待望久しいゾンビーズの CD 4枚組ボックスが遂にリリースされた。今まで発表されたすべての音源を含む全119曲が収録され、1曲ごとの各メンバーのコメントやディスコグラフィーまで完備した68Pものブックレットがついた、まさにパーフェクトな内容のボックス・セットである。
ディスク1、2は既発表のスタジオ音源を集めたものだが、
"Tell Her Know" やアルバム「Odessey & Oracle」の曲を聴くと、ゾンビーズのサウンドがいかにモダンであったか改めて驚かされるだろう。ロッド・アージェントとクリス・ホワイトの作る美しいメロディに、ジャズのエッセンスも加わった洒落たサウンド。ポイントはアージェントのキーボードだ。そこにコリン・ブランストーンの魅惑のヴォーカルが入るのだから、これはたまらない。ブリティッシュ・ポップの最良のサウンドがこのゾンビーズといって間違いない。このスタジオ音源はオリジナル・モノ・モックスで収められたため、 "She's Not There" は驚くほどドラムが大きいし、
"Is This The Dream" に至ってはそれまでの馴染みのステレオ・ミックスとは違って "Hey Hey Hey" のコーラスがカウンターで入りビックリさせられた。ディスク3はデモ集で、既発表の曲のプロト・タイプの曲や、未発表の曲まで楽しめる。ディスク4は BBC でオン・エアーされたスタジオ・ライブ集。過去「Five Live
Zombies」のタイトルでが6割程度がまとめられていたが、ここでは計10回の出演の音源がすべて収められ、10曲が追加された。その中にはキャロル・キング作の "Will You Love Me Tomorrow" やバート・バカラック作の "The Look Of Love" が登場し、ゾンビーズのポップ・フリークぶりが伺えて楽しい。ゾンビーズは既にテディ・ランダッツォ作の "Goin' Out Of My Head" やホランド=ドジャ?=ホランドの作品が多くあり、カバー・センスの良さにも注目だ。とにかくこのボックスは買う以外ない。日本盤はVivid Soundから出ている(VSCD1427~30)が、膨大な解説を対訳した分厚いブックレットが付いているので、少々高いがこちらをお勧めする。(佐野)
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