めた構成で、1993年のリリース以来今も現役カタログで22年も売れている『My Baby Loves Lovin'』(Deram/820622-2)はソフト・ロックの名盤として確固たる地位を得ているのでお持ちの方も多いはず。ただ、ホワイト・プレインズには2枚目のアルバムがありそれはCD化されないまま、また2ndアルバム以降のシングルB面はCD未収録なのでけっこうな数の「残り物」が存在していた。そこを埋めたのが本CDである。ブリティッシュ・ポップの超名盤CD『My Baby Loves Lovin'』を買っていない人は対象外として本CDを紹介していこう
ホワイト・プレインズといえば、セッション・ヴォーカリストのトニー・バロウズがリード・ヴォーカルを取ったロジャー・グリーナウェイ=ロジャー・クック作(ご存じ、トニー・マコウレイと並ぶイギリスを代表するトップ・コンポーザー。名前が長いので以下G=Cに略)の「My Baby Loves Lovin'」が1970年に全英9位、全米13位となり、鮮烈なデビューを飾ったイギリスのポップ・グループだが、実はトニー・バロウズがいたフラワー・ポット・メンを発展解消しホワイト・プレインズの名前で出したシングルだった。このシングルがヒットしたためリード・ヴォーカルはフラワー・ポット・メンの同僚のピート・ネルソンに譲り、同じくメンバーのロビン・ショウも残り、他4人が集められホワイト・プレインズを継承、トニー・バロウズはエジソン・ライトハウスやファースト・クラス、その他のソロ・シングルなどのセッション・ヴォーカリストの道へ道を歩む。このシングルがヒットした時のTV出演ではロジャー・グリーナウェイ(ポップでキャッチーな曲は大概グリーナウェイ作)ご本人が登場、そこにトニー・バロウズ、ピート・ネルソン、ロビン・ショウの4人だったというから、ソフト・ロックのファンには涙ものの映像だが、残念ながら見たことがない。ではまずCD『My Baby Loves Lovin'』では聴けない、本CDで初CD化の曲を紹介すると、「Noises(In My Head)」(「Lovin' You Baby」のB面。G=C作)、『I Need Your Everlasting Love』(「Julie Do You Love Me」のB面。G=C作)、「The World Gets Better With Her」(「When You Are A King」のB面。G=C作)、「I'll Go Blind」(「Gonna Miss Her Mississippi」のB面。Young-Renshow作)、「Beachcomber」(「Dad You Saved The World」のB面。Robin Home-Pete Nelson作)、「Look To See」(「Step Into Dream」のB面。Nelson-Home-Reynolds作)、「Just For A Change」(「Does Anybody Know Where My Baby Is?」のB面。Nelson作)、「Sunny Honey Girl(Version2)」(最初B面だった「Julie Anne」をA面に変えたシングルのB面で、デビュー・アルバムのテイクとはまったくアレンジを変えている。G=C=Goodison=Hiller作)、「A Simple Man」(「Ecstasy」のB面。Nelson作)の9曲が初CD化。この内、「Noises(In My Head)」「The World Gets Better With Her」「I'll Go Blind」「Sunny Honey Girl(Version2)」は未CD化の1971年のセカンド・アルバム『When You Are A King』(Deram/SML1092)収録曲で、既にCD化された曲も含めて、未CD化のまま残ったのは「Home Lovin' Man」(Tony Macaulay=G=C作)と「An Eye For The Main Chance」(G=C作)の2曲だけになったが、コンポーザーが素晴らしく出来も悪くないのでこれはやはり完全盤をいつか出して欲しいところ。さて本CDの9曲に戻るが、この中で飛び抜けた曲は無い。G=C作でもアルバム用というレベル。ホワイト・プレインズはファーストの時はフラワー・ポット・メンの延長だったのでフラワー・ポット・メンの最高傑作シングルで高揚感溢れる「In The Moment Of Madness」「Young Birds Fly」の2曲を、そのままホワイト・プレインズのファースト・アルバムにぶち込んであり、またこのアルバムがホワイト・プレインズの最高作「I've Got You On My Mind」(全英17位)からスタート、そのあとシングル曲ではないので本CDには含まれない「When Tomorrow Comes Tomorrow」「Taffeta Rose」「(I Remember)Summer Morning」「To Love You」そして先の「In The Moment Of Madness」のあと「My Baby Loves Lovin'」というキャッチーなメロディ、美しいハーモニー、ハイトーンのリード・ヴォーカル、軽快なサウンドと非の打ちどころがない完璧なソフト・ロック・ナンバーが並びあまりにクオリティが高かっため、セカンド以降の突き抜けた感じの無いサウンドと、いまひとつキャッチーではないメロディに物足りなさを感じるはずだ。セカンド以降はA面でも快作が少ない(ただ全英8位、13位、21位、全米82位と、シングル4枚のヒットはある)のだからB面に至ってはまあコレクター向けというところ。その中ではラテンの「Look To See」が面白い。この後に1976年にホワイト・プレインズ名義で「Summer Nights/Wildest Dreams」(Bradleys Records/BRAD7609)というシングルがあり、A面はビーチ・ミュージックでそこそこ気持ちいい曲だがもちろんヒットはせず、ライナーを読むとメンバーのブライアン・ジョンソンのソロワークスだそうだ。その後、私は持っていないがピート・ネルソンとロビン・ボックスの2人で1978年にPVKというレーベルから「Dance With You」「I Wanna Fall In Love」の2枚のシングルをリリースしているという。しかしブリティッシュ・ロックの流れがほとんどのUKの音楽に対して、1960年代後半から70年代にUKトップ20に入るヒットを38曲も書いたトニー・マコウレイ、25曲も書いたロジャー・グリーナウェイ=ロジャー・クックの凄さについてあまりに語られなさすぎなのは、ロック偏重の音楽マスコミの悲しいところ。ブリティッシュ・ポップを知るとずっとリスニング・ライフが楽しくなる。(佐野邦彦)
ホワイト・プレインズといえば、セッション・ヴォーカリストのトニー・バロウズがリード・ヴォーカルを取ったロジャー・グリーナウェイ=ロジャー・クック作(ご存じ、トニー・マコウレイと並ぶイギリスを代表するトップ・コンポーザー。名前が長いので以下G=Cに略)の「My Baby Loves Lovin'」が1970年に全英9位、全米13位となり、鮮烈なデビューを飾ったイギリスのポップ・グループだが、実はトニー・バロウズがいたフラワー・ポット・メンを発展解消しホワイト・プレインズの名前で出したシングルだった。このシングルがヒットしたためリード・ヴォーカルはフラワー・ポット・メンの同僚のピート・ネルソンに譲り、同じくメンバーのロビン・ショウも残り、他4人が集められホワイト・プレインズを継承、トニー・バロウズはエジソン・ライトハウスやファースト・クラス、その他のソロ・シングルなどのセッション・ヴォーカリストの道へ道を歩む。このシングルがヒットした時のTV出演ではロジャー・グリーナウェイ(ポップでキャッチーな曲は大概グリーナウェイ作)ご本人が登場、そこにトニー・バロウズ、ピート・ネルソン、ロビン・ショウの4人だったというから、ソフト・ロックのファンには涙ものの映像だが、残念ながら見たことがない。ではまずCD『My Baby Loves Lovin'』では聴けない、本CDで初CD化の曲を紹介すると、「Noises(In My Head)」(「Lovin' You Baby」のB面。G=C作)、『I Need Your Everlasting Love』(「Julie Do You Love Me」のB面。G=C作)、「The World Gets Better With Her」(「When You Are A King」のB面。G=C作)、「I'll Go Blind」(「Gonna Miss Her Mississippi」のB面。Young-Renshow作)、「Beachcomber」(「Dad You Saved The World」のB面。Robin Home-Pete Nelson作)、「Look To See」(「Step Into Dream」のB面。Nelson-Home-Reynolds作)、「Just For A Change」(「Does Anybody Know Where My Baby Is?」のB面。Nelson作)、「Sunny Honey Girl(Version2)」(最初B面だった「Julie Anne」をA面に変えたシングルのB面で、デビュー・アルバムのテイクとはまったくアレンジを変えている。G=C=Goodison=Hiller作)、「A Simple Man」(「Ecstasy」のB面。Nelson作)の9曲が初CD化。この内、「Noises(In My Head)」「The World Gets Better With Her」「I'll Go Blind」「Sunny Honey Girl(Version2)」は未CD化の1971年のセカンド・アルバム『When You Are A King』(Deram/SML1092)収録曲で、既にCD化された曲も含めて、未CD化のまま残ったのは「Home Lovin' Man」(Tony Macaulay=G=C作)と「An Eye For The Main Chance」(G=C作)の2曲だけになったが、コンポーザーが素晴らしく出来も悪くないのでこれはやはり完全盤をいつか出して欲しいところ。さて本CDの9曲に戻るが、この中で飛び抜けた曲は無い。G=C作でもアルバム用というレベル。ホワイト・プレインズはファーストの時はフラワー・ポット・メンの延長だったのでフラワー・ポット・メンの最高傑作シングルで高揚感溢れる「In The Moment Of Madness」「Young Birds Fly」の2曲を、そのままホワイト・プレインズのファースト・アルバムにぶち込んであり、またこのアルバムがホワイト・プレインズの最高作「I've Got You On My Mind」(全英17位)からスタート、そのあとシングル曲ではないので本CDには含まれない「When Tomorrow Comes Tomorrow」「Taffeta Rose」「(I Remember)Summer Morning」「To Love You」そして先の「In The Moment Of Madness」のあと「My Baby Loves Lovin'」というキャッチーなメロディ、美しいハーモニー、ハイトーンのリード・ヴォーカル、軽快なサウンドと非の打ちどころがない完璧なソフト・ロック・ナンバーが並びあまりにクオリティが高かっため、セカンド以降の突き抜けた感じの無いサウンドと、いまひとつキャッチーではないメロディに物足りなさを感じるはずだ。セカンド以降はA面でも快作が少ない(ただ全英8位、13位、21位、全米82位と、シングル4枚のヒットはある)のだからB面に至ってはまあコレクター向けというところ。その中ではラテンの「Look To See」が面白い。この後に1976年にホワイト・プレインズ名義で「Summer Nights/Wildest Dreams」(Bradleys Records/BRAD7609)というシングルがあり、A面はビーチ・ミュージックでそこそこ気持ちいい曲だがもちろんヒットはせず、ライナーを読むとメンバーのブライアン・ジョンソンのソロワークスだそうだ。その後、私は持っていないがピート・ネルソンとロビン・ボックスの2人で1978年にPVKというレーベルから「Dance With You」「I Wanna Fall In Love」の2枚のシングルをリリースしているという。しかしブリティッシュ・ロックの流れがほとんどのUKの音楽に対して、1960年代後半から70年代にUKトップ20に入るヒットを38曲も書いたトニー・マコウレイ、25曲も書いたロジャー・グリーナウェイ=ロジャー・クックの凄さについてあまりに語られなさすぎなのは、ロック偏重の音楽マスコミの悲しいところ。ブリティッシュ・ポップを知るとずっとリスニング・ライフが楽しくなる。(佐野邦彦)
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