Pages

2015年2月14日土曜日

☆全作品が単行本未収録・未発表・多作家への描き下ろしで構成された究極の吾妻ひでお本『ワンダー・AZUMA HIDEO・ランド』遂に発売!

復刊ドットコムから今月発売される吾妻ひでおの『ワンダー・AZUMA HIEDO・ランド』は、40年来の吾妻ひでおフリークを自認する自分の中でも最も作りたかった夢の1冊だ。全ページ単行本未収録が基本。そうでないものは、他の作家の単行本に寄稿した後書き用原稿などのマニアックなものを集めてある。私の方で単行本未収録作品をリストアップし、その中で原則として原稿が見つかったものを集めてきた。中には、未発表原稿や未知の原稿という嬉しい発見も。では注目点だけ簡単に。全て章立てしたのでその順に紹介しよう。(章立てのセンスに社長からお褒めの手紙をもらった(笑)。実際上手く出来た。)カラーは32Pあり、アニパロ全開の1981年の「吾妻ひでお版眠れぬ夜のために」や「メタモルフォーゼ」が入ったが、一番驚いたのは1979年にBOMB用の「多目的せーせーかつ入門」が2色原稿(掲載時は単色)だった事。過激すぎでボツになったものと一緒に収録した。単行本ではモノクロだった「吾妻ひでおの幻魔大戦」(1980年)も当時のフルカラーで。さらに私が1982年に超売れっ子だった吾妻先生にずうずうしくも自分のミニコミの原稿依頼(下記の小冊子の「めぞんギガント」」した時のご返事が、最高にかわいいラナのフルカラーハガキ2枚で、家宝にと思っていたが、この際、フルカラーで掲載することにしたので是非ご注目を。『同人誌』に関しては、「シベール0号・1号」の収録が大事件!プロの人気マンガ家による同人誌作成という驚くべき伝説の同人誌「シベール」は6号まで出て、2号~6号の作品はその後各種単行本の中心となったが、50部しか作らなかった0号(1978年の「日ヘンの美子ちゃん官能編」)は見たことすらなく、1号(1979年の「赤ずきん・いん・わんだあらんど」)はコピーをホチキスで閉じただけでどちらも単行本未収録のままだった。絵が最高に可愛く、これは凶悪だ。自分もこの頃は「漫画の手帖」で出店していたので、まだ晴海の前の川崎市民プラザ時代だったと思うが、開場の合図がなったと共に、机の下から飛び出してまずは「シベール」に並んでいたことを思い出す。他に「鏡」という同人誌に描いたものなど集めたが、流れとして気に入っているのが、「シベール」の計画から大ブームになっていくまでの過程がはっきりわかる蛭子神建と沖由佳雄、一本木蛮の本の後書きを並べたもの。あと当時の空気が蘇ってくるだろう。『ギャグ』では1980年の「プランコくん」と「トラウマがゆく!」はなんと未発表原稿。1986年の「でんじゃらすももちゃん」は原稿紛失部分が入り、ボツ原稿まで収録。『ドキュメンタリー&エッセイ』ではあの「失踪日記」の単行本未収録部分である「失踪日記・落穂拾い」(2005年)の存在にまず驚かされた。アル中治療時代の話で重複する部分があるので落としたのだそうだ。インパクトという店では、マンガ界の編集者の恐ろしさを描いた衝撃作「夢見る玉石」(2009)に大注目。使い捨て、使い潰し、目利きのない大手出版社の愚かな編集者達の実態にこれまで迫った作品はいままでなかったのでは?その他、入手不可能の断酒会の会誌「こぶし」掲載の「断酒会と私」(2008年)や「大阪古書月報 第283号」掲載の「古本屋さんと私」(2005年)などが超貴重だ。その他、失踪・スランプ時代の他本の後書きが面白く、さらに「失踪日記・落穂拾い」で出てくる吾妻先生の飼っていたハムスターのことをマンガにした「お嬢様の日々」はつなげてあるので、楽しめるはず。『SF・不条理』ではSFマガジン掲載の作品の中心にセレクト。『フレンズ』では吾妻先生と親交が深い方用に、後書きマンガなどで描いたものを集めた。とり・みき、新井素子、いしかわじゅんなどだが、その中でも奇譚に載った「ミャア官」にひっかけた「新井素子官能写真集」(1983年)は貴重かも。帯を書いていただいた高橋葉介、そして諸星大二郎などの特集本にも寄稿しているのだが、残念ながら新刊としてまだカタログが生きているので、泣く泣く断念している。『エロ・美少女』は単行本未収録の小品集。『ホームページ』は20042006年に吾妻ひでおのサイトでのみ閲覧できた「ホームページ日記」などのインターネットのみの原稿を一挙収録。最後の『その他』ではまず東京三世社から1981年にイラスト中心の単行本で出ていた「Paper Night」に収録されていた「My Animation」というパラパラマンガの原画集(3コマに付き1コマ)を発見したので初収録。他ではジュブナイルと言っていいか分からない短編「基地がいっぱい」(1984年)や、高千穂遥の文にイラストを書いた「変態の方程式」(1981年)などひねったものを集めてきた。全208P、冒頭にも書いたが40年来の吾妻ひでおファンの夢をこの本で実現でき、先月出版した『東映名作アニメ絵本・全5巻セット』と昨年の『ぬいぐるみ殺人事件』に並ぶ、最も満足できる1冊なので、是非ともファンの方は入手していただきたい。幸い、事前の予約も非常にいいそうで、苦労した甲斐がありそうだ。なお復刊ドットコムのホームページから購入するとさらなる8Pの小冊子、これには私が「漫画の手帖」で描いていただいた「めぞんギガント」と、VANDAで描いていただいた「きりがくれ」、さらに後になって分かったのだが、先生の1回目の失踪直前に録ったインタビュー、「漫画の手帖」の宮崎駿インタビューの号に描いていただいたミミちゃん、そして表1と表4JUNE用のものから先生がセレクトしたイラストで構成されたものがもらえるのでお得である。(初収録はインタビューとミミちゃんイラスト)なお、余談だが、カラーページは当初倍予定されていたが、アイドルネタのイラスト集だったので、掲載している出版社より「雑誌はお目こぼしされているけど、単行本はやめるべき。怖い人がくるかもよ」と言われ泣く泣く断念した。ボツイラストも受け取って是非収録したかったんだけど、芸能界は怖い...。(佐野邦彦)
ワンダー・AZUMA HIDEO・ランド

0 件のコメント:

コメントを投稿